在宅勤務の広がりとともに、夫婦間では家事分担をめぐる問題が浮上している。家事に対する相手の姿勢が見えるだけに「なぜ私だけ……」という怒りもたまりやすい。家事をめぐる夫婦の思いに迫った。
【「コロナ離婚」の意外な原因 教育のプロが語る】
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「コロナ前は夫が在宅仕事で、子どものお迎えや夕飯の支度をしてくれていたのに、私が在宅になるとやらなくなった」
と憤るのは自営業の女性(44)だ。しかも、緊急事態宣言が解除されてからは女性の出勤が通常ペースに戻ってきたにもかかわらず、夕飯づくりはいまだ女性が担い続けているという。
「私が留守だから仕方なくやっていた期間があっただけで、夫には、家事に対する当事者意識が欠けていることが改めてわかった」
コロナ禍で働き方が変わったことで、夫婦間での家事分担や負担感に変化が生じている。緊急事態宣言下では多くの企業が、在宅勤務が可能な職種をテレワークに移行。働く人にとっては通勤の負担が減るメリットはあるが、在宅時間が増えることで家事量が増加しているという人も。これを機会に、夫婦での分担の適正化が図れればいいが、そうとばかりはいかない。
会社員の女性(49)は、フルタイムの共働きながら、結婚して20年以上ほぼすべての家事を担ってきた。そんなものだと思って過ごしてきたが、コロナ禍で改めて不満を抱くようになったという。
「私の働き方は変わらなかったが、夫が在宅勤務に。家にいる時間が長くなると汚れが目につくらしく『洗面台が汚れてるよ』『ホコリがたまっているからそろそろ掃除機かけた方がいいんじゃない?』などと言ってくる。そう思うなら自分でやればいいじゃない!と。腹が立つ」
【料理初心者もコツ要らずのホットサンドメーカー簡単レシピ!】
日ごろから家事分担ができていても、不満が生じるケースはある。会社役員の女性(46)は、自粛のイライラも手伝って不満を募らせたひとりだ。
「保育園の送迎や洗濯など夫の役割は明確化していて、それ以外が私。休園になって在宅時間が増えると私の仕事ばかりが増えた。夫が留守ならそれほど腹も立たないけど、目の前にいるのに何もしないと頭にくる」
コロナ禍では、イレギュラーな予定の調整や子どもたちの体調管理や予防といった、明確化できない家事・育児も増えた。お互いにコミュニケーションを取らないと、「私ばかり……」という不満がたまる。
夫婦の片方だけが在宅勤務のケースでは特に、「在宅になった私にだけ家事負担がのしかかった」(大学教員、45)など、在宅しているほうに負担が偏るという声も多く聞かれた。
家事シェア専門家の三木智有さんはこう指摘する。
「在宅しているほうが家事をやるべきという呪縛は、テレワークだけでなく、妻だけが育児休業を取得した家庭でもよくみられる現象です。まずは夫婦双方がこの意識を変えていく必要があります」
三木さんはまず、「仕事も家事も完璧に」「相手にも同レベルを要求」という意識を捨てることを提案する。家にいるからこそ、いつもより家事を完璧にしなければと思いがちだが、どこでも仕事をしていることには変わりない。通勤していた時間は家事に充てるなど、メリハリをつけるのが重要だという。三木さんの家庭では、どこで仕事をしていようと平日の9時から18時までは家事はしないし、相手にも期待しないというルールを設けているという。
「仕事が終わらないのに家事をこなした実績を作ってしまうと、パートナーにもできるんだと誤解されて、悪循環に陥ってしまいます」
今回の取材では、コロナ禍での家事分担に不満を抱いたり、分担を見直したいと考えていたりする人が多かったのに、実際に夫婦で話し合ったというケースはほとんどみられなかった。
そこで活用してほしいのが、「コロナ禍テレワーク版共働きの家事育児100タスク表」だ。100のタスクについて夫婦で話し合い、どの割合で分担しているかをシールなどで色分けし、見える化するのだ。タスクは家庭によって書き換えてもOKだ。
三木さんはこう話す。
「在宅時間が長くなるとパートナーが家事をする姿が見えやすい。長い間、役割が固定化されていた夫婦でも、改めて話し合ういいきっかけになるはずです」
(ライター・森田悦子)
※AERA 2020年7月27日号より抜粋
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寿司にアジフライ、南蛮漬けとどう料理してもおいしいアジは、釣りを楽しむ人にとっても身近な魚です。これからのシーズン、堤防からのサビキ釣りで、誰でも簡単に10~20センチのものを食べ切れないほど釣ることができます。
