どんなに仲良し夫婦でも、避けては通れないのが夫婦喧嘩。でも、夫婦喧嘩の仕方が上手な夫婦と下手な夫婦では、喧嘩の深刻度と長さに明らかな違いがあります。夫婦喧嘩の上手なカップルは、前向きな議論を短時間で済ませ、喧嘩をプラスの結果に終わらせるのに対し、夫婦喧嘩の下手な夫婦は、相手の心を徹底的に痛めつける泥沼のバトルを延々と続けたあげく、最悪の場合、離婚にまで至ってしまうことも……。
上手な夫婦喧嘩をするには、けんかのNG行為と終わらせ方をきちんと理解しておくことが大切です。そこで、夫婦喧嘩のNG行為と終わらせ方についてのポイントをお教えしましょう。
NG行為1:「地雷テーマを踏む」
誰にでも「これだけは言われたくない」と思っているテーマがあります。もちろん個人差はありますが、多くの人に共通する鉄板テーマもあります。私の主宰する夫婦仲相談所調べによれば、3大鉄板地雷と言えば「親」「容姿や性格」「年収や仕事」。
鉄板地雷その1「親」
たとえ、普段からパートナーが自分の親を愚痴っていたり、ディスっていたりしたとしても、相手のご両親の悪口はいけません。自分のことは棚に上げて、他人には親を否定されたくないと思うのが人間の心理です。
親への否定は自分の存在そのものの否定と受け取られ、直接自分自身を非難されるより不快に思う人が多いのです。
鉄板地雷その2「容姿や性格」
自分でも気にしていたり、弱点だと思っているところを「デブ」「ハゲ」など、強い言葉でえぐられることは、相手の心に大きなダメージを与えます。あるいは逆に自分に自信があったり、優れていると思っていた点を「若作りしてるのがイタイんだよ」などと否定されることでプライドが傷つき、2人の関係性にあとから修復できないような深い亀裂が入る場合もあります。
鉄板地雷その3「収入や仕事」
男性にとって仕事や年収は男としての価値とイコールなところですから、「稼ぎが悪い」などは、聞き捨てならない言葉です。一方、女性にとっても「ろくな料理もできない」などは毎日の自分の仕事(家事や育児)の否定につながる発言で、許しがたい言葉でしょう。
NG行為2:「別の話題につなげる、蒸し返す」
前項で上げたような言葉だけでなく、話の進め方でもNG行為があります。
わかっていても、特に女性がやってしまいがちなのが、過去の話を蒸し返したり、「あのことだってそうでしょ」のように別の話題を強引に今の喧嘩の話題に繋げてしまうこと。これは小さな火事をどんどん延焼させてしまうようなもので、最終的には手の付けらない大火事に発展してしまいます。
NG行為3:「『解決法』ではなく『原因』を探る」
前向きな夫婦喧嘩では、原因究明はほどほどにして、「どうしたら解決できるか」の方に議論の中心を置きます。逆に後ろ向きな夫婦喧嘩は、解決方法といった未来に目が行かず、「なぜこうなったのか」「誰が悪かったか」など振り返っても仕方のない犯人探しに終始し、結局前向きな解決方法を見つけることができません。
では次に2つめのテーマ「夫婦喧嘩の終わらせ方」です。たとえ喧嘩をしても、しばらく経ったら謝ることができればいちばんいいのですが、なかなか引っ込みがつかず、言葉で伝えるのは難しいという方も多いでしょう。そんなあなたには以下の3つ「非言語系仲直り方法」がおすすめです。
その1:「美味しいものを一緒に食べる」
「え? それだけでいいの?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、心理学的にも「一緒にものを食べる」という行為が、相手への親近感を高めるという研究が報告されています。「一緒にこれ、食べよう」とパートナーの好きな食べ物を買ってくる、それだけで、最もシンプルな「ごめんね」「仲直りしよう?」の意味を持ちます。
その2:「文字や絵で伝える」
幸いなことに、21世紀に生きる我々はさまざまなコミュニケーション手段を持っています。紙のトラディショナルな手紙はもちろん、デジタルなメールやメッセージ、SNSなど、1人でいくつものツールをお使いの方が多いでしょう。
それらのなかで、一番使いやすいものを使って、文字で、あるいは「土下座のイラスト」など絵で伝えてみてはいかがでしょう。言葉を口にするよりもハードルが低く、素直な本音も出しやすいと思います。
その3:「何も言わずにハグ」
スキンシップは言葉を超える強力なコミュニケーション手段です。言葉や文字では壊せなかった心の障壁を一気に取り除く大きな力があります。難しい言葉は放っておいて「ごめんね」「仲直りしたい」という気持ちを込めて、後ろからでも前からでもぎゅっとハグ。適切なタイミングであれば、まさに言葉不要の一発解決につながる手法です。
ちゃんと喧嘩をする、そしてちゃんと喧嘩を終わらせる。これができれば「雨降って地固まる」のような良い結果をもたらす夫婦喧嘩が可能になりますよ。
文:三松 真由美(夫婦関係ガイド)