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「中学受験の失敗は親が作る」と専門家 “全落ち”したときにかけるべき言葉とは

2021年1月29日 19:00 AERA

 近年、増加傾向にあるという中学受験の受験者数。ということはその分、不合格の数も増える。望まない結果だったときに、親はどう振る舞えばいいのか。AERA 2021年2月1日号では、専門家らに話を聞いた。

【中学受験直前、親が子にかけるべき「天使のささやき」とは?】

*  *  *
 コロナ禍は子育て家庭の家計にも影響を及ぼし、今年は、中学受験の受験者数は減るのではないか、という見方があった。だが、現実は逆だ。受験者数はむしろ増加傾向にあるという。

■休校時の公立校に不安

「今年の首都圏の私立中学受験者数は、ピークだった2007年と同様の5万人台に戻る可能性が高いです」

 と分析するのは首都圏模試センター取締役で、同センター教育研究所所長の北一成さんだ。増加の一つの要因に公立校の教育不安があるのではと話す。

「昨春の緊急事態宣言で学校が休校になった際、公立校の対応に不安や不満を持つ保護者もいました。公立一貫校だけの受験で考えていた家庭の中にも、私立との併願に切りかえるパターンが見られます。学校に足を運んでもらう形の学校説明会ができなくなった分、私立各校はオンライン説明会を充実させていきました。休校期間中に行った学びの工夫について発信する学校も多かった。私立に魅力を感じる保護者が増えたのではないでしょうか」

 また、増加理由として、入試の多様化も挙げた。算数や英語の1教科で合否が決まる入試をはじめ、プレゼンテーション入試など、教科以外で合否を決めるテストも増えてきた。点数で“門前払い”をする入試と違い、子どもの得意なことなど、良さを見て評価してくれるというところに「保護者が共感しはじめている」とも話す。


■共感しつつも淡々と

 私立のように高額な授業料のかからない公立中高一貫校も相変わらずの人気。また、チャンスが一度しかない都立一貫校の受験者をすくい上げるため、都立一貫校が行う適性検査型入試を導入する私立も増えた。併願がしやすくなったのも私立受験者数の増加につながった可能性があると見ている。

 これだけ受験者数が増えると、当然「不合格になる子」も増える。親が最も悩ましいのは、落ちた子にかける言葉だ。

 都内の中高一貫校に通う娘を持つ父親(49)は数年前にこんな経験をした。娘は中学受験大手の塾に通塾し、女子御三家を目指していたが、本人が目標としていた学校は全て不合格になった。模試での結果はいつも合格圏内にいた。第2志望の学校は試験が複数回あるため、子どもも親も、どれかでは受かるだろうと思っていた。だが想定外の結果が続き、家庭内は暗い雰囲気になった。

「同じ学校の試験が3回目、4回目となると、まるで敗者復活戦を延々とやっている感じでした」

 こんなとき親はどうしたらいいのか。『中学受験で超絶伸びる!受かる家庭の習慣』で知られる勇気づけ子育てコーチング協会代表理事のたなかみなこさんは、子どもが気持ちの落ち込みを表しても、親はそれに同調しないほうがいいと言う。親のほうが落ち込めば、子どもは親に悪いことをしたという思いまで追加されて、ネガティブな気持ちが増幅してしまうという。

「親は子どもの気持ちに共感しつつも、淡々とすることが大事です。親がグチグチと言わなければ、落ちたことを失敗として捉えずにすみ、子どもは引きずりにくくなります」


 声かけとともに、戦略も大事だと、前出の父親は言う。

「絶対に、全落ちした時のことは考えておいたほうがいいです」

 御三家狙いだったこの家庭では、万が一に備えて、偏差値的には10は下がる学校も受けていた。そこに合格したことで親子ともに救われたし、次に向かって頑張ろうという気持ちになれたという。

■受験の失敗は親が作る

 インターネット出願が主流となった昨今は、受験日の前日夜まで出願を受け付ける学校も多い。東京都品川区在住で、大学付属の中高一貫校に通う中学2年生の娘を持つ母親(45)は、入学した学校は「恥ずかしながら、願書を出すまで名前も知らなかった」と話す。

 中学入試前半戦、合格をもらえずにいたこの家庭は結果を塾に報告すると、一つは合格をもらってから本命の入試に挑むことを勧められた。絶対に合格できそうな偏差値帯の学校にパソコンから出願したのは試験前日の夜10時過ぎだった。結局、駆け込み出願をした学校に入学を決めた。

「合格した時“良かったね”と伝えました。学校での成績も上位をキープできているので、結果的にこれでよかったと思っています」

 このように、予定外の学校に出願し、入学することもありうる。もちろん全部不合格になって地元中学に通うこともある。どんな結果になっても、親子でその結果を前向きに消化し、次に向かって歩けるかが大事だ。

 前出のたなかさんによれば、中学受験で大切なのは、“失敗した”という気持ちを子どもに植え付けないことだと言う。

「中学受験の失敗は、親が作ると思っています。結果がどうであっても、あなたのチャレンジは素晴らしかったし、あなたが私の宝物であることは変わらないということを伝えてあげてください」

(フリーランス記者・宮本さおり)

