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45億円トレーダー・テスタさん「悪い人からお金でだまされないための6カ条」とは?

2021年4月21日 19:00 AERA

  4月13日発売の「AERA Money2021春号」に載っている、大好評連載「テスタの失敗論」よりポイントを抜粋してお届け。45億円トレーダーの生の声は必読。

*  *  *
 先日、僕はツイッターで「これさえ覚えておけば、だいたいの投資系詐欺は回避できるので必読」と題して、6つの箇条書きをつぶやきました。
 
 2005年に僕が投資をはじめたときからずっとそうですが、「投資」に関する日本人のイメージはよくありません。

 その理由の一つは、投資を利用した詐欺が多いからということもあると思います。「なんとかファンドに投資したが、だまされていた」といったニュースを耳にすると、「投資って怪しい」と感じるようになるのでしょう。

 そこで今回は、「悪い人からお金でだまされないための6カ条」についてお話ししたいと思います。

 
 6カ条その(1)、投資詐欺を回避する最初の心構えは「人にお金を預けない」こと。

 投資系詐欺で一番多いのは「こういう高利回りの金融商品や不動産があるから1口100万円で出資しませんか」といった誘い文句でお金を集めるものです。

 そもそも、他人にお金を預けたら勝手に増やしてくれるほど、投資の世界は甘くありません。そうした売り文句は詐欺の可能性が高い、という当たり前のことに気づいたほうがいいです。
 
 もちろん、まっとうな投資信託なんかも「お金を他人に預けて投資している」という点では同じですね。

 そこで6カ条その(2)は、「元本保証はありえない」。

 投資して元本を失いたくないという気持ちが強いので、詐欺商品も「元本保証」をうたうとお金の集まりがよくなるようです。しかし金融商品に関する法律では、販売業者に金融商品のリスク説明を義務づけています。つまり、元本保証という言葉が出た時点で「これはおかしいぞ」と思うようになってほしいです。

 6カ条その(3)は「無料メルマガから変な場所に誘導されないようにする」。

 ボランティアではない以上、「無料で情報提供」というのは、未来の有料サービスやアフィリエイト(成果報酬型広告)リンクへの「誘い水」だという認識を持ちましょう。無料メルマガのすべてが悪いとは言いませんが、一生、無料で情報提供するだけで、お金儲けへの導線はゼロの商売なんて、99%ありません。

 ちなみに僕のツイッターに来るメッセージは「投資を教えて」「お金貸して」「お金ください」の3つが主で、投資系の勧誘話はありません(笑)。

(構成/安住拓哉、編集部・中島晶子、伊藤忍)

※アエラ増刊『AERA Money 2021春号』より抜粋

【年収460万円会社員が47歳で「FIRE」を達成できたワケ 「ケチ投資」で1億円成して早期退職】

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日本の集団免疫の獲得は「来年3月以降」 「4波」「人手確保」ワクチン接種の課題に

2021年4月21日 19:00 AERA

 新型コロナ収束の切り札とされるワクチン。接種が緒に就いたばかりの日本では 人材不足も予想され、第4波でさらに死者数が膨らむ懸念もある。AERA 2021年4月26日号の記事を紹介。

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 新型コロナワクチンの高齢者向け接種が4月12日から始まった。日本のワクチン接種は緒に就いたばかりだが、欧米先進国では先行して接種が進む。みずほリサーチ&テクノロジーズが作成した人口100人当たりの週間の接種回数を見れば、その差は一目瞭然だ。

 服部直樹・上席主任エコノミストはこう解説する。

「ワクチン生産国の英米などを中心に、資金力のある欧米の主要先進国で接種ペースの速さが目立ちます」

 ダントツの接種率を誇るのがイスラエルだ。すでに国民の62%が少なくとも1回の接種を終えており、集団免疫獲得の目安とされる接種率7割が目前に迫る。ワクチンの普及が進んだことで、今では接種ペースが徐々に減速する段階に入っている。

■日本のペースは底ばい

 突出したペースで接種が進むのは米英だ。人口100人当たりの週間の接種回数はピーク時で6回前後。国民の接種率(1回接種を含む)は英国が47%、米国が36%に及ぶ。米英に次ぐペースで接種が進むフランス、イタリア、ドイツなどが3回前後なのに対し、日本は0.3回と「底ばい」の状況だ。

 米英と日本の違いは何といってもワクチンの供給量の差だ。加えて、明暗を分ける要素は接種体制だという。

 日本ではワクチンの注射を打てるのは医師と看護師に限られている。人口当たりの医師・看護師の数で日本は米英と比べて遜色ない水準だが、米英では薬剤師でも可能なほか、要員拡大に積極的に取り組んでいる。

 例えば米国。過去5年以内に免許を失効した医師や看護師にも投与を認めたり、一部の州では医学生や看護学生、歯科医、救急隊員にも投与を認めたりする法改正が行われた。英国では慈善団体がワクチン投与を行うボランティアに研修を実施している。応募資格に医療経験は不問で、高校卒業程度の学力などがあれば志願が可能という。

「日本でも歯科医なども投与を担えるように検討する動きや、離職した看護師に復職してもらったり、民間の看護師紹介企業が全国の自治体を対象に看護師を手配したりする動きも進んでいますが、それらが実現したとしても人材のすそ野は限られ、米英に比べて見劣り感が否めません」(服部さん)


 服部さんらの試算によると、政府が目標に掲げるペースで接種を行うのに必要な要員は、全国で1日当たり医師1.1万人、看護師2.8万人。3大都市圏など多くの人口を抱える都道府県では、医師500人超、看護師1千人超が必要になる。

 服部さんは言う。

「これはあくまで高齢者のワクチン接種を12週間で完了する政府目標が前提です。医療体制が逼迫するなか、都市部でワクチン接種を担う医師や看護師を継続的かつ大量に確保するのは困難と言わざるを得ません」

■人手確保が最大の課題

 ワクチンの供給不足は次第に解決される見込みだが、供給の安定が見込める今後は注射を打てる人材の確保が最大の課題になる、というわけだ。しかも第4波と重なれば、高齢者の接種の進捗は大幅に遅れる可能性も否定できない。

