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飲食店苦境の裏で焼肉店は絶好調 コロナ禍での強みは「換気の良さ」

2020年12月16日 19:00 AERA

 多くの飲食店が不振に苦しむなか、焼き肉店は10月の売り上げが前年を超えた。好調の背景には、焼き肉店ならではの理由があった。AERA2020年12月14日号の記事を紹介する。

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 11月下旬、平日夜なのに都内の某焼き肉店は満席。コロナ禍で飲食店が軒並み苦しい状況にあるなか、10月の焼き肉店の売り上げは前年同月比を超える108.7%に達した。

 一部地域で緊急事態宣言が続いていた5月15日、覆面調査サービス「ファンくる」が「今、一番外食で利用したい店」を聞いた際も1位は焼き肉だった。


■自宅ではやりづらい


 焼き肉店「プレミアムカルビ」を運営する神戸物産の焼肉事業部の梅岡義央さんはこう話す。

「焼き肉は煙やにおいの問題もあって自宅ではやりづらく、ハラミやホルモン、タンなど、スーパーでは入手しづらい食材も多い。うちは車で来やすい郊外店ということもあり、緊急事態宣言解除後から徐々にお客さんが戻り、6月には前年比以上の売り上げを達成できました。コロナ前の計画通り、10月には新店舗をオープン、次の新規店舗も予定通り出す予定です」

 焼き肉店には他にも有利な点がある。感染拡大を防ぐために換気の徹底が呼びかけられているが、多くの焼き肉店が高性能の換気設備を備えている。換気量はそれぞれの場所の規模や用途に応じ、建築基準法や建築物衛生法で定められている。東京理科大学の倉渕隆教授(空気調和・衛生工学会副会長)は言う。

「厚生労働省はコロナ拡大を防ぐ観点から、換気の悪い空間を避けるために、1人あたり1時間に30立方メートルの換気量の確保を推奨していますが、これは法律で定められた一定規模以上の用途の室内に要求される換気機能と同水準。焼き肉店の場合、客席で火を使うのでキッチンや厨房などと同等ないしそれ以上の、さらに厳しい水準での運用がなされています」

 状況によって違いはあるが、23坪くらいの飲食店客席では1時間に2.5回、LDKのキッチンでは1時間に11.7回ほどで部屋のすべての空気を入れ替えるイメージだ。


■煙と一緒に空気も吸う


 ただし換気機能があっても、窓を開け忘れたり、換気扇などの機械を稼働させなければ、基準を満たせない。ところが焼き肉店では、無煙ロースターを使用すると自動的に部屋の空気が入れ替わる。無煙ロースターメーカー「シンポ」の営業管理課長、堀隆一さんはこう解説する。

「無煙ロースターは網の周辺にある丸い穴やスリットから煙を吸い込むのと同時に、店の空気も吸っています。吸気口から吸われた煙や空気は、床下に這わせた排気ダクトを流れて、店外に出ていきます。」

 シンポの試算によると、23坪の客席(容積200立方メートル)で、同社の無煙ロースターを11台稼働させた場合の1時間あたりの排気能力は3300立方メートル。1時間あたり16.5回、3分38秒に1回、店内の空気を入れ替えることになる。

 かつては焼き肉店に行けば、服や髪の毛ににおいがつき、これを敬遠する人も多かった。焼き肉業界はこの問題を解決して幅広い客層の取り込みに成功し、結果的にコロナ禍に求められる「換気のよい店」という条件も満たした。


 もちろん、換気だけではコロナを防げない。人との距離が近ければ飛沫が飛ぶ。焼き肉店でも手洗いや消毒、食事中の会話自粛など、一般的な注意は必要だ。前出の倉渕教授は言う。

「換気がよければ空気中のエアロゾルが希釈できますが、室温も下がり飛沫が広がりやすい環境になりがち。自宅などでは換気に加えて、抗ウイルスフィルターを付けた空気清浄機を置くのも対策の一つです」

(ライター・井上有紀子)

※AERA 2020年12月14日号

【感染リスク高い場所は断トツ「レストラン」 会食リスク 9800万人のデータで判明】

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「桜」の次は「卵」で疑惑 金と接待をめぐる農水大臣の問題から広がる関係者とは…

2020年12月16日 19:00 AERA

 鶏卵大手の前代表が政治家に現金を提供していたとされる疑惑。「桜」問題でも揺れる菅政権だが、むしろこの問題のほうに神経をとがらせているという。AERA2020年12月21日号の記事を紹介する。

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【賄賂 わいろ】自分の利益になるようとりはからってもらうなど、不正な目的で贈る金品。袖の下。まいない。

 国語辞典を引けば、子どもでもそれがダメなことは分かる行為のはずだ。それが有権者の信任を得て当選した政治家であるならば、なおさらである。

■陳情や接待は茶飯事


 第4次安倍改造内閣で農林水産大臣だった吉川貴盛衆議院議員に対し、鶏卵生産・販売大手「アキタフーズ」(広島県福山市)前代表が現金計500万円を提供したとされる疑惑。吉川氏と同じく第2次安倍政権で農水大臣、そして、安倍政権に続いて現菅政権でも内閣官房参与の要職にあった西川公也(こうや)前衆議院議員については、前代表からクルーズ船で接待を受けたのではないか、と取りざたされている。西川氏は8日、「一身上の都合」を理由に内閣官房参与を辞任した。

