読書の秋です。読書好きで知られる俳優の上白石萌音さんに、小学生におすすめの本について聞きました。
おしばいの台本も、最初は小説のように読むという上白石さん。子どものころの読書体験が、今の仕事に生かされているそうです。10月27日から11月9日まで「読書週間」です。(谷ゆき)
俳優 上白石萌音さん
「小さいころから本当に本が好きで……!」と、上白石さんは、うれしそうに話し出しました。家に本がたくさんあり、よく読んでもらったことが一番のきっかけでした。
小学校に入学し、図書室に初めて入ったときは感動しました。「絵本を卒業して、分厚い本を読みたい」と、いろいろな作品を読むなかで出あったのが「マジック・ツリーハウス」シリーズでした。
ツリーハウスから、恐竜がいる時代や革命の国にタイムスリップし、冒険する兄妹のお話です。ハラハラドキドキしながら夢中で読んだそうです。「想像力をすごく広げてくれる本。絵もたくさんのっているし、わかりやすい言葉で書かれています。
私は『もう小学生だもんね』と、ちょっとお姉さんになった気分で読みました」 小学3年生からメキシコに住んでいて、日本人学校の図書室にもよく通いました。
このころ、外国の子の話に興味があり、「ジュディ・モードとなかまたち」シリーズがお気に入りになりました。気分がころころ変わる女の子と仲間の日常を、ユーモアたっぷりにえがいたお話です。
絵がかわいくて装丁もおしゃれで、巻によって表紙のあしらいがちがうところにひかれたと言います。「ジュディ・モードがすごく独創的で、その発想力やユーモアが大好きでした。ゲラゲラ笑いながら読みました」
当時は読んでいる本の中に、日本のことが出てくると、うれしかったそうです。 図書室の棚の一番上に並んでいたのが「名探偵夢水清志郎」シリーズでした。
当時は手が届かない上の段にあり、「かっこいい!」とあこがれて読み始めました。ミステリー好きのきっかけになった作品です。「亜衣、真衣、美衣という3姉妹が出てくるのですが、すごくおしゃれだなって思いました。
はやみねかおるさんの作品には、等身大だけどちょっとあこがれることができる子たちが出てきて、そこに追いつきたくて読む気持ちがあったと思います」次の巻を楽しみにできるシリーズものや、たくさん作品がある作家の本が好きなのは、今も変わりません。
次は何が起きるかな?
読書は、どんなにいそがしくても旅をさせてくれるものだと言います。「ぱっと開くだけでどこへでも行ける。
その瞬間は大変なことも難しいことも忘れられるし、ポケットに入るこの大きさの本で、遠くまで行けるんだっていうのがすごくうれしい。
自分一人では知りえなかったことや、絶対に出あうことがなかった感情に出あわせてもらったりするんです」 読書は義務ではなく、自由なものだとも考えています。
「『読まなきゃ』じゃなくて、次に何が起きるんだろうって思いながら読むと、終わるころには一段自分が上がって(成長して)いるような気持ちになれると思います。自分がおもしろいなって思える本に、出あってほしいですね」
上白石さんが今でも大切にしている絵本『こんとあき』
上白石さんが、絵のタッチも物語も大好きな絵本で、今でも大切に持っています。好きな本は、においも思い出すそうです。「五感にしみついているってこと。すてきだなって思います」
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かみしらいし・もね 1998年1月27日生まれ、鹿児島県出身。俳優としての出演映画に「舞妓はレディ」「ちはやふる」シリーズ、声優としての出演作にアニメ映画「君の名は。」などがあり、歌手としても活動している。現在、舞台「組曲虐殺」に出演中。妹は俳優の上白石萌歌さん。
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