cat_1_issue_oa-aera oa-aera_0_8lpl3n6x9ahg_2020年代は「大失業時代」到来か 「人よりテクノロジー」産業構造の変化も背景に 8lpl3n6x9ahg 8lpl3n6x9ahg 2020年代は「大失業時代」到来か 「人よりテクノロジー」産業構造の変化も背景に oa-aera 0

2020年代は「大失業時代」到来か 「人よりテクノロジー」産業構造の変化も背景に

2020年12月2日 19:00 AERA/写真・gettyimages

 コロナだけではなく産業構造の変化も影響し、大失業時代がやってくる。アフターコロナでは、人よりもテクノロジーによって生産性を上げるデジタルトランスフォーメーション(DX)が進むことも産業構造の変化に影響するとみられている。なくなる仕事もあれば増える仕事もある。仕事の移行が必要な時代が迫っている。AERA 2020年11月30日号で掲載された記事を紹介。

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 コロナ以外の要因も相まって、「大失業時代」を予測するのは、百年コンサルティング代表で、経営戦略コンサルタントの鈴木貴博氏だ。

「2020年代に産業構造が大きく変化する要素がたくさんあります。構造が大きく変わるので、特定の産業で大量の失業が起きたり、逆に介護など人手不足の業界が出てきたりして、その大きなアンバランスさが社会問題になると思っています。コロナだけの影響ではありませんが、2020~25年くらいにかけて大きな流れが起きてくるのではないでしょうか」

 鈴木氏によれば、産業構造の変化が起きる理由はさまざまに存在する。

 例えば、アフターコロナの時代のあり方一つをとってみてもそうだ。リモートワークが定着すれば、出張の機会が減ってビジネスホテルが今ほど必要とされないかもしれない。身近なところでは、鉄道会社はこれまで通りの収益を見込めないだろう。すでにJR東日本や小田急、東急などの大手私鉄でも最終電車の発車時刻の繰り上げなどが公表されているところだ。

 コロナをきっかけに、デジタルトランスフォーメーション(DX、デジタル化による変革)はやはり「必要だ」という社会的な機運もこれまで以上に高まる可能性がある。すでに身の回りでコロナ前から進んでいた、スーパーやアパレル業界でのレジの無人化などを思い浮かべると分かりやすいだろう。

 労働者が仕事を失わないためにはどんな手立てがあるのだろうか。鈴木氏が続ける。

「基本的には仕事を移行させるしかありません。なくなる仕事はありますが、それによって増える仕事は出てきます。マクロ的にはそのように解決するしかありませんが、誘導するために何をするべきかは、政府や企業が考えなければならないでしょう」


■人よりテクノロジーに


 仕事の移行については、野村総合研究所の梅屋真一郎氏も経済産業研究所の藤和彦・上席研究員もほぼ同じ意見だった。ただ、現場で起きているのはそう単純な話ではない。梅屋氏がこんな話をしてくれた。

「飲食や宿泊のサービス業ではこの半年間、労働投入量(労働時間)とアウトプットに、過去のトレンドからみると1割弱くらいの乖離(かいり)があります。一定のサービスを提供するのに、余計に労働時間がかかっています。消毒や料理の小分けなどが必要になっているため、サービスを提供する際に、今まで以上に手間がかかっている可能性があるということです」

 であれば、こうした業界でも従来以上に労働力が必要とされるケースもあるだろうが、やはりここでも鈴木氏が言及したDXとの関係が出てくる。

「もっと人を雇わなければいけないか、テクノロジーを使って生産性を上げるかのどちらかの選択になります。どちらの選択でもいいと思いますが、人を投入すればコストがかかる。企業にとってはテクノロジーをうまく使って今の人員でなんとかしましょうという方向に向かうでしょう」(梅屋氏)

 こうした産業構造の転換を伴ってやってくるのが大失業時代というわけだ。

 では、その痛みを少しでも軽減させる手立てはないだろうか。藤氏は、国や地方自治体などが率先して雇用を作り出すことが必要だと考える。注目するべきは、医療や介護の分野だ。


■今は財政規律ではない


 10月23日に閣議決定された20年版の厚生労働白書によると、医療福祉の分野で働く人たちは65歳以上の人口がピークを迎える40年に全就業者の2割にまで膨れ上がるという。すでに担い手不足が問題となっている分野でもある。

「欧米でのコロナの感染拡大や中国で今後起きるかもしれないバブル崩壊などを考えると、外需に依存することはできない。日本の多死社会、超高齢社会を支える人材を国や地方自治体が公務員として雇い身分を安定させ、所得水準も北欧並みに上げるべきでしょう。日本の経済学者は供給サイドの話ばかりやって構造改革をしてきましたが、それでは需要は生まれにくい」

 そのための財源は、どんどん国債を発行してまかなえばよい、というのが藤氏の考えだ。米国では2020会計年度(19年10月~20年9月)の財政赤字について、過去最大の3兆1320億ドル(約330兆円)に上る見通しで、赤字幅はリーマン・ショック後の09年度の2倍を超える。

「財政規律の話は今は優先順位は低いです」(藤氏)

 雇用を守ることは、命を守ることだ。総合的、俯瞰(ふかん)的に考えれば、「自助」を押しつけるべきではないだろう。(編集部・小田健司)

※AERA 2020年11月30日号より抜粋

【非正規雇用者がコロナ禍で「116万人減」…失業者は一体どこに消えた?】

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cat_1_issue_oa-aera oa-aera_0_7vqs4om5v44r_「桜を見る会」前夜祭費用の検察捜査スクープは官邸が読売にリークか 安倍失職までの道筋は? 7vqs4om5v44r 7vqs4om5v44r 「桜を見る会」前夜祭費用の検察捜査スクープは官邸が読売にリークか 安倍失職までの道筋は? oa-aera 0

「桜を見る会」前夜祭費用の検察捜査スクープは官邸が読売にリークか 安倍失職までの道筋は?

2020年12月2日 19:00 AERA/写真・朝日新聞社

「桜を見る会」の前夜祭費用を、安倍前首相側が補填していた疑惑が再燃している。安倍前首相の関係者に検察による捜査の手が及んでいる。その情報が明るみに出たのは、読売新聞のスクープだった。リークしたのは誰なのか。AERA 2020年12月7日号から。

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 東京地検特捜部による捜査はどう進展するのか。ある検察関係者は、この安倍事務所による前夜祭の開催費補填が、公職選挙法が禁じる有権者の買収に該当するか、そして、安倍前首相がその実態をどこまで把握していたかが今後の焦点と話す。

「買収と認められれば、仮に逮捕、起訴されるのが秘書だけであっても、有罪になれば連座制が適用されますので本人もアウトです。本件は当初、秘書を送検した上で不起訴で決着をつける方向に動いていたのですが、安倍前首相と近かった黒川弘務・元東京高検検事長が賭け麻雀騒動で失脚したことによって、特捜部の動きが正反対に変わったんです」

 検察関係者はこう続ける。

「誰が読売新聞にこの情報をリークしたのか。それができるのは杉田和博官房副長官しかいないのでは。菅首相は、安倍前首相が自分を差し置いて『外交の最前線に立つ』と周囲にぶちまけているのが許せなかった。党内でまことしやかにささやかれる“安倍3選”の声を封じる上でも、この特捜の動きは好都合だったんです。菅首相の指示があったのか、杉田副長官との阿吽の呼吸かは分かりません」


