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「がん検診控え」で未発見1万人の可能性も 「死亡も増えるのではないか」専門家が懸念

2021年2月5日 19:00 AERA/photo 松永卓也

 コロナ禍でがん検診は一時ストップし、受診者数は激減した。日本では毎年約100万人ががんと診断され、40万人近くががんで亡くなる。専門家は「検診は不要不急ではない」と訴える。AERA 2021年2月8日号は「がん」を特集。

*  *  *
 昨年11月初旬、パート従業員の女性(49)は風呂で体を洗っているとき、右胸の小さな硬いしこりに触れた。

 いやな予感がした。女性は母親を乳がんで亡くしており、40歳以降は自治体が実施する乳がん検診を2年に1度、必ず受けてきたが、昨年3月の予約はキャンセルしてしまった。新型コロナウイルスの感染者数が増えていく状況を目の当たりにして「クリニックで感染してしまうのでは」と怖くなったのだ。

 しこりを見つけたのは金曜日。週明け月曜日に乳腺クリニックを受診、マンモグラフィーと超音波検査を受け、「がんの可能性が高い」と診断された。さらに3日後に組織を取って調べる検査を受け、11月中旬にはステージIの乳がんだと確定。進行の速いHER2陽性乳がんで、しこりは直径11ミリと小さかったものの、がんが乳管を破って外に浸潤していた。12月10日には乳房全摘の手術を受け、今年1月から抗がん剤治療を開始。3カ月後には分子標的薬の治療も加わる。女性は言う。

「抗がん剤投与から3日くらいは体調が悪くてパートに行けず、収入も減りました。こういうご時世なのでやめさせられないか不安です。抗がん剤も分子標的薬も高いし、子どもが大学に入学したばかりなので、経済的にもきついです」

 抗がん剤の副作用で髪が抜け、最近ウィッグを購入した。もう少し早く見つかっていたら、せめて薬物療法は避けられたのではないか。そう医師にたずねると、「浸潤径が5ミリまでなら薬物療法はやらなかったけど、半年前なら大丈夫だったとは言い切れない」と言われた。それでも、「あの時キャンセルせずに受けていれば」という思いが消えない。

 新型コロナの感染拡大で医療機関の病床が逼迫する一方、コロナ以外の疾患や検診の受診率は低下している。

 日本対がん協会が各支部で実施する住民検診の受診者は20年3月以降激減、1月から7月の累計は前年比55%減となった。秋の検診から回復傾向にあるものの、同協会のがん検診研究グループマネジャー・小西宏さんは、「2020年度の受診者は例年比で3~4割程度減るだろう」と予測している。日本では毎年、約100万人が新たにがんと診断されている。そのうち、胃・大腸・肺・乳房・子宮頸の5大がんは58万人、そのうち約22%が検診・健康診断・人間ドックなどで発見されている。

「他の医療・検診機関も1~3割減と考えた場合、今年度がんが発見されなかった人は少なく見積もって1万人になるかもしれません。日本では他の疾患での受診がきっかけになってがんが見つかることも多く、医療機関全体の受診控えも考えると、その影響は数万人単位になる可能性もあります」(小西さん)

 検診だけでなく、がんの入院患者も減少している。グローバルヘルスコンサルティング・ジャパンが全国344の病院に実施した調査では、がん患者の入院も減少。なかでも胃がんの昨年6~9月の手術入院は、前年比で2割以上減少した。

 がんの診断・治療のなかで、もっとも新型コロナ感染拡大の影響を受けたのは胃がんだ。胃の内視鏡はむせやすく、エアロゾル感染が起きる危険があるとされ、日本消化器内視鏡学会は3月下旬、緊急性のない検査や治療は延期も検討するよう提言した。このため、4~6月にかけては、多くの医療機関で内視鏡を使った検査・手術がストップした。

 現在は感染対策を取ったうえで検査や治療が再開された医療機関がほとんどだが、新百合ケ丘総合病院予防医学センター部長の袴田拓医師はこう話す。

「胃の内視鏡検査ではせき込みを防ぐため、従来は希望者のみに実施していた鎮静剤(麻酔薬)の点滴を全員に行い、本人が眠った状態で受けてもらうようにしています。そうなると、通常の1.5倍ほどの時間がかかり、検査を2割ほど減らすことになりました。予約の取りづらい状況が続いています」

 東京大学医学部附属病院放射線科准教授の中川恵一さんは、この状況に警鐘を鳴らす。

「早期がんで症状があることはまずなく、検診をやらない限り、がんを早期で見つけることはできません。私自身もがん経験者で、18年の年末に膀胱がんの内視鏡切除を受けました。まったく症状はなく、自分で自己超音波検査をして偶然見つけました」

 がんの進行は種類によって異なるが、多くの場合、微小ながん細胞が1センチの大きさになるのには10~20年かかる。しかし、1センチが2センチになるのには、わずか1、2年。1個が2個、2個が4個、4個が8個……と倍々ゲームのように増えていくため、進行するほどに急激に増殖していく。

 胃がんの場合、早期(ステージI)で発見した場合の5年生存率が97.7%であるのに対し、進行後(ステージIV)では6.6%にまで低下する。がんが1~2センチの早期のうちに発見することが、予後を大きく左右する。

「今後1、2年で、症状が出てから病院に駆け込むがんの患者さんが増えると思います。その結果、進行がんで見つかるケースが増え、がんの死亡も増えるのではないかと懸念しています。医療機関はきちんとした感染対策をとっている。誤ったイメージで検診を自粛してはいけない。がん検診は決して、不要不急ではありません」(中川さん)

 ただし、がん検診も受ければいいというものではない。国立がん研究センター検診研究部長の中山富雄さんは指摘する。

「がん検診の目的は、早期発見して死亡率を下げることにあります。日本で推奨されている胃がん・肺がん・大腸がん・乳がん・子宮頸がんの五つのがん検診は、エビデンスに基づいて推奨年齢や受ける頻度などが定められています」

 自治体による住民検診は、この基準に基づいて設定されている。基本的には、これらの基準で受診すれば十分で、これより若いうちや、高い頻度で受ける必要はないという。

「子宮頸がん検診を除き、20代、30代からがん検診を受ける必要はありません。がんの頻度自体が少ないため、がんはないのに『がんの疑いあり』とされる偽陽性が多くなり、かえって不安を招くだけです。がん検診にはデメリットもある。放射線被曝や内視鏡検査によって粘膜を傷つけてしまう可能性などリスクもあることは承知しておく必要があります」(中山さん)

