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医療逼迫で「命の選択」絵空事ではない 医療の恩恵奪い合う「いす取りゲーム」はすぐそこに

2020年12月11日 19:00 AERA

 全国各地で新型コロナの感染者が急増し、対応病床の使用率が急上昇している。切り捨てられる患者も出てくるのではないか。患者にそんな不安が広がる。AERA 2020年12月14日号から。

*  *  *
 医療の逼迫は、患者側の不安もかきたてる。

 日本難病・疾病団体協議会は11月、菅義偉首相らあてに緊急要望書を出した。医療体制の維持を強く求め、辻邦夫常務理事(61)は「通常の診療に影響が出ると命をつなげられなくなる危険がある」と訴える。

 また、全国がん患者団体連合会(全がん連)も同様に菅首相らに要望書を提出した。

 加盟組織の一般社団法人CSRプロジェクト(東京都)は10月、診断から5年以内のがん患者310人を対象にウェブ調査を行った。それによると、治療を受けている患者の4人に1人が、抗がん剤の治療や手術が延期になるなど治療の内容に変更があったという。


 医療の逼迫の先には何が待っているのか。まず起きるのは、医療の恩恵を争ういす取りゲームだ。全がん連の要望書にはこんな切実な文言が盛り込まれている。

「やむを得ず限られた医療資源の選択をせざるを得ない場合に恣意的な判断が行われることがないよう、必要な施策を実施してください」

 15年前に乳がんと診断され、当事者でもある桜井なおみ理事(53)はこう説明する。

「このまま感染者が増えて、『命の選択』をせざるを得ない状況を懸念しています。議論がないままに患者が切り捨てられるような状況は避けていただきたい」

■「最後の砦」提言の重み

 大阪府の吉村洋文知事は11月19日の会見で救急病床の運用について、患者の重症度に基づいて治療の優先度を決定し、選別を行う「トリアージ」という言葉で説明した。医療機関の役割分担について説明したようだが、治療の優先順位を決める言葉に世間はざわついた。


 国内での医療資源の考え方について、立命館大学の美馬達哉教授(医療社会学)は「入り口で優先順位をつけるのはあり得ると思いますが、病院の中に入って治療を始めているのをやめるというのは、日本ではあり得ない」と指摘する。

 だが、日本集中治療医学会(理事長=西田修・藤田医科大学教授)は11月、専門誌に「新型コロナウイルス感染症流行に際しての医療資源配分の観点からの治療の差し控え・中止についての提言」を公表した。

 コロナ禍の中、医療資源の配分という考え方から、治療の差し控えや中止がどのように適切に行われるべきかについての提言だ。西田理事長はこう説明する。

「集中治療に従事するスタッフは、重症患者を救命し社会復帰させることを理念に診療を行っている。本来ならこのような提言は出したくないし、不要となることを願っているが、今回、満を持して提言した。命を守る最後の砦となる、いわば本丸の日本集中治療医学会がこの提言を出したことの重みをわかっていただきたい」


 その上で、西田理事長はこの提言に基づいて“命の選択”が行われることは、決して絵空事ではないと考える。特に、集中治療室は冬場、年間で最も患者の多い時期を迎える。

「第3波は時期的に最悪です。日本ではコロナでも集中治療の成績は非常に良いのですが、ハコ(ICUなどの設備)、ヒト(人材)、モノ(人工呼吸器など)の三つのうち、ハコとヒトはとても手薄になっており、患者が増えれば今の好成績は担保されない。集中治療のキャパシティーを超えてしまえば、コロナ以外の患者さんも含めて助かる命も助からなくなる。局地的に私たちの提言を使わざるを得ない状況に追い込まれる可能性があります」(西田理事長)

「この3週間が極めて重要な時期だ」

 菅首相が記者団にこう強調したのは11月26日。どこまでの危機感を持っていたのかは知らないが、すでに折り返し地点に来ている。(編集部・小田健司)

※AERA 2020年12月14日号より抜粋

【月収10万円減で住まい失い自己破産 急増する「任意売却」と21年住宅市場最悪のシナリオ】

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韓国の「反安倍集会」でアイマスクしてフリーハグ 桑原功一の目指す世界<現代の肖像>

2020年12月9日 19:00 AERA

 アジアの街なかで見知らぬ人々とハグする「フリーハグ」の動画が、共感と批判の両面から「バズり」を生んだ。「いざというときにダメな自分」に葛藤し、3千キロを自転車で走ってもゴールで感じたのは虚無感。そんなとき、中国・西安で反日デモに出合った。暴動を見せまいと赤ちゃんの目をふさぐ母親の姿があった。自分の見ている世界を見てほしい。そんな思いで始めた活動はちょうど10年になる。

*  *  *
 ソウル・光化門(クァン・ファ・ムン)広場、2019年8月。中央官庁やオフィス街の真ん中にある、東京でいう日比谷公園のような空間には、空を飛び交うカササギも驚く、耳をつんざく言葉が響きわたっていた。500人を超す市民が、ハングルで「ノー安倍」と書かれたプラカードを掲げ、芝生広場で糾弾集会を開いていた。元徴用工への賠償を求め、韓国政府のGSOMIA(軍事情報包括保護協定)破棄決定を支持していた。

 広場の真横で、黒いアイマスクをして両手を広げて立つ一人の日本人青年がいた。桑原功一(36)。白いTシャツには「FREE HUGS FOR PEACE」の文字。彼の横に置かれた看板には、こんな文言が記されていた。

「日本にも日韓友好を願う多くの市民がいます。韓国にも同様の多くの方々がいると思っています。私は皆さんを信じます。皆さんも私を信じて下さいますか。Give me a HUG」