※AERA 2021年2月1日号より抜粋

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卓球・石川佳純、転機はコロナ禍だった? 「5年ぶりの優勝」陰には涙ぐましい努力が

2021年1月29日 19:00 AERA

 若手の台頭に苦しんできた卓球の石川佳純が、全日本選手権で優勝した。気弱になっていたこともあるというが、自分を見つめ、自分を信じて結果を掴んだ。AERA 2021年2月1日号に掲載された記事を紹介する。

【トライアウトからの再契約に険しい壁 不合格でも「あってよかった」元選手が語る理由】

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 石川佳純(27)はあのとき、自信に満ちていた。リオデジャネイロ五輪を7カ月後に控えた2016年1月のことだ。

「自分が成長し続ければ、追い抜かれることはない」

 当時22歳。全日本選手権4度目の優勝を、3連覇で飾ったばかりだった。エースの座は揺るぎない、はずだった。

 リオ五輪後、卓球界の勢力図は一気に変わる。台に近い「前陣」から離れず、ボールの上がりばなを次々にたたく「高速卓球」が得意な若手が台頭。ラリーで一時代を築いてきた石川は、以前のように勝てなくなった。

■同世代がいない心細さ

 立ちはだかったのは、石川より8学年下の00年生まれの選手たちだ。17年4月のアジア選手権で日本勢21年ぶりの金メダルに輝いた平野美宇(20)、伊藤美誠(20)、早田ひな(20)らがすさまじい勢いで力をつけた。

 全日本での成績に、もがく石川の姿が透ける。17年の決勝では2─4で平野に完敗。18年は準決勝で伊藤、19年は6回戦で早田に敗れ、昨年の決勝も1─4で早田に一蹴された。


 石川の弱音を聞いたことがある。19年12月、中国・鄭州だった。苦しみ抜いた末に東京五輪代表を確実にした翌日、苦笑を浮かべていた。

「同世代や年上の選手が(日本のトップレベルに)いないのは、少し心細い。うまくいかない時、同年代の選手がいないと『あ、もう(年齢的に)ダメなのかな』と思いやすくなる部分は、正直あるのかなって」

 18年秋には4学年上の福原愛さん(32)が引退した。石川は周囲から「ベテラン」と呼ばれるようになり、自分の伸びしろに疑問を持つようになった。

「『若い選手の方が中国選手に勝てる』みたいな疑いの目を向けられていることは知っています。もちろん(直接)言われたことも。プレースタイルがダメなのかなとか思うこともあった」

 転機は、コロナ禍だった。卓球では毎月のように国際大会が続き、絶え間なく戦うのが常だった。コロナの影響で試合がなくなり、競技人生初という練習ばかりの日々に。自分自身と向き合うきっかけができた。

■ベテランたちへエール

「まだできるよ」「可能性を信じよう」

 コーチやトレーナー、家族からかけられた言葉が、悲観的になっていた石川を温かく包んだ。

「『できるんだ』というマインドに変わったというか。自分を信じないとダメだよなって」

 今年1月の全日本決勝。強い心がよみがえった。世界ランク9位の石川に対し、相手の伊藤は3位。スピードに圧倒され、第4ゲームを終えてゲームカウント1─3と追い込まれた。

 だが、「『もっと思い切りやりなよ』って言い聞かせた」。粘り強くコースを突き、巻き返す。最終第7ゲームは9─5から4連続で失点。得意のフォアハンドでチャンスボールを2度ミスしたが、心は折れない。「まだ、ここから」。最後は、あえてそのフォアを思い切り振り抜き、けりをつけた。


 日本卓球協会の宮崎義仁強化本部長は石川の戦いぶりに、こううなった。

「相手に打たせながら、コースを突き、打つ時はフルスイングで一発で打ち抜く。卓球を知り尽くしている。裏には、本当に涙ぐましい努力があるはず。敬意を表したい」

 石川が言う。

「いろんな人が私を信じてくれた。だから、昔は気になっていた部分も、今は気にならない」

 若手の突き上げにあい、思い悩む世の「ベテラン」たちへ、こんなエールも送った。

「同じ思いをしている人に勇気を届けたい。まだやれる、やりたいと思っています」

 集大成の東京五輪は、半年後に迫っている。27歳。石川の全盛期は、ここから始まる。(朝日新聞スポーツ部・吉永岳央)

※AERA 2021年2月1日号

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自宅療養への備えはこれで万全! 岡田晴恵教授ら監修のチェックリスト付き「完全ガイド」

2021年1月29日 19:00 AERA

 医療体制の逼迫で入院先の調整が難航し、自宅療養を迫られる人が急増している。自宅療養に必要な備えとは。今すぐ準備してほしい。AERA 2021年2月1日号から。

【マスク生活で子どもの虫歯が増えている!? ポイントは「唾液」の量】

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 これまで経験したことがないスピードで新型コロナウイルスが感染拡大している。コロナに感染し、PCR検査で陽性と判明した場合、高齢者や呼吸器疾患等の基礎疾患があるなど重症化リスクのある人は「入院」の対象となり、軽症、無症状などと診断された人は「自宅療養」「ホテル療養」のどちらかだ。