 また、現在検診年齢に上限はないが、これまで検診を受け続けてきた人に対しては、ある年齢になったら「卒業」を考えてもいいと、中山さんは指摘する。

「たとえば胃がん検診は75歳、大腸がん検診は80歳くらいで卒業してもいい。内視鏡を使用するリスクが、早期治療による救命のメリットを上回るからです」

 前出の中川さんは、がんには「運」の要素も大きいという。完璧な生活習慣でもがんになる人はいるし、ヘビースモーカーで大酒飲みでもがんにならない人もいる。検診を受けても100%がんが見つかるわけではなく、必ず見落としはある。膵臓がんのように非常に進行が速いがんは、検診によって早期に見つけること自体が難しい。

「がんの原因で最も多いのは、偶発的に起きるがん関連遺伝子の損傷です。すべてのがんを完璧に見つけようと頻繁に全身の検査を受けることは、精神的・経済的負担を考えると現実的ではありません。住民検診で推奨されているがん検診は、そのリスクを合理的に減らそうというものなのです」(中川さん)

(ライター・熊谷わこ、編集部・小長光哲郎)

※AERA 2021年2月8日号

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コロナ禍の看護師離脱で「処遇」「キャリア」など課題 米国は上級職あり新卒1千万円のケースも

2021年2月5日 19:00 AERA

 先が見えないコロナ禍に、日々ウイルスと対峙する医療従事者への尊敬の念が尽きない。一方で、「現場」から離れる看護師たちの姿も目立つ。その背景にあるものとは。AERA 2021年2月8日号で掲載された記事から。

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 感謝や尊敬。新型コロナウイルスのパンデミックでは、多くの人たちがさまざまな職種の人たちに対して敬意を抱いた。看護師の仕事も、その一つだろう。

 しかし、現実はコロナ禍で労働環境の過酷さが増したり、ボーナスがカットされたり──。日本看護協会の福井トシ子会長は昨年12月に行われた記者会見で、このように窮状を訴えた。

「使命感だけではすでに限界に近づいている」

 実際、SNSでは、職場を離れる看護師たちに関する投稿が後を絶たない。

<コロナで前の病院辞めた>
<また一人看護師さんが辞めた。もうやってられない>

■刑事罰に問われる危険

 理由はいろいろあるはずだ。都合の良い「感謝」にしらけたのかもしれない。そして、当事者たちが感じる「社会的地位」が低いまま、思うように処遇も上向かなかったという根源的な問題も一因になかっただろうか。

「私たちの仕事は、指一本操作を誤れば患者さんを死なせてしまい、刑事罰に問われる危険とも隣り合わせです。それほど緊張感があるのに、給料は安いし社会的地位も高いとは感じられないというのが現実です」

 大阪府の病院に勤務する30代の女性看護師はこう話した。

 社会的地位をどう評価するかは難しいが、所得水準を一つの指標とすることもできそうだ。

 厚生労働省が公表している「令和元年賃金構造基本統計調査」によれば、看護師の平均給与は月33.4万円。ここには夜勤手当や残業代などは含まれていないが、実態はどうか。大学を卒業後、看護師の資格をとって約10年になるという前出の看護師の場合はこうだ。

「フルタイムで夜勤までやって額面で30万円くらい。税金なんかを引かれて手取りで23万~24万円くらいです」

 地位や処遇の向上は「この仕事に就いているから」ではなく、個人の力量によって検討されるべきだろうが、看護の業界には不満も確かにあるようだ。

 外国ではどうか。北海道室蘭市出身で現在、米ボストンで「ナース・プラクティショナー(NP)」として働く菊地以都子さん(41)のケースをみてみたい。

■自分の判断で薬を処方

 菊地さんは室蘭の公立高校を卒業後、ニューハンプシャー州の私立大学に進学して心理学などを学んだ。当時、英会話ができたわけではないが、映画「羊たちの沈黙」を見てジョディ・フォスター演じる主人公の米連邦捜査局訓練生に触発された。

 卒業後は、行動に問題を抱える子どもたちが生活する施設で働きながら、大学院にも通って心理学の修士を取得。カウンセラーとしてクリニックに勤め、個人宅を訪問してカウンセリングをする仕事に就いた。

 このときに知ったのが、看護師の上級職であるNPの国家資格だ。

「資格があれば、自分の判断で薬を処方できることを知りました。患者さんに素早く的確な治療を施したいと考えて看護の道に行くことを決めました」

 医師の指示がなくても一定の診断や治療ができる資格で、一般の看護師よりも裁量の範囲が広がるというわけだ。

 マサチューセッツ州ノースイースタン大学でNPになるのに必要な修士を取り、その後、資格をとった。今はボストンのクリニックに勤め、低所得層の人たちを主な患者として抱えて、診察、診断、処方などを行う。

 勤務は規則的。新型コロナの蔓延のため昨年3月からは遠隔診療で、平日の午前9時から午後5時まで働く。

■地域格差が大きな問題

 米国での看護師の存在は日本と違いがあるのだろうか。

「少なくともこちらの現場では看護師がプライドを持ってさまざまな主張を遠慮なくしているようです。単なる医師の手伝いではありません。看護師なりの診断と治療目的があり、医師とはチームとして同等にケアをしていくという文化があります。日本ではどうなんでしょうか?」

 処遇も隔たりがある。菊地さんによれば、専門の分野や経験、地域によっても異なるが、看護師の収入は概して高いものと米社会では認識されているという。NPは一般の看護師よりも高めではあるが、新卒でも1千万円ほどあるという。

「少なくとも自分の周辺では、コロナ禍で職場を去る看護師の話は聞いたことがありません」(菊地さん)。責任に見合った処遇や、社会に認められているという満足感がそこにはあるのかもしれない。

 実は、国内でもこうした米国のNPの制度を参考にした仕組みがあり、関係者が国家資格化を目指している。一般社団法人日本NP教育大学院協議会(事務局・大分県立看護科学大学)が11年から行っている資格認定試験で、「診療看護師(NP)」と呼んでいる。