 当の菅首相は11月25日の参院予算委員会で、立憲民主党・福山哲郎幹事長の質問に対し、「捜査機関の活動内容に関わる事柄でありますので、お答えは差し控えさせていただきます」との答弁を連発。ただし、行政府と立法府の関係として、安倍前首相が嘘の答弁を国会で続けてきたことをどう思うのかという質問に関してのみ、こう踏み込んで発言した。

「仮定について私はお答えする立場じゃないと思いますけど、事実が違った場合は、それは当然、私にも答弁をした責任がありますから、そこは対応するようになるという風に思います」

 特捜部は年内にも決着をつけると意気込んでいるようだが、これで秘書だけを逮捕して「はい、終わり」というのでは絶対に国民は納得しない。そして、日本は三権分立の国だ。司法による捜査とは別に、立法府である国会で安倍前首相自身がこのつきつけられた疑惑について説明する責任があることは言うまでもない。(編集部・中原一歩)

※AERA 2020年12月7日号より抜粋

【桜を見る会「疑惑の前夜祭」と同じ会場で出陣式開いた菅氏 安倍政権の「負の遺産」放置の姿勢鮮明に】

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cat_1_issue_oa-aera oa-aera_0_s1i9irqnylra_ヴィーガンファッションのストーリーに共感する若者たち レザーもダウンも代替品で s1i9irqnylra s1i9irqnylra ヴィーガンファッションのストーリーに共感する若者たち レザーもダウンも代替品で oa-aera 0

ヴィーガンファッションのストーリーに共感する若者たち レザーもダウンも代替品で

2020年12月2日 19:00 AERA

 ヴィーガンは食だけでなくファッション分野でも浸透してきている。生態系や環境を犠牲にして消費を続けていいのか。若者たちを中心に、そんな新しい価値観が生まれている。AERA2020年11月30日号の記事を紹介する。

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 発色がきれいなパープルのバッグはステラ マッカートニー。羽織ったレザーのマウンテンパーカーは、マニッシュなスタイルが20代女性に人気の国内ブランドJEANASIS(ジーナシス)のものだ。

 アレルギーをきっかけに7歳のときからヴィーガン生活を続けている吉川夕葉さん(24)。彼女が身につけているレザー製品、どちらも動物の皮革を使ったものではない。いわゆるヴィーガンレザーと言われるものだ。


 人工皮革や合成皮革、さらにパイナップルの葉の繊維を使ってレザーの質感に似せた新素材など、非動物性レザーは総称してヴィーガンレザーと呼ばれる。

 食の面で広まった「ヴィーガン」は、ファッションやコスメにも取り入れられ、「ヴィーガンファッション」や「エシカルファッション」(エシカルは「倫理的な」の意)の言葉とともに浸透し始めている。

 ヴィーガンは、肉、魚、乳製品、卵など動物由来の食品を食べない人を指す「完全菜食主義者」のことだが、もともとヴィーガニズムとは「人間が動物を搾取することなく生きるべき」という主義を意味する。食べ物だろうと衣服だろうと同じことなのだ。

■一流ブランドが脱毛皮


 吉川さんはスキンケアやコスメも極力、動物由来原料を使わないものを選んでいる。

「原料とかは見てもわからないこともあるし、全部完璧にできるわけじゃない。でも選択肢があったらなるべく応援の意味も込めてヴィーガンのものを選びたいんです」(吉川さん)

 業界の動向に詳しいファッションビジネスジャーナリストの松下久美さんは、ヴィーガンファッションの潮流について、2017年のグッチのファーフリー宣言が象徴的な出来事だったと振り返る。ファーフリーは「脱毛皮」、つまり製品への毛皮の使用を廃止すると世界に向けて発信したのだ。前年の16年にはアルマーニが、18年にはバーバリーやシャネルなど一流ブランドが続々と脱毛皮に動いた。

 グッチのファー関連商品の売上高は年間13億円という規模だったという。それを手放してまで脱毛皮の選択をした背景を松下さんはこう分析する。

「クリエイターやデザイナー、モデルや顧客などで、食を中心にヴィーガン志向を持つ人が増えていました。そういう人たちにとってみたら、ファーやレザーなど動物性のものを使っているブランドとは一緒に仕事をしたくないし、買いたくないですよね。エシカルな企業であることを打ち出すことで才能ある人々と仕事をするチャンスを掴み、クリエーションでもビジネスでもプラスにつなげたいという思いがあったと思います」

 いま世界的に、新品の毛皮販売の禁止や毛皮農場の規制などの法整備が進み、技術の進化によってファーやレザーの代替品は高品質で作れるようになった。こうした動きが重なり、「代替のものがあるならそちらを選ぶ」流れが加速してきたのだ。

 ヴィーガンファッションをテーマに起業した若者もいる。

 LOVST-TOKYO(ラヴィストトーキョー)は唐沢海斗さん(28)がヴィーガンファッションセレクトショップとして2年前に創業。現在はオンラインストアの運営と並行してヴィーガン素材の代理店業務や商品開発サポートを行っている。


■本当にエコですか?


 扱うのは、イタリアの会社が作るアップルレザー、メキシコのカクタス(サボテン)レザーのほか、コーンレザーなど植物由来の新素材だ。基本的に作り方は似ていて、アップルなら乾燥させてパウダー状にしたものを樹脂と合体させる。廃棄されるリンゴを使っていると聞き、「エコですね」と感心すると、

「ヴィーガンファッションだからと言って、必ずしもエコかというとそうではないんです」

 と唐沢さん。原料に石油由来のポリウレタンを使っているから、という意味らしい。環境問題全体に視点を広げれば、非動物性だからオッケーという単純な話ではないのだ。唐沢さんはヴィーガンファッションを扱う中で「それって本当にエコなんですか」という問いをいつも突きつけられてきたという。

 それでもこの事業を続けるのは、価値観のイノベーションを起こす、そのきっかけになると考えているからだ。

「僕らは、Follow forms.(形から入ったっていいじゃないか)をキーワードにしています。ヴィーガンでも、ファッションは食よりバイアスが少なくて、形から入りやすい。入ってみると、矛盾にぶち当たりますが、でもそこからの学びのプロセスが大事だと思っているんです」

■水鳥を救う新ダウン


 最近では家具から車メーカーまで様々な企業から問い合わせが相次いでいると言う。「ストーリーに共感してもらえても価格が壁になることが多い」と現状の課題を指摘しながらも、前向きにチャレンジを続けている。

 冬の定番アウター、ダウンジャケットにも代替の選択肢が登場している。「SAVE THE DUCK」、水鳥を救おうという直球の名前を冠したこのブランドはイタリア発。現在では世界30カ国以上で展開している。日本で同ブランドを取り扱う帝人フロンティアの安田樹人さんが説明する。


「イタリア人のニコラス・バルジが12年に立ち上げました。バルジはもともと環境保護活動家で、保護犬を20匹以上も引き取って飼うほどの動物好きです。冬の高級アウターといえばダウン。レザーには代替の製品があるのだから、ダウンでも水鳥を犠牲にしない代替の素材を作れないか、というところから始まったブランドです」

 一部のダウンの生産現場では、生きている水鳥の羽根をむしり取るライブハンドプラッキングという方法がいまだに用いられていて、その時に死んでしまう水鳥も多いという。

 SAVE THE DUCKは、羽毛の代わりにプラムテックという素材を使用する。ペットボトルを再生した微粒子をポリエステル繊維に絡めて作った高性能の新素材で、同社が独自に開発したものだ。従来のポリエステル製の中綿よりも軽量で、通気性・保温性などにも優れている。

「昨年にはクライマーのクンタル・ジョイシャーがSAVE THE DUCKを着てエベレスト登頂に成功し、機能性の高さが証明されました」(安田さん)

