12月も半ばを過ぎて、すっかり寒くなってきましたね。鍋がおいしい季節の到来です。
筆者も鍋は好きなんですが、かなりの猫舌のために、大勢で鍋を囲む時には、他の人のペースについていけなかったり、自分の器で冷まして食べているのを見て「熱々がおいしいのに…」と言われたり、いろいろと気まずい思いをしてきました。でも、誰に何を言われても、鍋に入っている豆腐は、自分の器で「人肌」に冷ましてからでなければ食べられません。
ちなみに、ある大学の研究によると、猫舌というのは体質ではなくて、飲食をする時の舌使いの問題とのことです。
舌は先端にいくほど熱などの刺激に敏感で、奥にいくほど鈍感になるとのこと。猫舌の人は、熱いものが口の中に入ってきたときに、まず舌先で触りにいき、そうでない人は、うまく舌先を避けて、舌の奥の方で感じているんだとか。つまり、食べ方のトレーニングで猫舌は克服できるそうです。
筆者はやってみようとは思いませんが、猫舌に悩んでいる方は一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか?
話を本題に戻しますが、食べ物にも、おいしい温度ってあるんです。
一般的に人間は熱いものは65度前後をおいしく感じるとのことで、味噌汁やラーメン、うどん、カレーなども65~70度くらいが適温と言われています。
またお茶は楽しみ方によって適温が変わってくるそうです。玄米茶や紅茶などの香りと渋みを楽しむお茶は、100度近い熱々のお湯で入れるのがいいとのこと。煎茶は、渋みを抑えて旨みを引き出すために70度~80度が、より旨みを楽しむ玉露などは50度くらいのぬるめのお湯がいいんだそうです。
何を求めるかによって、適切な温度が変わってくるんですね。
逆に、冷たいのがおいしい飲み物は、5度前後が適温なんだそうです。ですから、ビールなども5度前後が適温なんだそうです。また同じビールでも香りを楽しむビールなどは8~12度くらいにすると、香りがたっておいしいそうです。
ワインについても、香りや深い味わいを楽しむ場合は10度~18度程度に、シャンパンなどのように爽やかさを楽しむものは5度前後に冷やした方がおいしいそうです。
そしてお寿司です。お寿司のシャリの温度は何度くらいがおいしいかご存じですか?
さすがに炊き立ての熱々という方はいないと思いますが、温かいのと冷たいのとではどちらがおいしいでしょうか?
昔は冷たいのがおいしいという方が多かったようですが、現在では「シャリは人肌」というのが一般的です。
お寿司を食べた時に感じるおいしさについては個人差はあると思いますが、筆者は、まず口に入れた時にそれぞれのネタの個性のある味と歯触り、舌触り、香りなどを楽しみ、喉に流し終えた直後に、シャリの甘みと酸味、旨みが醸し出す絶妙のハーモニーが、ふわっと口の中に広がるのがおいしいお寿司であると思います。
そして、それに最適なのが「人肌」の温度なんです。
くら寿司でももちろん「人肌」のシャリにこだわっています。それぞれのお店で厳密な温度管理をしながら、ちょうど人肌になったシャリを使っていきますので、お店では人肌かそれに近い状態のお寿司を召し上がっていただけます。
そしてこれから年末年始にかけて、お持ち帰りをご利用いただく機会が増えてきますが、くら寿司では、ご家庭でもできるだけ最もおいしい「人肌」に近い状態でお寿司を楽しんでいただけるよう、直前調理にこだわっています。
そしてお渡しした後は、一時間以内に召し上がっていただくことを推奨しています。ネタについても、人工保存料を一切使用していないこともありますので。
避けていただきたいのは、冷蔵庫で保管すること。冷蔵庫の庫内の温度は、JIS規格で0度から10度と決められていますので、冷蔵庫に入れた途端に、一気に「人肌」からかけ離れていってしまい、シャリ本来の旨みを感じることができなくなってしまいます。
皆で食事をする機会が増える年末年始。できるだけおいしく食事を楽しんでいただくために、温度にもこだわっていただければと思います。
くら寿司では、店員との接触をなくし、お店の機器にもほとんど触る必要がないお店を増やしていっていますので、お店でのお食事もぜひお楽しみください。
○岡本浩之(おかもと・ひろゆき)
1962年岡山県倉敷市生まれ。大阪大学文学部卒業後、電機メーカー、食品メーカーの広報部長などを経て、2018年12月から「くら寿司株式会社」広報担当、2019年11月から、執行役員 広報宣伝IR本部 本部長
※AERAオンライン限定記事
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