 最初はいぶかしげに眺めていた市民の中から、彼とハグ(抱擁)する人が現れた。そして、その数はみるみる増えていく。ある者は強く抱きしめる。ある者はポンポンと背中を叩くように。水の入ったペットボトルを差し入れる子ども。「あなたは勇者だ」と耳元で声を掛ける人。抱き合ったまま、涙を流し始める高齢の男性もいた。この光景は韓国放送公社(KBS)テレビの夜9時のニュースで詳報され、動画は韓国内外に拡散し、大きな反響を巻き起こした。


 フリーハグは、見知らぬ人々と「ただハグする」活動だ。抱擁することで、苦しみや悲しみを和らげ、楽しさや幸せを分け与えると考えられている。米国で2001年頃に始まり、ネットの普及で世界中に運動が広まった。

 視覚を遮断するため、誰が来るかわからない。その孤独や恐怖たるや。でも、と桑原は言う。「目隠ししていると、注目される。メッセージを理解してくれれば、一歩踏み出してくれる人はきっといる。そう信じ続けているんです」

■ちょっと学生みたい


 この日、桑原がネットで発信するための動画を撮影していたのは、韓国人男性会社員の趙時煕(チョ・シ・ヒ)(46)。趙はソウル市内の大学1年生だった1993年の夏休み、旅行で初来日し、先進国としての気品に満ちた雰囲気に魅了された。翌年、早稲田大に入学。その後、24年間、日本に住み、日本人の妻と出会い2人の子どもに恵まれた。子どもたちに韓国語を学んでもらおうと、東京韓国学校へ進学させようとした時、校長から言われた一言に趙は衝撃を受けたという。

「子どもの安全のためにも、学校の外では韓国語をあまり喋らせないでください」

 そんな折、桑原が過去に韓国内で実施したフリーハグの動画を見て、いの一番に趙は連絡を取った。日韓が手を取り合うために、手助けできることはないか。2017年、新宿の喫茶店で桑原と初めて会った時の記憶を趙は振り返る。

「最初は正直、不思議でした。桑原さんの生き方は、ちょっと学生みたい。立派な理念を持っているけれども、異次元の人のように感じたのです」

 趙はソウルに転勤になり、一家は韓国へ。「反安倍集会」の真横で桑原がフリーハグを計画していると知り、自らカメラマン役を買って出た。
「桑原さんは『もし殴りかかる人がいても放っておいて下さい。ただ、刃物が出てきたら、その時は助けて』と笑って私に言い、目隠しをしました。不安や恐怖感は、大変なものだったと思います」


 日が暮れ、趙は何とも言えない達成感を覚えた。桑原と二人で記念写真を撮っていると、集会を終えた参加者たちに遭遇し、彼らから嬉しそうに声を掛けられた。近くの焼肉屋で二人で食事をしていると、KBSニュースが流れた。趙は「この人ですよ!」と店内じゅうに自慢した。趙の撮影した動画の再生数は、215万回にのぼった。 

(文/加賀直樹)

【岩田健太郎「世界を知らない」という自覚が感染症のプロを生んだ<現代の肖像>】

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「桜」夕食会問題で安倍氏秘書ら起訴なぜ今? 検察と官邸の「脱安倍」で利害一致か

2020年12月9日 19:00 AERA

 東京地検は「桜を見る会」夕食会費をめぐり、安倍前首相の秘書らを立件する方向だ。なぜ、このタイミングなのか。検察と官邸の利害が一致したからとの見方が出ている。 AERA 2020年12月14日号で掲載された記事を紹介。

*  *  *
 こんなに分かりやすいトカゲの尻尾切りがあるだろうか。安倍晋三前首相の後援会が、「桜を見る会」の前日に開催した夕食会の費用を補填(ほてん)していた問題だ。東京地検特捜部は、安倍氏の公設第1秘書であり、政治団体「安倍晋三後援会」の代表の男性と会計担当者の2人を立件する方向で検討に入った。容疑はこの前夜祭の開催に関し、開催費用の一部を安倍事務所が補填している事実を知りながら、収支報告書に計上しなかった政治資金規正法違反(不記載)である。捜査関係者はこう証言する。

「容疑の対象は、2016~19年の4年分の補填費用、およそ900万円だけでなく、そもそも参加者から徴収した会費そのものも含むと思われます。そうなれば不記載の合計は3千万円超となる。決定打となったのは、ホテル側が安倍前首相の資金管理団体『晋和会』宛てに発行していた領収書でした。そこには補填額を含む参加費用の全額が記してありました。今後の動きとしては年内にも2人を略式起訴し、正式裁判は開かずに罰金刑となる見込みです」

■安倍氏に聴取を要請


 特捜部は安倍前首相本人に対し、任意の事情聴取を要請したとされ、安倍前首相も「全面的に捜査に協力する」としている。安倍前首相の関係者によると「収支報告書への不記載に関して、会計管理は全て事務所に任せており、安倍氏本人は事務所が補填している事実は知らなかった」と主張する模様だ。およそ1年にわたって国会を混乱させてきた「桜を見る会」の前夜祭をめぐる疑惑は、「悪かったのは秘書であり、私は何も知らない」という永田町のあしき伝統の論理で、このまま幕引きとなってしまうのだろうか。


 興味深いのは、この「安倍前首相の事情聴取」の初報が、またしても読売新聞、そして、NHKによって報道されたという点だ。前首相の政治進退にも関わる情報のリーク元は「検察上層部」か「官邸」しかない。別の検察関係者は官邸と検察は「安倍からの脱却」で利害が一致しているとして、こう推測する。