筆者も子どもたちが幼い頃、近くの堤防でクーラーボックスいっぱいのアジを釣って帰り、眠い目をこすりながら夜中までかかって三枚におろしたり、開きにしたりしたのを思い出します。釣っている時は楽しいのですが、釣りすぎると後の処理に時間がかかり過ぎてしまい、もっと早めに切り上げておけばよかった……と後悔することもしばしばでした。
先日は、友人から「『鬼アジ』爆釣や~♪」というメッセージとともに、クーラーボックスいっぱいに、40センチから50センチはありそうなアジが詰まった写真が送られてきました。
一般的に鬼アジとは、堤防から釣れる食べ頃サイズのアジではなく、沖合を回遊する30センチ~50センチの大型のマアジのことを指す場合が多いようです。
堤防から釣れるアジは湾内に居つきのマアジが多く、体や背ビレなどが黄色く見えることから、黄アジと呼ばれることがありますが、沖合を回遊するアジは体も黒っぽく、大きさも2倍以上になります。その大きさから、沖合を回遊する大型のマアジを鬼アジと呼んで、堤防から釣れるものとは区別しています。
実は、大きなものに「オニ」をつけて小さなものと区別するやり方は、魚の世界では比較的一般的です。
有名なところでは、通称マンタと呼ばれるダイバー憧れの「オニイトマキエイ」や、逆に、鋭い歯と凶暴な性格からダイバーに恐れられている、通称バラクーダと呼ばれる「オニカマス」などがあります。どちらも、普通の「イトマキエイ」や「カマス」に比べて大きいことからこの名前がついています。
オニカサゴやオニオコゼなどは、大きさではなく、その見た目から「オニ」と付けられてるようなので、必ずしもオニとつく魚が大きいというわけではないようです。
ちなみに、ややこしいですが、正式名称で「オニアジ」という魚もいるんです。
主にインド太平洋の熱帯海域に生息するアジの仲間で、日本では南西諸島あたりで取れることがある希少な魚です。見た目はアジとカツオの中間のような姿をしており、目の位置が前方に寄っており、皮が非常に固く、アジ特有のゼイゴが尾からエラぶたまで伸びているのが特徴です。
オニアジについても、大きさというより、固い鎧に身を包んだような風貌からオニがついたと考えるべきでしょうか。
そしてもうひとつ、魚へんに「鬼」と書く魚もいるんですが、何だかご存じですか?
今では幻の魚と言われ、日本に生息する淡水魚では最大と言われている「イトウ」です。10年ほどで1メートル以上になると言われていて、過去、北海道の十勝川で2メートル以上のイトウが捕獲されたという記録もあります。
漢字の由来は、大きさもあるとは思いますが、繁殖期のオスの体が赤く染まり、メスをめぐって激しく体をぶつけ合う様子が、鬼が争っているように見えたということのようです。
今回は魚界の「鬼」にまつわるテーマを書いてきましたが、今ちまたで「鬼」と言って思い出すのは、累計販売部数が8000万部を突破した人気漫画の「鬼滅の刃」ではないでしょうか。
くら寿司では「鬼滅の刃」とコラボしたキャンペーンを実施します。登場人物にあやかったメニューやオリジナルのクリアファイルがもらえるほか、ビッくらポンの景品も鬼滅の刃のオリジナルグッズになっています。興味のある方は、ぜひくら寿司の店舗へお越しください。
○岡本浩之(おかもと・ひろゆき)
1962年岡山県倉敷市生まれ。大阪大学文学部卒業後、電機メーカー、食品メーカーの広報部長などを経て、2018年12月から「くら寿司株式会社」広報担当、2019年11月から、執行役員 広報宣伝IR本部 本部長
※AERAオンライン限定記事
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批評家の東浩紀さんの「AERA」巻頭エッセイ「eyes」をお届けします。時事問題に、批評的視点からアプローチします。
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安倍首相の連続在任期間が歴代最長となった。安倍第2次政権が誕生したのは2012年12月。筆者には15歳の娘がいるが、小1の冬から中3の夏まで同じ首相だったことになる。
なぜここまで強いのか。多くの分析があるが、共通するのは戸惑いである。安倍政権の成果ははっきりしない。アベノミクスは頭打ちだし震災復興で成果があったわけでもない。デジタル化や多様性対応などの変革も進んでいない。外交に強いというが、対米追従が目立つだけで基地問題も領土問題も拉致問題も進展していない。目標に掲げた改憲も一向に近づく気配がない。おまけにこの数年はスキャンダル続きだ。にもかかわらず選挙には強いし、支持率も安定している。
