<&GP編集部員が買ってみた!使ってみた!>
十徳ナイフ、アーミーナイフ、マルチツールetc…。呼び名はいろいろあるけれど、ひとつでいろいろできる道具には、男ゴコロをくすぐる不思議な魅力があります。えっ、全部使う機会なんてないって? たしかにそうかもしれません。そうかもしれませんが、もしもの時があるかもしれないじゃないですか。男たるもの、やはり“いざ”には備えておくべし! そんな“頼りになるナイスガイ”を目指す世界中の野郎どもに人気なのが、アメリカのマルチツールブランド、LEATHERMAN(レザーマン)です。
最大の特徴は、プライヤー(ペンチのような工具)として使えること。というより、プライヤーにナイフなどのさまざまな機能を加えたカタチが基本形です。例えば、ツーリング中に調子が悪くなったバイクをメンテナンスする時、例えばキャンプで熱くなった鍋を持ち上げる時。それら、野郎どもの困った瞬間に活躍してくれるニクいヤツなんです。
サイズも大小さまざまそろっているので、日々携帯して“いざ”に備えたいわけですが、それにはひとつ大きな問題があります。それが銃刀法と軽犯罪法。銃刀法では「業務その他正当な理由による場合を除いて刃体の長さ6cmをこえる刃物を携帯してはならない」と定められています。さらに軽犯罪法では「正当な理由がなくて刃物を携帯していた者」は拘留または科料に処せられる、とあります。要するに、正当な目的なく刃物を持ち歩いてはいけないんです。“いざという時に備えて”では罰せられる可能性があるんです。
これじゃあレザーマンを毎日持ち歩けないじゃないか! ナイスガイになれないじゃないか! そう思っていたら、ありました、日常で携帯できるレザーマンが。それが「Style PS」(5500円/税別)です。
■ナイフが付いてない!?
「Style PS」が他の多くのレザーマン・マルチツールと異なるのは、ナイフが付いていないこと。ベースは「Style CS」というモデルになります。「Style CS」は、メインツールがハサミになっていて、柄の部分に刃渡り4cmのナイフが付けられています。このハサミ部分をプライヤーに変更し、そしてナイフを小型のハサミに変えたのが「Style PS」です。そう“ナイフレス”なんです! これなら刃物は付いていないので、日々持ち歩いても問題ないんです!
そんな、日本仕様ともいうべき「Style PS」には、9つの機能が付いています。せっかくなのですべて紹介していきましょう。
[1]プライヤー
本体中央部をクルッと開くと、①プライヤーが出てきます。このプライヤー、先端が細い②ニードルノーズになっていて、細かい作業をしやすいのが特徴です。そして根本は硬い針金も押し切れる③ケーブルカッターになっています。
柄は約7.5cmあるので、握るのに問題はなく、素手ではできない強いチカラでモノを挟めます。
[2]ハサミ
本体の塗装していない側には④ハサミが収納されています。クルッと回して引っ張り出して使います。小さいので非常用ではありますが、十分役目を果たしてくれます。
柄を持って親指で開閉します。裁縫道具の裁ちバサミに似ていますね。ちょっとヒモを切りたいといった用途なら、問題なく使えます。
[3]ドライバー
塗装されている側の柄には、⑤フラットプラスドライバーが格納されています。見た目はマイナスですが、先端がすぼまっているので、小さなプラスのネジ穴なら対応可能です。
試しにメガネのネジ穴に使ってみましたが、問題なく使えました。
[4]爪ヤスリ
フラットプラスドライバーの表面はザラザラになっています。これが⑥爪ヤスリです。もちろん爪を研ぐ用なのですが、なまった刃物を研いだりといった、何かを尖らせる際にも使えます。
[5]ピンセット
塗装された柄の側には、⑦ピンセットも隠れています(上の画像は少し引き出した状態)。
先端が斜めになっていて、合わせの精度が高いので、トゲ抜きとして活躍してくれそう。キャンプで薪を素手で触ってトゲが刺さる可能性だってありますからね。そんな“いざという時”に出動する機能です。
[6]カラビナ兼栓抜き
「Style PS」のデザインで最も特徴的なのが、この⑧カラビナ。本体の端がカラビナになっているので、とにかく携帯しやすい。
カバンのファスナーに付けて…
ズボンのベルトループに付けて…
常にすぐに手に取って使える場所にぶら下げておける。これこそ「Style PS」がデイリーユースにぴったりな理由のひとつだったりします。
さらにこのカラビナ部分は、⑨栓抜きとしても使えます。
最近は瓶飲料でも栓抜きの必要ないモノが増えましたが、いつ栓を抜かなきゃいけない時がくるか分かりません。そう、これだって“いざ”って時にあると助かる機能です。
■まさに日本のためのレザーマン
閉じると全長約7.5cm。重さは44.7gという小さな小さなレザーマンですが、なんといってもナイフレスであることがポイントになります。これによって、日常で持ち歩けるマルチツールとなるのです。
小さいので、キーホルダー代わりに使えば、カバンに入れ忘れたなんてこともなくなりますしね。
アメリカにはEDC(Every Day Carry)という言葉があります。“普段持ち歩くモノ”という意味ですが、EDCで検索すると、多くの人が小型のライトとともにマルチツールを持ち歩いていることが分かります。もちろんアメリカと日本では法律が異なるため、日本で刃物を持ち歩くことはできません。それに刃物を持ち歩くのは、いろいろと危ないことも事実です。とはいえ、ナイフが付いていなくても、それ以外の機能にだって何かあった時に活躍してくれるのがマルチツールなわけで、まさにそんな日本の事情に合わせたレザーマンが「Style PS」なのです。
ということで、「Style PS」を入手したので、今後は常に携帯して、いざというとき頼りになるナイスガイになるべく精進していこうと思います。
指にトゲが刺さった! という時はぜひ声を掛けてくださいね。
(取材・文/&GP編集部 円道秀和)