 ダウンの機能をしのぐものが、動物を犠牲にすることなく作れるようになったのだ、と安田さんは胸を張る。


■時計作りの過程全体で


 国内時計メーカー大手のシチズンでも、ピニャテックスと言われるパイナップルの葉を利用して作られた素材をバンドに使った製品を9月に発売した。

「時計のバンドといえばカーフ(牛革)が当たり前で、それを除外したのは大きなチャレンジでした。様々なサステナ素材を世界中から探して取り寄せて、質感や耐久性などを吟味しました」

 と説明するのは、企画を担当した商品開発部の宮川花菜さん。

 サステナブルウォッチブランドを掲げる「シチズンエル」を国内で発売したのは16年。単にヴィーガン素材を使用するだけでなく、時計を作る過程全体で、サステナビリティーを意識してきた。

 光発電で電池交換が不要な技術は以前から搭載されていたが、それに加えて例えば、食べ物や化粧品のように、時計を構成する部品一つひとつまで成分を明らかにし、透明性を確保。材料調達から生産、廃棄まで時計の一生涯に排出されるCO2量も公開した。取扱説明書も紙を削減するためデジタル化した。

 文字盤に輝くのは、ラボグロウン・ダイヤモンド。ラボで育てられた、つまり合成ダイヤだ。

「当社では、通常の天然ダイヤをシチズングループ調達基本方針に基づき調達していますが、ラボグロウンであれば不当な児童労働などの心配も全くありません」(宮川さん)

 さらに同ブランドでは、武装勢力の資金源となるいわゆる「紛争鉱物」を使用しない「DRCコンフリクトフリー」宣言もしている。

「時計は小さいけれど自分のアイデンティティーを示すもの。どこかの誰かが嫌な思いをして作られたものを腕につけたくない、という思いでこだわりました」(同)

 当初は40代女性をターゲットに想定していたが、価値観に共感した30代以下の若者からも支持されているという。

 かつて「フェイクファー」「フェイクレザー」だった言葉は「エコファー」「エコレザー」に変わりつつある。

 フェイクかリアルか、人工か天然か。そこに優劣をつけるのではなく、自分が何を大事にするのかを優先しスタイルを選択する。すでに消費者たちは変化を始めている。(編集部・高橋有紀)

※AERA 2020年11月30日号

【キメツノミクスで全集中「株価上昇の呼吸」が続く10銘柄 『鬼滅の刃』経済波及効果2千億円超】

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コロナ対策の手指消毒は「入店と退店時ともに」 「除菌」過信は危険「石鹸・洗剤が強力な武器」

 感染しない、させないために、私たちができることは何だろうか。気を付けているつもりでも、忘れていることや勘違いはないか。テレビで聞いたあの話は本当か。AERA 2020年11月30日号は、感染制御学が専門の菅原えりさ東京医療保健大学教授に聞いた。

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 まずは手洗い。菅原さんは「水だけで洗ってもウイルスが流されることはあり全く意味がないとは言わないが、ウイルスを落とすには不確実」と話す。

「基本的には石鹸で洗ってください。固形石鹸でもハンドソープでも大丈夫。種類はとくに気にする必要はありません。成分として含まれる界面活性剤がウイルスに付着し、死滅させる効果があります。また、アルコール消毒液を併用する必要はなく、どちらかひとつで構いません」

 スーパーなどでは、入り口に置いてあるその消毒液を使うことになるが、入るときと出るとき、どっちで使うべきなのか。

「2回とも使ってください。入るときは、店にウイルスを持ち込まないため。ただ、店の中の商品は不特定多数の人が触っています。何か商品に触れたら『その手はもう汚れているんだ』という意識で買い物を続け、店を出る前に消毒です」

 行き帰りも同様。何かに触れたら、その手は「汚れている」という意識を持ち、できるだけ顔の方に持っていかないことが大事だと言う。

 次は自宅。菅原さんが警鐘を鳴らすのは、家で使う除菌・消毒用品の選び方だ。「抗菌」「除菌」などとうたう商品に飛びつくのは危険だという。

「これらは非常に曖昧な言葉で、明確な定義はありません。その言葉を信用して『消毒したつもり』になってしまうのはよくありません」

 前出のように、新型コロナには洗剤の成分である界面活性剤が効く。だから、家庭内の消毒には最も一般的で手軽に買える「界面活性剤入りの家庭用洗剤」で十分だという。ラベルの成分欄に「界面活性剤」や、薬品名の「アルキルグリコシド」などと書かれている。たとえば花王の「マイペット」などだ。

「あとは『アルコール(エタノール)が60%以上入っている』との表示のある消毒液や、お手拭きやお掃除用ウェットティッシュなどに使われる低水準消毒薬(塩化ベンザルコニウムなど)もウイルスに効きます」

 詳しくは厚生労働省のホームページ「新型コロナウイルスの消毒・除菌方法について」に掲載されており、参考になる。

 ウイルスを持ち帰った気がして、リビングの空中に消毒液をシュッシュッ。やってしまう人も多そうだが、それ、NGだ。

「やめたほうがいいです。まず空気中に拡散して吸い込むと人体への悪影響があります。また、空気中を浮遊するウイルスを消毒薬が正確にとらえて死滅させる可能性にかけるのは、まったく非効率です」

■換気に加え湿度管理も


 続いてマスク。タレントや政治家がよく着けている透明のマウスシールドについて菅原さんは「効果はあまりない」と話す。

「口からまっすぐ飛び出す飛沫はカットできても、放射線状に飛び散っていくものは防げません。マスクで鼻と口を隙間なく覆うのが原則。不織布マスクでも布マスクでも大丈夫です」

 マスクと言えば、悩ましいのが「会食中のマスク」だ。会食はできるだけ控えるにしても、ゼロにするのは難しい人も多いはず。政府の新型コロナ感染症対策分科会の尾身茂会長が会見で、会食中の感染対策として一口食べてはマスクをし、また外して一口……という方法を披露したが、さすがに非現実的に感じて笑ってしまった人も多いはず。菅原さんも困惑気味だ。

「先に食べるだけ食べて、おしゃべりするときにマスクを着ける。お酒を飲みながら何かつまむときは、黙って食べて、お酒を一杯飲んでマスクして。味気ないですけど、そんな方法しかないのでは……。あとは『誰かと向かい合って食事をすることは、危険な行為だ』ということを、一人ひとりがいま一度心に留めるしかないと思います」

 続いては換気だ。たとえば休日など家族でずっと家の中にいる環境の場合、朝、昼、夕方の3回、窓を開けて換気するのが大まかな目安だという。

 同様に重要なのが加湿器などで湿度を保つことだという。湿度が高く気温も高いとウイルスの膜が脆弱になり、膜が溶けたり壊れたりすると死滅する。のどから異物を排出する繊毛の動きも、湿気があると活発になる。

「ウイルスの過ごしにくい環境は湿度40%から60%。厚労省は60%を推奨しています」

【インフル×コロナ、「ツインデミック」への警戒強まる 感染予防のためにできること】

■慣れずに基本の徹底を


 次はお風呂。年末年始は帰省などで普段は離れて暮らすお年寄りと一緒に生活する機会も多い。重症化リスクが高いお年寄りが最初にお風呂に入った方がよい、という説もあるようだ。菅原さんは言う。

「もし万が一、ウイルスを持っている人がお風呂に入ると、壁やタイルにウイルスが付着する可能性はあります」

 新型コロナウイルスは、たとえばプラスチックの上では3日間など、ものの表面で一定期間、生き延びる。とは言えお風呂なら自然に水で流されていくので、それほど注意する必要はないのではと菅原さん。