 その動きは大分県で始まった。同協議会会長を務める草間朋子・東京医療保健大学名誉教授はそのきっかけについてこう話す。

「当時、大分県では医師の偏在による医療の地域格差が大きな問題になっていました。一方で、看護系の大学が増えると同時に、大学院を設置する大学も増えました。増加しつつある大学院の教育を社会にしっかり還元していくことで、県民のみなさんに医療を公平にかつタイムリーに提供できる看護師をしっかり養成していきたいと考えました。どのような看護師がよいか考えたときに、米国型のNPの導入が参考になると考えました」

 これまでに487人が診療看護師の資格を得て、全国の医療機関などで活躍している。しかし、一般の看護師との違いが法で裏付けられているわけではなく、運用で業務の裁量の範囲を広げているというのが現状だ。

■必要なときにいつでも

 日本看護協会の井本寛子常任理事によれば、国内で目指しているのは、米国のように医師の指示を受けずとも一定レベルの診療や治療を行うことができる公的な資格だ。こうした資格が必要と考える理由は、将来的にさらに進む高齢化によって医療に対するニーズがより高まっていくことがある。また、医師の働き方改革を進めながら「必要なときにいつでも必要な医療」の提供体制を守らなければならないという事情もある。

「訪問看護ステーションを対象にした協会の調査(19年)では、医師の指示がタイムリーに受けられずに症状が悪化した事例を経験したことがあると回答した割合が、現在の高齢化の状況でも7割を超えています」(井本常任理事)

 協会が理念に掲げている「看護の質の向上」を推進するうえでは、すでに導入している「専門看護師」や「認定看護師」という制度もある。米国型のNPをさらに導入するとなれば、看護の役割拡大につながることになる。その結果として何がもたらされるのだろうか。

「看護師の地位向上を目的に導入するべきだと考えているわけではなく、あくまで国民の保健医療福祉に対するニーズにどう応えるべきかを考えてのことです」

 井本常任理事はこう考えるが、一方で前出の草間会長はこうも指摘する。

「キャリアアップを目指す多様な道があれば、看護師の専門性の強化や地位向上にもつながるはずです。そうした道が示されれば、看護師のプライドやモチベーション、看護師に対する社会の評価もさらに高まるのではないでしょうか」

(編集部・小田健司)

※AERA 2021年2月8日号

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アメリカ人の回転寿司人気トップ5にびっくり 2位を正しく説明できる人、います?

2021年2月5日 19:00 AERA

 ご存じの方も多いと思いますが、くら寿司はアメリカで現在8州とワシントンDCに計29店舗を展開しています。

 こういう話をするとよく聞かれるのが、アメリカの人たちに人気のお寿司は何?アメリカのお店も日本と同じ仕組み?アメリカでもビッくらポンはあるの?などの質問です。

 そこで今回は、アメリカのくら寿司について少し説明してみたいと思います。

 くら寿司が初めてアメリカにお店をオープンしたのは、2009年でした。その2年前に和食レストランの形でアメリカに進出したんですが、うまくいかず、一時撤退をしようとしたところ、現地の責任者から「日本と同じ回転寿司の形態でもう一度だけチャレンジさせて欲しい」と懇願され、回転寿司(Revolving Sushi Bar)として、カリフォルニア州アーバインにオープンしたのが、1号店です。

 その1号店が、「寿司がベルトで回ってきて面白い!」「Amazing!」「Fantastic!」と評判になり、SNSなどでも拡散されて大盛況となりました。その後、カリフォルニア州からテキサス州、ジョージア州などに店舗を拡大して、現在に至ります。19年8月には、現地の子会社がナスダック市場に上場することができました。


 そこで、先程の質問ですが、アメリカのくら寿司の人気メニューベスト5は以下の通りです。

(1)炙りサーモンマヨネーズ
(2)ゴールデンクランチロール
(3)サーモン
(4)カリフォルニアロール
(5)うなぎ

「サーモン」と「うなぎ」は別として、その他の3品については、日本ではあまり馴染みのないメニューですよね。

「ゴールデンクランチロール」と「カリフォルニアロール」は、アメリカで考案されたお寿司で、海苔が苦手なアメリカの人たちのために、通常とは逆に海苔を内側にしてシャリを表側にしていろんな具材を巻いた巻き寿司で、「ロール寿司」とよんでいます。

 ロール寿司の元祖とも言える「カリフォルニアロール」は、アボカドやカニカマ(くら寿司では本物のカニを使用しています)などを巻いたヘルシーなロール寿司で、1963年頃にカリフォルニアで日本人の職人が考案したと言われています。

 2位の「ゴールデンクランチロール」は、エビマヨときゅうりを裏巻きにして、上にスパイシーソースと甘だれをかけパン粉をトッピングしたものです。我々日本人からすると「これってお寿司なん?」と思うようなスパイシーな味と食感ですが、アメリカのお店では常に上位にランクインする人気メニューなんです。

 次に、アメリカのくら寿司のお店についてですが、アメリカのくら寿司も日本のお店とほとんど同じシステムになっています。

 水流を使ったお皿の回収システムはもちろん、お皿を5枚投入するとできるビッくらポンももちろんあります。そして、空気中のウイルスやほこりからお寿司を守る「抗菌寿司カバー・鮮度くん」も「Mr.Fresh」の名前で活躍しています。

 実はアメリカでは日本以上に衛生管理が厳しく、お客様の前を回転するお寿司には、カバーをつけなければ営業ができません。しかもそのカバーは、70度以上のお湯で洗浄して、自然乾燥しなければならないということまで決められています。コロナウイルスの感染拡大を受けて、今後は日本でもそうした規則が検討される可能性があるかもしれませんね。

 そこまで厳しい規則の下で営業しているにもかかわらず、現在はカリフォルニア州ではまだ店内での飲食が認められていません。他の州でも、座席数を25%から75%程度に減らしての営業を余儀なくされるなど、非常に厳しい状況が続いています。

 そうした状況下ですが、先月オープンしたフロリダ州のお店には、くら寿司のオープンを待ちわびていた多くのお客さまにご来店いただき、最大で5時間待ちになるほどの大盛況となっています。そして、営業している他のお店にも連日多くのお客様にご来店いただいています。