 この事件の背景には、アキタフーズを含む鶏卵業界では近年、鶏卵の取引価格が下落した際に、基準価格との差額を国が補填(ほてん)する「鶏卵生産者経営安定対策事業」の充実や、家畜をストレスのない状態で飼育する「アニマルウェルフェア(動物福祉)」の基準づくりの厳格化への対応が課題だったことがある。農水族の重鎮である吉川氏らに前代表は業界団体幹部として要望を繰り返していたという。

 ある農水関係者は、この業界でカネにまつわる不祥事が後を絶たない理由をこう説明する。

「農水省は他の省庁に比べると、旧態依然としたお堅い省庁で、その利権は複雑で多岐にわたる。権力という意味では、政権中枢からは離れている農水大臣にそれほどの力はないが、いわゆる農水関係者に対しては、“お大臣様”と言えば絶大な力を持っている。政治家への陳情や接待は日常茶飯事。何しろ田舎では選挙の時には農水関係者の票が大票田になるので、政治家も無視はできない。お互いに利害関係が一致しているのです」

 西川氏は2015年には政治資金の問題で農水大臣を辞任している。代表だった「自民党支部」が12年9月、国の補助金交付が決まった栃木県内の木材加工会社から300万円の寄付を受けており、西川氏は同社の顧問も務めていたという。

 今回は農水族を巻き込んだお金や接待をめぐる疑惑。同じ東京地検特捜部の案件だが、菅政権の周辺では、あの「桜を見る会」よりもむしろ、この件の進展に神経をとがらせているというのだ。


■現金授受リストの噂


 ある自民党関係者は、永田町にこんな噂が流れていると教えてくれた。

「現金が渡っているのは農水の族議員だけなのかということです。もし、それが政権中枢を担う他の大臣に飛び火したらえらいことになる。特捜部はすでに現金の授受のリストを入手していて、吉川氏以外にその人数はさらに増えるのではないかとささやかれています」

 菅政権が注視するのは、この事件の発端が広島を舞台に炎上している河井克行元法務大臣夫妻の公職選挙法違反事件の関係先として、アキタフーズが検察当局の捜索を受け発覚した事実だ。前出の自民党関係者はこう続ける。

「吉川さんは二階派のベテランで、派閥の事務総長を務めた人。また、河井元法務大臣夫妻と菅首相、菅首相と二階幹事長は距離も近い。そもそも、この選挙違反事件には巨額の1億5千万円とも言われる選挙資金が絡んでいる。菅首相は党からの支出には問題ないと明言していますが、その原資や使途などまだ明らかになっていないことが多すぎる」

 今後、このアキタフーズが河井案里被告の選挙に実際に関与していないかが焦点になってくる。しかし、菅政権は年明けの通常国会が始まる前までには、何とか沈静化させようと躍起になっているようだ。(編集部・中原一歩)

※AERA 2020年12月21日号

【「桜」夕食会問題で安倍氏秘書ら起訴なぜ今? 検察と官邸の「脱安倍」で利害一致か】

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バイデン氏は「最弱の米大統領」? 重要ポストにマイノリティーや精鋭のテクノクラートも…

2020年12月16日 19:00 AERA

 リベラル派市民の期待を背負い、次々と大物政治家や官僚を閣僚に投入するバイデン次期米大統領だが、民主党をまとめきれるのか、波乱の船出だ。AERA 2020年12月21日号の記事を紹介する。

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「財務長官は、ジャネット・イエレン前米連邦準備制度理事会(FRB)議長を指名する見通しだ」というニュースが11月30日(米東部時間)に流れると、株価が上昇した。財務長官としては女性初。FRB議長のほか、過去には大統領経済諮問委員会(CEA)委員長も務めたため、財務長官に就任すれば、初の経済主要ポスト「三冠王」となる。

 さらにCEA委員長には、プリンストン大学公共政策・国際関係大学院長のセシリア・ラウズ氏、行政管理予算局(OMB)局長に民主党政策スタッフのニーラ・タンデン氏が指名され、経済チーム3主要ポストが、初めて全員女性となった。

■上院で過半数がカギ


 初の女性チームは、バイデン・ホワイトハウスでもう一つ誕生する。ホワイトハウス上級広報チームで、大統領報道官のジェン・サキ元国務省報道官をはじめ、ホワイトハウス広報部長と副大統領報道官の3人全員が女性だ。

 また、国土安全保障長官にアレハンドロ・マヨルカス氏が、初の中南米系移民出身として指名された。国防長官には黒人のロイド・オースティン氏を指名し、人種的マイノリティーが重要ポストに抜擢(ばってき)される。

 しかし、バイデン移行チームが、ウケを狙って彼らを起用しているわけではない。女性とマイノリティーを起用しながらも、専門分野に極めて強い政策の職人、テクノクラート揃(ぞろ)いなのだ。それは現在国民の20人に1人が感染した新型コロナウイルスによる経済危機と雇用の崩壊を、コロナ前の軌道に戻していく闘いに向けた布陣なのである。

 ところが、テクノクラートの精鋭を集めても、上院において民主党が過半数を取れるかどうかが、バイデン新政権が直面する大きな問題となる。今のところ、100議席のうち共和党が50議席、民主党が48議席を獲得している。残った2議席は、来年1月5日に行われる、ジョージア州の改選議席と補欠をめぐる決選投票にかかっている。

 民主党が両議席を獲得できれば、50議席プラス、上院議長となるカマラ・ハリス次期副大統領の投票で、ギリギリ過半数となる。過半数を取れなければ、ねじれ議会となり、バイデン政権の政策・法案は、議会を通らずに日の目を見ない。


