LINE NEWSで2018年に話題になった人を表彰する「NEWS AWARDS 2018」。
そのアイドル部門を、乃木坂46の齋藤飛鳥が受賞した。
「いいんだろうかって感じです(笑)。私で大丈夫かな」
本人に伝えると、少し困惑したように、そう答えた。
齋藤飛鳥は今年、グループでの活動はもちろん、CMや映画出演など個人としての活躍も目を見張るものがあった。
8月10日には20歳という節目を迎えた彼女に、2018年を振り返ってもらった。
乃木坂46としては、8月に発売された21枚目のシングル「ジコチューで行こう!」で、自身2度目の単独センターに抜てきされた。
7月には明治神宮野球場と秩父宮ラグビー場の2会場をメンバーが行き来しながらライブを行う前代未聞の企画を実施し、12月1日には上海で初の海外単独公演を成功させた。
さらに大みそかには4度目のNHK「紅白歌合戦」出演が控えるなど、年末まで話題は続く。
卒業のイメージはまったくない
――乃木坂46の活動を振り返って。
「4期生の募集もあったし、動きは大きかったですね。その中で団結力が強まっている実感があって、メンバーとより深い関係になったような気がします」
「去年の年末にレコード大賞、紅白と続けて出させていただいたときに、特にみんなの距離がグッと近くなった気がしますね。今だけのグループになっちゃいけない、この勢いをどうにか続かせないといけないと、よく話していました」
「ライブ同時開催のときも大変だったし、海外公演ではまだまだ乃木坂が知られていないことを目の当たりにすることもありました。その中で、もっとこうしようよって声が自然と出てきたし、しんどい気持ちもみんなで共有できるようになりましたね」
――「ジコチューで行こう!」では2度目の単独センターを務めました。
「前回やらせていただいたときよりは余裕があって、周りのこともちゃんと見ようって意識できたし、私自身も楽しめました。夏曲だったのですが、メンバーもすごく楽しそうにパフォーマンスしていたのもうれしかったですね」
――生駒里奈さんなど、主要メンバーの卒業もありました。見送っていく心境は。
「最初はさみしい気持ちが大きかったです。見送る数がどんどん増えていくから、どうにかそのさみしさに耐えなくてはいけない」
「だから最近は、卒業していくメンバーにがんばってほしい、幸せになってほしいって気持ちを強く持つようにしています」
――これまで卒業を意識したことは。
「私はやりたいことが明確に決まっているわけではないので、今は卒業のイメージがまったくない状態です。流れに身を任せてずっといるかもしれないし、辞めたくなったらすぐ辞めるかもしれない」
「もし卒業することになっても、スッとフェードアウトしていく感じがいいかなって思います(笑)」
個人としては「ニベア花王」や「ラックス」のCMに起用。
10月にはヒロインを務めた初出演映画「あの頃、君を追いかけた」が公開された。
2019年1月に連続ドラマで初の主演を務めることも、すでに発表されている。
壁を取っ払えていればよかった
――個人としての活動も増えていますが、心掛けていることは。
「私ひとりだとあまりキャピキャピした感じではないから、乃木坂なのにあまりアイドルっぽくないんですねって言われることが多いんです」
「それが乃木坂の印象につながってしまうと良くないなって思うので、最近はひとりの現場でも意識的に明るくしようって思っていますね」
――印象に残っている仕事は。
「乃木坂に入ったばかりの頃から、母親が『いつかシャンプーのCMに出てほしい』ってずっと言ってたんですよね。ラックスでそれがかなって、かなり喜んでくれていました。私としても、憧れみたいな気持ちはありましたし」
「でもテレビで見ても実感が湧かなくて、本当に現実なのかなって思っています。ラックスのCMは、ずっと日本人の方を起用していなかったんですよ。だから、その次に齋藤飛鳥が来るはずがないって(笑)」
――初出演映画も公開されました。
「お芝居の経験がそんなにあるわけではなかったので、分からないことだらけでしたね。でも普段からあまり相談をしないし、弱い部分を見せるのが得意じゃないので、撮影中も自分から聞くことができなかった」
「だからもうちょっと勇気を出して、壁を取っ払えていればよかったなと思いますね」
――そういう話は、共演者ともできなかった?