「ただ、浴室内の空気中にウイルスが舞う可能性はありますし、その後に入ったお年寄りがそれを吸入することはあり得るとは思います。その意味では、お年寄りを新鮮な空気のお風呂に最初に入れてあげるのは意味あることかもしれません」

 年末年始はクリスマスや初詣など人混みの中に出かけるシーンも多い。初詣はいかにも「密」という感じだが……。

「初詣はほとんどが屋外で過ごすので密閉状態は避けられる。あとは『そこに滞留すること』をできるだけ避けるようにしてください」

 マスクを忘れず、他人とは自覚的に距離を置く。お参りが終わればすぐに立ち去る。参道の露店などでの飲み食いも、今年はあきらめよう。

「また、初詣は2月3日の節分までに行けば間に合うとされていますので、できるだけ三が日に集中しないよう、分散を心掛けることも大切です」

 さらに拡大の予感がある第3波。日々の生活でもより一層の注意が必要だが、あらためて考えても、難しいことはないように思える。菅原さんは言う。

「マスクと適切な手洗い、人混みの中に行かず換気のいい場所にいる。基本はそこに尽きると思います。ただ、やはり人間は必ず、状況に慣れてきてしまいます。どうしても緩んでくる。やるべきことはすごく単純なことなので、一人ひとりがそれを忘れないで継続していく力、気持ちが重要だと思います」

(編集部・小長光哲郎)

※AERA 2020年11月30日号より抜粋

【コロナ第3波「40~50代の感染拡大」が招く恐怖のシナリオ】

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グーグルのコロナ予測と「8割おじさん」の被害想定 悲観シナリオ「感染抑止」に意義

2020年12月2日 19:00 AERA

 自治体などが連日発表する陽性者数は「これまで」を把握するのに必要だ。しかし、グーグルが公表したのは「これから」の数値。予測には、意義がある。AERA 2020年12月7日号から。

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 11月15日~12月12日の28日間の累計で、新型コロナによる全国の死亡者は512人、陽性者は5万3321人に上る──。ショッキングに感じる人もいるかもしれないが、連日のように過去最多を更新する今の感染状況を踏まえれば、「あり得るかも」と受け止めるべきなのかもしれない。

 これは米グーグルが11月17日の公開初日に示した、感染症の数理モデルとAI(人工知能)を組み合わせた新型コロナの感染予測情報だ。

 ちなみに、11月26日時点の予測は11月24日~12月21日の28日間の累計で、全国の死亡者は758人、陽性者は6万4167人とさらに膨らんでいる。

 グーグルによる感染予測情報の日本版は、米国に続いて世界で2番目という。米国で公開しているのは予測開始日から14日間の陽性者数や死亡者数、入院患者数などの累計予測値だが、日本版は「より長期の予測データを求める声に応じる形」(グーグル広報部)で28日間に設定。予測値は都道府県ごとに日々更新されている。誰でも無料で閲覧可能だ。


 日本版を監修した慶應義塾大学の宮田裕章教授(42)が最も留意したのは「日本の実態を高い精度で捉えられているか」という点だったと言う。

「分析の仕方は米国のモデルと同じですが、日本国内のデータに基づいて日本独自のアルゴリズムで作っているため米国と日本のAIは別物です。それでも適切な予測ができるか検証する必要がありました」

■移動情報の把握が強み


 世界に冠たるグーグルが提供するサービスだけに、政府も高い関心を示す。

「厚生労働省で関係者から予測の前提条件などについて聞くことになっている」

 加藤勝信官房長官は11月18日の会見で、政府として関係者から予測の前提条件を聞き取る方針を示した。

 たしかに気になるのは予測の精度だ。AIと膨大な疫学的データを組み合わせ、時系列の予測を行う上で重要なのは、データの選択と信頼性だろう。

 グーグルは厚労省が発表している陽性者数や死亡者数、病床に関するデータのほか、地理情報、国民の健康や医療に関する各種統計、国勢調査の結果などの国内データを挙げている。ポイントはグーグルが独自に集めた人の移動に関する情報を加味している点だと指摘するのは、医学統計に詳しい北海道大学大学院の横田勲准教授(33)だ。

「感染予測が外れる最大要因は人間の行動の不確かさによるものです。スマホにグーグルマップをインストールしている人は、都市・地方を問わず日本中にランダムにいます。こうしたマップユーザーの承認さえ得られれば、グーグルはプライバシーを保護した形で移動情報を把握することができるのが一番の強みでしょう」


 これはグーグルが今年4月から世界で公表しているスマートフォンの位置情報を使った人々の移動状況の分析データで、「コミュニティモビリティレポート」と呼ばれている。食料品店や公園など特定の場所を訪れた人の数の変化を時間の経過とともに把握できる。こうした国内データを利用してAIをトレーニングしたため、予測結果は感染に対する人々の反応などを含め日本独自の状況が反映されたものになっているという。

 また予測モデルは、個人の状態を「感染前」、「曝露」(感染したものの他者を感染させる段階に至っていない状態)、「発症」(他者に感染させるリスクがある状態)、「回復」(回復して免疫を獲得または死亡)の4区画に分類。AIはこの区画を人がどのように移動するかを複数のデータソースに基づいて算出している。この遷移率は都道府県ごとに判断されているという。

 東京都と神奈川県を比較してみよう。

 11月23日時点のグーグルの予測情報は、東京都が今後28日間で陽性者数は1万7277人、亡くなるのは59人と予測、神奈川県は陽性者数が5993人、54人が亡くなると予測している。神奈川県の死亡者の比率が高い理由について横田さんはこう推測する。

「陽性者の年齢や、地域ごとの年齢分布も加味されているからこそ出せる予測値なのだと思います」

 AIの機械学習と良質なオープンデータを駆使すれば、古典的な数理モデルによる予測の限界を超えられる。数理モデルを使った感染予測といえば、政府の感染封じ込め策を先導した元北海道大学教授の西浦博・京都大学教授が示した予測値が記憶に新しい。

【コロナ第3波「40~50代の感染拡大」が招く恐怖のシナリオ】

■予測値が「意識」高める


 2月下旬に厚労省にクラスター対策班が発足した際、データ解析を託された西浦さんは中国の感染データをもとに日本の流行ピークを4月と見通し、感染拡大を抑制する方策として人との接触を8割減らすよう提言し、「8割おじさん」の異名を取った。西浦さんは4月の記者との意見交換会で「まったく感染対策をしなかったら、約85万人が重症化し、その約半分(約42万人)が死亡する」との被害想定を発表。すると、接触8割削減の方針は「過大な制限」と集中砲火を浴びた。

 北大時代の西浦さんと親しく交流していた横田さんはこう振り返る。

「西浦先生が発表した段階では、治療法は手探りの状況でしたし、今のように新型コロナに感染しても発症せず、自然に治癒している人が多いことや、感染者クラスターを生み出すリスクの違いによって、1人が感染させた人数に集団内で大きな異質性が認められることがよくわからない時期でした。あの時点でベストの予測をされた、と僕らは考えています」

 留意しないといけないのは、西浦さんはあくまで「まったく感染対策をとらなかった場合」という前提での予測値として説明していた点だ。国の緊急事態宣言のタイミングはともかく、4月以降、国民の多くが危機感をもって行動制限したり、ソーシャルディスタンスに気を使うようになったりしたため感染を抑え込むことができたのは紛れもない事実だ。