 国内自治体の準備状況などを踏まえた服部さんらの試算では、ワクチンの接種ペースは5月中旬に週間300万~400万回に達し、その後、このペースが維持されるという。これは現在のフランス、イタリア、ドイツと同等の水準だ。

 このペースを続けた場合、日本で65歳以上の高齢者が完了する時期は9~10月頃。集団免疫獲得の目安とされる全人口の7割が接種する時期は来年3~6月頃になる見通しだという。


 そうなると、ワクチンの普及が間に合わない中で、第4波を乗り越えなければならないのは確実だ。そんななか、7月に東京五輪・パラリンピックが開催されることになれば影響ははかりしれない。

 国内で新型コロナに感染して亡くなった人は、第3波の昨年11月以降で7400人を超え、死者全体の8割を占める。高齢者施設での集団感染が第2波までの5倍に増え、医療機関では3倍に増えた。第4波の死者数は第3波を上回るのでは、と服部さんは懸念を深める。

「感染率が高く、重症化しやすい英国型変異株が関西だけでなく、首都圏でも拡大しつつあることも死亡者が増える要因になり得ます」

 ただ、介護施設などでの高齢者の集団接種が進めば、施設内でのクラスターの発生は第3波よりも抑えられる可能性はある。

「それが唯一の希望です」(服部さん)

(編集部・渡辺豪)

※AERA 2021年4月26日号より抜粋

【ワクチン接種後は「献血NG」期間あり 専門家から「血液製剤の供給に影響する可能性も」の声】

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「第2の松山英樹」どう育てる? プロデビューまでに2千万「本人も投げ出せない状況に」

2021年4月21日 19:00 AERA

 プロゴルフの松山英樹が日本男子初の4大メジャー大会優勝者となった。わが子を「第2の松山」に育てるためにかかる費用はどれくらいなのか。AERA 2021年4月26日号に掲載された記事で、ジュニア専門スクールの担当者や、横峯さくらの父・良郎さんに話を聞いた。

*  *  *
 ゴルフ史に刻まれる栄光の瞬間に日本中が沸いた。男子ゴルフの松山英樹(29)が4月11日、米ジョージア州のオーガスタ・ナショナルGCで行われたマスターズ・トーナメントで優勝。10回目の挑戦で、悲願の“グリーンジャケット”を手にした。アジア勢の4大メジャー大会優勝は2009年全米プロ選手権のY・E・ヤン(49)=韓国=以来2人目で、マスターズでの達成は初の快挙だ。

「今回の松山選手の活躍ぶりを見て、『わが子にもゴルフをやらせたい』と考える親御さんが増えると思います」

 こう話すのは、全国約60のジュニア専門スクールを運営するレピニットの担当者だ。実際、19年に渋野日向子(22)が全英女子オープンを制した直後には体験入学者数が明らかに増えたという。だが、親として気になるのはコスト。同社の担当者は言う。

「やはり比較的裕福な家庭が多いですね。費用としてはレッスン料が月に1万円、月イチで開催される大会の参加料が1万円、道具代が5万~10万円。これらは最初からかかります」


■プロには1千万円以上

 その他、全国大会に出場する(5万円)、週末に家族とコースを回る(5万円)など、小中学生の時期でも年間数十万円以上かかるケースが多いという。

「地域や環境で大きく異なりますが、プロになるまでの費用はざっと1千万~2千万円といったところでしょう」(同社担当者)

 二人三脚で技を磨き、横峯さくら(35)をトッププロに育てた父・良郎さん(61)の試算もほぼ同じだ。

「年平均100万円として約1千万円は最低限かかり、加えて遠征費や道具代などが500万円くらいかな。でも、必ずしもスクールに入れることはないと思います。うちの娘たちも、素人の私が考えたメニューをずっと練習してきましたから」


 良郎さんは当時、「競技人口の少ない女子ゴルフならプロになれる」と狙いを定め、3人の娘に毎日5千円を手渡し、練習場に通わせた。

「うちは貧乏でしたから、娘たちからも『毎日5千円なんてもったいない』と言われたけど、『これは投資だから』と払い続けた。あえてお金をかけて、ゴルフを投げ出せない状況を作ったんです。結果的には十分すぎるリターンがありました」

■お金より親のサポート

 では、松山のような選手を育てるために最も必要なものは?

「お金も大事ですが、一番は親のサポートですね。地方移住も含め、どうやって練習環境を整えるか。そして、子どもの『うまくなりたい』という気持ちを持続させてあげること。松山君も石川遼君(29)も、トップ選手はとにかくゴルフが好きなんですよ。休みの日も練習場に行っちゃうくらいですからね(笑)。そういう向上心は、小さい頃にゴルフとどう向き合うかで決まってきます」

 マスターズ優勝後、公式会見に臨んだ松山はこう語った。

「(日本で)今テレビを見ている子どもたちが5年後、10年後にこの舞台に立って、その子たちとトップで争うことができたらすごく幸せ」

 今回の優勝賞金207万ドル(約2億2700万円)を合わせ、松山の生涯獲得賞金は約36億5千万円。“第2の松山”を育てるために必要なもの。それは相応のお金と揺るぎない「覚悟」だ。(編集部・藤井直樹)

※AERA 2021年4月26日号

【実は知らない「ほめ方・叱り方」の正解 子どもの自己肯定感を高める声かけとは?】

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姜尚中「福島第一原発の汚染水の海洋放出は、四つの論点から再考すべきだ」

2021年4月21日 19:00 AERA

 政治学者の姜尚中さんの「AERA」巻頭エッセイ「eyes」をお届けします。時事問題に、政治学的視点からアプローチします。

*  *  *
 政府は福島第一原発にたまる処理済みの汚染水を海洋放出する基本方針を決定しました。この汚染水には多核種除去設備(ALPS)でも取り除けない放射性物質のトリチウムが含まれていますが、それを希釈して海洋に放出しても「科学的には安全」というわけです。