 だが、感染者の急増で医療現場はギリギリ。本来はただちに入院することが望ましい人も、入院先が確保できず自宅療養を余儀なくされるケースが増えている。全国の自宅療養者は、1月13日時点で3万人を超えた。


 経験したことのない病気と闘う療養生活で、気をつけるべきポイントは何か。

『新型コロナ自宅療養完全マニュアル』(監修・小林弘幸、鳥居明/発行・実業之日本社)の著書がある、白鴎大学の岡田晴恵教授(感染免疫学)は「備え」の大切さを強調する。

「市中感染も広がり、いつ何どき、誰が感染してもおかしくない状況です。しかし、病床が逼迫して入院できずに自宅やホテルで療養するしかないのであれば、一人一人が気をつけるしかありません。そのために必要なのが『備え』です」

 岡田教授と、感染症に詳しい内科医でナビタスクリニック理事長の久住英二医師に対策を聞いていこう。まず、岡田教授は言う。

「必ず必要なのが食料です。食欲がなくても食べられ必要なカロリーが摂取できるレトルトのスープやおかゆ、ゼリー状栄養補助食品などもあったらいいでしょう。また、普段使用している総合風邪薬や、1日1人最低2リットルを推定した水、ティッシュペーパーやトイレットペーパーなども大切です。自宅療養の期間は、発症から10日が経過して、かつ症状軽快から72時間の経過が必要となります。2週間分ほど備えてください」


 久住医師は、血中の酸素飽和度を測る「パルスオキシメーター」をすすめる。こちらは一部で品薄になっているので、50代以上の中高年や基礎疾患がある人など重症化リスクが高い場合以外は、供給が安定するまで個人での購入を控えてほしい。

「新型コロナによっておこる間質性肺炎は、自分で感じる息苦しさと実際の酸素飽和度が一致しないことがよくあります。パルスオキシメーターを使えば、自身の心肺状態をある程度正確に、そして簡単に把握できます」

 酸素飽和度は一般に96%以上が正常とされ、自分で把握できると安心だ。東京都が貸し出しを始めるなど自宅療養者に貸与される地域もあるので、自治体ホームページなどで確認したい。

 ほかに備蓄をすすめるのが、経口補水液と解熱剤だ。

「発熱時は思うように食事がとれず、脱水が起こりやすくなります。経口補水液は常蓄しておくといいでしょう。また、症状がつらいときは風邪薬や解熱剤を使って問題ありません」

 市販されている風邪薬の多くはコロナに用いても問題ないというが、様々な成分が混じる総合風邪薬に不安を抱く人もいる。そんな人にすすめるのが、解熱剤「タイレノール」だ。

「一時、イブプロフェンという解熱成分をコロナに使ってはいけないという報道がありました。医学的な根拠はありませんが、心配な人は『タイレノール』という解熱剤を用意しておきましょう。薬局で買える市販薬ですが、アセトアミノフェンという成分だけでつくられていて、規定量ならコロナに対しても安全に使用できます」

■家族への感染防ぐには

 家族と同居している場合、心配なのが家庭内での感染拡大だ。東京都の場合、判明した感染経路のうち同居者からの家庭内感染が半数近くにもなる。

 都内でデザイン会社を経営する男性(58)は、1月上旬に発熱し、PCR検査で陽性と判明。自宅で療養する間に、同い年の妻に感染させてしまった。


 男性はその後入院することができ、今は熱もほとんど無いが、自宅療養を続ける妻のことが気がかりだ。電話取材に、冗談交じりにこう話す。

「カミさんは『つらくなったら夜中でも言うんだよ』と心配してくれていたけど、自分も感染したとわかった途端、怒りはじめました(笑)」

 普段から感染には十分注意を払い家でもアルコール消毒をするなど感染防止は心がけてきた。自分がどこで感染し、なぜ家庭内感染が起きたのかわからない。男性は言う。

「そもそも、熱が出たら気をつけることができるでしょうけど、飯を食うのも寝室も一緒で、トイレは共有。熱が出る前から気をつけるのは難しい」

 家庭内感染を防ぐにはどうすればいいのか。岡田教授は、「換気、手洗い、消毒」の徹底を呼び掛ける。

「家族と同居している時は、他の家族に看病してもらうことになります。その際、看病は1人で行いましょう」(岡田教授)

 例えば、4人家族で子どもが感染した時、看病者は1人に限定し、重症化リスクの高い妊婦や高齢者、基礎疾患のある人は避けることが大切だという。

「看病者は接触感染を防ぐため、ビニール製の手袋をはめ、レインコートを前と後ろ逆にして背中でボタンをとめるようにして全身を覆います。そして感染者は基本的に個室で過ごしてもらい、他の家族との接触はできる限り控える。お風呂やトイレなどを共用する場合は消毒と換気を十分に行い、お風呂は感染者が最後に入るようにしましょう。感染者が触れたものは必ず消毒してください」(同)


 岡田教授は、家族に陽性者が判明していなくても「家庭内にウイルスを持ち込まない習慣を徹底することが重要」と説く。高齢者や基礎疾患を抱えた人、受験生がいる家では、屋内でも家族全員がマスクを装着して過ごすのが理想だという。