「安倍政権の法の番人とまで言われた黒川弘務氏の失脚後、特捜部の動きは活発化しました。国民の信用を早く取り戻したい検察にとって『安倍からの脱却』が必須だからです。ただ、当然ですが菅政権の顔色もうかがわなければならない。そうするとこの不起訴のシナリオは、国民に対しては検察の執念をにおわせつつ、現政権へのダメージは極力抑える──という点で完璧です。しかも、臨時国会閉幕という絶妙なタイミング。検察のこうした動きに平仄(ひょうそく)を合わせて、官邸が読売、NHKにリークした可能性が高いと思います」

【「桜を見る会」前夜祭費用の検察捜査スクープは官邸が読売にリークか 安倍失職までの道筋は?】

 しかし、本当にこれで終わらせてよいのだろうか。安倍前首相は国会で1年以上の長きにわたり嘘の答弁をし続けていたのだ。つまり、国家を預かる首相本人が、自分自身に降りかかった疑惑に関し、国会という場で公然と虚偽の答弁をしていたのだ。安倍前首相の周辺からは「コロナで大変な時にまだ桜か」と前首相を擁護する声もあった。

■古い因習続けていいか


 だが、ある自民党関係者は、安倍前首相は会見を開き、自らの言葉で国民に説明する必要があると語る。

「良き秘書とは“親父(おやじ)”の窮地には率先して自らの首を差し出す、と言われますが、それは旧態然とした古い因習です。ただ、一国を預かる総理大臣の言葉は重い。安倍前首相は国会で『すべての発言に責任が伴う』と言っていたのだから、それを全うしてほしい」

 安倍前首相は何らかの形で説明をするべきだ。国民への説明を避け続けるならば、「特捜部の捜査から逃げるために途中で政権を放り出したのでは」と国民からうがった見方をされても仕方がないだろう。(編集部・中原一歩)

※AERA 2020年12月14日号

【桜を見る会「疑惑の前夜祭」と同じ会場で出陣式開いた菅氏 安倍政権の「負の遺産」放置の姿勢鮮明に】

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秋篠宮さま、結婚を認めた理由と「恋愛観」 親子に共通する意志を貫く強さとは

2020年12月9日 19:00 AERA

 眞子さまの結婚について「認める」と述べた秋篠宮さま。その背景には秋篠宮さまご自身や皇室の恋愛観があったのではないかと、識者らは指摘する。AERA 2020年12月14日号から。

*  *  *
「結婚を認めるということです」

 今年11月20日に行われた誕生日会見で、秋篠宮さま(55)は、眞子さまの結婚について記者らの質問にそう答えた。

 これに先立つ9月には紀子さま(54)が誕生日文書で「長女の気持ちをできる限り尊重したい」と述べた。11月13日には眞子さま(29)と小室圭さん(29)のお気持ち文書が公開、「結婚は、自分たちの心を大切に守りながら生きていくために必要な選択」としていた。

 そして秋篠宮さまの今回の発言。この3ステップを踏んで、秋篠宮家としての眞子さまの結婚についての考えは、国民に向けて発信された。


 2017年に眞子さまと小室さんの婚約内定が報じられてから3年、3段階の手順を踏んだことからもわかるように、ここまでくるには紆余曲折があった。大きな要因は、17年末に報じられた、小室さんの母親と元婚約者を巡る約400万円の金銭トラブルだ。

■自由恋愛の末の結婚


 秋篠宮さまは18年の会見で、「結婚したい気持ちがあるのであれば、それ相応の対応をすべき」「多くの人が納得し、喜んでくれる状況にならなければ、婚約にあたる納采の儀を行うことはできません」と述べた。

 歴史学者で静岡福祉大学名誉教授の小田部雄次さんは、秋篠宮さまが言及していたこの課題について、「現在まで一切解消されなかった」と指摘する。小室さんは19年に「解決済みの事柄と理解」としたきり。今年11月末になって、元婚約者が「小室家に返金は一切求めない」と語ったと週刊誌が報じた。


「説明を求めているのになぜ誠実に答えなかったのか。なぜ、元婚約者の側が折れなければならなかったのか。道義的な理不尽を国民は見ています。秋篠宮さまの不信感もむしろ深まっているのでは」(小田部さん)

 それでも結婚を認めたのはなぜか。小田部さんはこう考える。

「秋篠宮さま自身や皇室の恋愛観があるからではないか」

 秋篠宮さまは、学習院大学で出会い交際していた紀子さまと結婚した。60年以上にわたり皇室を取材してきたジャーナリストの渡邉みどりさんも、小田部さんと同様の見解だ。

「秋篠宮さまは意志を貫いて紀子さまと結婚された。上皇さまと美智子さまも、天皇陛下と雅子さまも、自由恋愛の末ご結婚されました。ですから、眞子さまの意志をないがしろにするわけにはいかなかったのでしょう」


 渡邉さんは、秋篠宮さまと眞子さまの共通点を指摘した。

「秋篠宮さまも眞子さまも、ご自身で相手を見つけられました。そして、自分の意志を貫く強さ、あの『つっぱり』も似ていらっしゃると思いますよ」

 そもそも、結婚の自由は憲法で保障されている。秋篠宮さまは冒頭の会見で、結婚を認める理由として、「婚姻は両性の合意のみにもとづく」とした憲法24条を3回も引用した。

 関西大学教授で憲法学者の高作正博さんは、政府見解や過去の判例でも、基本的に「天皇、皇族も人権の主体」とされており、それを基準にすべきと話す。

「当然、皇族にも結婚の自由はあると考えられます。秋篠宮さまがご自身の立場と見解を、日本国憲法24条を引用して説明されたことは、好ましいことだと思います」

(編集部・小長光哲郎)