 2022年の秋以降に汚染水のタンクが満杯になることは分かっていたのですから、関係機関や当事者を網羅するフォーラムのようなものを設置し、対策を熟議すべきでした。こうしたやり方を見ていると日本の公害問題の原点というべき水俣病の経験が生かされているとは思えません。その轍を踏まないためにも、海洋放出を四つの論点から再考する必要があります。

 一つめは「科学的なエビデンス」です。原発稼働国は国際基準にあわせてトリチウム水を放出しているので、風評被害の拡大を防げれば、これしか方法がないという選択肢があります。他方で放出が数十年に及ぶ以上、環境や生態系に全く影響がないと断言できるのか、懐疑的な見方もあります。

 二つめは「信頼」です。一般の国民や周辺諸国の確固とした信頼を獲得できていない以上、信頼性の獲得に向けてどうしたらいいのかという問題です。

 三つめは「公正性(社会的なジャスティス)」です。問題が起きた時の責任の所在、被害者の線引きはどうするのか。被害を被るに違いない漁業関係者や観光業者、その他の被害者が決定過程に参画する機会が与えられないまま一方的に決定が「天下る」ようなプロセスは、社会正義に反する疑いが残ります。さらに公正性という意味で言えば、なぜ福島だけに押しつけるのかという問題もあります。

 四つめは、「正当性」です。今回の決定に問題がないならば、国際原子力機関(IAEA)のモニタリングを受け、徹底した情報公開を行い、日本の正当性を世界に発信すべきでしょう。そのことが周辺諸国の疑念や反対の声に応える重要な手立てになるはずです。

 こうした問題を端折り「海洋放出ありき」で進むなら、内外へのハレーションは甚大にならざるを得ないでしょう。公害問題の歴史的な教訓が、今こそ生かされなければなりません。

姜尚中(カン・サンジュン)/1950年熊本市生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科博士課程修了後、東京大学大学院情報学環・学際情報学府教授などを経て、現在東京大学名誉教授・熊本県立劇場館長兼理事長。専攻は政治学、政治思想史。テレビ・新聞・雑誌などで幅広く活躍

※AERA 2021年4月26日号

【姜尚中「『安倍の後追い』のバイデン外交 菅首相の訪米が大きな宿題に」】

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「総理がおっしゃる」テレビの過剰な尊敬語に違和感 メディアと「対等」なのになぜ?

2021年4月21日 19:00 AERA

 テレビの報道番組や情報番組では政府や総理大臣に尊敬語がよく使われる。背景にはメディア側の萎縮のほかに、ツイッターなどSNSの影響もある。AERA 2021年4月26日号で掲載された記事を紹介。

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「『総理がおっしゃっている』って、平気でテレビで言うようになったのはなぜだろう」

 今年1月、ツイッターにこう投稿したのはテレビユー福島の記者、木田修作さん(35)だ。このところ、テレビの報道番組や情報番組でキャスターや司会者、コメンテーターなどの出演者が政府や総理大臣に言及する際、「尊敬語」を使うことが常態化していることに大きな違和感があるという。

 確かに多い。たとえば、「総理がご判断されるのでは」「大臣はこうお考えになっておられる」などの言い回しがテレビからよく聞こえてくる。これは以前にはなかったことだ。木田さんは言う。

「私たちメディアの大事な仕事は『権力の監視』です。政治家に過剰に尊敬語を使う必要はなく、『総理が話していました』で十分なはずです」

 これはメディア側の問題にとどまらず、視聴者である私たちにも無関係ではないと、木田さんは懸念する。

「総理大臣や政府を尊敬の対象にしてしまうと、政治や政策に対する意識、声を上げる姿勢にも当然、影響があります。コロナ禍で特別定額給付金について番組で言及する際の『給付金をもらう』も同じ意味で気になります。税金が財源ですから、『もらう』ではなく『受け取る』が正しいはず。私たちの意識への負の影響という点で、過剰な尊敬語と根っこはつながっていると思いますね」

 メディアの尊敬語に同様の違和感を持つのは、戦史研究家の山崎雅弘さん(54)だ。

「総理と『対等だ』という認識がメディアにないと、そもそも権力監視なんてできません。怖いのは、私たちの側も尊敬語に慣れてしまい、『国民は政府や総理よりも下なんだ』と刷り込まれてしまうことです」

■戦う前から負けている

 権力の監視どころか、メディアが戦う前から負けている──。そんな状況は2012年12月に始まった第2次安倍政権からだと、山崎さんは考えている。14年6月、NHKのニュースでキャスターが「政府がおっしゃいましたけど」と話すのを聞き、「40数年この国で生きてきて、政府に敬語を使うニュースキャスターを初めて見た」とツイッターに投稿している。

「驚きました。感じるのは、政府や総理の機嫌を損ねることをメディアが極端に恐れているということです。メディアは第2次安倍政権以降、『権力と対等』でなく、『殿様と下僕』のような主従関係に安住するようになりました。官邸側に完全に仕切られてしまっている現在の総理会見もその象徴です」

 これに加え、山崎さんが「気持ち悪い」と話すのが、「させていただく」という言葉の氾濫(はんらん)だ。本来そこまで言う必要はないのに、「上の人の機嫌を損ねてはいけない」「自分が謙虚であることをアピールしないと」という「萎縮の心理」が社会全体に広がっていると、山崎さんは見る。

「そんな萎縮の状況と、政府に尊敬語を使うことは根っこがつながっています。加えて、『権力を監視するための批判は、与党への攻撃だ』という勘違いをする人が増え、本来の仕事を果たすメディアに対し、『偉そうだ』などと筋違いの批判をしてしまう。メディアの萎縮には、国民の側にも責任の一端があるんです」


■怖いSNS上での批判

 それはツイッターなどSNSの影響も大きいのではと考えているのが、政治記者として30年以上の経験があり、テレビの報道番組などでコメンテーターとしての出演も多い毎日新聞専門編集委員の与良正男さん(63)だ。自身はテレビでコメントする際、政府や総理に尊敬語は使わず、かつ必ず「菅さん」と呼ぶ。