 こうした様子をみていると、現在は営業制限の影響で非常に厳しい状況が続いていますが、アメリカの方々の人気と期待は非常に高く、一日も早くこの困難な状況を脱して、より多くのお客様においしいお寿司と楽しい食事時間をお届けできるようにしたいと思います。

 日本の皆さんも、今はまだ海外渡航は難しい状況ですが、コロナが落ち着いてアメリカへ行くことがありましたら、ぜひアメリカのくら寿司で、日本とは違うお寿司を楽しんでみてください。新たなお寿司の魅力を発見できるかもしれませんよ。

○岡本浩之(おかもと・ひろゆき)
1962年岡山県倉敷市生まれ。大阪大学文学部卒業後、電機メーカー、食品メーカーの広報部長などを経て、2018年12月から「くら寿司株式会社」広報担当、2021年1月から取締役 広報宣伝IR本部 本部長

※AERAオンライン限定記事

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ピュリツァー賞写真家が捉えた米大統領交代の「瞬間」 なぜヘリの写真なのか

2021年2月5日 19:00 AERA

 ベトナム戦争で、ナパーム弾攻撃から逃げる少女の写真で伝説の写真家となったニック・ウト氏(69)が1月20日、ワシントンにいた。彼がカメラで追った壮大なドラマは、何だったのか。AERA 2021年2月8日号から。

*  *  *
「就任式の日に撮ったベストの写真を送ってほしい」とウト氏に依頼すると、米大統領専用ヘリコプター「マリーンワン」の写真がメールで送られてきた。トランプ前大統領が、最後に専用機を公式に使ってホワイトハウスを去る写真だ。

 なぜ、ヘリの写真なのか理由を電話で聞くと、こう繰り返した。

「トランプ、リービング(離れていく)!」

 撮影時に一緒にいたウト氏の友人の写真家マーク・エドワード・ハリス氏(62)に裏話を聞いた。

「あのヘリのアングルは、誰も撮れないはずだ」

■彼にしか撮れない写真

 AP通信に50年以上勤め引退したウト氏は、バイデン氏の大統領就任式会場の取材に必要な記者証を取れなかった。そこで、会場外で撮れる「決定的瞬間」を狙っていたという。

 ウト氏は就任式の前日、泊まっていたホテルの最上階を調べ、ホワイトハウスから飛び立つマリーンワンを捉えることができる唯一の出窓がある部屋に移動した。宿泊費は、前日までの2倍だった。時間は、午前8時前後と、米CNNの仲間から取材していた。薄暗い午前6時には、レンズ、露出、角度、全ての準備が進んでいた。

 新大統領の誕生、イコール、「混乱のトランプ時代」の張本人が去り行く姿──それが、ウト氏が狙った、彼にしか撮れないニュース写真だ。

「ニックは、瞬間で捉えるニュースの中にいつも生きている」(ハリス氏)

 就任式に先立つ1月13日、実はウト氏は、トランプ氏本人とホワイトハウスで会っていた。作家や俳優、歌手など芸術家に与えられる米国国民芸術勲章を受章するためだ。ウト氏の受章は、2020年に決定していたが、新型コロナウイルス感染拡大のために授章式が延期され、トランプ氏が退任する直前に日程が決められた。

■弾劾可決と同日の受章

 同席したハリス氏が当日の様子を話す。

「ニックは、すごくリラックスしていた。オリンピック選手のように、メダルを噛んでみせた。トランプ氏がジョークを言い、軍のバンドが演奏し、大統領を取り囲む全てがスムーズに流れていた」

 しかし、ホワイトハウスからわずか3キロしか離れていない連邦議会議事堂内で下院は同日、トランプ氏が1月6日に起きた議事堂襲撃事件に絡み、トランプ支持者を煽(あお)ったとして、2度目の大統領弾劾訴追を可決していた。バイデン氏の大統領選勝利を覆すため、議事堂に乱入するように、トランプ氏が群衆に呼びかけたとされる事件は、現在も米市民の生活に暗い影を落としている。しかも、共和党議員10人が、トランプ氏に反旗を翻(ひるがえ)し弾劾訴追賛成に投票した。

 つまり、この日、ウト氏を囲んだ笑顔と音楽、ジョークといった華やかなメダルの授章式の最中、「トランプ・ワールド」は、亀裂が生じ、崩れ始めていた。大統領が2度も弾劾訴追されるのは、米史上初という「歴史的瞬間」の日だった。

 ウト氏を囲むドラマは続いた。メダルを受章した翌14日夕、ホワイトハウス前で、暴漢に襲われ、脇腹や足を負傷した。ベトナム戦争取材中に負傷したのと同じ部位で、「トランプからメダルをもらったことに怒った奴に狙われたと、友人がジョークを言うんだ」(ウト氏)。しかし、同じく攻撃を受けたハリス氏は「明らかに薬物中毒の男性だった。しかも、ホワイトハウス前は、厳戒警備で自分たちしか歩いていなかった。全て異様な警戒態勢の中で偶然起きたことだ」と指摘する。

 ウト氏は翌日1日休養しただけで、就任式までの4日間、ワシントン中心部を歩き回った。筆者も就任式に先立ち、2日間で計25キロをウト氏と歩き、式が開かれる議事堂に最も近い取材地点を探した。議事堂周辺は、バリケードやフェンスが何重にも張り巡らされ、やっと見つけたのは、議事堂から800メートルも離れている就任式会場の裏側だった。そこは、多くの報道機関で混み合っていた。ウト氏はこの時点で、ワシントン中心部の反対側にあるホワイトハウスに狙いを定めたのかもしれない。

■世界を一変させた一枚

 1951年ベトナム生まれ。ベトナム戦争の最中、AP通信カメラマンだった兄が取材中に戦死し、その後ウト氏は16歳で、AP通信に入社した。

「人々が毎日死んでいく。毎日が悲劇だった。私は、優れた写真が戦争を止められる、と信じ、兄に『あなたに代わって、私が写真を撮る』と誓った」

 その写真を撮る「決定的瞬間」は72年6月8日に訪れる。縄跳びをして遊んでいた少女ファン・ティー・キム・フックさん(当時9歳)がナパーム弾で全身をやけどし、村人と逃げ惑う姿をウト氏が撮影し、「戦争の恐怖」というタイトルで配信。多くの米新聞1面に掲載され、「ベトナム戦争に対する印象を米国内だけでなく世界で一変させた」(ウト氏)という。73年にピュリツァー賞を受賞した。