まったくふしぎな話だが、裏返せばそこにこそ強さの秘密があるのだろう。安倍政権はおそろしく空虚な政権である。けれども日本人はそれを支持してきた。今回のコロナ対策に顕著なように、安倍政権は「やってる感」を出すだけで、じつはなにもやっていないことが多い。明らかな怠慢だが、おそらくはまさにそれが国民の無意識が求めたことだったのである。「やってる感」さえあれば、現実の改革の痛みから目を逸らすことができるからだ。
さらに厄介なのは、その性格が体制批判側にも鏡に映すように転写されてしまったことである。政権の広報戦略に学んだのか、いまや野党も知識人もすっかり「やってる感」に頼るようになってしまった。けれど「反アベ」が呪文のようになった昨今の環境は、批判側の知的体力をむしろ奪っている。現状ではハッシュタグは伸びても選挙では勝てないだろう。
2010年代は日本では震災で始まった。やるべきことはたくさんあった。皮肉を込めていえば、安倍政権の歴史的な功績は、その現実から目を逸らす集団自己催眠にあったといえるのかもしれない。
とはいえ、夢からはいつか覚めねばならない。冒頭に娘の年齢を記したが、3年後には彼女の世代が有権者になる。政治の麻痺にどっぷり浸かって育った彼ら彼女らは、どのような投票行動を取るだろうか。少し心配で、同時に楽しみでもある。
○東浩紀(あずま・ひろき)/1971年、東京都生まれ。批評家・作家。株式会社ゲンロン代表。東京大学大学院博士課程修了。専門は現代思想、表象文化論、情報社会論。93年に批評家としてデビュー、東京工業大学特任教授、早稲田大学教授など歴任のうえ現職。著書に『動物化するポストモダン』『一般意志2・0』『観光客の哲学』など多数
※AERA 2020年9月7日号
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オンライン中心の生活で、人と直接会う機会は貴重なものになった。だが、マスク越しのコミュニケーションには難しさもある。AERA 2020年9月7日号は、アナウンサーの山部朱里(やまべあかり)さん(33)にコツを聞いた。
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マスクがコミュニケーションの妨げになっている。そう思うことはないでしょうか? 何しろ顔の半分が隠れており、表情がわからず声もくぐもるので、ある意味仕方がありません。
でもそのために、気持ちが伝わっていないと思われたりして、トラブルの原因にもなりかねません。
マスク越しの気持ちを伝えるにはどうすればいいのか。ポイントは三つあります。
まずは、声の大きさです。
マスクをすると口の動きが小さくなり、モゴモゴと何を言っているのか、相手は聞き取りづらくなります。そこでなるべく、口を大きく開け、ゆっくり話すことを意識しましょう。温泉に浸かった時の、「あぁ~」と思わず言ってしまう、おなかから出る声の感じです。
【オンライン会議「挙手制」「発言1分」新ルール作りが必要 】
二つ目はアイコンタクト。
コミュニケーションの基本は、相手の目を見て話すアイコンタクトです。そのアイコンタクトを今まで以上に意識しましょう。長い前髪は左右に流すなりして、目元が相手によく見えるように。これだけで、相手に与える印象は変わります。相手の目を見つめすぎ居心地の悪さを感じた時は、眉間に視線を移すといいですね。
三つ目は目元。例えば目がギョロっとしていると、本当は笑っていても口元が見えないので、不機嫌なのかと思われてしまいます。そのためには優しい目元づくりが重要。しかし、単に目を細めるだけでは、やる気のない眠たそうな顔になってしまいます。コツは、下まぶたの筋肉を意識して上げ、三日月形になるくらい細めてみてください。すると眉も下がり、マスクをしていても相手に笑顔であることが伝わります。極端な例では、アニメの「笑ゥせぇるすまん」に出てくる喪黒福造(もぐろふくぞう)のイメージです。
化粧をする女性は、アイラインを濃く入れすぎると目力がアップしすぎて、近寄りがたくなるので注意しましょう。
まさに「目は口ほどにものを言う」。その上で、大げさなくらいのジェスチャーでうなずいたり首を傾げたりして意思表示をすれば、より効果的です。
逆にやってはいけないのは、話している時にマスクを触ること。マスクが気になり、無意識にマスクを触る人がいますが、相手はその手の動きが気になり会話に集中できなくなるのでマスクを触るクセはなくしたほうがいいですね。
※AERA 2020年9月7日号
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ブロードウェーでロングランヒットした傑作コメディーミュージカル「ハウ・トゥー・サクシード」に、NEWSの増田貴久さんが主演する。海外ミュージカルは初挑戦だ。AERA2020年9月7日号から。
【キンプリ永瀬廉 「めっちゃ気持ちよかった」自粛生活中に見つけた新たなリラックス法】
