冷凍食品ばかり食べていると飽きる、栄養が偏る、というのは昔の話。おいしいのはもちろん、低糖質・低カロリーで栄養バランスが整ったダイエットに最適な冷凍弁当が続々と登場。計30食を実食した。AERA2020年9月28日号の記事を紹介する。
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「会うたびいつも、ダイエットしてませんか? 大変ですね~」
若い女性カメラマンに、そんなねぎらいの言葉をかけてもらったことがある。そうなの。大変なの。高校生のときから苦節数十年。成功しかけちゃあ戻りを繰り返し、ダイエットは今や自分のライフワークとなった。
そうして私の上を通り過ぎていった、数え切れないほどのダイエット方法たち。で、今回そのダイエット史に、こんな新アイテムが加わった。「ダイエット冷凍弁当」だ。
ステイホーム需要で一時品薄になった冷凍食品。なかでもダイエット冷凍弁当はダイエッターにも向くよう、カロリーや糖質、塩分などが計算されている。1食分の冷凍食品がお弁当として容器に詰められており、容器ごとチンすればすぐ食べられる。
「初めて冷凍弁当を食べたのは10年ほど前。当時に比べると、冷凍とは思えないほどおいしくなっていますね」
そう教えてくれたのは、これまで「800食」の冷凍弁当を試し、サイト「冷凍弁当.jp」を運営する3歳の子を持つママ、西山あいさん(33)だ。妊娠中、家事に追われる妻を見かねて、夫がレンジでチンするだけで食べられる冷凍弁当を頼んでくれたことをきっかけに、冷凍弁当のおいしさと便利さにハマるようになったという。
これまで世間では、「冷凍弁当=臨時食」というイメージを持つ人も少なくなかったが、コロナ以降、ステイホームで手軽に食べられる冷凍弁当を試す人が激増。西山さん同様、実際に食べてみて、そのおいしさと便利さにノックアウトされたリピーターも増えているらしい。
「しっかりカロリー計算された冷凍弁当を見ると、量の少なさに最初は衝撃を感じます。でも噛み応えある肉や根菜、しっかりした味付けなどがポイントになって、飽きない。そうして毎日食べるうち、満足感が増すようになる。食べる量が自然に減っていくんですよね」(西山さん)
さらに西山さんからは、こんな耳寄りの情報も。
「私の場合、ダイエット冷凍弁当を1日2食のペースで1カ月ほど食べて、食事だけで体重を3キロ落とすことができました」
高まる期待! 前置きが長くなったが、ダイエットに向く人気5サービスの冷凍弁当合計30食を、2人家族の食卓で約10日をかけて実食してみた。
結論から言うと、びっくりした。何って、その30食のおいしさだ。冷凍弁当で、それもダイエット向きといえば、ヘルシーで味の薄い病院食のようなものと思ったが、味付けも歯ごたえもしっかり。何なら普通のお弁当屋で買ってくるよりおいしい。
これまで食事制限系のダイエットでは、料理下手のハンデもあって、悲惨な食生活を忍ぶものの、我慢できずに挫折→あっという間にリバウンドというパターンがほとんどだった。でもこれなら楽勝。メニューの種類も多いので、数カ月続けるのも夢じゃない。
駅弁マニア用語で言うところの弁面(べんづら:お弁当のビジュアルのこと)も、思っていたのとぜんぜん違った。例えば、人気のnosh(ナッシュ)は、持続可能な紙製(パルプモールド)の容器入りで、代官山あたりで売っていそうな、オシャレなテイクアウトみたいなたたずまい。食べ終わったあと、そのまま燃えるごみに出せるのもいい。
糖質などを抑えたレシピはシェフと管理栄養士が開発し、サービスをスタートしたのが2018年。当初の売り上げは「月3千食程度」(同社広報・藤原愛さん)だったが、コロナ太り対策でダイエット人口増加の追い風もあって、今年7月は月50万食を売り上げた。
選べるメニューも、オシャレでバラエティー豊富だ。例えば、人気ナンバーワンの「チリハンバーグステーキ」。肉々しいハンバーグに、ニンジン、ポテト、ブロッコリーなどの付け合わせがたっぷり付く。ハンバーグソースなどの甘めの味付けも、糖質制限中の舌が小躍りして喜びそう。糖質17.6g(304kcal)と、だいたいおにぎり半分程度の糖質で1食が食べられる。管理栄養士の資格を持つ前出の西山さんも言う。
「臨床試験を通した徹底的な栄養管理を行い、糖質と塩分を抑えてたんぱく質が多くとれるように工夫されています。メインの料理は比較的大きく切ってあるので、弁当全体のボリューム感を演出している点も評価できますね」
例えばおにぎり半分なんかより、栄養バランスがずっと優秀。毎日食べても安心感が大きい。(ライター・福光恵)
※AERA 2020年9月28日号より抜粋
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