「コートは室内に持ち込まず玄関に置き、帰宅したらすぐ手洗いと洗顔をしてください。できれば入浴して。特に手洗いはせっけんを泡立てしっかり洗い、ペーパータオルで水をよく拭き取りアルコール消毒をするとなお効果的です」(同)

 ただ、久住医師は言う。

「家族に感染者が出ると、隔離部屋を作っても家庭内感染を防ぐのは簡単ではありません。状況が許すなら、ホテルで療養したほうが感染を広げるリスクが小さくなります」

(編集部・野村昌二、川口穣)

※AERA 2021年2月1日号より抜粋

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cat_1_issue_oa-aera oa-aera_0_likktlhitexk_病床数世界一なのに医療体制すぐ逼迫 原因は「分散」と「高齢化」にあった likktlhitexk likktlhitexk 病床数世界一なのに医療体制すぐ逼迫 原因は「分散」と「高齢化」にあった oa-aera 0

病床数世界一なのに医療体制すぐ逼迫 原因は「分散」と「高齢化」にあった

 感染が収まらず、病床はいよいよギリギリだ。日本は人口あたりの病床数が世界一でも、 医療資源が分散している。さらに感染した高齢者の行き場がない。国や自治体のリーダーシップが求められている。AERA 2021年1月25日号から。

*  *  *
 新型コロナウイルスの国内感染者数が累計30万人を超えた1月13日、日本医師会の中川俊男会長は険しい表情でこう訴えた。

「すでに医療崩壊の状態になってきている。このまま感染者の増加が続くと医療崩壊から医療壊滅になってしまう恐れがある」

 11日時点の病床使用率は東京で8割、神奈川では9割を超える。東京では感染しても入院先や療養先が決まらずに調整中の患者が前週の3千人から倍増、6千人を超えた。多くは同居家族へ感染させる不安や重症化の恐怖に怯えながら、自宅や高齢者施設などで療養している。

■病院多く医師は少ない

 経済協力開発機構(OECD)の2018年のデータによると、人口千人当たりの病床数は日本が13.1と突出して多く、OECD加盟国平均(4.7)の2.8倍だ。病床数は多いのに、どうして逼迫してしまうのか。

「病院数が多すぎて医療者が分散してしまっているために、医療体制の逼迫が起きてしまう」

 そう指摘するのは『医療崩壊の真実』の共著者で、グローバルヘルスコンサルティング・ジャパン(GHC)の渡辺幸子社長だ。

 厚生労働省の医療施設調査によると、19年10月1日時点の医療施設は18万1621施設。うち「病院」は8300ある。一方、日本の人口千人あたりの医師数は2.5で、OECDの平均(3.5)と比べて少ない。日本では少ない数の医師たちが多くの病院に分散しているのだ。

 コロナ患者の受け入れは、当初は感染症指定医療機関が対応していたが、間に合わず、さまざまな病院に広がっている。渡辺さんらが第1波のときの全国の急性期病院のデータを分析したところ、コロナ患者を受け入れた341病院のうち、重症を診る集中治療専門医、救命救急専門医がいる病院が57%で、4割超の病院が集中治療の専門医体制が必ずしも十分ではない中で受け入れていたことがわかった。専門医がいても体制は十分とはいえない病院も少なくない。例えば都内には集中治療専門医がいる病院は41あるが、そのうち37%が1人しかいない。

「専門医や医療従事者が各病院に分散しているため、各病院が確保できるコロナ病床が限られてしまう」(渡辺さん)

 その結果、東京の病床数は約13万あるが、新型コロナ用の「確保病床数」は現在4千と3%だ。

 国は民間病院でのコロナ患者の受け入れを強く訴えるが、GHCの調べではコロナ対応医療資源の確保が可能と考えられる一般病床200床以上は民間病院の7%(469施設)、400床以上は1.5%(98施設)。

「小規模で医療資源が不十分な病院でコロナ患者を受け入れることは危険を伴う」(同)

 医療資源の分散は、医療の質の低下ももたらす。

「手薄な中で医療を提供すると質の問題もあるし、さらに病院数が多いことで病院あたりの症例数も少なくなり、医師の熟練度も養われにくい。近くに病院があることに絶対の安心感を抱いている人は多いですが、病院数の多さと医療の質はバーターの関係です」(同)

 病床逼迫の背景に「病床が空かないという問題がある」と指摘するのは、フリーランス麻酔科医の筒井冨美さん(54)だ。

「第3波では患者層が高齢化し、治療期間がこれまでより長引いていることに加え、肺炎そのものが治った後でも長期の入院で筋力が衰え、リハビリや介護が必要な状態になり、退院が難しいことも少なくない。家族も引き取らず、クラスター感染を恐れて高齢者施設や転院候補の病院も受け入れを拒む。行き場がないからベッドが空かない」

【医療逼迫で「命の選択」絵空事ではない 医療の恩恵奪い合う「いす取りゲーム」はすぐそこに】

■家族が引き取り拒否

 地方なら家の広さにゆとりがあることが多く、家族が引き取ることもそれほど難しくない。深刻なのは都市部だ。マンション暮らしでは親を引き取るスペースもなく、子どもの受験などを理由に拒否するケースもある。ソーシャルワーカーが家族を説得しようとしても相手にされず、医師自らが家族に電話をかけるなど、医療現場をさらに疲弊させているという。