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「ハウ・トゥー・サクシード」は『努力しないで出世する方法』という本に出会った主人公が本の教えを実践するうちに、トントン拍子に大企業で出世を果たす軽妙洒脱(けいみょうしゃだつ)なサクセスストーリーだ。増田さんは主人公・フィンチを演じる。海外ミュージカルへの出演は夢の一つだったという。
増田貴久(以下、増田):お話をいただいた時は「ヤッター!」と大声で叫ぶくらいうれしかったです。うれしさ100、楽しさ100、プレッシャー100……でも、やはりうれしい気持ちが強いです。ミュージカルへの思いは、歌やダンスの経験を積んでいく中で自然と高まっていったものです。
34歳にして初体験ということは、経験や勉強を重ねなければできなかったお仕事だと思うんです。国内外のいろいろな舞台を見てきましたが、この作品はダンスも素晴らしいし、展開のテンポもいいし、見たら元気になれる最高の作品。今、出会えたことに運命を感じています。
稽古を重ねて、みんなで少しずつ積み上げて作っていく。その過程も楽しい。
増田:稽古場で他の役者さんと合わせて、相手の間や声を聞くことによって、一人で台本を読んで考えたのとはまったく違う化学変化が起きる。お芝居はそれが面白いんですよね。僕は基本的に演出家さんの求める通りにやりたいタイプなので、「僕はこう思うんですけど」ということはほとんどないですが、期待値は超えていきたいという目標があるんです。僕というフィルターを通すことで、さらにいいものになったね、と思ってもらいたい。今の増田貴久にどこまでできるのか、そうみなさんが想像したレベルも超えていきたいですね。その目標を達成できたのか、確かめるのは難しいですけれど(笑)。とりあえず「フィンチスマイル」という、僕がニコッて笑うと照明も変わってキラーンみたいになる印象的なシーンがあるので、そこは見せ場にしたい。僕もジャニーズ歴22年、笑顔は得意なので。
そう言ってニッと笑う。フィンチは物おじしない胆力と話術、トボけた愛嬌(あいきょう)があって、それも出世の武器となるが、そんなフィンチの魅力はどこか増田さん自身とも重なって見えた。
増田:普通だったら嫌われそうなところも、フィンチだからうまくいく。僕にも、「この人だから応援したい」と思ってもらえる魅力があるとうれしいです。人が好きなので、人付き合いは得意ですね。たとえば先輩と一緒にご飯を食べているとき、じゃあ次はワインにしようか、となれば「僕もワイン大好きなんですよ!」と目が輝くし、ウイスキーにしようかとなったら「ウイスキー大好きなんですよ!」とナチュラルに言えます。そういう面は、フィンチとよく似てますかね。うそをついてるわけじゃないんですよ。少しだけ大きく言うというか、クイックに相手に合わせられるというか。好きなものが一緒とかそういう小さなことって、大切じゃないですか。人付き合いの中で学ぶことも多いし、人間力も鍛えられると思うので、自分のそういう姿勢は大切にしたいなって。
増田さんが会社員なら出世しそうだが、もし『努力しないで出世する方法』という本があったら、読みたいだろうか。
増田:読んでみたい。あったら買いますね。普通に努力はしますけど、サラリーマンだったら出世はすごく意識しちゃうタイプだと思うので。大卒で入社したとしたら、勤続年数22年は役職もつくころですよね。そんなことを考えることもあります(笑)。まぁ、先輩と後輩に挟まれる中間管理職的なところはあります。ただ、人の活躍を見て焦ることはあまりないですね。もちろん、うらやましいなぁと感じることはありますが、自分は今はその時じゃないんだろうな、と思うので。結局、僕は歌やダンス、お芝居などで表現することが大好きなので、その作品を通して誰かを元気にできたり、ファンになってもらえたりすることが一番うれしい。それは全力でやり続けますし、少しずつでもレベルアップしていけたらいいなと思っています。
3人体制になったNEWSも、一歩ずつ積み重ねていく姿勢はこれまでと変わらない。
増田:自分たちが作ってきた音楽や作品、ファンの方や支えてくれるスタッフさんとの関係性には自信があるし、大切に思う気持ちは何も変わらずそのままです。僕が担うことも、以前からやっているライブの演出、衣装を考えたりする部分は変わらないと思います。でも、もっともっと知識は欲しい。コンサートの演出に使う最新の機構や照明については小さいことでも全部知りたいし、常にセンスを磨いていきたい。また、グループとして一つ上の階段にのぼれる年齢になってきていると思うので、逆に今までできなかったことにも挑戦していきたいと思っています。それも一歩ずつ、ですけど。
小さな幸せを感じる瞬間は?