■民主党内の分断も大


 また、米紙ニューヨーク・タイムズによると、トランプ大統領に投票をした70~80%の人が、バイデン氏が公式に勝利したと信じていないという。2008年に大勝したオバマ前大統領よりも500万票近く多い7400万票を今回トランプ氏が得票したという事実は重い。

「私はブルー(民主党の色)でもなく、レッド(共和党の色)でもない、アメリカ合衆国の大統領になる」

 バイデン氏は選挙戦中からそう繰り返してきたが、分断をどう緩和し、統一していくのか。その具体的なアプローチは不透明なままだ。

 政治的イデオロギーの面では、身内の民主党内の「分断」も侮れない。

 民主党の予備選挙中、若者に熱狂的に支持された進歩派のバーニー・サンダース上院議員やエリザベス・ウォーレン上院議員は、バイデン政権で閣僚入りはしない。なぜなら、主要閣僚が就任するのに必要な上院での承認を得るのが難しいからだ。しかし、バイデン氏が8100万票を得て、トランプ氏に約700万票もの差をつけた勝利は、サンダース氏らが主張していた最低賃金の引き上げやヘルスケアの拡大、大学授業料の無料化などを切望する多くの若者たちがもたらしたものだ。

 バイデン陣営はウォーレン上院議員らからも政策面の助言を受け、気候変動問題を担当する大統領特使という新ポストを設け、ジョン・ケリー元国務長官を指名した。外交のプロとして、ホワイトハウスとの連携に通じているケリー氏が、バイデン大統領・ハリス副大統領のラインで、気候変動の「パリ協定」への復帰などを目指す。政治ニュースサイト「Axios」によると、国内の気候変動問題専門のポストも設けるという。これは、環境問題に敏感な若い有権者をハッピーにするためでもある。

 しかし、最低賃金引き上げや学費の無料化など、若者が窮状の中で求めている社会民主主義的な政策の実現に向けて、穏健派と専門性が高いテクノクラートで固めるバイデン氏のホワイトハウスができることには限界がある。若い有権者らが、少し時間がたてば、バイデン政権を批判し始めるのは目に見えている。


■最も弱い大統領の危惧


 民主党の進歩派は、長年主流派である穏健派に対し、多数派には達しないものの勢いを増している。ジョー・ケネディ3世下院議員(マサチューセッツ州、民主党)は、ジョン・F・ケネディ元大統領の弟の孫に当たる名家の出身だが、今年のマサチューセッツ州の上院議員予備選挙に臨み、進歩派の若者が支持したエドワード・マーキー現職議員に敗北した。一時は、進歩派の世襲政治一家だったケネディ一家の出身者が立候補して敗北したのは彼が初めてだ。

 ケネディ氏は12月9日、下院を去る際の短い演説で、失望を隠さなかった。

「助けや保護、正義やチャンスが真に必要な人にとって、政府は、資金も時間も気力さえもないと言い続けてきた」とし、政府に資力がないのは、「私たちの時代の大きな嘘」と批判した。進歩派的な発言ではあるが、今回の選挙で投票所に向かった若者たちは、彼以上の葛藤を抱え、ケネディ一家の遺産よりもさらに進歩派寄りの政策を求めている。

「ジミー・カーター元大統領以来、最も弱い新大統領になるだろう」

 こう予言するのは、国際政治学者でコンサルティング会社ユーラシア・グループ社長、イアン・ブレマー氏だ。上院の過半数を取る可能性が低いことと、連邦最高裁判所の9人の判事構成が、保守派が6人とスーパーマジョリティーを得ていることをその理由に挙げる。

 若者や黒人、女性など米社会のマイノリティーが、コロナ禍でも必死に投票所に向かい、バイデン氏を勝利させた。だが、米国の政治の仕組みや、バイデン氏をはじめとした旧世代の穏健派が実現を目指す政策は、若者らの期待に応えることになるのか。大きな試練となりそうだ。(ジャーナリスト・津山恵子(ニューヨーク))

※AERA 2020年12月21日号

【ポスト・トランプ時代を考える 星浩×長野智子が米大統領選を総括する】

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cat_1_issue_oa-aera oa-aera_0_51oxkxzey17u_「泥水飲んででもやってやる」 ミャンマー出身・森崎ウィンの“人間らしい”素顔 51oxkxzey17u 51oxkxzey17u 「泥水飲んででもやってやる」 ミャンマー出身・森崎ウィンの“人間らしい”素顔 oa-aera 0

「泥水飲んででもやってやる」 ミャンマー出身・森崎ウィンの“人間らしい”素顔

2020年12月16日 19:00 AERA

 スティーブン・スピルバーグ作品への出演などで話題の、俳優で歌手の森崎ウィンさんがAERAに登場。「今でも毎回必死です」と笑う森崎さんに、現在の思いを聞いた。AERA 2020年12月21日号から。

*  *  *
「もう一歩、なにかが足りない」

 スティーブン・スピルバーグや深田晃司といった名だたる監督たちの作品に出演したこの3年について聞くと、意外にもそんな言葉を口にした。

「役への向き合いかたなのか、普段の生活なのか。もう一歩覚悟が足りないのではないか、と思う自分がいます」

 柔らかい口調のなかに、葛藤がにじむ。

 それが、とても人間らしい。


 ミャンマーに生まれ、10歳で来日。俳優は“テレビのなかの人”というイメージしかなく、憧れを抱いたこともなかった。だが、14歳でスカウトされ、俳優を続けるうちに、「これはやりたいことなのかもしれない」と思えるようになった。意識が変わったのは、スピルバーグ監督の「レディ・プレイヤー1」(2018年)に出演してからだ。

