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佐藤雅彦研究室の『ご協力願えますか』 第1回「こんな気持ち、初めてだ」

『ご協力願えますか』は、視聴者の皆さんに、ちょっと変わった「協力」をしてもらう事で初めて成立する映像実験番組です。どうぞ全画面でお楽しみください。

スマートフォンを強く握ったり、裏面を指でなぞったり、はたまた、画面を見ながら息を止めたり… そんな妙な「協力」の数々によって、今までに体験したことのない「得も言われぬ気持ち」が、皆さんの胸の中に沸き起こります。

番組が提供したいのは、この新しい「気持ち」そのものなのです。
では、なぜこんなにも新しい体験が生まれるのでしょうか ーー

人類は、スマートフォンというメディアによって、初めて映像を手に持てるようなりました。これは、映像は身体の一部になった、と言い換えることもできます。そして、スマートフォン上の映像と身体の関係を研究すると、そこには、今までにない表現が生まれる可能性が溢れていたのです。

今回、私たちは、わかりやすいものから挑戦的なものまで、選りすぐりの映像を集め、全4回のエピソードを構成しました。
この記事では、その第1回に収録されている内容を、一つ一つ解説していきます。本編映像を見てから、この解説を読んで理解を深めてください。

スマートフォンの持つ新しい表現の可能性を、どうぞ、お楽しみください。

ご協力その1「空き缶」 ー 視覚情報と触覚情報の共謀

あなたがスマートフォンをギュッと握ると、同時に、映像の中で空き缶が見事につぶれます。握るという感触(触覚情報)と缶が潰れたという視覚情報を同時に得ると、人は自分が缶を潰したかのような気持ちを覚えます。映画の4DX上映など、視覚・聴覚以外の刺激を取り入れた映像コンテンツは世の中にみられますが、その根本は、視覚情報とその他の身体感覚情報の共謀です。

ご協力その2「砂」 ー 動きの記憶と身体性のマッチング

画面一杯に広がった砂。その一部が動いているのを見て、あなたは子供の頃に公園の砂場で遊んだ記憶などから、直感的に、砂の下をちょうど指先くらいの大きさの物がうごめいていると感じます。そして同時に、あなたはスマートフォンの裏側を、指先で縦にゆっくりとなぞっています。あなたは、その両方をマッチングさせ、自分の指が砂を後ろからなぞっているという気持ちを抱きます。

ご協力その3 「ご協力ガエル 脱出したい」 ー "物語" への積極的参加

"カエルが谷底から脱出する" という物語を見ていると、途中で突然、カエルがあなたに「特殊な協力」を求めてきます。あなたがスマートフォンを斜めに傾けたことと、岩が転がってきたという出来事との間には、あるはずのない「因果関係」という結びつきが生まれ、あなたは傍観者の立場から一転して、カエルが無事に脱出に成功するという物語に参加したような気持ちになります。

ご協力その4「新たな支点」 ー 理由の補完

5円玉の振り子が、空中の何もない位置で不思議と折れ曲がります。人は不可解な物事に対峙した際、それをわからないままにするのではなく、本能的に何かしらの理由を求めます。この場合、スマートフォンの裏面に添えられたあなたの指が、そこで糸が折れ曲がることの理由を補完しているかのようです。

更に込み入ったご協力「ニュートン」 ー 拡張現実的表象

カメラに向かってリンゴが落ちて来る映像と、次に映像の中の手にリンゴがキャッチされる映像。それらの映像があなたの手の動きとシンクロすると、まるで目の前の空間でリンゴが落下し、それをあなたが見事、キャッチしたかのような表象(気持ち)が得られます。身体の記憶と視覚情報のマッチングです。

以上、第1回に収録されている「ご協力」全5つの解説でした。
身体に最も近い映像メディア「スマートフォン」でしかできない表現によって、みなさんの中に「得も言われぬ気持ち」が芽生えたのだとしたら、幸いです。

番組では他にも、連続して求められる様々な「ご協力」から開放され、リラックスして観る「加藤小夏のご休憩タイム」も用意されています。

番組のナビゲーターでもある加藤小夏さんが、机に向かってスマートフォンならではの "ハッとする" 映像実験に挑戦する、手作り感満載なかわいいコーナーです。毎週、加藤小夏さんが挑戦する様々な映像実験を見ながら、ひとときのご休憩をお楽しみください。

それでは、全4回の「ご協力願えますか」を、どうぞお見逃しなく!

東京藝術大学 佐藤雅彦研究室

NHK Eテレ『ピタゴラスイッチ』『0655・2355』の監修などで知られる佐藤雅彦(東京藝術大学大学院映像研究科教授)による研究室。「メディアデザイン」をテーマとして、研究生たちが日々作品制作に励む。本番組『ご協力願えますか』は、佐藤教授と研究室の卒業生たちによって、「メディアデザイン」の教育番組として制作された。

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