増田:仕事ができること。外出自粛期間中、自分一人ではなにもできないということを改めて感じました。スーパーに行って、この野菜を作ってくれる人がいるから食べられるんだと思うと、にんじんを見て泣きそうになったりもしました。だからいま、キャスト、スタッフ一丸となって作り上げていく舞台に向き合えるのが本当にうれしい。気分が沈んでいる人も多いと思いますが、「ここ何年かで一番楽しい1日だった」という時間を提供できるように準備しているので、楽しみに来てください。
(構成/ライター・大道絵里子)
※AERA 2020年9月7日号
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テレワーク普及の流れは止められない。だが、それとともに新たな悩みやストレスを抱える人も増えてきた。組織のコミュニケーションを見直すチャンスと捉え、新たなルール作りを進めたい。AERA 2020年9月7日号で掲載された記事から。
【「オンライン疲れ」の正体は“脳過労” 脳科学で考える「1日5分」効果的な解消法】
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テレワークでオンライン会議やメール、チャットが急増する一方、対面のコミュニケーションは減っている。
テレワークの普及とともに、新たな悩みやストレスを感じる人が増えている。
都内の会社員の女性(52)は、オンライン会議のたびにイライラするという。
「一人一人の様子がわかりづらくて発言しづらいし、発言した後の相手のリアクションもわかりません」
コロナ以前、会議室で集まっていたときには、周囲の呼吸や雰囲気が直に伝わった。だがオンライン会議では10人近い参加者全員の顔を一度に見ることはできないし、すぐには発言者がわからないことがある。
アエラが8月中旬にウェブで行ったアンケートでも、オンライン会議に対する不満や悩みが多く見られた。
「言いたいことの半分しか伝わっていない」(40代女性・会社員)、「間(ま)が取りづらい」(40代男性・会社員)、「相手の雰囲気がわからず一方通行感がある」(50代女性・会社員)
東京女子大学の橋元良明教授(情報社会心理学)は、オンライン会議におけるストレスの最大の要因は、ノンバーバル(非言語)なコミュニケーションの減少にあると指摘する。
「相手の顔が見えるとはいっても、細かい表情や対面の場合だとわかる様々なボディーランゲージなどが抑圧され、トータルの情報量が低下します」
人は言葉だけで相手とコミュニケーションをとっているのではない。身振り手振り、ちょっとした仕草……。こうしたノンバーバルなコミュニケーションをトータルで判断する。それがオンラインでは見えづらく、その結果、言葉への依存度が増し、相手の声を聞き逃すまいと緊張感が高まりストレスや疲れを覚えるという。
顔の距離も、対面とオンラインでは大きく違う。リアルな会議では、顔を近づけ合うことは少ないし、全員と真正面から向き合うわけではない。ところがオンライン会議では、ほんの40、50センチのところに全員の顔が真正面に並ぶ。これにプレッシャーを感じるという人も多い。
「オンラインは互いの目と目の距離が近い。その結果、自分の空間、すなわちパーソナルスペースが侵害されているように感じるのです」(橋元教授)
もちろん、オンラインならではのメリットもある。上司も部下も同じように並ぶオンライン会議は、リアル会議よりもフラットで、率直に意見を言い合うのに向いている。日本ファシリテーション協会フェローで『オンライン会議の教科書』の著書がある堀公俊さんはこう語る。
「以心伝心、忖度、阿吽の呼吸。こうしたものに頼ってきた組織ほど、オンライン会議をうまく進めることができません。会議は組織の縮図。組織全体のコミュニケーションをトータルデザインするなかで、オンライン会議のルールを各社がそれぞれ設定する必要があります」
【寝ても疲れがとれない「デジタル時差ボケ」急増の理由】
オンライン会議を活用せざるを得ない今は、新たなルールを作って組織を変えるチャンスだとも言う。
「そのためには、オンライン会議はリアルの代替ではなく、似て非なるものだと認識することが大切です」(堀さん)
たとえば、リアルな会議ではわざわざ挙手をしなくても、その場の空気を読んで発言すればよい。だが、オンライン会議だと、発言が重なると音が重なり聞き取れなくなるため、一人が発言している間は他の人が発言できない。発言したい人は挙手してファシリテーターに指名されてから話し、話し終わったら「以上です」で締めくくったほうがスムーズだ。一人が長々と話し続けることがないように、「発言は要点をコンパクトに、1分以内で」と決めるのもいい。(編集部・高橋有紀、野村昌二)
※AERA 2020年9月7日号より抜粋
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将棋の勢力図が変わりつつある。8月には史上最年少で藤井聡太二冠(18)が誕生した。棋聖戦で藤井二冠に敗れるも、このほど悲願の名人を戴冠した渡辺名人(36)は、彼をどう見ているのか。AERA 2020年9月7日号では、藤井二冠との対局も含め、渡辺名人にじっくり話を聞いた。
【目指すのは藤井聡太?井山裕太? 将棋と囲碁、わが子にはどちらがいい?】