「出口がないから病床はあっという間に埋まってしまう。1カ月だけでも家族で面倒をみてくれて再度陰性が確認されれば、介護施設が受け入れ可能な場合もあるのに。回復後のリハビリを指定外の医療機関で受け入れる仕組みも必要。現在の病床逼迫の半分は、高齢者問題でもあると感じています」(筒井さん)

 厚労省は昨年12月、回復した患者を受け入れた医療機関に、患者1人あたりそれまでの3倍にあたる1日7500円を加算すると発表。介護施設や介護サービス事業者には、退院基準を満たした要介護高齢者を適切に受け入れるよう要請した。医療壊滅の回避のためにも、一部の医療現場にかかる負担を、他の医療機関や介護施設、そして私たちも引き受けることが必要だ。

 医師専用のコミュニティーサイト「メドピア」CEOの石見陽さんはこう指摘する。

「日本の病院は民間が8割を占め、国や自治体がリーダーシップを発揮しにくい状況があります。日本は国民皆保険制度で税金も支出されていますし、せめて非常時には医療全体をある程度強制力をもってコントロールする準備も必要だと思います」

(編集部・深澤友紀)

※AERA 2021年1月25日号抜粋

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【沖昌之】じゃれ合う猫と見守る猫 僕も仲間に入りたいニャ~

2021年1月27日 19:00 AERA

 主に外猫を撮影し、猫の自然な姿をとらえた写真が人気の猫写真家・沖昌之さん。「今週の猫しゃあしゃあ」では、そんな沖さんが出会った猫たちを紹介します。今回は「無断でプロレスするなって、あなたも言ってくださいよ。」をお届けします。


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 この外にいる猫は、長崎にあるお寺がお世話をしていて、家の中にいる猫は、そのお寺の飼い猫です。お寺の住職さんが猫に優しいことを知っているらしく、外猫さんたちがここをすみかにしているんです。

 この2匹は仲良しの猫。朝ご飯をもらったあと、準備運動をはじめました。家の中にいる猫がシレーッと見ているのがツボです。守護霊みたいですよね。

沖昌之/猫写真家。主に外猫を撮影し、猫の自然な姿をとらえた写真が人気。写真集に『必死すぎるネコ』『明日はきっとうまくいく』など。インスタは@okirakuoki。新刊『必死すぎるネコ~前後不覚篇~』が発売中

※AERA 2021年1月25日号

【沖昌之】ロングヘアの彼女にデレデレの猫 ついに僕にも春が来ました!

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小島慶子「“くたばれ正論”で人は殺されてきた きれいごとや正論を嗤わないで」

2021年1月27日 19:00 AERA

 タレントでエッセイストの小島慶子さんが「AERA」で連載する「幸複のススメ!」をお届けします。多くの原稿を抱え、夫と息子たちが住むオーストラリアと、仕事のある日本とを往復する小島さん。日々の暮らしの中から生まれる思いを綴ります。

*  *  *
 成人の日の新聞に「くたばれ、正論」と謳(うた)う広告が掲載されて批判を浴びた翌日。『昭和史』で知られる作家の半藤一利さんの訃報が伝えられました。半藤さんには何度かお話を伺う機会に恵まれ、編集者を交えてご夫妻とお食事をご一緒したことも。温かい笑顔とお声が懐かしく思い出されます。日本がかつて来た道を再びたどることがないようにと真剣に語られるまなざしが忘れられません。


 半藤さんは80歳まで、個人的な戦争体験を公に語りませんでした。若い世代にとっては、戦争を経験した人の話はともすると「逆境を生き抜いた美談」になってしまう。結果として、戦争を常に「生き延びる側」の視点で想像し、感動的なストーリーとして消費することにもなりかねません。時間が経つにつれそうした美化され矮小(わいしょう)化された戦争のイメージが強まることを半藤さんは危惧していたのではないかと思います。

 そんな半藤さんが80歳を機に子どもたちに向けて自らの体験をつづり、戦争がいかに人間を壊すかを一人称で伝えた本が『15歳の東京大空襲』です。ぜひ今、大人にも手にとってほしいです。

 半藤さんは、戦争を知らない世代にできる平和活動は、日常の中にある戦争の芽を注意深く取り除くことだと繰り返し語りました。私もそれを胸に刻んで息子たちに伝えています。暴力や差別や不公正など、小さな芽は身の回りにもあります。人権擁護や弱者救済なんてきれいごとと嗤(わら)う冷笑主義もそうでしょう。差別や暴力を肯定する「本音」は誰の中にも芽生えるもの。それを放置するとどうなるかを、アメリカの議会襲撃で今世界が目の当たりにしています。

 くたばれ正論、で実際に人が殺されてきました。“きれいごと”や“正論”がなければ誰も安全に暮らせない。その本質をこそ、若い世代と一緒にしっかり守りたいです。

小島慶子(こじま・けいこ)/エッセイスト。1972年生まれ。東京大学大学院情報学環客員研究員。近著に『幸せな結婚』(新潮社)。『仕事と子育てが大変すぎてリアルに泣いているママたちへ!』(日経BP社)が発売中

