マスク着用が日常になるなか、使い捨てマスク以外のものを使う人も増えている。AERA2020年11月2日号では、各業界から日進月歩で開発が進むマスクを紹介する。
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「白いマスクじゃ興ざめ。何とか考えてほしいと言われて急きょ作り始めたんです」
こう話すのは、山形県米沢市の和装コートメーカー「おとづき商店」専務の弟月千恵子さん。接客を伴う飲食店従業員向けに「フェイスベールナイトスタイル」を6月から販売。全国から問い合わせが相次いでいる。
弟月さんは東日本大震災以降、それまで廃棄していた浴衣の端切れを「綿100%だから医療物資として使えるのでは」と保存。マスク不足が深刻化した時、通常業務をストップして社員総出でマスク作りを開始。小中高への寄贈、米沢市役所などの依頼による成人向けマスク製作を経て、フェイスベールナイトスタイルの製作へとつながった。その後「肌に優しいマスクを」との要望が寄せられ、昼の仕事用の「フェイスベールデイスタイル」も製作。品質も重視し、山形県工業技術センター置賜試験場で飛沫がどれくらい防げるかの試験も行っている。
「ハッピーになれる」がキーワードのマスクやマスク関連グッズも出ている。可憐なレースやキラキラ輝くクリスタルが素敵なウェディングマスクは、「VALORE.Co.U.bridal 金地」のもの。ブライダル・フォーマルのファッション小物の企画・製造・販売をして55年になる同社がコロナを機に、初めてブライダル用マスクを製造し、一般向けに販売を始めた。ベテランの職人がすべて手刺繍で作っているという。
マスクのゴムの痛さをおしゃれに解決したい──。主に女性から絶大な支持を得ているのが、ファッションブランド「mayla classic」の「ヘアオブジェ マスクリーフ」だ。販売するや瞬く間に大量に売れたほどの人気という。
■性能は確保して楽しむ
記者が使って驚いたのが、マスクに貼ると除菌・消臭効果を発揮する「マジックシールド」。あの「嫌なニオイ」を感じにくい。長時間のマスク着用も以前より不快ではなくなった。
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マスクが日常となった今、洋服を選ぶようにマスクを選ぶようになった。選択肢の幅が広がることはいいことだ。ただし、ウイルス対策を第一に考えるなら、やはり「性能」。日本衛生材料工業連合会(JHPIA)専務理事の高橋紳哉さんによれば「マスクの基本性能はフィルター部分の捕集(ろ過)効率と形状で決まり、捕集効率を示すにはフィルター部の性能試験法BFE、VFE、PFEが必要です」。ウイルス対策なら、少なくとも客観的データが分かるものを。その上で、気持ちが明るくなるものを選ぶといい。(ライター・羽根田真智)
※AERA 2020年11月2日号より抜粋
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