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──王位戦の決着局になった第4局の初日の封じ手に、藤井二冠が選択した8七同飛成という手を驚く向きが多かったです。
あれは普通の手で驚くようなことではないです。飛車を切るか逃げるかの二択しかないので、その人の棋風によります。あの対局に関して言えば、地味な正解手を積み重ねていくことで差を広げていった。そこが彼の技術であって、「この一手がすごい」というのはあの将棋に関してはありません。
──棋聖戦第2局で話題になった、渡辺さんの攻めに対する3一銀という受けも、AIで6億手読んで初めてわかる最善手ということで話題になりました。
あの手は発見しづらいけれど、元々受けが好きな人であれば見つけられるかもしれないという手です。ただ、今回の棋聖戦で言えば、僕は1局目は鋭い終盤戦の攻めで負けて、2局目は逆に受けの手で負けるという展開になりました。攻めと受けを両方できるのが彼のすごいところ。攻めか受けかというのは棋風なので、受けの人は受けの手から考え始めると正解のゾーンにたどり着く可能性が高くなる。逆に、本来攻めなきゃいけない場面で受けの手を考えてしまうので、そういう場合は正答率が下がる。ところがその真逆の展開を両方やっちゃうのが彼の特筆すべきところなんです。こんなこと普通できません(笑)。
──高校生にして追われる立場になり、周囲が藤井二冠目掛けて対策を講じることになります。
対戦相手になれば、そうなりますね。しかし目に見えた弱点はないので、その人なりに特化した作戦をどう練るか。あとは相手に毎回「負けてもともと」みたいに気楽にぶつかってこられるときついでしょうね。全部ストレートのタイミングで思い切りバットを振られて、当たればラッキー、三振して当たり前みたいな感じで。そういうところで、対戦相手にとって彼が「格上」になったことでどうなるかぐらいでしょうね、懸念材料というほどでもない。
──渡辺名人とはこれから何年も名勝負を繰り広げていく間柄に突入したわけですが、彼に対して突破口になるような秘策はありますか。
いや、今のところないです。だってまだ考えてないですもん(笑)。変な話、対戦相手にならない限り考えることはないです。そんなことを考えるなら、次の対戦相手の研究をします。
──しかし、非常に面白くなりましたね、将棋界。
見てる人はそうでしょうけど、やってる方は大変ですよ(笑)。
──失礼しました。最後に新名人に今後の抱負を。
個人的な目標はすぐには浮かびませんが、36歳という年齢を考えればタイトル戦に出られるのもそう長くはないので、その中で藤井さんとの戦いでもどういうふうに指していくべきか。ただ、自分としては今、いい時期にあるのでこの何年かは頑張りたいと思います。いつからピークと見るかは難しいですけど、一応まだそれが続いている。タイトル戦に出られなくなればピークも終わりですけど、正直2年先がどうなっているかわからない。今これだけやっているから、5年間は安泰という世界ではありませんから。
(構成/編集部・大平誠)
※AERA 2020年9月7日号より抜粋
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タレントでエッセイストの小島慶子さんが「AERA」で連載する「幸複のススメ!」をお届けします。多くの原稿を抱え、夫と息子たちが住むオーストラリアと、仕事のある日本とを往復する小島さん。日々の暮らしの中から生まれる思いを綴ります。
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「美白」は差別か。化粧品会社が「ホワイトニング」という表現をやめる動きがあるそうです。あなたは美白化粧品を使っていますか? 差別と聞いて、意外に感じますか?
“白い”肌が望ましいというメッセージは、肌の色の多様性を否定し、メラニン色素の薄い肌をそうでない肌よりも優位に位置付けて、結果として白人優位主義的な価値観を強化することになる。そう言われたら「いや、そんなつもりで使ってないし、人種差別もしていない」と答える人がほとんどでしょう。
私も美白化粧品を使っており、レーザーでシミを取っています。でも、白人になりたい!と思ったことはなく、そのために美白をしているのでもありません。シミがない状態を望ましいと思うのはなぜか。あってもいいじゃないか。それはいつも、エイジズムの観点からの自問です。加齢をネガティブに捉え、年齢で人を差別する気持ちがあるのかも?と。真新しい状態を望ましいとするケガレを嫌う習慣の影響や、潔癖性的なこだわりもあるかもしれません。でも、人種差別を助長する価値観が潜んでいるとは自覚していませんでした。
私の瞳は焦げ茶色です。もし、「美青」が美容の基本だったら。目の色を薄くする商品や青い瞳を強調する画像があふれ、虹彩の茶色いシミを嘆く光景が当たり前だったら。世界には茶や黒の瞳の人が虐げられてきた歴史があり、今も瞳の色を理由に構造的に不利な立場に置かれ、差別や偏見と闘っているとしたら。私にとって「美青」はどんな意味を持つだろう。
ただの美容だよ、と私よりも薄い色の瞳の人は言う。「私たちの目だって青じゃなくて灰色だしね。でも誰も茶色や黒を差別なんてしてないよ。“美青”は、ただの好みだよ」と。
あなたの目は、肌は、何色ですか。何色だったら、美しいのでしょうか。