※AERA 2020年12月14日号より抜粋

【佳子さま バッシングに反論、プライバシーも線引き 次男家の次女が前例を超えていく】

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アーティスト福山雅治を創り出した「育ての親と生みの親」 コロナ禍に30周年迎え思うこと

2020年12月9日 19:00 AERA

 シンガー・ソングライターで俳優の福山雅治さんがAERAに登場。今年でデビュー30周年を迎えた福山さんに、デビューから現在までの思いを聞いた。AERA 2020年12月7日号に掲載された記事を紹介する。

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 今年、デビュー30周年を迎えた。上京したのが18歳のとき。宅配ピザや材木店、カフェバーなどのアルバイトで生活しながら、21歳で歌手デビューを果たす。だが、しばらくは売れない時期が続いた。

「理想と現実の間であがいている自分に対して、それでも応援してくれるファンの方たちがいて、その存在が心の底からありがたかった。福山雅治というエンターテインメントの生みの親が事務所だとすれば、ファンは育ての親ですね」


 一方で、歌手、俳優として一躍有名になってからも葛藤はあった。人気が過熱するほど、周囲からの期待やプレッシャーはいやが上にも高まる。

「その人気に乗じて『こういうのが聴きたいんでしょ?』みたいな、ある種の媚びや傲慢さが1ミリでも楽曲に出たら、ファンは離れていくだろうと感じました。僕にとってファンは、新しいことに挑戦する時間という“猶予”を与えてくれる存在。格好つけて言わせてもらえれば、予想は裏切るけど期待は裏切らない。同時に『僕はこれがいいと思うんだけど、どうだろう?』と問いかけながら歩んできました」

 6年8カ月ぶりとなるニューアルバム「AKIRA」では、17歳のときに他界した父との別離を振り返り、自身の死生観を多彩な楽曲で表現した。不穏な空気が社会を覆う今だからこそ、身近な死と向き合うことで生を問い直し、表現者として新たな一歩を踏み出したいという覚悟を込めたという。

「コロナと対峙して、共存していこうとしているのが現在。生活様式が変わって、エンターテインメントの世界も苦境に立たされていますが、新しい発想や発明もこれからは生まれてくると思います。僕も今、SNSを通じて様々な施策を試しています。表現者とリスナーの新しいコミュニケーション方法を生み出せれば」

(ライター・澤田憲)

※AERA 2020年12月14日号

【小栗旬・星野源と原作者・塩田武士が語る 『罪の声』映画化という「覚悟のいるチャレンジ」】

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女性ファンが渋めの文芸誌爆買い? 加藤シゲアキ「オルタネート」発売4日目で「小説新潮」重版

2020年12月9日 19:00 AERA/写真・gettyimages

 加藤シゲアキによる最新小説『オルタネート』は、高校を舞台にした群像劇だ。部活に没頭し、恋をすることを知った高校生たちの特有の心理をみずみずしくも重厚感のある筆致で描く。今なぜ、高校生たちの姿を描こうと考えたのか? AERA 2020年12月7日号に掲載された記事で、その思いを語る。

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■登場人物と共に生きる


 登場人物たちは、目の前にある世界で懸命に生きる。発する言葉の一つひとつが心に残る。

加藤シゲアキ(以下、加藤):書き始めた頃は結末も考えていなくて、「オルタネート」(高校生専用のアプリ)に対して異なるアプローチをする3人のキャラクターを考え、それぞれの世界に飛び出してもらいました。現実の世界でも、不意に訪れる予測不可能な出会いや出来事が人生を豊かにし、成長させてくれるので、最初からあまり決め込まずにいました。物語のなかで夏が訪れれば「夏がきたけれどどうする?」と登場人物たちに問いかける。僕自身、その期間を彼らと一緒に生きていました。

 いまの若い人たちは、スマホなどで日々文字を打っているので、自分の考えを頭のなかで文章化できている人が多く、自然といい言葉を口にしていると感じることがあります。そこは昔から変化しているところなのかもしれません。

 高校の内部や登場人物が挑む料理コンテストなどの細やかな描写も光り、情景が目に浮かぶ。


加藤:さまざまな学校のホームページにアクセスし、学園マップなどを調べていきました。学校によっては内部の様子が動画で見られるようになっていて。結果的に、母校のような雰囲気にはなったのですが、それは自分に根ざしているものだからなのかもしれないですね。

「料理」や「音楽」など、自分が好きなものを物語のなかに採り入れていきましたが、興味のあるものでないと表面的になってしまうし、書くまでに時間がかかってしまう。“いまだに書いていないもので、深く書けるもの”として好きなものを物語のなかで描いていきました。

■終わらせられない小説


「オルタネート」というタイトルに加え、登場人物の名である「蓉(いるる)」という響きも印象に残る。

加藤:オルタネートという言葉との出合いは、思い出せないんです。なんでオルタネートにしたんだろう? (笑)。でも、タイトルは早い段階から考えていて「これがいい」と強く思いました。「蓉」という名前は、漢字1文字で読みは3文字くらいの響きがいいなと考え、人名辞典をあ行から順に見て、「蓉っていいな」と。どこか歴史を感じさせるけれど、響きは新しい感じもして。蓉と凪津、3人のキャラクターのうち2人を女性にしたのは、男性を描くと、僕自身になりすぎてしまうから。自分と距離があるという意味で、女性のほうが書きやすいんです。