※AERA 2021年1月25日号

【小島慶子「生理は個別の健康問題であり社会の課題 リアルに語れる場を増やしていきたい」】

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人前で出していい弱さと出しちゃいけない弱さを知ってほしい しいたけ.さんがアドバイス

2021年1月27日 19:00 AERA/写真・gettyimages

 AERAの連載「午後3時のしいたけ.相談室」では、話題の占い師であり作家のしいたけ.さんが読者からの相談に回答。しいたけ.さんの独特な語り口でアドバイスをお届けします。

*  *  *
Q:私は、すごく弱い人間です。ですが、弱さを包み隠さず伝えていたら、腫れ物扱いされるようにもなってしまいました。それはそれで、相手に気を使わせているようで、少しつらいです。自分の弱さは、どこまで人に見せてもいいのでしょうか。(女性/ソフトウェア開発/23歳/しし座)

A:これは余談ですが、昔、占いで個人鑑定をしていた時は、事務所を借りて1対1で相談にのっていたんです。驚いたのは、事務所に置いていた観葉植物がどれも1カ月以内に枯れ果てたこと。科学的に証明できないですけど、1対1の密室でその人の内面を出す現場ってそういうすごい威力があります。整体師の友人に聞いても、やっぱり植物が枯れていくらしいんですよね。もちろん誰にも罪はないのですが、「自分にたまったものを出す」ことの威力は、僕の経験として強力なものがあるんですね。

 さて、本題に入ります。弱さを見せるにしても、自分のいいところを知ってもらうにしても、「自分のことを知ってもらうこと」にはルールがあるような気がします。そのルールとは、まず相手に興味を持つことだと僕は思っています。これはあいさつみたいなもの。「おはよう」のあいさつなしに、いきなり「私はラーメンなら味噌ラーメンが好きです」って言われたら、相手は面食らっちゃうから。あいさつと同じくらい、嘘でも相手に興味を持つということは、基本的なことなんです。

 本当に関心を持っているわけじゃなくても、一呼吸入れるみたいに“あなたに関心を持ってますよ”ということを伝える。そうするとわかり合えるというか、相手も表情が見えた気になるんです。

 10代、20代の時のしし座は、バリアーを張りがちというか、空港のゲートみたいにいろいろ貼り紙が貼ってあったりします。自分と付き合う人間に対して、私はこういう人間です、難しいと感じる人はちょっと入ってこないでいいかも、みたいな。礼儀は一つのテクニックです。自分は相手に興味を持っているぞ、と自分でまず確認して、それから相手に話しかけるようにしてみてください。

 そしてもう一つ、弱さには人前で出してもいい弱さと社会生活で出しちゃいけない弱さがある気がします。忘れ物しちゃって走って戻る姿とか、そういうどこか抜けているところはかわいいと思ってもらえることもあるけど、例えば僕なんか、人前で見せられない弱さもあって、ものすごく面倒くさがりで、約束を5分前にドタキャンしたくなることもあります。でもそれは出す人を選ばなきゃいけない弱さ。自分と同じ弱さの匂いを出している人を探す修業は大事になります。「あ、この人も人見知りしそう」とか。

 出せる弱さと出さないほうがいい弱さを知ることができたのなら、それは素敵なことだと思います。

しいたけ./占い師、作家。早稲田大学大学院政治学研究科修了。哲学を研究しながら、占いを学問として勉強。「VOGUE GIRL」での連載「WEEKLY! しいたけ占い」でも人気

※AERA 2021年1月25日号

【あなたは何タイプ? 自分の持ち味を生かす方法をしいたけ.さんに聞いた!】

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医学生が“就活禁止令”で悲鳴 希望の進路を阻む移動制限と自宅待機の壁

2021年1月27日 19:00 AERA

 コロナ禍で医学生にとって大切な病院の見学がままならない。県外から戻ると自宅待機など制限される場合も多く、就活の大きな壁になっている。AERA 2021年1月25日号から。

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「これでは県外での就職はできない。人生が変わってしまう」

 長崎大学医学部6年の武田亮さん(仮名)は青ざめた。昨年7月、メールで送られた大学からの文書にこうあったからだ。

<当面の間、長崎県内外のいずれにおいても病院見学やマッチング訪問を禁止する>

 6月中旬から、大学は医学生に対して、事実上、就職活動を許可しない旨の通知を出していた。臨床実習に行く病院で、感染を広げないためだという。

 医学生は臨床実習の傍ら、就職を希望する病院に見学に行く。一般的には5年生ごろから見学を始め、6年生の8月に5、6病院を受験。就職が決まれば、翌春から研修医になる。

■就職先決められない

 病院見学では1~2日、カンファレンスや診察に立ち会い、研修医として働く先輩と直接話すことができる。職場の実際の雰囲気を知る貴重な機会だ。参加時期は自由とはいえ、受け入れてもらえるのは平日。大学の授業や臨床実習を休むか、長期休暇を利用して行くことになる。