○小島慶子(こじま・けいこ)/エッセイスト。1972年生まれ。東京大学大学院情報学環客員研究員。近著に『幸せな結婚』(新潮社)。『仕事と子育てが大変すぎてリアルに泣いているママたちへ!』(日経BP社)が発売中
※AERA 2020年9月7日号
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トランプ氏やその支持者がマスクを嫌い、着用派との対立が先鋭化している米国。激しい対立の背景には何があるのか。
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「手術を終えたばかりの兵士らと話すような特殊な環境で、マスクを着けるのは素晴らしいことだ。私はマスクに反対したことはない」
米国のドナルド・トランプ大統領が公の場で初めてマスク姿を見せたのは、首都ワシントン近郊の米軍医療施設を訪れた7月11日だった。トランプ氏はこう述べて、それまでの「反マスク」の態度を軟化させたかのように見えた。
新型コロナウイルスが流行して以降、米社会はマスク着用への賛否で激しく分断した。構図はおおむね、「保守対リベラル」「トランプ対反トランプ」と重なる。この分断は、冒頭の発言で収まるほど表面的なものではなかった。
8月13日、大統領選で民主党候補となったジョー・バイデン前副大統領が、全国民が少なくとも3カ月は外出の際にマスクを着用することを求めた。するとトランプ氏は「非科学的」と非難し、こう述べた。
「我々はある程度の自由を望む」
米ジョンズ・ホプキンス大の集計によると、米国では19日夜までに約548万人の感染者を出し17万人以上が死亡したが、マスクをめぐり各地で反対運動が起きた。5月には、中西部のミシガン州の日用品店で、着用をめぐり警備員の男性が射殺される事件まで起きた。
カリフォルニア州オレンジ郡在住のジャーナリスト、志村朋哉さん(37)は、6月に地元であった出来事を思い出す。
「郡の公衆衛生長官が突然、辞任したのです。自宅まで押しかけられて、抗議デモを行ったマスク反対派の人たちに脅されたようです。命の危険を感じたのでしょう」
同州では3月中旬から約2カ月間、都市封鎖が行われた。解除後の5月22日にオレンジ郡が店舗や職場、6フィート以上のソーシャルディスタンスを確保できない場所ではマスクを着用することを義務づけ、これに保守派の人たちが激しく反発した。
「選挙で選ばれたわけでもない保健当局の責任者の自宅にまで行って脅すのは、オレンジ郡の反マスク運動の象徴的な出来事でした。マスク着用に反対している人たちは、私が取材してきたトランプ氏の熱狂的な支持層と重なっています。彼らはマスクをしないことでトランプ氏への支持を表明しているようにも見えます」(志村さん)
【米国でマスクは“弱さと悪の象徴”? KKKや西部劇の強盗との意外な関係とは】
全米郡市保健当局協会(NACCHO)によると、6月上旬までに地方の保健当局の責任者が辞職に追い込まれるなどした例が少なくとも27件あった。
反発はどこから来るのか。北海道大学の結城雅樹教授(社会心理学)はこう説明する。
「しばしば指摘がありますが、自由の侵害ということがあると思います。慣れていないマスクを『しなさい』と命令されているわけですが、米国人、中でも特に共和党支持者はこうした形の行動の強制をすごく嫌がる傾向があります。権力からの自由というのは、アメリカの国是の一つでもあります」
その上で、マスクへの賛否が政治思想に影響を受けていることを示すデータもある。
米世論調査機関「ピュー・リサーチ・センター」が6月に4708人の成人を対象に行った調査では、71%の人たちが公共の場では「いつも」、あるいは「ほとんどいつも」マスクを着用するべきだと考えていた。6月といえば、米国では南部を中心に再び感染者が増加傾向となった時期で、多くの人たちがマスクを受け入れ始めたようだ。だが、注目は共和党と民主党の支持者の考え方の違いだ。
共和党の支持者と共和党寄りの人だけで言えば、52%の人が「いつも」か「ほとんどいつも」を選んだが、民主党の支持者と民主党寄りの人では、86%に達していた。
前出の志村さんによれば、オレンジ郡ではその後マスクの着用令は撤回されたが、州知事があらためて着用令を出した。ところが、取り締まりを担当するのは自治体の警察や保安官で、オレンジ郡では「取り締まりに力を入れているという実態はないようです」(志村さん)。絶妙なバランスで“分断”や“自由”が担保されているようだ。(編集部・小田健司)
※AERA 2020年8月31日号より抜粋
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コロナ禍が生んだ数少ないプラス面。それは通勤せず家で働くテレワークの普及だ。結果、都心から移住を検討する人が増えている。では、どこに住めばよいのか。アエラは、コロナ時代の後悔しない移住先ランキングを調査した。ここでは北海道・東北エリア、関東エリアの結果を紹介する。
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憧れやイメージだけで移住先を決めてしまうと、現実とのギャップに「こんなはずじゃなかった」となりかねない。そこで今回アエラは、不動産の目利きであるSUUMO編集長池本さんと、移住の専門家である移住情報誌「TURNS」プロデューサー堀口正裕さん(48)の2人に協力を依頼。コロナ時代の「後悔しない移住先」を見極めるために重要な八つの指標を決めた。