 今回のグーグルの予測情報についても、横田さんは同様に捉えるべきだと指摘する。

「今のままでいけば、という悲観的なシナリオに基づく予測と捉えるべきです。政府が今後、再び緊急事態宣言を発令するなど人の流れを根本的に変える政策に踏み切った場合、予測は外れるでしょう。GoToキャンペーンも含め、政府がどのタイミングでどれくらいの規模で行動制限をかけるかによりますが、効果的な対策がとられた結果、うまく抑え込むことができれば、『良かった』と受け止めるべきだと考えます」


■情報の一つとして活用


 予測精度の限界についてはグーグルも「予測結果は学習に使用されるデータに依存する」と強調している。データソースに最新情報が反映されるまで数日かかるため、出力された予測データにすべての最新のデータが反映されない可能性や、検査の報告方針などに変化が起きた場合、これらの変化が予測結果にタイムリーに反映されない場合もあるという。

 監修に当たった前出の宮田さんもこう注意を促す。

「自治体によっては日をまたいで報告が遅れて公開されるエリアもあり、その分、直近の状況が過小評価される傾向も見受けられます」

 グーグル広報部は「あくまで予測であることに留意していただき、医療機関や行政機関などが感染拡大に対応するための情報の一つとして活用されることを期待しています。個別の数字ではなくトレンドとして捉え、複数のデータソースと組み合わせて活用してほしい」としている。(編集部・渡辺豪)

※AERA 2020年12月7日号

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NiziU デビュー曲で「自分らしく」「恩返し」 胸に刻んだJ.Y. Parkの「金言」とは

2020年12月2日 19:00 AERA

 日韓合同オーディション・プロジェクト「Nizi Project」発のガールズグループNiziUは、デビュー前にもかかわらず紅白歌合戦に出場が決定した。彼女たちを読み解くカギは、「自分らしく」「心から楽しむ」だ。AERA 2020年12月7日号から。

*  *  *
 プレデビューとして今年6月に配信限定リリースされたデジタルミニアルバム「Make you happy」は、オリコンチャートを席巻し、キュートな縄跳びダンスが話題になった。NiziUは日韓合同オーディション・プロジェクト「Nizi Project」(通称、虹プロ)発のガールズグループだ。最終選考を控え韓国に渡ってから約1年、メンバーは韓国で共同生活を送り、デビュー準備に励んできた。

リオ:実力を高めるため、ボーカルやダンスレッスンをしたり、韓国語も習ったりしていました。

マヤ:レッスン中心の生活でしたが、外出自粛前はメンバーと遊園地に行ったり、買いものに行ったり、息抜きもしました。

アヤカ:韓国にも日本のパン屋さんがあって、焼きそばパンを食べたり。

ニナ:かわいいカフェを見つけて行ってみたりもしました。チョコレートが有名なカフェがあって、チョコ好きのマコちゃんが「どうしても見つけたい」というので、リマちゃんと3人で、20分くらい探し歩いてやっと見つけました。

マユカ:合宿所では、みんなで映画を観たりもします。ホラー映画を観ているのを知らずにリビングに行って、「わあ!」みたいなこともありました(笑)。

マヤ:私、ホラー映画が大好きなんです。えへへ。


■挨拶は完璧に揃えたい


マコ:マヤとリオ、私は料理もします。マヤが「マコちゃんはこれやって」「リオちゃんはこれ」と、てきぱきと指示をくれて、最後は味のチェックまでしてくれるんです。マヤちゃんのおかげでレパートリーがどんどん増えています。最近はトッポッキを作りました。コチュジャンの他に、ケチャップとはちみつを入れるのが、NiziU流です。

リク:私を含め、そのほかのメンバーは食器洗い係です。食べるだけでは申し訳ないので。

リオ:この前、マユカも料理に挑戦したよね。けっこうおいしかったんです。私たち、ダンスや歌だけじゃなくて、生活スキルも上がっているんです!

リマ:リビングでは挨拶の練習をしたりもします。私たちにとって、挨拶は大切にしたいものの一つなので、全員で完璧にそろえたいという気持ちがあるんです。

 チームワーク向上のために、週1回ミーティングを行っているという。

マコ:休みの日に時間をとって集まるんです。「最近どう?」とお互い聞いてみたり、悩みを相談し合ったりしています。

マヤ:例えば、私が「最近自信がなくなってきた」と言うと、メンバーが自信のつく言葉をたくさんかけてくれるんです。私も慰められますし、メンバーも私がどうして最近元気がなかったのかがわかる。お互いにとって、大切な時間だと思います。

リク:ここが踏ん張りどきだよって、励まし合ったりね。

アヤカ:感情が溢(あふ)れ出てきて、みんなで泣きあったこともありましたね。

マユカ:今では親よりメンバーに相談する方が多いかもしれません。話すとスッキリして、明日も頑張ろうと前向きな気持ちになれます。

■9人姉妹の役割は


 メンバー同士、チーム内での役割も見えてきた。

マユカ:チームのお母さん的な存在はマヤですね。

マヤ:私よりも年下のメンバーが多いので、気づいたらみんなの面倒を見ているんです。私の母が心配性なんです。「ああしたほうがいいよ」「体は大丈夫?」と、事あるごとに言ってくる。私もその性格を受け継いじゃったみたいです。みんなに「こうしたほうがいいよ」とか「野菜もちゃんと食べないとダメよ」とか、つい言っちゃうんです。

ニナ:消化不良だと言うとおなかの薬を持ってきてくれたり、足を痛めたら貼り薬を持ってきてくれたり。どんな薬でも持っているんですよ。

マユカ:ニナは甘えん坊の末っ子そのもので、ミイヒも妹。マコちゃんは、お父さんみたいな感じですね。

アヤカ:お父さんはリオちゃんじゃない? みんなの意見をまとめてくれたり、頼もしいし。

リオ:物事をはっきり言う性格なので、問題があると感じた時はみんなで集まって意見を言ったりします。でも、逆にニナにヨシヨシしてもらう日もあって。これってどういう役割なんですかね……?

マコ:私は、自分ではお父さんというよりも、長女のような気がしています。実は次女なので、最年長という立場が新鮮で、楽しんでいます。

リク:マコちゃんは性格もしっかりしているし、パフォーマンス面でも尊敬しているんだけど、私は最年長とは思ってはいないです、いい意味で(笑)。次女とか三女くらいのイメージです。

アヤカ:わかる! 練習ではリーダーシップがすごいけど、私生活ではおもしろいんです。

リマ:私は、誰とでも同い年のように接したいという気持ちがあって。お姉ちゃんたちにいじられるのも好きだし、年下のメンバーとわいわいするのも好きだし……。役割的には“9人姉妹のひとり”かな?

リク:リマはジェスチャー担当じゃない?