「私もたまにエゴサーチ(インターネット上で自分の名前を検索)すると、『なんで与良は一国の総理にさん付けなんだ。何様だと思ってる!』と。そういう声はテレビ局にも山ほど来るんです。それをアナウンサーやコメンテーターがすごく気にする結果、『尊敬語を使って、リスペクトしているふりをしておいたほうが無難だ』となる。そんな意識は間違いなくあると感じています」

■尊敬の気持ちはない

 加えて与良さんが気になるのは、その尊敬語が本当は尊敬の気持ちからきているわけではないということだ。与良さんはテレビ出演以外の日常でも、政治家を呼び捨てにすることはしない。長年取材し、政治家の仕事に敬意を払っているからだ。

「若い記者やテレビの現場のアナウンサーは、オンエア以外では『安倍が』『菅はさぁ』などと呼び捨てにしています。これが僕はとても不快で。実はリスペクトしていないのに、何だか妙な敬語を使っている」

 与良さんは元々、アナウンサーなどがスポーツ選手に言及するとき、「本当にがんばられて記録を残されているので」などと過剰な敬語を使っていることに違和感があったという。

「世の中全般に、『敬語を使うことが、その人の仕事に対するリスペクトだ』という勘違いがあるように思います」

(編集部・小長光哲郎)

※AERA 2021年4月26日号より抜粋

【長澤まさみもCMで「これっす」 若者の“新敬語”「っす言葉」なぜ広まった?】

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愛より野望が透けて見える 小室文書は立身出世を目指す昭和の母子の物語

2021年4月21日 19:00 AERA

 秋篠宮家の長女眞子さまとの婚約が内定している小室圭さんが4月8日に公開した28枚、4万字にも及ぶ文書が波紋を呼んでいる。文書から透けて見えるのは、昭和的な野望と高いプライド、そして強い自己主張だ。AERA 2021年4月26日号から。

*  *  *
 小室圭さんが4月8日に公表した文書で驚いたのは、彼が2017年7月から18年6月まで、マンション(管理組合)理事長をしていた、という事実だった。

 書かれていたのは脚注[18]で、それは「文書本体」中の「5 金銭トラブルと言われている事柄に対する私と母の認識について」という部分の文章に対応するもの。という説明からも文書の読みにくさがおわかりいただけると思うが、それはさておき。

「5」は母・佳代さんと元婚約者(以後Aさんとする)の出会いから別れ、その後が書かれていて、小室さん母子の置かれた決して楽ではない境遇が浮かび上がってくる。例えば、佳代さんがAさんからの支援を定期的に受けるようになったのは、婚約の翌年11年4月からで、その理由はこう説明されている。

<東日本大震災の影響を受けて、当時は時給制のパート従業員として働いていた母の出勤日が少なくなり、収入も激減することになりました>。それを知ったAさんが「家族になるのですから当然です、頼られて嬉しいです」などと言って、支援してくれるようになった、と続く。

 震災後にシフトを減らされた佳代さん。新型コロナウイルス禍の今の状況が重なり、「大変だったんだなー」と思う。お金を必死に算段しながら、圭さんの教育だけは守ろうとしている様子が、なんとも切ない。

 などと感じるのは、同世代ゆえだ。週刊誌などによると、佳代さんは現在50代半ば。私の方が少し年上だが、同じ時代を生きてきた。専業主婦になった佳代さん。当時それは珍しいことではなく、夫亡き後のパート勤務の日々を思うと、心が揺れる。


■立身出世描いた小説

 だから小室さんの「理事長」を知ると、「息子に頼る母」を見てしまう。マンションの部屋は息子名義なのだろうか、佳代さんが理事長になる選択肢はなかったのか。表に出るのは夫、夫亡き後は息子。そう考えてきたのかも、と思ったりした。

 17年7月という時期も驚いた。その年の5月、小室さんと眞子さまの婚約内定が報じられ、9月3日には2人並んで記者会見をした。皇室と縁続きになることが公になった時期に、管理組合といえども目立つのはどうだろう。そう思ったのは長く皇室を追いかけてきたからで、「私生活は控えめに」があちらの流儀だろうと理解しているのだ。

 だが、小室さんは理事長になり、今回は自分の正当性を訴える根拠にした。理事長として出席した会議の場でAさんと何度も会った、金銭の返済を断った後だったが、返してくれと言われず、「(眞子さまとのこと)私も応援しています」と言われた──そういう記述だった。

 読み終わり、昭和の「立身出世」を描いた小説を読んだかのように感じた。母1人子1人、肩を寄せ合い、息子は勉学に励む。そんな物語の王道は「東大→大蔵省」なのだが、小室さんは「海の王子」を経て眞子さまへと至る。そう知りながら読むから複雑な気持ちになる。

「立身出世」というより「上昇志向」、いやそれよりも「野望」。それが小室さん母子で、だから理事長を断る選択肢はないのだ、としみじみ思った。

 などと、情緒過多に読み解いた。が、この文書は「金銭トラブルと言われている事柄について誤った情報を訂正していくという判断に至った」から公表した、と小室さんは書いている。

 その点をどう見るか。作家で社会学者の鈴木涼美さんに聞いてみた。「文藝春秋」21年2月号で彼の「金銭トラブル」について、「違う角度から考えれば別のストーリーが見えてくるかもしれない」と語っていた人だ。

「事実はまっすぐな1本の糸ではなく、いろいろな糸が織り込まれてできていると思っています。この文書も彼の信じているストーリーがいろいろ書かれていて、彼なりの事情があったのだろうとは思いました」と鈴木さん。もちろん、元婚約者には元婚約者のストーリーがあって、白黒つけることはできない。それを国民がわいわい議論するのは不毛なことと思う、と。

 文書から「眞子さま好きー」と伝わってくればわかりやすかったが、それは感じられず、プライドの高さやイメージを守りたい思いの強さが膨大な文字量になったと感じたという。(コラムニスト・矢部万紀子)