 そうして生まれた小説「オルタネート」の第1回が掲載された「小説新潮」は発売4日目に重版が決定するなど話題を呼んだ。


加藤:歴史ある文芸誌で連載ができたことは僕自身も嬉しかったですが、僕以上にファンの方含め周囲の人びとが喜んでくれました。若い女性が小説新潮を片手に持っている姿を想像すると、ちょっとシュールですけれど(笑)。せっかく買ったのだから、掲載されているほかの作家さんの小説も読んでみた、なんて声も聞きました。

 ラストを決めずに書き始めたので、終わり方が難しく、書いているときが一番不安だったかもしれません。いつもはスパッと終わらせることができるのですが、今回は“終わらせられない小説”でした。なぜなら、高校生たちの人生がその後も続いていくことを知っているから。

 とはいえ、小説は書き終えることが何より大切なので、終わるまで書き続けるしかない。連載から単行本化するにあたり、ラストを書き直してみたところ、しっくりきたんです。最後のフレーズは(原稿の最終段階である)校了の前日まで直していました。そしてようやく「これだな」というところにたどり着けた。登場人物たちはみな、「オルタネート」の世界をよく生き抜いてくれたな、と思います。

(ライター・古谷ゆう子)

※AERA 2020年12月7日号より抜粋

【NEWS増田貴久「出会えた運命を感じてる」 にんじんを見て泣きそうになったことも】

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森本稀哲が“兄貴”のトライアウトに驚愕! 「新庄さんは相当鞭を打ってやってきた」

 今オフに戦力外通告を受けた選手や現役復帰を目指す選手らが参加するプロ野球12球団合同トライアウトが7日、神宮球場で行われ、投手33選手、野手24選手の計57名が参加した。

 この日は、2006年以来の現役復帰を目指す新庄剛志(48)も参加。4度バッターボックスに立ち、3打数1安打1四球だった。新庄のプレーはどうだったのか。プロ野球復帰の可能性は。新庄の日本ハム時代のチームメイトで、「弟分」でもあった森本稀哲(ひちょり)さん(39)に聞いた。

――注目の1打席目は、平岡敬人投手(前広島、25)と対戦。1ボール1ストライクから始まる変則ルールの初球を打ち、セカンドゴロだった。

森本:この打席でさっそく驚かされました。あれはピッチャーが外角に投げ切った、ものすごくいい球だったんです。1ストライクから始まるルールでじっくり見ることができないなかで、あのボールをしっかりとらえた。結果として凡打になりましたが、少しでも甘く入ってきていたらヒットゾーンに飛んだ可能性がとても高い凡打でした。野球選手は、実戦のなかでピッチャーが投げる「生きたボール」を見ながら微調整していきます。それができていない、久しぶりの実戦の初球であのボールをとらえたことに、新庄さんの凄さを感じました。


――2打席目は四球、3打席目はセカンドゴロ。最後の4打席目はランナーを1、2塁に置いたチャンスでの登場だった。新庄は日隈ジュリアス投手(前ヤクルト、23)の126キロのチェンジアップを完璧に捉え、レフト前へ「タイムリー」を放つ。

森本:さすが、持ってますね。ヒットを打ったのは、1ボール2ストライクと追い込まれてピッチャーが三振を取りに来た球です。それが浮いてきました。確かに甘いコースだったけれど、落ちるボールで相当タイミングも外されたはずです。2打席凡退していて何としても打ちたい場面で、あれだけタイミングを外されると普通ショートゴロかサードゴロです。それに難なく対応した。さすが新庄剛志という一打でした。

■「あぁなんか新庄さんらしいな」


――守りでは一塁、二塁、三塁、センターの守備に入った。守備機会はなかったが、シートノックやボール回しでは軽快なグラブ捌きと正確な送球を見せた。

森本:肩や守備は現役時代と同じくらいに仕上げてくるだろうとなんとなく思っていたし、それほど心配していませんでした。今回は実際の打球を捌く場面はなかったけれど、見てみたかったですね。新庄さんの一番の魅力は外野守備です。現役時代の守備は本当に強烈でした。センターの守備、見てみたかったなぁ。

――プレー以外でも、若手選手に守備の際のステップを指導したり、守備交代の際に投手に声をかけたりとのびのびとプレーしている様子が随所に見て取れた。

森本:新庄さんがユニフォームを着て楽しそうに野球をやっているところを見ると、「あぁなんか新庄さんらしいな」って、こっちが笑顔になりますよね。新庄さんは常々「野球は楽しむもの」と言っていました。プロの選手のなかには、野球は仕事だから楽しめないって人がたくさんいます。結果を残せなければクビになってしまうし。野球を楽しむこと自体が難しいんです。

 小学生のころ、日曜日になったら野球ができるとワクワクしていたあの感じを、プロになっても持っている。そこに新庄さんの強さが凝縮されています。楽しめるということは、練習のように体を動かせるということでもある。実は、楽しむことはプロ野球選手が乗り越えなければいけない究極の壁だと僕は思っています。

 昨日のトライアウトでも、現役時代と同じように楽しそうにプレーしていたのが印象的でした。

――トライアウトを受けて、ファンの期待は高まっている。果たして、プロ野球復帰の可能性はあるのか。

森本:戦力として十分やれると思う。現役選手も、キャンプから紅白戦、オープン戦と実戦を重ねる中で調整して、シーズンが開幕してもなお微調整を繰り返し、自分のキレを出していきます。新庄さんがその環境にいたらどうなるんだろうとものすごく楽しみです。見てみたいですね。