「6年の春休みに行こうと思っていたら、コロナで病院側が見学を中止していた。選考の直前にある夏休みが、最後のチャンスだったんです」(武田さん)

 医師免許を取っても、就職先が決まらなければ働けない。学生たちが大学に掛け合ったからか、選考が迫った7月下旬、通達の文言が変わり、事実上、県外に出ることが許された。

「試験まで2週間ほどでしたが、急いで病院にアポを取って、滑り込みで見学し、受験ができました。でも、希望する病院の選考に間に合わなかった同級生もいます」(同)

 全日本医学生自治会連合(医学連)書記長で信州大学医学部5年の伊東元親さん(24)は、コロナ禍の就活事情をこう話す。

「大学からの通知で、就職を希望する病院に見学や受験に行けない、または行きづらくて悩んでいるという医学生の声が、医学連に寄せられています」

 もともと採用条件に「事前の病院見学」を定めている病院が多く、見学は医学生のアピールの場でもある。コロナ禍でオンライン説明会を開いた病院もあり、見学は必須条件ではなくなってきたようにも見える。

「でも、人気が高い病院に見学に行くのが有利と考える学生が多い。研修は医師としての礎を築く大切な時間なのに、就活もままならない現状は医学生にとって死活問題です」(伊東さん)


■学生に不利な状況続く

 就活禁止令とまでいかなくても、多くの大学で規制がある。

「調べた範囲では、都道府県外から戻った場合、数日から2週間の自宅待機を課しているところが多く、それは今も続いています。県外で就職したい医学生にとって、不利な状況が続いています」(同)

 感染抑止のための移動制限が学生に与える影響を大学側も認めている。秋田大学広報課はAERAの取材にこう回答した。

「本学の医学生が例年、研修先を決めたタイミングは、5年次の夏から6年次の春と答えた者が多くを占めていることから、現状のコロナ禍を考慮しますと、現5年次医学生への影響は大きいものと思っております」

 医学生の不安は尽きない。都内の私大医学部の4年生は言う。

「どんな病院を選んでいいかわからないから、人気のある病院や先輩が行っている病院を選ぶことになるかもしれない」

 医学生だけでなく、研修医にも影響は出ている。多くの医学生は卒業後2年の初期研修の後、後期研修へ進む。その際も就活するが、沖縄県の友愛医療センターで研修医2年目の野中厚志さん(27)は、今年度、後期研修先を探すのをあきらめた。

「埼玉出身なので、昨年8月頃に後期研修先を探すため、関東の病院に見学に行くつもりでした。でも第2波で警戒のステージが上がった。万一、感染を広げてしまったらと考えると行きづらく、結局、断念しました」

■求められる医療変わる

 野中さんは葛藤した。

「後期研修は少なくとも3、4年ある。一か八かで就職先を決めて自分に合わなかった場合を考えると、いろいろな病院を見たかった。でも、県外への移動後に課せられることになる自宅待機の期間を最小限にしようと思うと、難しかったんです」

 野中さんはいまの病院でも学べることはあると考え、このまま1年間働くことにした。来年度、就職活動を再開する予定だ。


 医療ガバナンス研究所の上昌広理事長はこう話す。

「成長が期待できる大切な時期に、大学や病院がその芽を摘むような対応をしていないか、教育や研修を受けられる環境か、きちんと考えるべきです」

 もし、希望の病院に進めなかったとしても、「悲観する必要はない」と上理事長は言う。医師はある意味「職人」であり、研鑽(けんさん)を積む場の選び方は、「大学受験と違い、人気病院や有名病院が正解とは限らない」からだ。今後、求められる医療は変わるという。

「かつて花形だったがん手術より、高齢社会のニーズやコロナ禍のような不測の事態に対応することが求められる。それには総合的な教養が必要です。幅広く活躍できる地方で働くことが経験になるはずです」(上理事長)

(ライター・井上有紀子)

※AERA 2021年1月25日号より抜粋

【就職氷河期、リーマン、コロナ…「本当に運が悪い」ロスジェネ世代が直面している厳しい現実】

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韓国情報機関“KCIA”が仕掛けるハニートラップ 小泉元首相の女性関係探ったことも

2021年1月27日 19:00 AERA

 KCIAトップによる朴正熙・韓国大統領暗殺事件を描いた映画が公開された。情報工作などは実際にあったことで、工作機関としての姿は今も引き継がれているという。AERA 2021年2月1日号では、KCIAについて取り上げた。

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 1979年に韓国で起きた朴正熙(パクチョンヒ)大統領暗殺事件を扱った映画「KCIA 南山の部長たち」(ウ・ミンホ監督)が22日、日本で封切られた。南山とは、かつて韓国中央情報部(KCIA)の本部が置かれた場所。韓国の人々は当時、情報工作と政治弾圧によって朴政権を支えるKCIAを南山と呼んで恐れた。映画では、イ・ビョンホンが演じるKCIAのトップ(南山の部長)が、権力の走狗となりはてた我が身を呪い、最後に大統領を射殺するまでの心の葛藤を描いていく。