「『本当に向いているのだろうか』という気持ちがぬぐえなかったのですが、『この世界で生きていけるかもしれない』と思えるようになりました。だったら、泥水を飲んででもやってやろう、これを仕事にして生きていこう、と」

「どうしたら仕事が決まるか」ではなく、「どうしたらもっとよくできるか」を強く意識するようになったのもこの頃だ。

「とはいえ、最近またオーディションに落ちてしまって」と笑う。

「順風満帆というわけではまったくなく、毎回必死です」

 オープンで正直だ。30歳を迎え、「飾るのをやめよう」と考えるようになった。

「深田晃司監督も、今日撮影をしてくださった蜷川実花さんも、多くの『人』を見てきた。取り繕っても、きっとすぐに見透かされてしまう。求められることには懸命に取り組みますが、『僕はこういう人間だ』と飾らずにさらけ出していきたいと思っています」

(ライター・古谷ゆう子)

※AERA 2020年12月21日号

【のん、気合入れて「行け―!」で表現した心の闇 映画「私をくいとめて」ができるまで】

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浜矩子「GoToプリズンを恐れてステイホームを決め込む安倍前首相は国会へGoToせよ」

2020年12月14日 19:10 AERA

 経済学者で同志社大学大学院教授の浜矩子さんの「AERA」巻頭エッセイ「eyes」をお届けします。時事問題に、経済学的視点で切り込みます。

*  *  *
今、安倍晋三前首相に是非言いたいことがある。「Go To 国会」。

 安倍氏の後援会が主催した「桜を見る会」の前夜祭について、彼の資金管理団体が参加者の会費と実際に要した費用の差額を補填していた。この事実を示す明細書や領収書が明るみに出た。この問題の存在が判明したのは、去年の秋だ。その後の国会答弁の中で、安倍氏は補填の事実はないと繰り返してきた。

 ご本人は、補填が実際に行われていたことを承知していなかった。安倍氏周辺の人々は盛んにそう言う。だが、彼らが必死でそう言い立てれば言い立てるほど、我々の「ホントかよ」の疑念は深まる。

 野党は、衆参両院の予算委員会への安倍氏の参考人招致を要求した。当然だ。本当に、ご本人がこの問題について知らなかったのなら、積極的に「Go To 国会」してその旨をしっかり語ればいい。それをすると、「Go To トラブル」となってしまうから、イヤなのか。

「Go To 国会」に安倍氏がひるむほど、我々は、彼にとって、そこに「トラブル」の要素があるに違いないと確信してしまう。どうかすれば「Go To プリズン」ということになりかねない。ひょっとして、そんな風に怯えているのか。

 現に、この補填疑惑については、政治資金規正法違反や公職選挙法違反の疑いが出ている。このような展開の中で、安倍氏が気配を消して、いない振りをすることなど、許されるはずがない。この場面で「ステイホーム」を決め込むとは、何事か。

 もとより、菅現首相も我関せずでは済まないはずだ。アホノミクスの大将が首相だった時、スカノミクスの親爺さんは官房長官だった。この問題に関する当時の答弁について、彼は「前総理に確認し答弁してきた」と述べている。この木で鼻をくくった言い方が、また、いけない。

 前首相が「ステイホーム」を貫き、現首相が「木で鼻」模様のマスク着用を徹底すればするほど、彼らの周囲に巨大な虚偽のクラスターが渦巻いているように思えてくる。ちなみに、“go to the devil”と言えば、「地獄へ行け」とか、「消え失せろ」の意だ。ほんのご参考まで。

浜矩子(はま・のりこ)/1952年東京都生まれ。一橋大学経済学部卒業。前職は三菱総合研究所主席研究員。1990年から98年まで同社初代英国駐在員事務所長としてロンドン勤務。現在は同志社大学大学院教授で、経済動向に関するコメンテイターとして内外メディアに執筆や出演

※AERA 2020年12月7日号

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「被爆2世」のネットニュースに違和感 福山雅治が“時代”や“人間”を歌う理由とは?

2020年12月14日 19:00 AERA/photo 浜野カズシ

 1990年に「追憶の雨の中」でデビュー。今年、30周年を迎えた。亡父の名前を冠した6年8カ月ぶりのアルバムには、父との別れによって芽生えた音楽への初期衝動が描かれている。AERA 2020年12月14日号に掲載された記事を紹介する。

*  *  *
——「時代」や「人間」を歌ってきた福山雅治。こうした言葉は主語の大きさ故、ともすれば空虚に聞こえてしまう。しかし、福山の歌の根源にあるのは、大きな時代の流れと対峙し、ときに翻弄される「個」としての生々しい感情、心の揺らぎだ。

福山雅治(以下、福山):「クスノキ」という歌があるんです。長崎に投下された原子爆弾の爆心地から数百メートルの場所に自生している「被爆クスノキ」を歌っているんですが、そもそもこの歌を作ろうと思ったきっかけは、世の中の被爆者に対するイメージに違和感を覚えたことでした。