 なんとなく、このチームが手を挙げるんじゃないかと思っている球団がひとつあります。何か情報をつかんでいるわけではなく、半ば希望的観測ですが。ちなみに、古巣の日本ハムではありません。

【コロナ禍のプロ野球で「若き4番」が台頭 岡本、大山、村上、佐野…“生え抜き”が躍動する背景】

■「また野球に向き合ったことに意味がある」


――新庄はトライアウト後のインタビューで、「自分に勝てた気がする。この1年は。こんだけ野球の練習したことなかったから」と話した。「6日間でオファーが来なかったら野球は終わり」としつつ、やり遂げた1年だったと振り返っている。

森本:新庄さん自身が、プロ野球に入ることのレベルの高さをよく知っています。生半可な気持ちではダメだ、死ぬほどやらないと体は戻ってこないとわかっていて、相当鞭を打ってやってきたと思う。それは昨日のプレーに表れていました。

 プロ野球でまた野球人・新庄剛志を見たい気持ちは強くありますが、何よりも、この1年間新庄さんがまた野球に向き合ったということに意味があると思う。1年間少年のように野球を楽しんだことが伝わってきて、僕はそれが一番うれしかったですね。

(編集部・川口 穣)

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92歳の「歌心」に拍手を! バート・バカラックが若手と組んだオリジナル作

2020年12月9日 19:00 AERA

 今年も残すところ1カ月を切り、海外の主要音楽メディアでは、毎年恒例の年間ベスト・アルバムが発表されている。セールス状況や話題を鑑みながらその年を振り返って選出される作品の多くは、どうしても若手、中堅に集中してしまいがちだだ。それでも今年は、ボブ・ディランの「ラフ&ロウディ・ウェイズ」をベストの1枚に挙げるメディアが多い。

 この連載でも7月7日に公開した「ボブ・ディランのニュー・アルバム『ラフ&ロウディ・ウェイズ』は現代社会へのカウンターパンチ」で紹介した。今年79歳を迎えたノーベル文学賞受賞者でもあるこの大御所は、むしろ年齢を重ねれば重ねるほど、歌のすごみが増す稀有なミュージシャンの一人。その存在感が若い世代に届くのも当然と言える。

 だが、そんなディランよりまだ一回りも上の大ベテランが今年、アルバムをリリースしていることをご存じだろうか。現在92歳。「雨にぬれても」「ウォーク・オン・バイ」「小さな願い」など数々の名曲を世に送り出してきたアメリカの生ける伝説的コンポーザーのバート・バカラックだ。そのバカラックが40代のプロデューサー、ダニエル・タシアンと組んだアルバム「ブルー・アンブレラ」は、作曲家、アレンジャーとして今なお攻め続ける姿勢を見せつつ、エレガントに聴かせる素晴らしい1枚だ。


 1928年ミズーリー州生まれのバカラックが、音楽家としての才能を発揮し始めたのは50年代のこと。現代音楽を学んだり、ジャズの素養を生かしたりしながら、マレーネ・ディートリッヒのバック・バンドを務めたりした時代もあった。その後、ニューヨークに集中していた音楽出版社(楽譜などを扱う会社)界隈で商業作曲家として活動を開始。相棒であるハル・デヴィッドと組み、ディオンヌ・ワーウィックやカーペンターズに提供した曲を多数ヒットさせた。80年代以降も映画音楽や他のアーティストとのコラボレーションで安定した活動を展開。アカデミー賞やグラミー賞受賞も数知れず、90年代以降は若手アーティストからのリスペクトやトリビュートも増えている。

 そんなバカラックの最新作がダニエル・タシアンと組んだ「ブルー・アンブレラ」だ。ナッシュヴィルを拠点にするダニエルは、若手女性カントリー・アーティストのケイシー・マスグレイヴスが2018年にリリースしグラミー賞受賞したアルバム「ゴールデン・アワー」で注目を集めたプロデューサーだが、自身も艶のあるいい声の持ち主。今回の共演はその「ゴールデン・アワー」を聴いたバカラックからの誘いで実現したという。


 だが、アルバムは全曲バカラックの書き下ろし。バカラックの新曲ばかりが聴ける作品としては2005年の「At This Time」以来だが、そこから15年が経過しているとは思えないほどバカラックの曲は洗練されていてみずみずしい。

 何よりバカラックお得意のピアノが生かされた曲が多い。1曲目「ベルズ・オブ・セント・オーガスティン」からその切ないメロディーに寄り添うようなピアノの音色がバカラック節とも言えるセンチメントをかきたてる。バカラック往年のヒット曲に思い入れのあるファンには嬉しい1曲だろう。

 一方、「ウィスリング・イン・ザ・ダーク」はR&B調のゆるやかなリズムがコンテンポラリーなフュージョン・スタイルを喚起させる。バカラックは昔からストリングスやホーンを用いたアレンジにもたけているが、まさにその「ウィスリング」のエンディングは現代音楽的なシャープなストリングス。若い時代にジャズを聴きこんできた経験が、コード進行やちょっとしたアレンジに生かされているのも全盛時代と全く変わらない。

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 誰の心にも響くような美しくもメランコリックな旋律を基調としつつ、ポピュラー音楽の可能性をしっかり広げていくような挑戦も怠らない。これが92歳の仕事なのかと改めて舌を巻く。惜しむらくは、全曲とは言わないものの、自らの歌も少し聴かせてほしかったところ。92歳で作曲・編曲・一部のピアノ演奏……とここまで関わって作品を作っただけでもスタンディング・オベーションものだ。だが、彼のコンサートで時折聴かせる、その奥ゆかしいボーカルに心引かれてきたリスナーの一人としては、もちろんダニエルの素晴らしい歌声に申し分はないが、バカラックの声も聴きたいと思ってしまう。

