インターネット上での視聴動向調査を行う、ニールセンデジタルが国内における2017年1月の「SNSやコミュニケーションアプリ」の利用状況調査結果を発表した。半年間の利用者増加率が高かった「SNSやコミュニケーションアプリ」は「スノー SNOW」となり、約27%の増加であった。利用者数は半年前の322万人から86万人増の408万人となり、主要な「SNSやコミュニケーションアプリ」に堂々と名を連ねた。
「スノー SNOW」は半年間で約27%の利用者増加
「スノー SNOW」は顔認識や写真加工に特徴がある動画コミュニケーションアプリであり、機能の独自性が利用者増加を呼んだものと考えられる。アプリストアでも「スノー SNOW – 自撮り、顔認識スタンプ、ウケるカメラ」と説明されている。自撮り写真を簡単に装飾(デコ)できることで知られている。
特徴は利用者層に良く表れている。性年代別構成比を見ると、「スノー SNOW」利用者の54%が18~34歳の女性となっている。さらに利用者の内、女性が占める割合は実に78%に上る。若年を中心とした女性層の大きな支持を得て、利用者を増やしている。「Facebook」の18~34歳女性構成比が20%、全年代女性構成比が51%となっており、「スノー SNOW」利用者が如何に女性に偏っているかが分かる。
「スノー SNOW」は「Instagram」のような成長曲線を描けるか
ニールセン デジタル社は公表資料の中で、「スノー SNOW」の現在の状況が2年前の2015年1月の「Instagram」と酷似していると指摘した。「Instagram」は当時の調査で利用者数が479万人であり、18~34歳女性の構成比が49%となっていた。
その後、「Instagram」は利用者数を順調に伸ばし、今回の調査では1294万人となっている。2年間で利用者を3倍近く増やした事となる。利用者の構成比を見ても、18~34歳女性の構成比は30%まで落ちており、幅広い層からの支持を獲得出来た事が分かる。「Instagram」の特徴は写真共有に特化している点である。機能のシンプルさと手軽さにこだわった結果、利用者層を広げる事に成功したと見られる。
「スノー SNOW」が今後利用者数の増加を続けていく為には、「Instagram」のように、利用者層を広げていく必要がある。現在は自撮りの写真や動画を加工して共有している点が若い女性層にヒットしている。現状、これらの機能は男性層や高年齢層にはあまり受け入れられていない。今後、そういった層を取り込み、「Instagram」と同様の成長曲線を描く為には、戦略が必要となる。その鍵の一つとなり得るのが「LINE」である。
スマートフォン利用者の約80%が「LINE」を利用
ニールセン デジタル社の調査では、「LINE」の利用者数は4807万人であり、スマートフォン利用者の約80%が利用している計算となる。利用者数第二位の「Twitter」が2392万であり、ダブルスコアを付けている。ここ半年間の利用者増加率も8%増と堅調である。利用者層を見ても、性別、年代に関係無く、幅広い層に利用されている事が分かる。
国内の「SNSやコミュニケーションアプリ」の中で確固たる地位を築く「LINE」と足下の勢いが光る「スノー SNOW」には深い関係性がある。
「スノー SNOW」へ約46億円の出資を行った「LINE」
2016年9月、LINE株式会社 <3938> が「スノー SNOW」の運営会社である韓国Snow社が新たに発行する普通株式11万株を引き受ける事がリリースされた。韓国Snow社の議決権比率の25%に当たる。出資額は約46億円である。
LINE株式会社は「スノー SNOW」が「LINE」とは異なる領域で新たな価値を提供しているSNSであると公表している。「LINE」は特定コミュニティー内でのメッセージツールとしての利用が多く、動画像の共有や不特定多数への情報発信のツールとしては途上にある。「スノー SNOW」は「LINE」に無い物を補うツールであった。LINE株式会社も「B612」という自撮りアプリを運営している。勢いがあり、アジア圏での人気も高まっている「スノー SNOW」は魅力的に映ったようである。
実は「スノー SNOW」と「LINE」は出自に共通点がある。どちらも韓国NAVER社が母体であり、韓国Snow社、LINE株式会社双方の大株主である。両社は非常に親和性が高く、今後、様々な提携戦略を発表していく可能性がある。「スノー SNOW」にとっては国内4807万人の「LINE」ユーザーに対して、アプローチするチャンスを得る事が出来た事になる。「LINE」の性別、年齢を問わない幅広い層を取り込む事が出来れば、国内における第二の「Instagram」となり得る。
「SNSやコミュニケーションアプリ」では利用者数が非常に重要となる。多くの利用者を抱えていれば、広告媒体としての機能も大きくなり、収入も増える。「SNSやコミュニケーションアプリ」は単なる情報発信、共有のツールでは無く、市場として注目される。国内利用者増加率トップの「スノー SNOW」と国内利用者数No.1の「LINE」の今後の戦略次第では、国内「SNSやコミュニケーションアプリ」の勢力図は変わる可能性がある。ニールセン デジタル社の今後の調査結果を見る際の注目ポイントである。(ZUU online編集部)