 ウト氏は、実はキム・フックさんの命を救うのにも手を差し伸べた。彼女を撮影した後、車に乗せ、40分かかって最寄りの病院に運び込んだ。キム・フックさんは「私は死ぬんだと思う」と言い、ウト氏もそう思った。満床を理由に他の病院に行くようにと言う医師に、彼はAP通信の記者証を見せ、こう言った。

「このカメラの中に、彼女の写真がある。彼女が死んだら、その写真が世界中に配信される」

 医師らは即座に、キム・フックさんに応急手当てをした。その後17回の手術を受けて回復した彼女は、反戦運動家となり、現在はカナダに在住している。

 ウト氏の写真は、「瞬間」を封じ込めてなお、ストーリーを伝えることが可能であり、それが人々や世界を変えられることを教えてくれる。(ジャーナリスト・津山恵子=ニューヨーク)

※AERA 2021年2月8日号

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岩田剛典、デビュー10周年で「カッコつけないかっこよさ」知る

2021年2月5日 19:00 AERA

 昨年デビュー10周年を迎えた。パフォーマーとして、役者として活躍を続ける。公開中の映画について、30代となった自身の変化について語った。AERA 2021年2月8日号に掲載された記事を紹介する。

*  *  *
 行成薫の同名小説を映画化した「名も無き世界のエンドロール」が公開中だ。主演の岩田剛典(31)は、幼なじみのマコト(新田真剣佑)のために裏社会に潜り込む主人公・キダを演じている。穏やかだが、感情を表に出さない役柄だ。裏社会の交渉屋としてときに冷酷な表情を見せるキャラクターは、いままでにない挑戦だった。

岩田剛典(以下、岩田):キダはある出来事で自分のなかの何かが崩れ、壊れてしまった人物だと思うんです。そこから新たな人生が始まったけれど、目的を見つけられずに彷徨っていた。そんなときにマコトと再会して、マコトの夢に協力する。それがキダの人生のモチベーションになっていたのかなと。感情の振り幅の小さいキダをどう表現するのか、佐藤(祐市)監督やまっけん(新田)と話し合いながら人物を作っていきました。

——幼なじみのヨッチ(山田杏奈)を交えた3人の絆が物語の軸だ。劇中で中学時代のいじめについて語るヨッチの「怖いのは自分の存在が消されること」というセリフに共感したという。

岩田:核心をついているなと。人って承認欲求を満たしたい生き物だから、やっぱり認められたい。でも、現実にはどんな人も事件も世間は3日で忘れますからね。だからこそ僕も人の心に残る仕事がしたい。自分の仕事が、どこかで誰かにとっての、青春や思い出として輝き続けてくれたらいいな、と思うんです。


——ラスト20分で世界が変わるサスペンスフルな展開には、どうにもならない社会の格差や理不尽にもがく若者の怒りや哀しみも投影されている。

岩田:この映画は、生きる目的を探す「残された人たちの物語」だと感じました。ちょっとしたきっかけで、誰もが人生が大きく変わってしまう可能性がある。そんな大きなメッセージを持った作品です。今、まさにコロナ禍で苦しみ、追い詰められている方も多いと思います。この映画は決して「命を大切に」という作品ではないし、ある種、救いのない物語ともいえるかもしれない。ただ、見る人に何かを考えさせ、思いとどまらせるパワーはあると思っています。

——所属する三代目J SOUL BROTHERS(以下、三代JSB)では最年少。実生活でも末っ子だが、今回の映画では幼なじみ役のキャスト3人のなかでもっとも年上だった。

岩田:撮影時は山田杏奈ちゃんが10代、まっけんは20代。若者たちはもうテンションが違うんですよ(笑)。でも現場は楽しかったし、勉強になりました。特にまっけんは、ある意味サラブレッドで、そうしたものが表現や立ち振る舞いに自然に出ている。僕にはないものをたくさん持っているなあ、と思いました。

——10代でダンスと出合い、大学在学中にデビュー。三代JSBは昨年11月、デビュー10周年という大きな節目を迎えた。つまり、岩田自身もデビューから10年を経たことになる。

岩田:7年間、メンバーも代わることなく続けてこられたので、改めて「やっぱ仲いいな、俺ら」と思いました。特に一人一人がそれぞれ責任感を意識するようになったと感じます。それは社会人としての成長なのかもしれません。でも、この仕事は結果を出していかないと次につながらない。「危機感」は常に持っています。これからもその思いを持ちながら、メンバーと全力でやっていきます。


——この10年でパフォーマーとしてはもちろん、役者としても着実に作品を重ね、力をつけてきた。

岩田:ダンスは体に染みついているのですぐに思い出せますけど、演技は続けてやっていないと、感覚を思い出すのに時間がかかるので難しい。半年や1年くらい間隔が空くと、どうやってカメラの前に立っていいかわからなくなって、クランクインの日は毎回パニックです。ただ、この作品は地方ロケだったこともあり、映画の世界観に浸ることができました。ずっとキダでいられて助かりました。

——20代を経て、グッと色気と大人の魅力を増している。もうすぐ32歳。心境の変化はあったのだろうか。

岩田:30代になっていろんなことに対して肩の力が抜けたな、と思います。20代のときはがむしゃらに、とにかく目の前のことを一生懸命に「やらなきゃ、やらなきゃ」と、追われるような気持ちが強かったんです。それが30代になって、ある程度自分で自分のまわりのことをコントロールできるようになりました。

 それから、「カッコつけないカッコよさを知った」とも思います。いろんなものが削ぎ落とされたというか。着るものもこの数年で変わりました。すごくシンプルになっちゃったけど、それでいいかな、と思えるようになりました。

——昨年からのコロナ禍ではさらに、自分にとって何が大事なのかを考えたという。

岩田:最初はやっぱり心が折れそうになりましたよ。自宅でリモート仕事ばっかりになって、「もう無理! 終わったな、オレ!」って(笑)。でも気持ちを切り替えて、絵を描いたり、語学をやったり、映画を観たりして“自己投資”しました。振り返れば自分の将来や人生を見つめ直す、いい時間がたくさん持てたと思います。