 そういえば、バカラックをリスペクトする日本人ミュージシャンの一人、元ピチカート・ファイヴの小西康陽も「ライブでほんの少し歌うバカラックの歌がいいんだよね」と話していた。そして、まさにそんなバカラックの素朴な歌さながらに、小西は最近のライブで自らマイクを握っている。今年はそんな小西の歌ものライブアルバムもリリースされた。

 しかし、このアルバムにはそれでもバカラックの「歌心」がしっかりある。メロディーの中に、アレンジの中に、そしてもちろんダニエルの歌の中に、バカラックの「歌への思い」を感じることができるのである。
(文/岡村詩野)

※AERAオンライン限定記事

【三浦大知「愛を伝える歌がいま必要だと思った」 新曲はあの絶景から生まれた】

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ローン破綻で夢のタワマン失った もう他人事じゃない「収入減で住居喪失」の原因とは

2020年12月9日 19:00 AERA/写真・gettyimages

 新型コロナウイルスの影響により、企業の減収やボーナスカットが相次いでいる。厚生労働省の調査によると実質賃金は7カ月連続で減少した。収入減は住居費を直撃している。AERA 2020年12月14日号の特集「住居喪失」から。

*  *  *
「売るしかないのでしょうか?」

 今年9月、マンションの売買の相談に専門家のもとを訪れた40代の夫婦はそう嘆いた。

 夫婦は9年前、都心の6千万円の新築タワーマンションを、ほぼ満額分のペアローンを組んで購入した。

「最初の4年は問題なく返済できていました」

 月額返済は約17万円だったが、当初は夫婦合わせた世帯実収入が月60万円以上あり、返済してもゆとりがあった。

 だが、子どもの中学受験をきっかけに、バランスが崩れた。妻は一度退職し、専業主婦になって受験をサポートした。その後、派遣社員として仕事に復帰し、収入は回復していた。そこへコロナ禍が襲い、3月、雇い止めにあったのだ。想定外だった。

「まさかコロナでこんなことになるとは……」

 300万円ほどあった貯金は、中学受験で使い果たしていた。子どもは高校生になったが、学費まわりで月に8万円もかかる。会社員の夫一人の収入では、住宅ローンはとても払えない。9年前に購入したタワマンを売るしかない、と考えたのだ。

■減収が危機に直結する


 都心部の物件で買値よりも高値で売れる可能性があり、幸いにして6500万円で売れた。夫婦は持ち家は失ったものの、手元に数百万円の現金が残り、やや郊外の賃貸住宅に転居した。月々の家賃は12万円だ。

 ペアローンとは、夫婦や親子など複数の債務者がそれぞれローン契約を行い、お互いに連帯保証人になる方法だ。収入を合算して住宅ローンを組むので、1人で組むより借入額を増やせる、というメリットがある。

 だが、専門家からは、ペアローンのあまりに高いリスクを改めて注意喚起された。

「収入が減らないと想定したローンで、離職や雇用形態の変更など、ライフステージによる収入の変化は考慮されていない。組むべきでなかった」(専門家)

 減収が、住居喪失の危機に直結する──。そんな事態が起こりつつある。


 住宅金融支援機構のデータによると、自己資金なしでマンションを購入する割合は2014年度以降増加し、首都圏では全体の21%にものぼる。住宅ローン返済の余裕を測る「返済負担率」は30%を超えると余裕がなくなるとされるが、リーマン・ショック後の09年度には「返済負担率が30%を超える人」が全体に占める割合が全国で14.6%だったが、19年度は全体の13.1%、首都圏では17.5%だ。

 つまり、収入減をきっかけに住宅ローンが破綻する恐れのある人が、10人に1人以上存在するということだ。

 そしていま、新型コロナウイルスの影響により、収入減が相次いでいる。厚生労働省が11月25日に発表した毎月勤労統計調査によれば、9月の実質賃金は前年同月比1.1%減の26万9323円と、3月から7カ月連続で減少した。日本生命が10月に約2万5千人を対象に行ったインターネットによる調査では、約23%が給与が「減った」と答え、減少額は平均で約10万円にもなった。コロナ関連による解雇や雇い止めも、厚労省によれば、見込みも含め7万3千人に達した。

■外国人客減が大打撃に


 実際、住宅金融支援機構でのコロナに起因する返済期間延長やボーナス返済の見直しなどの承認件数は、3月から10月までの間に6531件にのぼった。収入の多寡にかかわらず、住宅ローンを支払えなくなるケースが続出しているのだ。

 都内在住の男性(45)も、コロナ禍での収入減がたたり、住居喪失の危機に直面している。

「仕事が見つからなくて、このままだとマンションを売って安いアパートにでも引っ越すことになりかねません」

 長年、外国人観光客向けのハイヤーの運転手をしていた。コロナ禍で訪日客が消え、仕事がなくなった。会社から別部署への異動を打診されたが、給与はそれまでの約35万円の半分になるといわれ、退職。月々の住宅ローンの支払いは約10万円で、10年ほど前に35年ローンで買った。

 今は、失業給付とパートで働く妻の給与で何とか払っているが、失業給付は年内で切れる。一刻も早く仕事に就きたいと思い、同じハイヤーの職を探すが、求人はゼロだという。

「懸命に働いてきたのに。まさかという思いです」(男性)

 収入減でも、家族の未来を守るために削りたくない費用もある。千葉県の会社員女性(42)の場合、それは保育園に通う子どもたちの習いごとだ。

 5年前に一戸建てを3500万円で購入した。35年ローンは会社員の夫(43)が組み、月10万円近く支払っているが、夫の会社の業績悪化で給与は月5万円減った。夫は「心配ない」と言うが、会社の業績が回復する保証はない。毎月の支払いには不安しかない。住宅ローンと教育費のために、女性は「本や服、身のまわりのものをネットで売ろうと思っている」という。(取材・文/住宅ジャーナリスト・榊淳司、編集部・野村昌二)

※AERA 2020年12月14日号より抜粋

【「まさか、家をなくすとは…」コロナで住宅ローン払えずに競売通告 年末にさらに増える見込みも】

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令和のビリー隊長「褒めて伸ばすキャラ」に? 15年ぶりに入隊した記者を襲った悲劇とは?