 ウ監督は「世界のどこにでもある、権力を取り巻く人々を巡る対立や葛藤に興味を持ってほしい。KCIAは権力の召使となり、我が身を滅ぼした」と語る。映画は暗殺事件を素材にしたフィクションだが、劇中で出てくるKCIAによる盗聴や尾行、拉致、拷問などは、実際に起きた事実でもある。

 劇中では、KCIAの部長と大統領が日本語で会話する場面が出てくる。ウ監督は「朴正熙らが日本の教育を受けたのは史実だ。日本語も当然使うだろうと考えた」と語る。


■日本を舞台に活動も

 そして、実際、KCIAとその後身である国家安全企画部、国家情報院は、現在に至るまで、日本を舞台に情報・工作活動を続け、あるいは韓国で暮らす日本人に対する防諜(ぼうちょう)工作を繰り広げてきた。

 東京の韓国大使館にはKCIA要員が送り込まれてきた。要員は情報班と工作班に分かれる。情報班は、情報収集が目的で日本政府や財界、メディアに至るまで幅広く接触を図る。逆に工作班は、秘密の活動が主だから公に姿を現すことはない。日本の情報畑の人々のなかには、情報班をホワイト、工作班をブラックと呼ぶ人もいる。

 情報収集も多岐にわたる。韓国大統領府にはかつて毎朝、「政治」「軍事」から「文化・芸能」に至るまで計7項目の情報ファイルが届けられていたという。筆者も日本の首相官邸詰めだった時期、国情院の情報班要員から、小泉純一郎首相(当時)が過去に付き合っていた女性の情報について質問を受けたことがある。


 女性スキャンダルの場合、韓国人が対象のときは単なる情報収集ではなく、ハニートラップを積極的に仕掛ける工作を行うことがある。国情院関係者から昔聞いた話では、時の政権に不利な国会質問を繰り返す野党議員に女性を近づけた。情事の動かぬ証拠を議員に突きつけ、政権攻撃をやめさせたという。

 ただ、日本を含む外国人を対象にするときは、摩擦を極力避けるためなのか、とりあえず、情報収集だけにとどめるという。関係者は「政治的な取引が必要になったときに使うために取っておく」と語る。(朝日新聞編集委員・牧野愛博)

※AERA 2021年2月1日号より抜粋

【慰安婦訴訟の判決に動揺したのは韓国外交省だった】

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中学受験直前、親が子にかけるべき「天使のささやき」とは? コロナ禍でより重要になる“送り出し”

2021年1月27日 19:00 AERA

 中学受験の本番、子どもが実力を発揮するために親はどんな声をかけたらいいのか。AERA 2021年2月1日号で、専門家に聞いた。

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 中学受験の会場。例年ならば校門前にずらりと並ぶ各塾の講師たちだが、今年はコロナ禍の影響でその姿は見られない。静かに待ち構える門に吸い込まれるように入る子どもたちにエールを送るのは、親たちだ。

「いつもなら、校門前に立っている見慣れた講師の激励で、緊張がほどける子が多いのですが、今年はその役目も全て親が背負うことになりそうです」

 と話すのは、『中学受験で超絶伸びる!受かる家庭の習慣』で知られる勇気づけ子育てコーチング協会代表理事のたなかみなこさんだ。

■今年は親が送り出し

 緊急事態宣言を受け、各塾は、1月入試の会場での応援を取りやめたところが多く、2月の入試でもこの応援見合わせが続くだろうと予測する。

「塾によっては、出発直前にLINEで個別に声かけをしたり、ビデオ通話で激励するところもあるようですが、やはり、門をくぐる直前に声をかけてもらうのとでは、緊張のほぐれ具合が違います。例年以上に、親御さんたちには笑顔で送り出すようにと伝えています」(たなかさん)


 門の前で「しっかりやりなさいよ!」と活を入れる保護者を見かけることもあるというが、子どもはかえってプレッシャーを感じてしまい、萎縮するという。今年はコロナ禍の不安もあるので、例年以上に親からの声かけが、子どものメンタル面を左右することになると話す。

 たなかさんは「まずは、親が落ち着くことが先決です」という。焦らせるような言葉かけは禁物だ。

「親の焦りが言葉や表情に出てしまうと、子どもも焦ってしまいます。まずは、親御さん自身が“うちの子は大丈夫だ”と気丈になってください」

 こうした親からの言葉かけをたなかさんは「天使のささやき」と呼ぶ。安心できる言葉が一つでも脳に残っていると、緊張で頭が真っ白になったときにもふっとその言葉が脳裏に現れ、平常心を取り戻しやすくなるというのだ。

「最後に聞いた言葉が天使のささやきになるように、送り出してください」


 また、受験直前の時期は、親は意見を言うよりも、子どもの話を聞く側に徹してほしいとアドバイスする。

「子どもほど、親のことを愛してくれている存在はなく、親はそれだけ愛されている存在です。大好きな親からかけられる言葉ほど、力強いものはありませんから、“大丈夫だよ”と安心させてあげてください」

(フリーランス記者・宮本さおり)

※AERA 2021年2月1日号より抜粋

【コロナ禍の中学受験、親が感染防止との両立に苦慮 一方で受験校「減らさない」姿勢も】

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