(フリーランス記者・中村千晶)

※AERA 2021年2月8日号

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「想定よりずっと早くきたコロナ患者受け入れ要請」がん研有明病院・佐野武病院長インタビュー

2021年2月5日 19:00 AERA/photo・提供

 がん専門病院においてもコロナ患者受け入れが始まっている。国立がん研究センターは昨年4月から、埼玉県立がんセンターは同12月21日からコロナ患者の受け入れを開始した。さらに、がん研有明病院(東京都江東区)も同12月24日から受け入れを開始。日本トップレベルの民間がん専門病院のコロナ患者の受け入れは大きなニュースとなった。AERA 2021年2月8日号は、受け入れの経緯、がん治療への影響、感染対策などについて佐野武病院長に話を聞いた。

【クラスター発生の病院院長が告白 「消毒漏れ」は防ぎきれない 院内感染が止まない理由】

*  *  *
 事前に東京都から、福祉保健局が定める三つのレベルのうちレベル3(公表されている感染警戒レベルとは別)に達した場合、コロナ患者を受け入れるように要請されていました。そう簡単にはそのレベルに達しないだろうと思っていたら、12月に一気に達した。準備はしてきましたが、想定よりもずっと早かったですね。

 当院は高度な医療を提供する特定機能病院であり、多くの病院が必死にコロナと闘っている中で、受け入れは責務と考えました。しかし、普段は重症の呼吸器感染症患者を診察しておりませんし、ICUや人工呼吸器の数も大学病院と比べればずっと少ない。そんな当院にまで受け入れが要請されたことは、東京都の医療が極めて逼迫した状況になったことを意味しました。

 コロナ患者を受け入れることによりがん治療がおろそかになったり、縮小したりしてしまうことは是が非でも避けなければならない。そこでこれまでの「がん治療 最後の砦作戦」を維持するために、いくつかの基準を設定しました。

 まず、コロナ患者については外来を開かず、東京都から要請される感染確定患者さんの入院のみを受け入れます。ICUは準備していますが、基本的には軽症・中等症の患者さんのみの受け入れです。1病棟をコロナ専用病棟とし、定員は最大20人。この病棟は個室を含めて42床ありますが、いくつかゾーンを設けたり、4人部屋を1~2人で使用したりするなどの措置をとっているため、この人数が限界です。1病棟を転用するというのが、がん治療に影響を及ぼさないギリギリの状態です。


 当院には感染症科の医師が3人います。日ごろはがん患者さんの感染をケアする彼らが中心となり、感染対策のルールを作り、コロナ病棟での治療方針決定にかかわってくれています。

 いろいろな診療科の医師6人が1チームとなり、2週間単位でコロナ病棟専属になります。その期間、彼らは一切ほかの診療業務に手を出さない。その6人が通常行っている診療は、他の医師がカバーします。看護師は23人が固定で専用病棟の看護にあたります。もともと医師、看護師とも余力があったわけではありませんから、病院全体の負担は増しています。しかし、今のところ外来も手術も予定通り進めており、がん医療を守りながらコロナの患者さんを診ることができています。

 コロナ病棟からの感染波及を心配する方もいるかもしれませんが、完全に動線を分け、徹底した防護対応をしています。いろいろな病院でコロナによる院内感染が問題になるのは、感染を知らずに受け入れていた一般病棟でのケースです。すでに感染が判明していてしっかり対策がとれる専用病棟では、院内感染は起こりません。外来受診される患者さんの体温測定と問診の徹底、入院患者さんの面会禁止、職員は家族や決まった相手以外の会食禁止など、外部からのウイルス持ち込みを徹底的に防いでいます。

 当院では、昨年4~5月はがんと診断されて紹介されてくる患者さんが前年比で35%も減少しました。がんが減ったわけではなく、コロナ禍のために受診控えがおこり、がんの発見そのものが減ったことを意味します。がんは早期発見・治療が重要であると同時に、治療後も定期的な検査やフォローアップが必要です。「新型コロナの流行がなければ、どんな行動をとっていたか」を考え、どうか適切な検査・治療を受けていただきたい。

※AERA 2021年2月8日号

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マスクは性能ごとに使い分け 空気の抜け穴ウレタンは不織布の10倍

2021年2月5日 19:00 AERA

 マスクの飛沫抑制能力とつけ心地のよさは反比例していると言われている。国によっては、公共の場で医療用マスクの着用を求められるという。2021年2月8日号から。

【職人による手刺繍レースあしらったウェディングマスクも 進化するマスク事情】

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 新型コロナウイルスによる感染者が急増したドイツは1月19日、公共の場では布マスクを禁じ、医療用のマスクを着用するよう義務付けると発表した。

 米デューク大学などの研究チームが多様な素材のマスクをつけて声を出した際どれぐらい飛沫がマスクの外に出るかを調べた実験では、医療用マスクは飛沫がほとんど排出されなかった。

■素材により効果変わる

 世界保健機関(WHO)は昨年12月に出したマスク着用に関する指針で、新型コロナウイルスが流行している地域では、一般の人は「屋内や公共交通機関などでは布マスクを着用」とする一方、60歳以上や持病があるなどして重症化リスクの高い人は、「他の人と1メートル以上の距離を取れない場合には感染を防ぐために医療用マスクをするべき」だとした。また、感染を疑うような症状がある人や検査結果を待っている人も、他の人にうつさないよう医療用マスクをするべきだとしている。

 医療用マスク以外の性能はどうか。豊橋技術科学大学によるミスト(飛沫)生成装置などを使った実験や理化学研究所などによるスーパーコンピューター「富岳」のシミュレーションでは、マスクをした人から出る飛沫の量は、不織布マスクはマスク無しの場合と比べて20%に減り、布マスクは18~34%に減ったのに対し、ウレタンマスクでは50%までしか減らなかった。他の人の飛沫を吸い込む量は、不織布マスクはマスク無しに比べ30%に減ったが、布マスクは55~65%、ウレタンマスクは60~70%だった。


 フェイスシールドを着用した人から出る飛沫量は、何もつけていない場合と比べて80%、マウスシールドは90%にしか減らず、他の人が排出した小さな飛沫を防ぐ効果は無かった。