 自分のラジオ番組で何げなく自分が被爆2世だと話したら、「福山、被爆2世であることを告白!」みたいな見出しでニュースになって……。「おや?」と思ったんです。一般の人からすると、被爆というのは未知の恐怖の対象でしかないんだなと。僕は、正しい知識を伴わずに被爆という言葉だけが独り歩きしていくことのほうがよほど恐ろしかった。自分が、当事者の視点からメッセージを発信することにこそ、社会的な意味がある。そう思ってあの曲を作りました。

——その当事者性は、一貫して揺らがない。最新アルバムのテーマは「血」。タイトルの「AKIRA」は、亡き父の名前だ。

福山:父は、僕が17歳のときにがんで他界しました。あの頃が人生で一番苦しかったと思います。父がこの世からいなくなってしまったことはもちろんですが、それ以上に、苦しむ姿を見ることに耐えられなかった。

 インターネットもなかったから、家族としては病院側の言うことを信じるしかない。父は50代前半でまだ若かったので、きっと乗り越えられると当初は希望を持っていたのでしょう。でも、当時のがん治療は、QOLという考え方もまだ周知されておらず壮絶で、積極的な治療や薬の投与により父は日に日に衰弱していきました。10代の僕でも「これは治らないのでは?」とわかりました。きっとみんな、途中からわかっていたと思います。もう無理だって。でも、「治療をやめよう」と僕から提案するなんてできるはずもなく……。

——過酷な闘病生活は約1年に及んだ。母親は毎晩、父親の病院に寝泊まりするようになる。

福山:母は、仕事から帰ってくると、すぐに病院に行って、父親のベッドの横で寝ずの看病を続けていました。夜中も「痛い、痛い」と父が呻(うめ)くから、あまり眠れていなかったと思います。それでも朝、病院から帰ってくると、僕と兄の食事を欠かさず作ってくれて。それからすぐに仕事に出かけて、帰ってきたらまた病院に行って……。僕は、そんな生活を続ける母の姿をただ見ていることしかできなかった。つらかったし、腹立たしかった。自分はなんて無力なんだと。両親を助けるお金もなければ知識もない。そんな自分にいら立って、親に優しい言葉をかけることさえできなかったんです。

■セルフカウンセリング

——やり場のない憤りを、福山はギターにぶつけた。音楽を聴くことで忘れたかった。当時、何度も聴いた曲が「Mother」。ビートルズ解散後、ジョン・レノンが初のソロアルバムの1曲目に収録した曲だ。幼い頃に蒸発した父。自分を捨てた揚げ句、交通事故死した母。両親への愛憎と別れを歌ったこの曲は、当時、ビートルズの人気と比較すれば全くと言っていいほど評価されなかった。それでも福山は、ジョンの言葉に心を揺さぶられ、涙した。曲の中でジョンは繰り返す。「Mama don’t go 母さん、行かないで/Daddy come home 父さん、帰ってきて」

福山:「Mother」は、ジョンが自身の精神の救済のために書いた曲ではないかと思います。そしてあの頃の僕も、音楽の力にすがっていた。音楽が、無力感やいら立ちから僕を一時、解放してくれた。だから自分もいつかそんな音楽を作りたいと、強く憧れたんです。

——デビュー30周年を迎え、父が亡くなった年齢に近づいたいま、自分が音楽に求めるものを再確認したい。そんな決意を込めて、アルバムに父の名を付けた。

福山:このタイミングで自分と音楽の関係性をもう一度見つめ直したいと思いました。でも、これが結構しんどい……。楽しんで曲を作る方もたくさんいらっしゃいますが、僕はいまだに苦しみのほうが大きい。もうひとりの自分がそばに立って、「お前は真実を告白しているのか?」と尋問してくるような感じで(笑)。

——福山は、「僕にとってソングライティングは、セルフカウンセリングのようなもの」と話す。曲を書くことは苦しいが、自身を救済するのもまた音楽だ。

福山:なんでこんな苦しいことをずっとやっているのか、自分でも不思議なんですけど。どうやら僕は幸福感を得にくい体質のようで……。「何を贅沢(ぜいたく)なことを言ってるんだ」と、お叱りを受けるかもしれませんが。でも、金品で満たされる、人と話して満たされる、表現で満たされるって、実は全部バラバラで。物質的に満たされていても、精神的な充足はなかったりする。僕の中から違和感や生きづらさといったものが消えない限り、音楽を作り続けていくんだろうなと思います。終わりのない修行というか。一体、いつになったら楽になるんだよ?って思いながら(笑)。

【アーティスト福山雅治を創り出した「育ての親と生みの親」 コロナ禍に30周年迎え思うこと】

(ライター・澤田憲)

※AERA 2020年12月14日号より抜粋

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減収しのぐカギは食費にあり エンゲル係数を下げる「3対1」法とは

2020年12月14日 19:00 AERA/photo 青木章(fort)

 コロナ禍による収入減で、ローンが払えなくなったり、生活が苦しくなったりするケースが出てきている。家計を守るためにはどうすればいいのか。支出に占める割合の多い食費から考える。

*  *  *
 コロナ禍で収入が減っても、家計を破綻させないためには、支出を抑えることが必要だ。

 どう支出を抑えればいいのか。ファイナンシャルプランナーの平野雅章さんは、カギを握るのは食費だという。

「統計的に見て、支出の中で占める割合が圧倒的に多いのが食費です。支出の見直しが必要な場合、食費削減を検討せざるを得ない相談者は多いです」
 
 家計支出に占める食費の割合を示すのが、おなじみ「エンゲル係数」だ。日本人の平均値は25%程度と全体の支出に占める割合が非常に高い。しかもコロナ禍のいま、「巣ごもり消費」で、食費は増える傾向にあるという。

 かさむ食費をどうすればいいか。『和田由貴のシンプル節約術』(あさ出版)などの著書がある消費生活アドバイザーの和田由貴(ゆうき)さんは、食費の節約で最も大切なのは「予算の管理」と話す。

「通信費や光熱費などと違い、食費は日々の積み重ねで決まります。そのためには、1日当たり食費をいくらにするか明確にして買い物をすることが必要です」

 その際、食費は「3対1」に分けることがコツだという。どういうことか?