※AERA 2021年4月26日号より抜粋

【メーガン妃と小室圭さん ふたりの「上昇志向」は想定を超えていた】

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cat_1_issue_oa-aera oa-aera_0_fn3h6w2hkxua_加藤シゲアキ「ジャニーズで学んだことを生かす」 文学新人賞受賞での作家としての決意 fn3h6w2hkxua fn3h6w2hkxua 加藤シゲアキ「ジャニーズで学んだことを生かす」 文学新人賞受賞での作家としての決意 oa-aera 0

加藤シゲアキ「ジャニーズで学んだことを生かす」 文学新人賞受賞での作家としての決意

2021年4月19日 19:00 AERA/写真・大野洋介

 新作小説『オルタネート』は直木賞、本屋大賞にノミネートされ、吉川英治文学新人賞を受賞した。小説に舞台の脚本まで、旺盛な創作活動の背景には、「エンターテインメント」に対する情熱がある。AERA 2021年4月19日号から。
*  *  *
——激動の一年だった。コロナ禍のために、昨年はライブや舞台は延期になったが、小説『オルタネート』は吉川英治文学新人賞を受賞した。

加藤シゲアキ(以下、加藤):年末には自分が新型コロナウイルスに感染したり、ネガティブなこともありましたが、すべてを糧にパワーにしていくしかない、と感じた一年でした。

『オルタネート』を書いたのは、コロナ禍の前でした。コロナ禍でデジタル化が一気に進み、『オルタネート』で描いたマッチングアプリの世界がより身近になっていった。良くも悪くも、結果として化学反応が起きたと思っています。

■たくさんの人に届ける

——『オルタネート』の発売は昨秋だ。コロナ禍に収束の兆しはなく、人がなかなか書店に足を運びづらい時期でもあった。

加藤:考えたのは、「書店をどう応援できるか」ということ。自分の本をきちんと読者に届けようとすれば、結果的に書店に還元されると思っていたので、「たくさんの人に届けよう」というのが一番のモチベーションでした。結果的に直木賞にもノミネートしていただき、吉川英治文学新人賞をいただきましたが、賞を意識したというよりは、「正しく届けたい」という気持ちが強かったんです。

——発売に際して、プロモーション動画をつくったり、作中に登場する料理のレシピカードを特典としてつけたり、さまざまな展開を試みた。

加藤:若い読者に興味を持っていただき、本を読むだけでなく、その先にある広がりや楽しさを感じてほしいと思っていました。それを「チャラい」と捉えることもできますが、エンターテインメントの世界にいる人間だからこそ、クロスオーバーさせていくことが自分の使命だろう、と。結果的に文学賞をいただけたのは、本当に不思議だなと感じましたし、自分が思っていた以上に作家の方々は広い視野で見てくださっていたのかもしれない、と勉強になりました。

 小説を書き始めた頃は、「ジャニーズの作家と思われたくないから、あえてジャニーズっぽくない作品を書こう」という気持ちもあったんです(笑)。でも10年近く作家活動をしていると、ファンの方も僕を信頼してくれているとわかるようになったし、「ジャニーズで学んできたことを作家として生かしていってもいいのではないか」と自然と思うようになりました。僕が書いたら、それはどうやっても僕の作品になる。もちろん、一つ一つの文章は練っているけれど、エゴのようなものはなくて、「若い頃にこんな作品に出合えたら楽しいだろうな」という感覚を大切にしていきたい、と。

■ギアを上げていく

加藤:賞をいただいて改めて思うのは、ここからがスタートだ、ということ。受賞はもちろんうれしいですが、この賞を背負った以上、次の作品からはもう一つギアを上げていかなければいけない。これまでは、どこかに自分のテリトリーで書き続けられたらそれでいいのかな、という気持ちもありました。これからは文学的な面白さから逃げてはいけない、もう甘えられないな、と思いますね。

——『オルタネート』単行本化にあたり、校了日の前日まで原稿に直しを入れていた。編集者や校閲担当の指摘は素直に受け入れて、作品をつくりあげた。

加藤:僕、文章を直すのが得意なんですよ。「書く」より「直す」方が才能はあると思う。これは自信を持って言える(笑)。いつも初稿は「長い下書きです」と言って編集者に渡しています。もっと直してから原稿を出せればいいと思うのですが、「自分はこの程度の筆力です」というのを最初に見ていただいて、意見をもらうようにしています。若い頃は特に「カッコつけても仕方がないな」という気持ちもあって。いまは編集者も同年代や年下の方も多いのですが、僕は人の意見を基本的には否定しないので。とはいえ、指摘や提案にただ従うだけでなく自分の言葉にしたいので、「では、ブロックごと変えます」と、文章を丸ごと作り直すことはあります。

——他人の意見を否定しない。その姿勢はどのようにして生まれたのだろう。

加藤:弁証法的な思考を持っているところがあって、AかBどちらか一方しか正しくないと考えるのではなく、「もっと包括的ないいアイデアがあるのではないか」と信じているんです。

 長くグループで活動をしていると、意見が割れたときに「どっちの意見も理解できる」という時がある。そんなときは、「みんなでハッピーになれるアイデアはないか」と考えたい。論理でぶつかったとしても、どちらにも正義はあるということもあるから、みんながハッピーになるアイデアを生み出そうという努力をしていきたいんです。

 僕が本を書くときも、みんなが楽しくアイデアが出せるといいな、と。それぞれに役割があったとしても、作品がよくなるのなら誰が何を言ったっていい、と僕は思っています。

——小説家をゲストに招いたバラエティー番組でMCを務めるなど、「文学」と世の中の橋渡しをする存在となりつつある。

■本は人生を豊かにする

加藤:文学界の中心にはいないけれど、何かをつなぐことはできると思いますし、それはとても面白いことだとも思うんです。言葉を選ばずに言うと、文学界はどこか閉じているようにも感じていて、エンターテインメントにも少なからず疎い部分があるように思う。それは業界の方々もわかっていて、どうにかブレークスルーをしたいと考えている。課題として多くの方々が考えているので、誰かが形にすることで一気に広がっていくと思います。

