共通テスト 民間検定、記述式見送り 読解力など問う
大学入試センター試験(以下、センター試験)にかわり、2021年1月から実施される「大学入学共通テスト」(以下、共通テスト)について、見直された概要が公表されました。英語で活用される予定だった民間の資格・検定試験や「数学I」「数学I・数学A」「国語」で想定されていた記述式の問題はいずれも実施が見送られ、どのように改められるのか注目されていました。
大学入試センターが示した方針と、これまでに実施された試行調査を踏まえると、それぞれの教科(科目)は次のようになります。
まずは英語。「リーディング(80分)」と「リスニング(60分、このうち解答時間は30分)」で、それぞれ100点の計200点満点です。「話す」「書く」という二つの技能を間接的にはかる発音・アクセント、語句を並べ替える問題などは単独では出題しません。リスニングで問題音声が流れる回数はセンター試験では2回でしたが、実際の会話を想定し、1回しか流れないものも混在する形になります。
「数学I」「数学I・数学A」はセンター試験と同じ100点満点ですが、日常生活を題材にしたり、多くの資料を読み解いたりする問題が増え、試験時間は10分長い70分に。記述式で答える問題は導入が見送られましたが、センター試験よりも難易度が上がると予想されます。
国語の場合、当初は3問の記述問題が想定されており、試験時間は100分としていました。しかし、記述問題が取り入れられないことから試験時間はセンター試験と同じ80分になります。出題の範囲や配点もセンター試験と同じで、近代以降の文章から2問、古文と漢文から各1問の計4問で200点満点。センター試験にくらべ、実用的な文章や図表、会話文などを読み解く出題が増え、難易度が高くなりそうです。
地理歴史や公民、理科でも日常生活を題材にしたり、複数の資料を読み解いたりして解答する出題が盛り込まれる見込み。全体的には世の中の出来事を自分の問題としてとらえ、答えを導く力が問われるといえそうです。(Z会中高事業部・黒田実)
【中学生へのアドバイス】
これからの入試では思考力がより重視されますが、自分で考えるときの「前提」として、欠かすことができないものがあります。知識です。身につけた知識をベースにして思考力を高めていくという勉強が求められることから、これまで以上に高度な取り組みが必要になるといえるかもしれません。
中学生の場合、興味を感じる分野の知識事項を中心に語彙を増やしたり、関連する問題を自分で考えて解決をめざしたりする姿勢を養います。こうした取り組みが思考力を高める土台になります。
【高校生へのアドバイス】
大学入試に向けての情報が十分とはいえない――。いまの状況は高校生のみなさんにとって共通するものです。だからといって対策に取り組まないままでいると、受験生になったときに悔しい思いをすることになりかねません。
これまでに2回実施された試行調査について一通り、目を通してみるのが最低限の取り組みといえます。そのうえで、大学入学共通テスト向けの模擬試験や予想問題集など、入試の専門家がつくる予想問題に幅広く接しておくことをおすすめします。
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