「アメリカ人は人をよくほめる」といいますが、これ、本当です。先日わが家の娘が通うアメリカのプリスクールで保護者面談があったのですが、担任の先生があまりに娘のことをほめてくれるので、うれしさを通り越して驚いてしまいました。終始こんな調子なのです。
先生:「〇〇(娘)は非常に集中力がありますね」
私: 「お~それはよかったです」
先生:「集中しすぎて時間内に課題を終えられないこともあるくらいです」
私: 「あっ、そうなんですよ。だから家に持ち帰ってくるぬり絵も空白が多くて。まったくどうしたらいいやら……」
先生:「心配することはありません。適当に終わらせることを覚えるより、そっちのほうがよっぽどいいですよ」
先生:「〇〇(娘)はクラスのリーダー格ですね」
私: 「へ~そうなんですか」
先生:「遊び方から列の並び順まで、逐一ていねいに友だちへ指示を出しています。指示に従わない子がいるとすねることもあるけれど」
私: 「えっ、それはまずいですね。うちでも弟に対してそんな感じで困ってまして……」
先生:「いえいえ、指導力があって何より。すねるといっても、すぐ機嫌を直すから偉いものですよ」
先生:「〇〇(娘)は読み書きが得意ですね」
私: 「ああ、それはそうですね」
先生:「4歳児クラスの本はみんなひとりで読めてしまうんです。だから全員で本を読むときは退屈そうにしていることもあるくらい」
私: 「うーん、みんなに合わせなきゃいけませんね……」
先生:「あらとんでもない、できすぎて悪いことはありません。お父さんお母さんが家庭で素晴らしい指導をしている証拠ね」
■いくらほめてもいいけど…
【NGなほめ方】
1、時間が経ってからほめる(そういえば昨日のあれは偉かったね~とほめられても、特に低年齢の子の心には響かない)
2、愛情に結び付けてほめる(□□できるあなたはいい子ね、□□してくれてお母さん嬉しい、あなたが大好き、のようなほめ方。□□しないと愛されない、と子どもが思い込んでしまう。□□しようがしまいが親は子どもを愛している、というメッセージを常に発する必要がある)
3、余計なひと言を付け足す(すごいね~いつもこうだったらいいのに、などと言ってしまうとせっかくのほめ言葉が台無しになる)
※AERAオンライン限定記事
◯大井美紗子
おおい・みさこ/アメリカ在住ライター。1986年長野県生まれ。海外書き人クラブ会員。大阪大学文学部卒業後、出版社で育児書の編集者を務める。渡米を機に独立し、日経DUALやサライ.jp、ジュニアエラなどでアメリカの生活文化に関する記事を執筆している。2016年に第1子を日本で、19年に第2子をアメリカで出産。ツイッター:@misakohi
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