——はじめからいきなり橋渡しはできないと思いますが、本を書き続けて、周囲が認めてくださるようになったからこそ、お互いに面白いアイデアを出していけるようになった。

 本は、人生を豊かにするものだと信じています。僕の作品を通して、過去の名作や文学といったものが、実は難しいものではなくて、身近なものなんだ、ということが伝わればいいな、と。それが、自分が文学の世界に飛び込んだ以上、背負っていく責務なのかなと思っています。

(ライター・古谷ゆう子)
【女性ファンが渋めの文芸誌爆買い? 加藤シゲアキ「オルタネート」発売4日目で「小説新潮」重版】
※AERA 2021年4月19日号

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池袋暴走や京アニ事件で浮き彫りに 欧米から20年~40年遅れている日本の犯罪被害者支援

2021年4月19日 19:00 AERA/撮影・横関一浩

 予期せぬ事件や犯罪で、心身に傷を負った被害者や遺族をどう支えるか。日本の被害者支援は、欧米と比べ20~40年遅れているという。池袋暴走事件から2年──。遺族の松永拓也さんがその思いを語る。AERA 2021年4月19日号の記事を紹介する。
*  *  *
 家族3人が暮らした部屋は2年前のまま、ほぼ手つかずで残っている。

 東京・池袋。暴走した車にはねられ、妻子を亡くした松永拓也さん(34)は、静かな語り口で心の内を吐露する。

「いつも自分に問うています。何をしたら、愛する2人が喜んでくれるだろうかって」

 2019年4月19日。松永さんは、この事件で、最愛の妻・真菜さん(当時31)と娘の莉子(りこ)ちゃん(同3)を亡くした。

 松永さんが真菜さんと出会ったのは彼女の故郷・沖縄。親戚の法事で集まった時、いとこが紹介してくれた。松永さんの一目ぼれだった。15年に結婚し翌年、莉子ちゃんが生まれた。

 松永さんは、真菜さんが他人の悪口を言うのを聞いたことがなかった。

「愛にあふれる人でした」

 遺体を自宅に引き取り、3日間、夜は3人で「川の字」になって寝た。手をつないだ。莉子ちゃんが大好きだった絵本を読んで聞かせた。

 かけがえのない家族を突然奪われ、生きる意味を失った。この先どう生きていけばいいかわからない中、事件現場に通い考えた。事件を起こした高齢ドライバーへの憎しみはあった。だが、愛する2人なら、どのような選択をするか考え続けた。

「交通事件のない優しい社会にすることができたら、2人は自分たちの命が無駄にならなかったと言ってくれるんじゃないかと思って」

 事件から5日後、あふれる涙をこらえ、記者会見で語りかけた。

「運転に不安がある人は運転しないという選択肢を考えてほしい」

■突然奪われ日常は一変 「被害者ノート」は一助

 昨年4月、一周忌を機に実名も公表した。心の準備、闘う準備、交通事件防止活動と犯罪被害者支援を続けていく決意表明でもあった。

「犯罪被害に遭うと目の前が真っ暗になります。人間はある程度、未来を予測していると思います。僕の場合、莉子が成長して独り立ちしたら、真菜とずっと生きていくんだと思っていました。それが一気に真っ暗になる。何をしていいか、どう生きていけばいいかもわからなくなります」(松永さん)

 今も毎年、交通事件だけで3千人前後が命を落としている。大切な人を突然奪われた遺族の日常は一変する。

 交通事件の被害者遺族らでつくる「関東交通犯罪遺族の会(あいの会)」代表で、自らも被害者家族である小沢樹里さん(40)は、被害者が被害に遭った直後に置かれる状況を算数に例え、こう話す。

「算数がどこで躓(つまず)いて分からなくなったか分からないように、犯罪被害者も同じ。どこから分からなくなったのか分かりません。そうした状況で、葬儀や役所回りなど情報を集めて様々なことをやらないといけません。しかも、一度にです。混乱した中、必要なものは何かが見つけづらいのが現状です」

 そうした中、犯罪被害者に関わる人の一助にと、事件の遺族らでつくる「途切れない支援を被害者と考える会」(東京)が14年に作成したのが「被害者ノート」だ。A4判でカラー約100ページ。情報を整理してもらうことなどを想定し、事件の状況や加害者の情報を細かく記入する欄を設けた。支援団体の連絡先、弁護士の紹介窓口も記載。被害者に必要なことはほぼ網羅されている。松永さんも事件から約1カ月が過ぎたころ、被害者ノートを手にした。先の小沢さんが送ってくれた。「一人で悩まないでください」という手書きの手紙と一緒に入っていた。

 松永さんは振り返る。

「それまで法律のことも裁判のことも素人で、刑事と民事の違いさえよくわかっていませんでした。精神面のアドバイスや今後のことも書いてあって、真っ暗だった目の前に道ができた感覚になりました」

 予期せぬ事件・犯罪で命を落とした人の遺族や、心身に傷を負った被害者をどう支えるか。それは国と自治体の責務でもある。

 04年、犯罪被害者等基本法が成立し、被害者支援を「自治体の責務」と定めた。給付金や住居など生活を支えるための施策を講じるよう求め、基本法を反映した条例制定の動きが全国に広がった。だが、行政による支援の差が出ている。警察庁の犯罪被害者白書によると、犯罪被害者等の支援を主な目的にした条例があるのは、都道府県では21で全体の44.6%、政令指定都市では7で全体の35%、市区町村で326と18.9%に過ぎない(昨年4月1日現在)。

 問題が浮き彫りになったのが19年7月、36人が死亡し33人が重軽傷を負った「京都アニメーション」第1スタジオ(京都市伏見区)で起きた放火殺人事件だ。

■自治体によって支援に差 欧米より20~40年遅れ

 京アニには全国から人材が集まっていた。しかし、自治体によって支援に差があり、支援を受けられる遺族とそうでない遺族が出た。

 京都市は11年に「犯罪被害者等支援条例」を制定。遺族・被害者に当座の生活資金として30万円を給付する制度がある。市によれば、京アニ事件による給付件数は、3月末時点で7件。