 実験した豊橋技術科学大学機械工学系の飯田明由教授(流体力学)によると、それぞれの繊維をどう空気が流れるかによってマスクの効果が変わるという。不織布は細かい繊維が複雑に絡み合い、飛沫がマスクを通り抜ける際に繊維に引っ掛かりやすい。一方、スポンジの素材として使われることも多いウレタンは、複数の気泡がつながった構造をしているため、空気が通り抜けやすい。穴の大きさは不織布の繊維間の穴の10倍ぐらいあるという。

 布マスクの場合、布1枚は碁盤の目のように穴があいているが、通常、複数枚の布を重ねてマスクが作られているため、碁盤の目が少しずつずれており、そこに飛沫が引っ掛かる。


 ただし、素材だけでマスクの性能が決まるわけではない。

「マスクのつけ方や使い方によって、マスク本来の性能がどの程度発揮できるのか大きく異なる。顔面とマスクの隙間が大きくなればなるほど、発揮できる性能は低くなる」(飯田教授)

■人や環境に応じて選ぶ

 WHOのマスク指針も、素材にかかわらず、▽マスクが鼻と口を覆い、顔面の隙間を最小限にする▽会話をする際にはずさない▽はずす際には、マスクの表面を触らない、などといった13項目の注意点を挙げている。また、適切なマスクの着脱方法などを動画で公開している。

 飯田教授は、飛沫阻止率の高いマスクは空気が通りにくいため呼吸もしにくい点を考慮し、マスクを着用する人や環境に応じて、どのようなマスクをつけるかを選ぶのがいいと言う。

「散歩やランニングなど屋外で運動の最中は、人との接触が少ないなら息苦しさが少ないポリウレタンマスクでも構わない。成長期で多くの酸素が必要な子どもや喘息など呼吸障害のある人で、不織布マスクで息苦しさを感じるなら、ストレス無く呼吸のできる別素材のマスクをしっかりと着用した方がいい。素材の差よりもみんながマスクを着用することの方が重要だ」

(科学ジャーナリスト・大岩ゆり)

※AERA 2021年2月8日号

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内田樹「コロナによる授業の詰め込みで、学校が“荒れている”のではないか」

2021年2月5日 19:00 AERA

 哲学者の内田樹さんの「AERA」巻頭エッセイ「eyes」をお届けします。時事問題に、倫理的視点からアプローチします。

【コロナ対策の手指消毒は「入店と退店時ともに」 「除菌」過信は危険「石鹸・洗剤が強力な武器」】

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 高校生の自殺者が増えている。厚生労働省は進路の悩みや学業不振が要因だと説明しているが、主因はコロナによる学校生活の変化だと私は思う。高校生たちはこの1年間修学旅行も運動会も文化祭も部活も、学業以外のほとんどの活動の自粛を余儀なくされてきた。そして、全国一斉休校の余波で遅れた授業時間数を取り戻すために、学校によっては6限を超えて7限まで授業を行っていると聞いた。

 学習指導要領に定められた内容を教え切るために、詰め込めるだけ詰め込むタイプの授業をしていると子どもたちは壊れてゆく。「ゆとり」以前の、学習内容が最多であった時期にどれほど学校が荒廃したかを多くの日本人はまだ記憶しているはずである。教えることが多すぎて、教師は生徒たちが授業内容を理解するまで時間をかけることができなかった。授業についてゆけない生徒たちは自分が教室にいることの意味がわからなくなった。周りからはまるで「存在しない人間」のように扱われた。自尊感情を深く傷つけられた生徒たちは「私はここにいる」と訴えるように「荒れた」。


 今それと似たことが起きているのではないか。短期間に学習指導要領どおりの内容を教え切ろうと無理をしているせいで、教員たちには生徒一人ひとりをケアするだけの余力がない。授業が理解できず脱落する生徒たちを支援する手立てがない。先日友人が「何年ぶりかに暴走族を見た」と驚いていた。「荒れる」高校生と「自殺する」高校生は同じ教育環境の産物であるように私には思われる。

 大学ではオンライン授業で、教師と学生との個人的なメールのやりとりが制度的に担保され、対面授業のときよりもむしろていねいな個別指導ができるようになったそうである。これまでだったら早い時期に授業から脱落したはずの学生が学期最後まで受講して、きちんと課題を出し、試験に通るようになったと聞いた。

 ことは子どもたちの命にかかわることである。一斉休校と詰め込み授業のせいで中高の生徒たちがいま味わっている苦しみについて、教育行政の担当者はもう少し本気で想像力を働かせて欲しい。

●内田樹(うちだ・たつる)/1950年、東京都生まれ。思想家・武道家。東京大学文学部仏文科卒業。専門はフランス現代思想。神戸女学院大学名誉教授、京都精華大学客員教授、合気道凱風館館長。近著に『街場の天皇論』、主な著書は『直感は割と正しい 内田樹の大市民講座』『アジア辺境論 これが日本の生きる道』など多数

※AERA 2021年2月8日号

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銀行アプリを高評価につなげた1人の「行内デザイナー」 日本と海外にあるプロダクトの差異

2021年2月3日 19:00 AERA

 ビジネスシーンで「アート」が注目されている。特にデザインの重要性が世界で認識されている。その背景にあるものとは。AERA 2021年2月1日号から。

*  *  *
 07年、iPhone登場の衝撃は、IT産業も激変させた。そして、アプリ開発に大きく影響を与えたのがデザインという考え方だった。いまでは多くのデザイナーがアプリのユーザーレビューを確認し、時には返事も書き込む。ひとたび口コミが広まれば、利用者数は国境を超えて何十倍にも何百倍にもなる。

「デジタルプロダクトは浸透するスピードがとても速く、ユーザーと向き合ったものづくりが重視される時代がきたと感じました」

 そう指摘するのは、ウェブやモバイルアプリのUI/UX(ユーザーエクスペリエンス)の設計やデザインを専門とするグッドパッチCEOの土屋尚史さんだ。グノシーやマネーフォワードなどの数々の企業と伴走してきた。だが、創業時、UI/UXデザインに重きを置く企業は多くなかったという。

「高度経済成長期のソニーやホンダ、パナソニックは経営者が今までにないものを作ろうというマインドを持っていました。それがバブル崩壊以降、創業者がいなくなった会社では、サラリーマン経営者が思い切った投資ができずにイノベーションが止まり、急ブレーキがかかってしまった」