リマ:確かに! 私はインターナショナルスクール出身なんですが、日本語の語彙力よりも伝えたいことがたくさんあって、しゃべるよりも体が先に動いちゃうんです。

■自分らしさは何だろう


 虹プロでは、統括&審査を務めたプロデューサーのJ.Y. Parkが練習生たちに投げかける厳しくも愛のある言葉が、「心に響く!」と話題になった。彼が頻繁(ひんぱん)に使った言葉が「自分らしく」だ。

リマ:最初に「気負わず、リマらしく、ありのままでいればいい」と言われたときは、「リマらしさって何だろう?」とわからなかったんです。でも、メンバーや母親に相談する中で、うまくやろうと思わずに楽しくやっていれば、自分らしさはおのずと出てくるものだと気づきました。今は、何ごとも心から楽しむことを心がけています。

リク:私は楽しいことが好きなので、ワーッと盛り上がっている時が一番自分らしいと思っています。大きすぎる地声も、昔はコンプレックスでしたが、今は「自分らしさの一つ」と思えるようになりました。

マユカ:私はまだ、「マユカといえばこれ」というものを見つけられていなくて。でも、だからこそ自由にコンセプトに染まれると思うし、それが私らしさなのかなと思ったりもしています。

 J.Y. Parkの金言には、まだ若い彼女たちの意欲や新しい可能性を引き出す言葉も多かった。

リオ:「歌手はダンサーに見えてはいけない」という言葉がすごく印象に残っています。10年以上ダンスだけしてきた私にとっては、自分の考え方を180度覆す言葉だったので、戸惑いました。でも、話を聞くうちに納得できて、少しずつですけど意識を変えることができて、今ここにいるんだと思います。

リク:「リクが虹プロにいなかったらどうなっていただろう」という言葉が、本当にうれしかった。そんな褒め言葉をいただけるとは思ってもいなかったので驚きましたし、そう思ってもらえているならもっと上を目指して頑張ろうと、そこからまた一段階、気合が入りました。

■新曲で恩返ししたい


 12月2日にデビューシングル「Step and a step」をリリースする。ゆっくりでもいい、一歩一歩自分のペースで進めば大丈夫、と歌う応援歌だ。

マヤ:この曲を通じて、いま大変な状況の中で日々を過ごす皆さんに、希望の光を届けられたらと思っています。

マコ:私たちもパフォーマンスが楽しくて、私たちの歌って踊る姿を見て、多くの人が元気になってくれたらうれしいです。

ニナ:私たちにとっては、虹プロ時代を思い出すような歌詞にもなっています。はじめに歌詞を頂いたとき、みんなで泣いてしまいました。今まで虹プロを見てくれた人を始め、たくさんの人のおかげでここまでこられたと思うので、この曲で皆さんに恩返しができたらと思います。

リマ:振り付けには「大丈夫、安心して」という気持ちが込められています。プリクラを撮ったりするとき、真似してもらえたらうれしいです。

 仲間と手と手を取り合い、新しい一歩を踏み出す。目指すは世界だ。

マコ:目標は世界進出。これははじめから変わりません。でも、その前に日本でツアーを実現して、ファンの皆さんに直接感謝を伝えたいです。

アヤカ:東京出身なので、東京ドームのステージにはいつか立ってみたいです。そして、何年経ってもこの9人で、今と同じようにふざけ合いながら楽しく頑張っていければと思っています。

ニナ:元気で仲良く、というのはメンバー全員の思いだと思います。私は両親に「いつも感謝の気持ちを忘れずに謙虚でいるのよ」と教えられてきました。その気持ちを大切に進んでいこうと思っています。

リマ:これからも虹のように輝きながら、世界を明るく照らしたいです。合言葉は、Just be yourselfです!

(ライター・酒井美絵子)

※AERA 2020年12月7日号

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コロナ第3波「40~50代の感染拡大」が招く恐怖のシナリオ

 新型コロナの「第3波」が猛威を振るい始めた。すでに深刻な痛手を受けた社会と経済を、より強大な敵が襲う。AERA 2020年11月30日号は「コロナ第3波」を特集。専門家がその特徴や背景を解説する。

*  *  *
 北海道をはじめ、全国で「第3波」と指摘される新型コロナウイルスの感染が広がっている。

 11月11日に示された感染症対策アドバイザリーボードの資料によると、新規感染者は8月第1週をピークに減少後、横ばいが続いていたが、10月に入って増加傾向。11月にさらにその傾向は強まり、北海道や大阪、愛知を中心に全国的な波となっている。1日あたりの感染者数は各地で過去最多を更新しており、放置すれば「さらに急速な感染拡大に至る可能性がある」と警鐘を鳴らしている。

 気温や湿度との相関性は後に述べるが、それ以前に、インターパーク倉持呼吸器内科の倉持仁院長は「感染拡大は必然の事態だ」と指摘する。

 第2波のとき、若者を中心に無症状の感染者が多いとわかっていたにもかかわらず、政府は積極的にPCR検査をして無症状感染者を掘り起こす政策をとってこなかった。その結果、何が起きたのか。

「無症状の人が他の人にうつし、その人も無症状でまたほかの人にうつし、ということが2回、3回と続くと、まさに水にインクをたらしたときのように、感染源は次第に見えなくなるけれども広く広くひろがっていく。第3波はそのインクがまだ残っている状態で起きました」

 広くインクが染みわたった状態の中、国はGoToキャンペーンなどで「経済を動かす」という選択をした。人出が増え、その後を追うように感染が拡大した傾向にある。

「つまり、政府は『感染拡大を許容する』という方針をとったも同然。感染が拡大しないほうが不思議です。第2波までは大都市中心だった感染が、これまで感染者の少なかった岩手をはじめ地方都市にも広がっていることも第3波の特徴です」

■第2波より年齢層上昇

 7月の第2波では20代、30代の感染者が約7割を占めたが、今回の第3波は年齢層が上がっている。東京都のデータによると11月は40代以上の感染者が約半数を占め、40代と50代で30%を超える。倉持院長は言う。

「働き盛りの40~50代は仕事で非常に幅広い年代の相手と関わり、家庭では子ども世代とも、高齢の親ともつながっています。40~50代の感染者が増えることで、家庭内でも職場でも感染がさらに広がっていくのです」

 感染者の年代が上がったことで重症者数も増える傾向にある。11月14日の時点で、東京都の重症者数は41人と緊急事態宣言解除以降で最多となった。

「感染がさらに高齢者へと広がると、間違いなく重症者も増える。『その先』の対策を急ぐ必要があります」(倉持院長)

 一方で、医療の逼迫度合いはどうか。専用病床の占有率は、入院患者全体でみても重症者でみても、10%前後だ。ただし地域や病院によって状況が異なるため、自分が住んでいる地域の状況を確認しておいた方がよい。

 医療ガバナンス研究所理事長の上昌広医師は、感染したときの治療方法が確立されてきたことで、感染者数の急増に比べると、重症者や死者の数は比較的抑えられていると話す。

「第1波のときは肺炎を引き起こして亡くなられる方が多かったのですが、重症肺炎の予防になるステロイドホルモンなどによる管理の仕方がうまくなったので、第2波からは肺炎の死者が減って、致死率もぐっと減りました。治療がうまくなったと判断してもよいでしょう」

 上医師によれば、ステロイドを使うと免疫が抑制されるため、軽症者の病状を悪化させる可能性があるものの、重症肺炎の予防になる点で、有効な治療方法の一つになっている。

「これまでの世界の医学研究で、コロナ感染症の致死率を明らかに減らしたのはステロイドホルモンだけとされています。その使い方が上手になったというのは、非常に大きいと思います」

(編集部・小田健司、小長光哲郎、大平誠、福井しほ)

※AERA 2020年11月30日号より抜粋

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坂本冬美「恐れ多くて涙…」 桑田佳祐23年ぶりの楽曲提供に結びついた1通の“ラブレター”

2020年11月30日 19:00 AERA

 サザンの桑田佳祐が坂本冬美のために楽曲を作った。他アーティストへの楽曲提供は23年ぶりだという。演歌歌手とポップスターとの化学反応は、どう実現したのか。AERA 2020年11月30日号では坂本冬美にインタビューした。