2020年12月7日 19:00 AERA

 世の中、再び出歩くのがはばかられる雰囲気に。なのにウーバーや出前館でごちそうの方が家にやってくるからデブまっしぐら。家で簡単に痩せられる方法、色々試してみました。 AERA 2020年12月7日号から。

*  *  *
 2019年の春、アエラで「トッピングダイエット」についての記事を書いた。脂肪燃焼スープや糖質制限など基本のダイエットにチョイ足しして、ブースター的働きに期待するダイエットだ。

 それぞれのダイエットのユーザーによる「○キロ痩せた!」という報告が本当なら、全部やると体重がマイナスになってしまわない?と無邪気に心配したほど、「膣トレ」やら、「食べ過ぎをおしえてくれるベルト」やら、あれこれ試した。

 そして今回再び、コロナ禍で様変わりした最新のトッピングダイエットを紹介する運びとなった。

 自分の場合、コロナ禍を経て今やトッピングどころかベースの糖質制限ダイエットも、残っているのはマインドだけ。低糖質ブランパンに、コンビニで売っているピーナツクリームをたっぷり塗って食べるというインチキぶりだ。その結果、7キロも太るという緊急事態を迎えている。

 雑誌やネットで、はやりのダイエットをチェックしてみたところ、何といってもコロナ禍の影響が色濃い。外出制限やリモートワークで体を動かす時間が減った上、食べることしか楽しみがないんだから、太るのは当然。なのに感染防止のためジムなどに行くことに抵抗を感じる人は多い。そのため、かねて人気だったYouTubeの動画やスマホアプリなどのオンラインフィットネスの人気が爆発している。

■ビリー隊長令和に復活

 例えば、4月の配信開始から2カ月で2万人の新規会員が殺到する人気ぶりとなったのがオンラインフィットネスプログラムを提供する「LEAN BODY」の「令和版 ビリーズブートキャンプ」だ。

 15年前に発売され一世を風靡した「ビリーズブートキャンプ」をリニューアル。

「脂肪燃焼というテーマは変わらないものの、平成版では1回1時間のものもあったレッスンの時間を30分に統一しました。体の部分にフォーカスしたレッスンを加えたほかリズムエクササイズの要素を導入。全体的に内容もライトになっていますね」(同社の広報を担当する阿蘇品彩さん)

 約400レッスンのフィットネスプログラムを提供する同社によれば、今や主流は「楽しみながら体を動かせるフィットネス」とか。かつて多くの落伍者を出した軍隊式のビリーズブートキャンプもマイルド化。続けられるフィットネスに生まれ変わったらしい。

 さっそく15年ぶりに入隊してみた。50代半ばで日本人女性と再婚したことでも知られるイケイケのスパルタインストラクター、ビリー隊長も今や65歳。だが筋肉モリモリの肉体といい、ビジュアルは当時とほとんど変わらない。

 一方、物腰はずっとマイルドに。厳しかったレッスン中のかけ声も、「その調子」「がんばれ、燃焼が始まるぞ」といった、褒めて伸ばす系にキャラ変していた。

 ただし、自分が当時から15歳、確実に年を取っているせいもあるんだろう。実際に入隊してみると、30分のレッスンが長くてキツいこと。その代わりネットには、「入隊して1カ月で4キロ痩せた」などのユーザーの報告も見える。

 ちなみに私の場合、はりきりすぎて、腰をギクッと……。三日坊主どころか、2日目で休隊中となっている。

■傘を開けば風呂サウナ

 ステイホームでは、10歩も歩けば行ける極楽として、家のお風呂も注目されている。「お風呂の湯圧や、温熱、浮力、心身弛緩効果で無理なく痩せる」という『かんたんお風呂トレダイエット』(ゆきんちょ監修)は、お風呂のなかでできる1日3分のエクササイズを紹介。浮力の助けで、腰を痛めたダイエッターにも、続けやすいエクササイズとなっている。

 お風呂関連では、一時は売り切れになるほどヒットしたのが「お風呂 de サウナ傘」だ。リラックスするお風呂時間をダイエットにも役立てる一石二鳥のグッズ。こちら、家電量販店で2470円(税込み)で購入した。

 使い方は簡単。お湯をはったバスタブに入って、自分の頭の上にかぶせるだけ。湯船の湯気が傘の中に充満して、サウナのような状態を作り出す。

 正直、ユニークなビジュアルに惹かれて買ってみたものだが、使ってみるとこれがなかなかの本格派。しばらくすると汗がじわじわ出てきて、顔だけサウナ状態に。

 傘をはずしてお風呂から出たあとの冷たい外気も気持ちよく、サウナの「ととのう」感じまで味わえてしまった。とはいえ、湯上がりのビールもサウナ上がり並みにおいしいので、かえって体重を増やさないように注意して。(ライター・福光恵)

※AERA 2020年12月7日号より抜粋

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