 だが、犠牲になった男性社員(当時23)の遺族が住んでいた静岡県菊川市には条例がなく、遺族は見舞金を受け取ることができなかった。

 被害者支援の第一人者で、常磐大学元学長の諸澤英道さん(被害者学)は、日本の被害者支援は欧米と比べ20~40年遅れていると指摘する。

「特に、被害者が集団で発生した場合の対応ができていません。欧米では被害者支援は『被害者の住んでいる地域において』が大原則。しかし、日本では住んでいる地域以外で被害を受けた場合の支援態勢ができていません」

 京アニ事件で言えば、遺族が住んでいる地域において支援態勢をつくらなければならない。しかし、京都からその先、「遺族が住んでいる町」への連携ができていなかったという。

 条例がなかった菊川市は事件があった翌8月、市長が条例制定の意向を示し、約8カ月後の昨年4月に条例が施行された。死亡者の遺族に見舞金として30万円、1カ月以上のけがを負った場合は5万円を支給する。

「被害者や家族が少しでも安心できるよう支援したい」(市担当者)

 前述の諸澤さんは、被害者支援を理解する上で最も大事な点は、被害者問題は「権利」の問題であり、人権を侵害された被害者に対し国や社会が何をすべきかだと話す。

「被害者になったということは、憲法第13条の『個人の尊厳の尊重』、第25条で保障された『生存権』が侵害されたことを意味します。したがって、被害者への支援は、国と地方公共団体の責務。全ての自治体に条例が必要です」

 また、国際的な考えとして、「迅速」「公正」「無償」「使用しやすい」──この4条件を満たさないものは「支援」と言わないという。

「例えば、大けがをした時の救急活動が一刻を争うということについて多くの人が理解しています。しかし、心の傷が身体の傷と同じように一刻を争うということについては、日本ではあまり知られていません」(諸澤さん)

 世界最大級の被害者援助組織、米国のNOVA(ノヴァ、全米被害者援助機構)は、事件の第1報を受けると2人1組のレスポンスチームを派遣し、3日間72時間支援を行う。「危機介入」と言われ家事、育児、医療、介護、子どもの世話、引っ越し、職場復帰など、被害者支援活動の基本中の基本だ。だが、日本にはこのような危機介入を行っている組織がほとんどない。諸澤さんは、日本にも同様の体制をつくり、全国の市区町村すべて同じような支援を受けられることが重要と話す。

「そのためには、国が応分の負担をする必要があり、そうすることで、被害者が住民でない場合も、事件のあった自治体の予算で支援を行うことに、住民の理解も得やすくなります」

 先の小沢さんは教育の必要性を説く。

「誰もが事件の瞬間まで被害者になることは考えていないと思います。しかし、誰もが被害者になる可能性があります。そうであるなら、被害に遭わないためにはどうすればいいか、被害者になった場合、どのような支援があるのか、子どものころから早期教育に取り入れて学んでおくことが大切です」

■特別休暇の要望書を提出 グリーフケアを受ける土台

 事件のない社会に──。

 冒頭で紹介した松永さんは、あいの会に参加し活動を続けている。

 2月、松永さんは、あいの会とともに犯罪被害者やその家族が「特別休暇」を取得できることを企業に義務づけるよう要望書を厚生労働省に提出した。

 犯罪被害に遭うと精神的・身体的に傷つき、仕事の能率低下や通院、裁判への出廷などのため仕事を欠勤しても職場の理解を得られず離職する人が少なくない。厚労省の調査(19年)では、犯罪被害者のための休暇制度を導入していた企業は1.7%にとどまった。

 松永さんは言う。

「被害者遺族には、心と体の回復や捜査機関への協力、裁判と向き合う時間が必要です。僕の場合、忌引休暇や10年連続勤務など全部組み合わせ1カ月の休みをとることができました。あの1カ月がなければ、心の回復は間違いなくできていなかったと思います」

 同時に松永さんたちが力を入れているのが、大切な人を亡くした喪失感からの立ち直りを支援する「グリーフケア」だ。松永さんは、事件が起きる前の「防止」とともに、事件後のグリーフケアも大切だと話す。

「僕は、一人ではとても生きてこられなかった。いろんな方の支援をいただき、支援者ともつながることができて生きてこられたと思っています。被害者になった後のグリーフケアを受けられる土台をつくっていきたい」

 今も月に1度カウンセリングを受け、つらくてベッドから起き上がれないこともある。苦しみや悲しみが絶えることはない。それでも、事件の真実を明らかにするため裁判を続け、一人でも被害に遭う人を減らしたいと話す。

 松永さんを動かす原動力は、何か。松永さん自身はこう言う。

「活動をしていたら真菜と莉子が応援してくれる感じがするんです。声は聞こえないけど、感じます。活動することが生きる力になっています。だから活動していこう、と」

 そして、こう続けた。

「いつか僕の寿命が尽きた時、天国の2人に再会し、『お父さんは1人でも2人でも命を救うお手伝いができたよ』と胸を張って言いたい。そして、『お父さん、がんばったね』って2人に抱きしめてもらいたい」

(編集部・野村昌二)
【「私、死にたい…」全身マヒの女子高生の悲痛な声 「いのちの電話」相談員の忘れられない電話】
※AERA 2021年4月19日号

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新しいことを始めるなら周囲のリアクションよりも自分を喜ばせることを しいたけ.さんがアドバイス

2021年4月19日 19:00 AERA

 AERAの連載「午後3時のしいたけ.相談室」では、話題の占い師であり作家のしいたけ.さんが読者からの相談に回答。しいたけ.さんの独特な語り口でアドバイスをお届けします。

*  *  *
Q:難航した転職活動を終え、4月から働けることになりました。仕事と生活のバランスをとるために、私生活でも今後の人生に繋がる何かを始めたいと思っていますが、人に交じるのが億劫になっています。いよいよ社会とか人のために、とにかくでけえことしたいです。新しく始めることをどう見つけたらよいでしょうか。えいやと飛び込む勇気もほしいです。(男性/今春から社会人/27歳/うお座)