*  *  *
 悪い男だと知りながらも、いつか結ばれることを信じて尽くしてきた“私”。しかし、願いも空しく男に手をかけられ、土の中に埋められてしまう──。

 坂本冬美の通算51枚目のシングル「ブッダのように私は死んだ」は、道ならぬ恋にのめり込んだ女の悲しい末路が描かれた“歌謡サスペンス劇場”だ。作詞作曲はサザンオールスターズの桑田佳祐。一筋縄ではいかない、まさに“桑田節”としか言いようのないフレーズがちりばめられている。

 タイトルもそうですが、インパクトのある言葉が多くて。でも、この強烈な詞に桑田さんのサウンドがのっかると、すごくポップに聞こえる。もうね、魔法ですよ、桑田さんマジック(笑)。そして歌うたびに新しい発見がある。「この一言には違った意味が込められているんじゃないか?」とか、歌詞の行間や隙間にこちらの想像力が次から次へと広がっていくんです。こんな歌はないですね。例えば年齢を重ねたり、経験を積んだりすることで捉え方が変わってくる歌はたくさんありますが、歌うたびに新しい発見があるというのは初めての感覚です。

■歌うたびに新しい発見


 坂本の桑田への思いは、強くて深い。19歳で上京し、「あばれ太鼓」でデビューした当時から、プロフィルの「好きなアーティスト」欄にその名を書き続けてきた。

 サザンとの出会いは中学時代。私は小さい頃から石川さゆりさんのような演歌歌手になりたくて、ずっと演歌ばかり聴いて育ったんです。でも、初恋の山本君という子がサザンの大ファンで、デートの時にいつもラジカセを持ってきて曲を聴かせてくれて。演歌の七五調の曲しか知らなかった私にとって「勝手にシンドバッド」は衝撃的でした。そして歌手デビューして、いつからか桑田さんに曲を書いていただきたいという夢を持っていましたが、同じ歌謡界にいてもそう簡単にお会いできるものでもなく、自分も演歌歌手として忙しく日々を過ごす中で、「これは叶わぬ夢なんだ」と諦めていたんです。

 しかし、一度は諦めたはずの思いが、時を経て蘇る。2018年末、平成最後の紅白歌合戦でサザンと初共演を果たし、至近距離で彼らのパフォーマンスを目にした。

 自分が同じ舞台に立っていることなんかそっちのけで、一瞬で中学時代に戻ってしまいました。ステージを観てあんなに感動と興奮を覚えたことはありません。その数カ月後に、スタッフと今後の活動について話し合う機会があり、「無理なのはわかっているけれども、桑田さんに曲を書いていただきたい」と打ち明けたんです。すると、うちのディレクターから「とにかくあなたの思いを手紙に書いてみたら?」と提案されて、意を決して中学時代からの思いの丈をしたためてお送りしました。ほとんどラブレターですね(笑)。きっとお断りされると思っていましたし、積年の思いをご本人に届けられるなら、それだけでもう十分だと思っていました。

■紅白の同じ舞台に興奮


 それから数カ月後、スタッフを介して「一度お会いしましょう」と桑田から連絡が入る。昨年の9月のことだ。緊張しながら指定場所である音楽スタジオに向かうと、挨拶もそこそこに桑田が1枚の紙を坂本に差し出した。

 こんなものを書いたので、ぜひちょっと見てみてください、と。その紙には歌詞が書かれていました。目にした瞬間、うれしくて、恐れ多くて、涙があふれて……。いろんな感情が入り乱れている中、デモ音源が流れてきて、歌っているのはなんと桑田さんご本人! 「どうですか?」って聞かれたんですけど、どうもこうも、すごいに決まっているわけで。

 で、ギターをお持ちになって、「ここなんですけど、美空ひばりさん風に歌ってください」「ここが一番演歌っぽいですから、ちょっと都はるみさん風に」という感じで歌唱指導してくださいました。ああ、あの桑田さんが私に指導してくださっている……。もう、大感動ですよ。その後、デモ音源と歌詞をいただいてその日は解散となったんですけど、一緒に行ったスタッフとそのまま居酒屋へ直行しました。「この興奮を鎮めないと1日を終えられないよね」って。もちろん、いくら飲んでも鎮まらなかったんですけど(笑)。

 運と縁とタイミングが重なり、桑田にとって23年ぶりとなる他アーティストへの楽曲提供が実現した。坂本の目に、桑田という存在はどう映ったのか。

 40年以上前に私が初めて知った頃から常にトップを走ってこられて、時代ごとにヒット曲を出されてきた。そして今なお新しいものをどんどん生み出している。そんなすごい方なのに、初めてお会いさせていただいた時、「わざわざお越しいただいてありがとうございます」とおっしゃったんですよ。コンサートのDVDを拝見していても、1曲ずつお客さまに向かって「ありがとう」と語りかけたり、裏方のスタッフさんに対しても、感謝の言葉をきちんと口にしたりする。本当は誰も近づけないような位置にいらっしゃる方なのに、私たちと同じ目線で接してくださって、その同じ目線から世の中をご覧になられている方なのだと感動しました。

■自分の殻を破らねば


 今年の夏、本作のミュージックビデオの撮影に臨んだ。桑田のオリジナルストーリーをもとにした、サスペンスドラマを思わせる重厚な作品で、悲恋の主人公を坂本が、相手役を俳優の戸次重幸が演じた。桑田との念願のコラボを実現させた今、坂本は心に期するものがあるという。

 今年4月の外出自粛期間中、自宅で自主練をする様子をYouTubeで配信して、そこで素の自分をさらけ出したことで、すごく楽になったんです。これまでは和服という鎧を身につけて、「演歌歌手の真面目なイメージを壊しちゃいけない」とか、どこか抜けきれない自分がいたことを痛感しました。

 そんなタイミングで「ブッダのように私は死んだ」をリリースできることに運命を感じるんです。「今ここで自分の殻を破らないといけない」と覚悟を決めることができました。桑田さんが私のダークな部分や、今まで誰にも見せたことがなかった部分を、裏も表も引き出してくださったおかげです。この歌の主人公のように、全部そぎ落とした状態で、自分のすべてをこの歌に懸けたいと思っています。

(編集部・藤井直樹)

※AERA 2020年11月30日号

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コロナが開けた「昭和おじさん問題」という“パンドラの箱” 人気連載が新書化へ

2020年11月30日 19:00 AERA/撮影・加藤夏子

 AERAで連載中の「この人この本」では、いま読んでおくべき一冊を取り上げ、そこに込めた思いや舞台裏を著者にインタビュー。解雇や雇い止め、単身者世帯の困窮、居場所を失う高齢者──。河合薫さんによる『コロナショックと昭和おじさん社会』では、コロナ禍で噴出した課題が、実は「昭和モデル」から脱却できないことに原因があると説く。著者の河合さんに、同著に込めた思いを聞いた。

*  *  *
「コロナ」と「昭和おじさん」。意外な言葉の取り合わせだが、健康社会学者の河合薫さん(55)は「これは格差社会についての本です」と話す。

 非正規社員の雇い止め、孤立する高齢者や困窮する一人親世帯。さまざまな問題が「コロナ禍で」あらわになった、ように見える。しかし河合さんは、実はこれらはコロナ禍以前から社会に内在していたものだと指摘する。

「現在の社会の仕組みの多くは1970年代の家族の形、雇用の形を前提に作られたものです。たとえば男性の9割以上が正社員雇用で一家の大黒柱、女性は腰掛けOLを経て主婦になり、子どもを2人もうける、など。いまや共働きや非正規雇用、単身世帯が急増して社会の形は大きく変わったのに、いまだにそんな『昭和モデル』を前提に社会保障政策などが動いている。そこからくる歪みが、コロナ禍で噴出、顕在化したんです」