「例えば、1カ月の食費の予算が4万円としたら、3万円と1万円という具合に分けます。3万円は1日1千円として野菜や肉など日々の食材に使い、1万円でお米や調味料など時々発生する常備品を買うようにします。そうすることで、お金を管理しやすくなります」

 1日あたりの予算に必ずしもとらわれる必要はない。3日分の買い物をするならば、「1千円×3日=3千円」で計算する。こうして、多少どんぶり勘定でも1週間で見て帳尻があえば大丈夫という。

 また、旅先などでの食費は「レジャー費」、飲み会は「交際費」、アルコールやお菓子といった嗜好品は「お小遣い」という具合に分けておくと管理しやすい。

 和田さんによれば、エンゲル係数が高い家は、冷蔵庫が整理されていない傾向が強いという。

「どこに何が入っているかわからないほど冷蔵庫がぎゅうぎゅう詰めの状態だと、結局、使い切れなくて捨ててしまい、その積み重ねがエンゲル係数を押し上げます。冷蔵庫の中にはこの食材があるから、これをつくろうと、『逆引き』で買い物をする習慣を身につけていきましょう」

 和田さんが推奨するエンゲル係数の目安は20%だ。しかし、40%の人が一気に20%まで下げるのは難しい。まずは30%を目標に、徐々に20%に近づけていけば、無理なく達成できるのではという。

「そのためには一度、家計簿で『家計の見える化』をしてください。すると、無駄な買い物をなどが浮かび上がり、そこを見直すだけでも食費をかなり下げることができます」

【「まさか、家をなくすとは…」コロナで住宅ローン払えずに競売通告 年末にさらに増える見込みも】

(編集部・野村昌二)

※AERAオンライン限定記事

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のん、気合入れて「行け―!」で表現した心の闇 映画「私をくいとめて」ができるまで

2020年12月14日 19:00 AERA/photo 松永卓也

 綿矢りさの小説『私をくいとめて』を、大九明子監督が映画化した。ヒロインを演じたのはのんだ。脳内の相談役Aと平和に暮らしていたが、ある日恋に落ちることになる。のん、大九明子、綿矢りさの3人が語り合った。AERA 2020年12月14日号から。

*  *  *
 31歳の会社員、みつ子(のん)は、おひとりさまライフを満喫中。楽しく生きられるのは、脳内に頼れる相談相手、Aがいるからだ。

綿矢りさ(以下、綿矢):Aのような存在は、私のなかにもいるのですが、みつ子のAは少し違って、彼女の「理性」のような存在。みつ子を叱咤激励するような気持ちで描いていました。

大九明子(以下、大九):小説を読んだときに、みつ子がAのことを他人事のように語っているのが面白くて、そこは丁寧に描きたいと思いました。Aはみつ子の理性ではもちろんあるのですが、みつ子が認めている別人格として描いていこう、と。とくにお互いを傷つけ合うシーンは、徹底して、普段は他人には言えない言葉をぶつけ合おうと思っていました。

「本当は言いたかったけれど、そのときは言えなかった言葉」というものが、私のなかにもあって、雨露のようにたまっている。そうした言葉は作品のなかに忍ばせています。特に綿矢文学には、それを忍ばせやすい。洗練された切れ味のいい言葉は、読者の誰もが自分の言葉のように感じられるもので、そこに感情をのせることで、気持ちを吐き出せるようになるんです。なので、綿矢さんの作品を映画化するときは、主人公が小説よりもちょっと乱暴になってしまっているかもしれないですね。

■価値観は譲れない

綿矢:確かに、威勢がよくなっているかもしれないですね。今回はのんさんが演じてくださったことで、そこにイノセントな雰囲気が加わり、みつ子がより魅力的になった気がします。

のん:みつ子を演じるにあたり、監督にいくつか質問をしてみたんです。そのなかで、一つ手がかりになったのが年齢に関するものでした。みつ子は30歳になる前は焦っていたけれど、いざ超えてみるとなんてことなくて、なんてことのない境地でぬるま湯につかって楽しんでいたら、久しぶりの恋で慌てている、といったことを監督がおっしゃっていて。その言葉を聞いて、「そういうことなんだ」と。

 一方で、みつ子にとって深刻な“心の闇”も描かれる。一人旅の途中に立ち寄った温泉施設で、ある女性芸人の姿を見て胸が苦しくなり、感情を爆発させる。大九監督が映画化するにあたり、新たに加えたシーンだ。

綿矢:他人から見れば、簡単に乗り越えられそうなことも、みつ子にとっては本当に難しいんだな、というのが伝わってきました。自分が大切にする価値観は譲れない、というのはみつ子のいいところでもあるけれど、同時に弱さでもある。観ていて、「頑張れ、頑張れ」と。