■経営陣の中にデザイナー

 デザイナーの仕事の範囲は限定的になり、表層的なデザインが増加。その一方で、海外では真逆の動きが出ていた。

「経営陣の中にデザイナーがいて、優れたプロダクトは何かという意思決定やディレクションをしています。結果を見せるしかないと、UI/UXの良いデザインをたくさん手がけて、大切だと声高に言ってきました」

 積み重ねが結実し、グッドパッチは20年にデザイン会社として初めて東証マザーズに上場を果たす。デザインの重要性が日本市場にも浸透した証しだ。

「紙の通帳」を握り、ATMに並ぶことが当たり前だった金融業界にも地殻変動が起きている。

<分かりやすく、シニアの僕でも楽勝><消費者の側に立ってたくさんのサービス改善策を採用していて使いやすい>

 アプリストアで三井住友銀行アプリのレビューを開くと、デザイン性や機能性の高さを評価する声があふれる。同行リテールIT戦略部の江藤敏宏部長は、

「これまでややもすると銀行ファーストで作られることもあったが、お客様視点で作っていくという進め方を取り入れました」

 と説明する。フィンテック企業の参入や国を挙げたキャッシュレス化の波に後れを取るわけにはいかないと、インターネットバンキングのスマホ最適化を進めてはいたが、思うようなプロダクトを作ることができない。苦戦しながらたどり着いたのは、行内でのデザイナー採用だった。

「最初にデザイナーに投げかけたのは何がほしいの?ということでした。Windowsパソコンしかない状況で、僕たちには何が必要なのかもわからなかったんです」(江藤さん)

 Macの他に、アドビのイラストレーターやフォトショップなど一式を取りそろえ、アプリの大幅リニューアルに舵を切った。UXデザイナーとしてアプリに携わった堀祐子さんは、かつてワーキングホリデーで訪れたオーストラリアの銀行での体験が忘れられない。

「スマホでお金を引き落とせたり、電話番号で送金できたり、日本とは雲泥の差でした。過剰なボタン配置はなく、使いやすい。こんなにいいものがどうしたらできるのかと思ったら、銀行の中にデザイナーがいることがわかったんです」(堀さん)

 帰国後、三井住友銀行がデザイナーを募集していることを知り、17年に入行。プロジェクトメンバーたちは、UIやUXが大事だと認識しているものの、具体的にどう関わればいいのかを体感できておらず、デザイナーはいわば「得体のしれない存在」だったが、時間をかけて絵で説明するなどした。結果的にリニューアルしたアプリは、グッドデザイン賞という形でも評価を受けた。


■コロナ禍の「デザイン」

 長期化するコロナ禍でもデザインの在り方が問われている。

 ウェブサイトのUX改善などを手掛けるカイゼンプラットフォーム社長の須藤憲司さんは、デザインの重要性をこう語る。

「BtoBもBtoCも非対面営業となり、オンラインでお客さんと会話しなければいけない。ユーザーや消費者との接点をいかにDX(デジタルトランスフォーメーション)化して、自分たちが伝えたい物語をわかりやすく伝えるかが事業の成功につながります」

(編集部・福井しほ)

※AERA 2021年2月1日号より抜粋

【日本でも浸透! 欧米やシンガポール、中国も…世界が注目する「STEAM教育」って?】

外部リンク

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稲垣えみ子「人生いろいろあっても、最後は大きな自然の中へ帰っていく」

2021年2月3日 19:00 AERA

 元朝日新聞記者でアフロヘア-がトレードマーの稲垣えみ子さんが「AERA」で連載する「アフロ画報」をお届けします。50歳を過ぎ、思い切って早期退職。新たな生活へと飛び出した日々に起こる出来事から、人とのふれあい、思い出などをつづります。

【稲垣えみ子「相棒のちゃぶ台の修繕期間中に、ちゃぶ台なしの生活をふと考えてみた」】

*  *  *
 今年の正月は、父と姉と3人で母の墓参りへ。墓と言っても千葉は房総の山である。自然保護活動をしているNPOが、開発で削り取られたハゲ山を樹木葬により最後は自然の山に戻すという壮大な計画で、いずれは父も私も、母と共にこの山の一部となる。

 で、今回ここへ来たのは理由がありまして、母のお骨と共に植えたクロモジの苗が夏の酷暑のせいかうまく育っておらず、よければ別の木に植え替えますと連絡を受けたのだ。現地であれこれ相談した結果、木の成長が見たいという父の希望(何せクロモジは何度来てもとんと背が伸びてくれず父をやきもきさせていた)もあり、すくすく育つというエゴノキを植えることにした。

 冬のポカポカ陽気の中、誰もいない静かな山の中で、3人の中高年がヨタヨタと苗木を植樹するのは思いの外楽しい作業であった。何より嬉しかったのは、一見枯れてしまったようにも見えたクロモジが、植え替えのため掘り返したところ案外がっちり根っこをはっていたことである。厳しい環境の中でも人知れず枯れまいと踏ん張っていたんだと思ったら、最後まで頑張り屋だった母の姿を見るようで涙が出た。このクロモジも周辺の森づくりに大切に役立てさせていただきますとのこと。安心である。


 思えば我ら3人、母をこの地に埋めて以来、しょっちゅうここへ来ている。なんかね、どんな行楽地へ行くよりも楽しいのだ。自然が大好きな職員の方に近頃の山の木や鳥や虫の様子を聞き、のんびり墓苑を散歩して草花やらオタマジャクシやらを見て鳥の声に耳をすませていると、日頃の争いごとも悩みもどこかへ飛んで行ってしまう。いろいろあっても最後はこのような大きな自然の中に帰っていけば良いのだし、またそれしかないのだ。ならば何をあれこれ憂うことがあろうか。

 そうなのだ。何があろうが我ら死ぬまでは生きている。ならばどう生きるのか。人に優しくおおらかに。ということで正月編終了。今年もよろしくお願いいたします。

稲垣えみ子(いながき・えみこ)/1965年生まれ。元朝日新聞記者。超節電生活。近著2冊『アフロえみ子の四季の食卓』(マガジンハウス)、『人生はどこでもドア リヨンの14日間』(東洋経済新報社)を刊行

※AERA 2021年2月1日号

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