 象徴的だったのが2月下旬、当時の安倍首相が突然発表した一斉休校。誰が子どもの面倒を見るのか。対応できたのは「昭和モデル」からこぼれ落ちなかった人たち。まさに昭和おじさん的発想による場当たり的な政策に、そこからこぼれ落ちていた共働き世帯や親が非正規の家庭などは、対応できなかった。

「コロナは、私たちが見ないふりをしてきた『パンドラの箱』を開けただけです」

 本書はコロナ禍で「居場所」を失った人の様々なケースについて豊富なデータや取材で事実を積み上げ、背景にある昭和社会のツケと、それを「絆創膏対策」のみで先送りしてきた点を鋭く指摘する。

【小林明子の名曲、「ダイヤル回す」が通じない!? 令和の時代に消えゆく言葉たち】

 人間は社会的な存在。誰もが環境によって変わる。専門の健康社会学とは、「環境の中の個を見つめる学問」だ。そんな河合さんから見て、今後ますます「生産性の向上」が重視され、「人よりもカネ」の方向に流れる社会を危惧する一方、感じる光もある。

「コロナ禍になって、これほど人が、他人を思いやっている社会を初めて見ました」

 ある店は客の安全を考え、席数を減らして感染予防対策をする。失業した人が「誰かの役に立てないか」と困っている人のために立ち上がる。「生産性」とは正反対の行動だが、彼らはどこか幸せそうにも見えると、河合さんは言う。「『自分が誰かの役に立ち、つながっている』と思える先にお金が生まれ『生産性が向上』する。そう価値観が変わった人は多いと思います。コロナ禍は従来の生産性という物差しから『個』が抜け出すチャンスになる。そんな期待もあるんです」

(編集部・小長光哲郎)

※AERA 2020年11月23日号

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視聴者の6500万票が作ったJO1、11人11色の個性で“JKPOP”の幕開けを宣言

 昨年、公開オーディション番組で選抜された11人のグローバルボーイズグループ、JO1。「J−POPとK−POPのハイブリッド」をコンセプトに、新しいかたちのアーティストを目指す。AERA 2020年11月30日号から。

*  *  *
 JO1は、公開オーディション番組「PRODUCE 101 JAPAN」(以下、プデュ)で約6500万票の視聴者投票により選ばれた、“ファンメイド”グループだ。3月のデビューから今まで、コロナ禍という不利な状況をどう過ごしたのか。

河野純喜(以下、河野):ほんまにもう、あっという間でした。人生でこんなに時が経つのが早かったのは初めて、というくらい充実した日々を過ごしています。

大平祥生(以下、大平):デビュー当時は右も左も、どう振る舞えばいいのかも分からず、戸惑ったりしていましたが、最近少しずつ、やるべきことがわかってきた気がします。

佐藤景瑚(以下、佐藤):最高で最悪な日々でした。毎日楽しかったけど、コロナのせいでいろいろな予定が崩れてしまった。デビューして7カ月ちょっとなのに、僕の感覚ではもう3年くらい経った気持ちです。芸能界は、想像していた世界と違いました。そんなに簡単じゃないというか。華やかな裏に、たくさんの努力があるということを知りました。

川西拓実(以下、川西):僕はプデュに出演するまで普通の会社員で、月曜から金曜まで働いて土日休むというサイクルを繰り返していました。でも今は、毎日違うことが起きるんです。それが楽しいですね。

白岩瑠姫(以下、白岩):コロナ禍で思うように活動できなかったり、“もっとこうやりたかった”という思いはあるのですが、ファンの方がJO1を盛り上げようと頑張ってくださって。ファンのありがたさを改めて感じた半年でした。

與那城奨(以下、與那城):ライブが中止になったりもして残念でしたが、ファンの皆さんに会えない時間を逆手にとって、その時間にパフォーマンスの精度をもっと上げてファンの皆さんを驚かせようと、メンバーと決めました。次に皆さんの前に立つ日が楽しみです。

豆原一成(以下、豆原):ピンチはチャンス。今だからできることを、一つ一つ丁寧にやっていこうという意識が生まれました。

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■バラエティーでも活躍

 最近はバラエティー番組への露出も増えた。川尻と河野は謎解き番組、川西はドッキリ番組に出演している。

川西:最近は「そろそろドッキリが来る頃かな」と、実はビクビクしながら過ごしているんです(笑)。メンバーは“驚き方がオーバーだ”と言うんですが、突然目の前に人が出てきて大声をあげないほうが変でしょ?

與那城:僕と蓮(川尻)は、一度出演したときにリアクションが薄かったので、それ以来呼んでいただけていないんですよ(笑)。

川尻蓮(以下、川尻):謎解き番組は楽しいですね。ずるいんですけど、クイズを出す側の気持ちを考えちゃうんです。こう質問するということは、こっちだと思わせたいんだな、じゃあ逆を選ぼう、とか。

豆原:天才おった、ここに!

河野:同志社大卒なので、インテリ枠でクイズ番組に呼んでいただいていますが、正直めちゃ苦労しています。僕は蓮くんみたいにヒラメキ型ではなくて、努力でここまで来たタイプ。番組に出る前は猛勉強しています。

鶴房汐恩(以下、鶴房):生放送ではギリギリのラインを攻めるようにしています。変わったことをするとか。でも芸人さんの邪魔はしません。芸人さんのトークや笑いを聞いて笑っているほうが、自分としては絶対いいと思っているので。

木全翔也(以下、木全):僕はあんまり前に出ず、亀のようにのんびりやろうと。JO1の名前を汚さないことだけ考えています(笑)。

佐藤:まだ僕らは芸人さんにいじっていただく、拾っていただく立場じゃないですか。でも、いつか僕も嵐の皆さんのように、芸人さんをいじることができるようになりたいです。

 パフォーマンスではダンスも歌唱も華々しく決める彼らだが、JO1になるまでには、それぞれにドラマがあった。

大平:僕は、ダンススクールの特待生として、あるアーティストのツアーやドーム公演に参加させていただいていたのですが、ある日を境に契約が切れて、スケジュールが真っ白になったんです。高校も通信制に変えて夢を追いかけてきたのに、結果を残せず終わって不甲斐なくて、電車の中で泣いたこともありました。一度どん底に落ちたからこそ、いまの自分がいるのかな。

■過去の経験が生きる

白岩:子どもの頃から親に勧められて芸能の仕事をしていました。でも、気持ちが乗っていなかった。高校3年生の時に、本気でこの世界で生きていこうと思ってあるアイドルグループに入ったんですが、全然うまくいかなくて。お客さんの数がメンバーの数よりも少ない中でライブをしたこともありました。格好いいところを見せたいのに、誰も見ていない。何のためにやっているんだろうと思ったことも、「自分はこの世界に向いていない」と思ったりしたこともあります。でも、その経験で、アーティストとして大切な心得を学ぶことができましたし、あれが「アーティスト・白岩瑠姫」のスタートだったと思っています。

金城碧海:僕は母子家庭で兄弟も多くて、どちらかというと貧しい環境で育ったんです。その中で“何くそ根性”を学んだ気がします。高校を卒業してからも、母親にたくさん迷惑をかけましたね。プデュには、それまでの人間関係をすべて切って臨んだんです。それまでの自分の人生を否定したわけではなく、ゼロからスタートするという意味で。ダンスも歌も未経験でしたが、絶対に負けないという気持ちでいました。そのスピリットはJO1になった今でも心にあります。

(ライター・酒井美絵子)

※AERA 2020年11月30日号より抜粋

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