まず池本さんが挙げたのは「広い家に住める街」だ。池本さんは「オフィスの役割が住まいに入ってくるわけですから、ワークスペースを確保できる広い住まいが必要になります」。
二つ目は「大規模商業施設が充実した街」。様々なエリアが住民からどれぐらい愛されているかを調べたSUUMOの調査によると、大規模商業施設がある街は「住民からの愛され度」が高いという傾向が、特に郊外の街で顕著だったという。
三つ目は「カルチャーを感じる施設がある街」。こちらも「愛されている街」の調査で、愛され度に大きく影響する項目だったという。池本さんは「ウィズコロナの時代、自宅周辺の滞在時間が長くなるので、そのエリアにカルチャー要素が充実しているかも大切です」と話す。
四つ目は「将来伸びる街」。人口が増えていく街では暮らしの利便性が増していくことが期待できるし、不動産を購入した場合は将来価値にも影響する。池本さんは、「商業集積のある中核駅よりも、その恩恵を受けながら静かで広い家を確保しやすい“中核駅の隣町”がこれからの狙い目かもしれません」と言う。
ここからは、移住の専門家である堀口さんに聞いていこう。
五つ目として堀口さんが挙げるのは、「子育てのしやすい街」。「少子高齢化の人口減少時代だけに、子育てしやすい街であることは絶対条件」と指摘する。子育てだけではなく、女性を大切にする街なら安心して住めると話す。
六つ目は「治安のいい街」。自宅やその周辺にいる時間が長いコロナ時代だけに、安心して暮らせる環境は極めて重要だ。子育ての面でも、「過疎化や少子化で学校の統廃合が進み、通学時間が長くなっているだけに、街全体で子どもたちを見守るような仕組みができていないと心配です」(堀口さん)。
七つ目は「医療体制が充実した街」だ。新型コロナの感染拡大はどこで起きてもおかしくない。医療崩壊が懸念される時代、「いざという時に近隣市町村を含めて通院できる病院があるかどうかは絶対にはずせないチェックポイントです」(同)。
最後、八つ目は「災害対応や行政サービスが期待できる街」だ。「何十年に一度という災害が毎年のように起こる時代ですから、過去に地震や水害を経験するなど、対策を学んでいる市町村が安心ではないでしょうか」(同)。一方、近年は局地的な豪雨が増え、災害がどこで起きるかを予測するのは極めて難しい。もしもの場合にしっかりと対応できる体制作りや財政力を備えた自治体を選ぶことが一つの備えになりそうだ。
一方、通常の移住では重要とされる移住先での就労先や自治体の移住支援策などは、項目に入れなかった。テレワークを伴うことが多いコロナ時代の移住では、これまでとは違う指標を重視する必要があるのだ。
これら8項目について、アエラは公表されている統計データから東京都内と政令指定都市を除く1659市町村について数値を算出し、エリアごとにランキングを作成した。
それでは、地域ごとのランキングを見ていこう。
まずは北海道・東北だ。「買い物」や「医療」が充実し、財政的にも豊かなことが多い県庁所在地が上位に挙がるのは、他のエリアでもみられる傾向だ。そんな中で1位に入ったのが、宮城県岩沼市だ。仙台市の玄関口的な役割で、市東部には仙台空港があり、JR東北線と常磐線が岩沼駅で交わって仙台市につながっている。
東日本大震災の津波で大きな被害を被ったものの、「保育所が再開されるなど、復興著しく、その象徴が『千年希望の丘』です」(さわやか市政推進課)。移住者の受け入れにも力を入れ、人口も増えている。八つのテーマのうち、「災害・行政」は9点。災害対策が整備されているのは心強い。
同点1位の秋田市は人口30万人超、東北日本海側最大の都市で、秋田新幹線、秋田空港で東京などへダイレクトにつながる。大規模商業施設が充実し、「買い物」は10点満点。秋田大学医学部附属病院、秋田赤十字病院など「医療」の充実度も高いポイントを得ている。
続いては関東。トップは群馬県吉岡町だった。
県庁所在地の前橋市に隣接し、群馬県最大の都市である高崎市とも近い。群馬県で3番目に小さい町だが、吉岡バイパスなどの幹線道路沿いには大型の商業施設が並んでいて、最近もドン・キホーテの群馬吉岡店がオープン。豊かな自然と町の将来性を評価して首都圏などから移住してくる人も少なくない。町企画室は「通勤に便利で、町内に大きなショッピングセンターもあって、買い物にも便利で、人口が増加しています」。
2位の千葉県柏市は人口40万人を超え、JR柏駅の周辺には百貨店や大規模商業施設も多い。一方、つくばエクスプレス沿線は柏の葉キャンパス駅を中心に大学、研究所などが並ぶ文教エリアで、子育て世代の流入が目立つ。
同点2位の神奈川県開成町は関東で最も面積が小さい町だが、駅前には大手スーパー、幹線道路沿いには家電などの量販店が並び、人口も増えていることがランキングを押し上げた。
4位に入った埼玉県三芳町は、ホームページで「東京から一番近い町」をうたっている。同町秘書広報室は「東京から30キロ圏内にありながら、ホタルが見られるなど自然豊かな“トカイナカ三芳町”。農業が盛んで落ち葉堆肥農法は日本農業遺産に認定されています」とアピールする。(住宅ジャーナリスト・山下和之、ライター・吉松こころ)
※AERA 2020年8月10日-17日合併号より抜粋