今季、大会後のエキシビションで披露された演目から、衣装が話題のショーナンバーを日本選手&海外選手からセレクト! アイスショーが盛んで“魅せる”演技が求められる日本のスケーターを中心に、衣装、ヘアメイク、小道具まで含めて凝った作りのショーナンバーが揃った今季。モチーフになったアニメや映画のファンならとても嬉しいでしょうし、逆に演技から原作に興味をもった人もいるかもしれません。それがエキシビションのお楽しみ。また、衣装を生かした振付と演技者の感情移入によって、曲の背景にある想いが胸に迫る名演もありました。フィギュアスケートのアーティスティックな可能性は無限ですね!
羽生結弦(日本)「春よ、来い」(清塚信也さんのピアノ演奏)
清らかなピアノの調べにのって氷上をしなやかに舞う羽生選手。そのたびにひらひらと揺れる両袖や腰に伸びたフリルが、風にそよいで揺れる花びらのよう。世界選手権のエキシビションでは、氷面に写し出された照明の効果とあいまって、この演技が春の到来を告げ、リンクに次々と桜を開花させていくようでした。
アリーナ・ザギトワ(ロシア)「 I am A Surviver」(映画『トゥームレイダー』より)
「これからも戦い続けることは間違いありません!」と世界女王となった直後に宣言したザギトワ選手は、ぴたりとボディラインに添ったレザーのパンツスーツで登場。途中で髪を結んでジャケットを脱ぎタンクトップで勇ましく氷上を駆け抜けるアクション系ナンバーは、彼女の強い気持ちの表明のようでした。
宇野昌磨(日本)「Great Spirit」
宇野選手史上・最も激しい動きどおしのダンスが新鮮! さすがは潜在能力を引き出す天才、シェイ=リーン・ボーンさん(元カナダ・アイスダンス代表)の振付です。使用曲は、アメリカ先住民の信仰哲学をテーマにし、ダンスミュージック界の大物たちが結集して作った「グレイト・スピリット」。顔へのペインティングも話題でした。
田中刑事(日本)「ジョジョの奇妙な冒険」より
今季、演じるたびにリンクをノリノリにしたショーナンバーといえば、田中選手の " なりきりジョジョ " ! 華麗に跳び、ステップを踏み、隙あらば " ジョジョ立ち "を入れ込む密度の高いプログラム。リーゼントの完成度は、KOSEヘアメイクチームのサポートを受けた2018年12月の全日本選手権後の「メダリスト・オン・アイス」が最高でした。
エリザベータ・トゥクタミシェワ(ロシア) 「Toxic」
ブリトニー・スピアーズのミュージックビデオから着想を得たというキャビンアテンダントのコスプレ。マイクを使った場内へのアナウンス、客席へのドリンクサービスから始まるフライトは、突然のダンスタイムへ。ジャケットを脱いだセクシーなタンクトップ姿でのHOTなパフォーマンスに観客も大盛り上がり。
photos:Aflo
text:KEIKO WATANABE