「舞台挨拶で主演の山田裕貴さんと一緒に地方をまわることが多かったんですけど、そのときに当時の話がようやくできるようになりました。そこで山田さんと私が同じシーンで悔しいと思っていたことが分かって」
「私が浩介(山田)に怒るシーンなんですけど、監督さんには『怒りを抑えてやってみて』って言われて、そのとおりに演じたんです」
「それが撮影から公開まで1年たって、浩介と真愛(齋藤)の関係性を考えると、もっと強く言い合ってもよかったかなって話ができた」
「私はこだわりを言えるほどのキャリアもないから、指示された演出をそのままやるのが正しいと思っていたんです」
「でも、これまでいろんな作品に出られている山田さんが、役に対しては監督やプロデューサーさんよりも自分の方が強い思いで接しているはずだから、自分の思いを伝えることも大事だよって話してくださって」
――悔いが残る部分はありつつも、映画出演の反響は大きかったのでは。
「ファンの皆さんは優しいし、何をやっても褒めていただくことが多いので、そこに甘えてはいけないなって思っています」
「私、褒められるとすぐ喜んじゃうんです。だからこそ、全部を真に受けてはいけないなって感じますね」
――撮影で感じていたわだかまりも含めて、悩みなどは普段どのように解決しているのでしょうか。
「割りと自己解決しちゃうことが多いですね。時がたてば自然と消えていくことも多いですし、持ち続けていることもあります」
「悩みやストレスはあるのが当たり前だと思っているから、あまり解消することは期待していないんです」
ちゃんとお酒を楽しめるタイプ
――今年は20歳になりました。
「自分の中では20代はまだ子どもだと思っているんですけど、周りの人にとっては10代って気を使う要因のひとつだと思うんですよ。それがなくなって、みんな対等に接してくれているように感じるのは、うれしく思いますね」
――お酒も飲んだそうですね。
「なんとなくフワフワする感じがしました(笑)。結構好きですね」
「そんなに弱いわけではなさそうなので、ちゃんとお酒を楽しめるタイプかなと思います。今まで飲んだ中だと、ワインが好きですね」
――ほかにプライベートで印象に残った出来事は。
「今年はレコードプレーヤーを買いました。普段から歌をやっているぶん、音楽にちゃんと責任を持ちたいなって思うようになったので、もっと勉強したいですね」
――レコードではどんな音楽を聴きますか?
「最初はスピッツさんがいいと思って、何枚か買いました。あと前から好きだったMONDO GROSSOさんと以前コラボさせてもらったんですけど、今年はそれをレコードにしていただいたので、めっちゃうれしかったですね」
「レコーディングのときも、大沢伸一さん(MONDO GROSSO)って本当に存在するんだって感動しました(笑)」
――音楽関係だと飛鳥さんはドラムの腕前も有名で、ライブでも披露されています。
「まだまだです(苦笑)。YOSHIKIさんをすごく尊敬しているので、私も同じようなクリスタルドラムを使っていますが、全然ああなれるとは思っていません」
「一緒にバンドを組んでいた乃木坂のメンバーがみんな卒業しちゃったけど、ドラムは続けたいですね」
――ほかの楽器にも興味はありますか?
「音楽は大好きなので、いろいろ挑戦してみたいです。部活でずっとやっていたバスクラリネットやサックスみたいな管楽器とか、兄に教えてもらったギターとか、DJも覚えたいですね」
――2018年を総括すると。
「怒とうの日々で忘れているのか、ぼんやり生きていたのか分からないですけど、何かをやり遂げたような実感はあまりないですね」
「でもいっぱいいっぱいにならずに、割りと緩やかに楽しみながら仕事ができていたのかなって思います。何があっても、まあどうにかなるでしょうって、大きく構えていられるようになりました」
――来年の抱負を聞かせてください。
「今年いろんなことをやらせていただいて、それぞれの楽しさや難しさが分かったような気がします。ただどのジャンルも、まだ一歩足を踏み入れたくらいの段階だと思うんです」
「だから来年は、もう少しひとつひとつを磨いて、さらに成長できたらと思いますね」
【取材・文 : 前田将博(LINE NEWS編集部)、撮影 : 黒羽政士】