のん:涙を流さなければいけなかったのですが、涙を流すのがあまり得意ではないので、気合を入れて演じました。温泉施設でのシーンは共感できる部分が多く、絶対にいいシーンにしたいな、と思っていました。

大九:みつ子が抱える闇の部分を描くうえで、小説とは違う、自分なりのアプローチはなんだろうと考え、思い出したのが“女性芸人に向けられる周囲の視線”です。芸人は人を笑わせるのが仕事なのに、そこに「女性」とつくだけで、見えない重しがのってしまう。私自身、鬱々とした思いがあったので、吐き出したいと思いました。

 最初にのんさんにお会いして脚本の感想を伺ったら、「温泉施設でのシーンをうまくやりたいな」とおっしゃってくださって。「あのシーンに最初に言及してくれるんだ」とゾクゾクしたのを覚えています。「怒り」の表現に興味がある人なんだな、と。

のん:私は、「怒り」が一番素直な感情で、喜びを見せたり、楽しそうにしているのを見せたりするよりも演じやすい、と感じています。“扱いにくい怒り”というのももちろんあるのですが、怒りはガソリンにしやすい。即効性があって、燃料にしやすい感情なんです。

■気合入れて「行けー!」

 綿矢の小説には、日常ではなかなか口に出すことのない言葉が多く登場する。「私をくいとめて」という表現もそうだ。

のん:せりふ自体が力強いですし、小説のなかで成立しているすてきな言葉なので、口にするには勇気がいりました。なので、「そこまで持っていくのか」というくらいに、気合を入れ、テンションを上げ、「行けー!」という気持ちで飛び込みました。

綿矢:みつ子の“悲鳴”のような気持ちで書いていた言葉です。とても自然なせりふに聞こえました。確かに「くいとめて」という言葉はなかなか口にしないので、私も文字としては書くけれど、せりふにしていただけるとは思っていなかったです(笑)。大九監督は少し硬いせりふも現代的なやりとりのなかで表現してくださると感じています。

のん:タイトルにもなっている、素晴らしい言葉なので、自分が台無しにしてしまうのではないか、という恐れもありました。あのような“鋭い言葉”は、どのようにして生まれるのですか。

綿矢:最初の段階で書いているのは普段使っているような言葉なのですが、2回、3回と見直すなかで、少しずつ日常の言葉から離れていく。単語を置き換えていくと、元の意味とは一緒だけれど、少し工夫したような言葉になるんです。今回は「助けて」というような言葉を、違う言葉で伝えたいという気持ちがありました。映画でも、もう1、2段階と発想を飛ばしていくために、工夫されていることって、きっとありますよね。

のん:映画でしか観られないものってありますし、演技で何かを残したいという気持ちがあるので、役に対して薄っぺらい解釈をしたくないな、という気持ちはあります。

 そのために、原作を“攻略本”として読んだり、台本のなかに隠されていることをくみ取ったりするようにしています。台本からどれだけ拾えるかで、役がよりドラマチックになるというか。みつ子自身は意識していないかもしれないけれど、原作や台本を読むことで「こういうことだよな」とわかる瞬間がある。それを、見落とさないようにしたいと思っています。

のん/1993年7月13日生まれ、兵庫県出身。俳優、創作あーちすと。主な出演作に、声の出演となる「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」(2019)、「星屑の町」(20)など

綿矢りさ(わたや・りさ)/1984年生まれ、京都府出身。2001年、『インストール』で第38回文藝賞、04年『蹴りたい背中』で第130回芥川賞を受賞。『勝手にふるえてろ』『憤死』など著作多数

大九明子(おおく・あきこ)/横浜市出身。主な作品に、「恋するマドリ」(2007)、第30回東京国際映画祭コンペティション部門・観客賞「勝手にふるえてろ」(17)、「甘いお酒でうがい」(20)など

【白石麻衣、自粛期間中にお風呂で乃木坂の曲をヘビロテ 卒業後のチャレンジとは】

(ライター・古谷ゆう子)

※AERA 2020年12月14日号

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「私、死にたい…」全身マヒの女子高生の悲痛な声 「いのちの電話」相談員の忘れられない電話

2020年12月14日 19:00 AERA/photo 川口穣

 つらい。死にたい。そんな人の思いを受け止める最後の砦が、「いのちの電話」だ。相談員は長い研修と試験を突破せねばならず、しかも全くの無報酬という。AERA 2020年12月14日号では相談員らを取材した。

*  *  *
 孤独、人間関係の悩み、病や生活苦、そして「死にたい」という声。数は多くないが、今まさに手首を切った、屋上のフェンスに足をかけているといった電話がくることもある。電話相談窓口「いのちの電話」は、そんな声に向き合い続けてきた。去年1年間で受けた電話相談は、62万件にのぼる。

 今年はコロナ禍の影響で、一時休止を余儀なくされた窓口があった。相談員の減少や高齢化も進んでいる。だが、10月の自殺者数が前年同月比で39.9%上昇するなど、その必要性はこれまでになく高まっている。

 いのちの電話は、「日本いのちの電話連盟」に加盟する43都道府県53カ所の電話相談センターの総称だ。全国の相談員は合計約6千人。みな無償のボランティアで、センターごとに多少の違いはあるが、1年半~2年にわたる研修と試験を突破して相談員になる。