A:いま、人と会うことのリハビリ中みたいな人が多いと思います。僕も久々に人と会っておしゃべりをすることがあって、すごく楽しかったけど疲れました。他人と会ってリアクションするのは、結構エネルギーを使います。急激にペースを上げるのではなく徐々にやっていきたいですよね。

 さて、本題です。何か新しい世界を開きたいと思う、そういうタイミングって年齢に関係なくあるもの。自分の世界を広げたいときに第一歩として何をするのがいいか。僕はその目的と手段を見定めるのがいいと思っています。

 例えば「自分はとにかく人を笑顔にするのが好き」なら、一つの目的になります。そのための手段として、例えば週末にボランティアをするとか、仕事場以外で人と会う手段を見つけていく。結果としていろいろな頼まれごとをして、社会的にも自分の自信としても大きい存在になっていったりする。自分がやることが「でかいこと」になるかどうかは、運の要素もありますが、まずは自分の目的を設定するのが大事だと思います。何をしているときが一番癒やされるのか。すぐに結果に結びつけるんじゃなく、「とりあえずやってみよう」から始めてみてもいいと思うんです。

 ただ、そこで気をつけたいのがYouTubeの存在です。

 僕もキャンプや釣りをしようと思っているんですが、そういうYouTubeを見て満足してしまうことがある。まるで自分がやっているみたいな気分になれる素晴らしい動画が多いからこそ、途中で止めるようにしています。「続きは自分で」と自分に言い聞かせて。見過ぎて満足してしまうと「時間もないし行かなくていいかな」ってなってくる。それじゃダメなんです。

 実際に火をおこさなければ火おこしの難しさはわかりません。いきなりメインディッシュが出てきちゃうのは、気楽なんだけど味気ない。摂取量に気をつけないと、頭だけが膨れていって体を使った経験値が増えていきません。

 どの年齢になっても初心者の領域を持っておくこと、やったことがないことをやってみることは、自分を大きくしてくれる大事な要素です。

 うお座は、ライブ会場を満員にするとか、その花道を歩くシーンに対してすごく血が騒ぐ人たち。それは素敵なことなのですが、弱点として周囲から「すごい」というリアクションが返ってこないとすぐやめてしまうことがあります。それはもったいないので、しばらくは無観客でやっていきましょう。周りではなく自分を喜ばせる目的で。

しいたけ./占い師、作家。早稲田大学大学院政治学研究科修了。哲学を研究しながら、占いを学問として勉強。「VOGUE GIRL」での連載「WEEKLY! しいたけ占い」でも人気
【あえて好きなものだけ食べる“カタルシスデー”をつくってみよう しいたけ.さんがアドバイス】
※AERA 2021年4月19日号

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不安の感情は“キャラ”にしてコントロール マイナスの感情の対処で「生活の質は大きく変わる」

2021年4月19日 19:00 AERA/gettyimages

 新生活が始まる春は、環境の変化で大人も子どもも不安になりやすい時期。長く続くコロナ禍で、よりそれを強く感じている人もいるのでは。新刊「神子育て」を上梓した星渉さんは、そんな不安をコントロールする1つの方法として、感情に名前を付けてキャラクター化することを提案している。AERA 2021年4月19日号で話を聞いた。
*  *  *
 不安をコントロールする方法、「感情ラベリング」というものをご紹介します。

 これは、もし不安の感情が出てきたら、名前をつけてあげることです。できればキャラクターを作ってしまうといい。

 例えば、不安な感情が出てきたら、「不安くん」とか「ふっくん」と名前をつけて、キャラクターとしてイメージしてみます。ちょっと悪魔っぽい顔をしていて黒いしっぽがあるとか。それを体の中から出すイメージをし、「はい、不安くんは出ました!」とつぶやいてみる。

 これは、自分自身と感情を切り離す方法です。これは心理学の用語で「ディソシエイト」と言います。

 同じやり方で、怒りやイライラといったマイナスの感情でもできます。怒りは「いっくん」にしちゃうとかですね。「はい、いっくん出ていきました! どうしたの」と言って体から出してあげる。体から離す方法です。

■「セルフハグ」が有効

 そしてぜひ自宅でやっていただきたいのが「自己受容のワーク」です。「自己受容」とは自分にOKを出すこと。「頑張ってるね」「大丈夫だよ」「よくやっているね」と優しい言葉をかけるだけでなく、腕で自分の体をギュッと抱きしめる「セルフハグ」をしてもらいたいんです。朝の洗面前に鏡を見ながらやるのでもいいですね。これ、わずか数秒でできるのに自己受容がものすごく高まります。

 お子さんにだったら、ギュッと抱きしめてスキンシップをしてあげるのがおすすめです。朝、学校に送り出すときや、寝る前にギューッとハグしてあげてください。スキンシップは「幸せのホルモン」と言われるオキシトシンを分泌する最高の方法と言われています。

 思春期の子で、ハグするのが照れくさいようだったら肩や背中をたたいて「おつかれさん」「がんばっているね」と言うのもいいし、握手をする、腕ずもうをする、などでもいいです。

 とにかく、漠然と頭の中で考えているだけがいちばんダメです。マイナスの感情が出たらそれに対処する思考法を知っているかどうかで生活の質は大きく変わります。

 今はまだコロナ禍でもあるので、あらゆる面で不安が大きくなりがちです。新学期になれば生活スタイルも変わり、そこからくる親のイライラも増えやすいときです。

 そのようなときこそ、自分自身のメンタルコントロール術をしっかり知っておくことはとても重要です。親が知っていればお子さんに伝えることもできます。こういったことは学校では教えてくれませんから、親御さんが積極的に取りにいきたい情報ですね。

(構成/AERA with Kids前編集長・江口祐子)
【教育のプロが語る“コロナ離婚”の意外な原因 「子育ての軸」を持たない夫婦は弱い】
※AERA 2021年4月19日号より抜粋

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