嵐の大野智による作品展が開催中だ。5年ぶり3度目の今回は、創作活動の集大成となる。AERA 2020年10月19日号から。
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訪れたその日は晴天。エントランスを抜けると、ガラス窓の向こうには真っ青な空と東京の街が広がっていた。その大空間に設置されているのが、台座を入れて2メートル60センチにもなる巨大フィギュア「グリーンヘッド」。少しずつ回転しているそれは、まるで東京の中心を回っているかのようだ。
皆さんに恩返しがしたい──。
嵐・大野智さんのそんな思いからスタートした「FREESTYLE 2020 大野智 作品展」が、東京・六本木ヒルズ展望台 東京シティビューで開催されている。2008年の「FREESTYLE」、15年の「FREESTYLE II」(東京・大阪 ※同年には中国・上海で「FREESTYLE in Shanghai 2015 楽在其中」も実施)に続く、約5年ぶり3度目となる展覧会だ。
大野さんの創作活動の集大成となる本展は、旧作から油彩やドローイングなど絵画約40点、フィギュアなどの立体作品約130点、写真約10点などを展示。新作は、「巨大細密画」や、嵐の58枚目のCDシングル「カイト」のジャケット写真のために描き下ろした作品など20点以上にのぼる。さらに、創作・展示のアーカイブまで幅広い作品を展示する。
作品展を担当したMCOの前園美佐子さんによると、大野さんが新作に取り掛かり始めたのは昨年秋から。制作のために倉庫を借り、昼夜一人こもって作業に励んだ。特に、新型コロナウイルスの自粛期間中は制作に集中したという。
「一番思いがあるものを描きたい」として手がけたのが、今年春に1週間で描き上げたというジャニー喜多川さんの絵画だ。
昨年7月に亡くなったジャニーさんを2273×1620ミリという巨大キャンバスに描いた大作で、これまでの作品になかった“いろいろな色を取り入れてポップに描き上げる”という新たな手法で臨んだ。大野さん自身、「ずっと見てても飽きない」という作品だが、実際間近で見ればその通り、メガネの奥を想像せずにはいられない。
ジャニーさんの絵と同じ大きさの巨大キャンバスを使用した新作の「巨大細密画」も見応えがある。
「まず全体を埋めていって。そこから最後、極細ペンで隙間を埋めていったんだけど。それは楽しかった」(大野さん)
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いくつもの漢字がありローマ字があり、手があり時計があり花があり、コブラがいて宇宙人がいて黒人がいて骸骨が並び……。大野作品の真骨頂といわれる細密画だが、彼の頭の中を想像しながらこの一枚を隅々まで見ているだけで、あっという間に時間が過ぎていく。
開放的な空間で見る大野さんのアートの世界は、見る者の心も日常から解きほぐしてくれる。
(フリーランス記者・坂口さゆり)
※AERA 2020年10月19日号
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