 研修費用も、相談場所への交通費も、すべて持ち出し。それでも、センターによっては24時間365日態勢で、名も知らぬ誰かからの電話を受ける。

■つなぎ直せない細い糸

 30代の女性相談員が取材に応じてくれた。相談員になって約5年。月に2回、深夜帯も含めて電話を受けている。電話をかけてくる人には、人間関係が希薄で深い孤独を感じている人が多いという。

「相談できる人が誰もおらず、この電話だけが社会とつながる細い細い糸という人が大勢います。私たちは話を聞くだけで具体的な問題解決はできないけれど、話を聞いてもらえる、認めてもらえることが必要な人がいる。そんな人と社会とのつながりを切らないために、なくてはならない活動だと思っています」

 忘れられない電話がある。

「私、死にたい……」

 ほとんど聞き取れないかすれた声でその電話がかかってきたのは、深夜12時を回ったころだった。かけてきたのは、高校1年生の女子生徒。数年前に事故に遭い、全身に強いマヒがある。学校にはほとんど通えず、今の生活にも、将来にも絶望しているという。懸命にその声を受け止めた。否定せず、苦労と頑張りをねぎらう。それまでを肯定し、少しだけ別の視点を加えられるように言葉を絞る。

 だが会話の途中、突如通話は切れてしまった。回線の不調か、女子生徒が自ら切ったのかはわからない。彼女のその後を知るすべもない。

「今でも思い出します。通話が切れてしまうとこちらからはどうすることもできません。なんとか生きる希望を見つけていてほしい……」

 かかってきた電話は、悩む誰かが社会とつながる1本の細い糸。その糸を途切れさせぬよう、慎重に、懸命に手繰り寄せる。その糸が切れてしまったかもしれない体験は、相談員の心にも重くのしかかる。

■相談内容が社会を映す

 一方、細い糸がしっかりとつながったことを実感する場面も多いという。

 ある年の冬、若いシングルマザーから電話を受けた。生活が苦しい。親とは疎遠で頼ることができず、仕事も見つからない。ハローワークに通い、履歴書を何通も出したが採用にはいたらない。もう、死んでしまったほうが楽なんじゃないか──。

「本当に頑張っていますね。そんなつらい状況でも逃げずに娘さんのことを一番に考えて、すごく頑張っていると思います」

 そう声をかけると、電話の先で彼女は泣きだしたという。

「そんなこと、言われたことがない。私は頑張れていない、ダメなんだと思っていた……」

 結果ではなくプロセスを承認する。言葉にするとたったそれだけのことでも、希望になると実感した。

「もちろん、その後彼女がどうなったかはわかりません。でも、そのときはひとまず生きる意欲を持ってくれたと思う。そんな実感がやりがいです」

(編集部・川口穣)

【事件後「自殺考える」相談者が9割 結婚破談、進学諦める人も…加害者家族を待ち受ける残酷な現実】

※AERA 2020年12月14日号より抜粋

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小島慶子「『性差の日本史展』で考えた 『搾取の構造』は明治も令和も続いている」

2020年12月14日 19:00 AERA

 タレントでエッセイストの小島慶子さんが「AERA」で連載する「幸複のススメ!」をお届けします。多くの原稿を抱え、夫と息子たちが住むオーストラリアと、仕事のある日本とを往復する小島さん。日々の暮らしの中から生まれる思いを綴ります。

*  *  *
 12月6日まで開催されていた国立歴史民俗博物館の「性差(ジェンダー)の日本史」展は大盛況で、図録のオンライン注文が殺到とか。私も見てきました。

 同展は「政治空間」「仕事とくらし」「性の売買」の切り口で、日本の男女の役割の変化をたどるもの。女性首長も珍しくなかった古代から時代が降るにつれて、男性の主流化が進みます。江戸に入るとメディア(絵画)で女性が鑑賞物として描かれるようになり、人身売買による幕府公認の売春(遊郭)に群がる、巨大な金融ネットワークが誕生。性搾取ビジネスは、幕府の財政や江戸経済にとって不可欠の存在に。呉服屋などの大店は、住み込みで働く大勢の男性労働者の性を管理し、使い込みを防ぐために特定の遊郭と契約を結び、売春ビジネスを支えました。男性は労働力として店主に管理され、その男性に買われる女性は性的な商品として楼主に搾取される構図です。明治以降も人身売買で借金を負わされた女性が過酷な性搾取に苦しむ構造は変わらず、1910~20年代には累積で当時の男性人口の9割に相当する男たちが買春する大衆買春時代に。男たちは妻子に貞操を説きながら、日常的に買春していたのです。

 令和の世はどうでしょうか。経済的に困窮した女性たちが決して安全とは言えない労働環境に追い込まれ、男性がモノを買うように日常的に性を買い、そこで働く女性が貶められる構造は変わりません。行き場のない若い女性がネットで出会った男性による性暴力や性搾取の被害に遭っても「自己責任」と言われ、男性は責められない。「男の性欲は制御できないから買春は当然」という通説を信じている人も多いですが、歴史の流れを見れば、構造的に作り出された搾取の仕組みだと分かります。

 莫大(ばくだい)なお金を回すために、女性も男性もモノのように扱われ自己責任にされる社会は、今も変わらないのです。

小島慶子(こじま・けいこ)/エッセイスト。1972年生まれ。東京大学大学院情報学環客員研究員。近著に『幸せな結婚』(新潮社)。『仕事と子育てが大変すぎてリアルに泣いているママたちへ!』(日経BP社)が発売中

【小島慶子「“美白”は差別か美容か 美意識に潜む先入観」】

※AERA 2020年12月14日号

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