普段何気なく見ている企業の看板。実はそのデザインには多くの願いや狙いが込められている。
特に銀行は「信頼」「真面目」などの基本イメージを保ちながらも各行が独自性を出そうとデザインが練られており、興味深い。キャッチフレーズや文字のフォントなども気になるが、今回は「ロゴマーク」に注目してみよう。
みずほ銀行--文字下の赤い曲線は太陽が昇る地平線
みずほ銀行のマークは濃い青地にシンプルな白文字と、よく見ると文字の下に赤い曲線が流れるように引かれている。実はこの線、太陽が昇る地平線をイメージしたもので、社員一人ひとりの強い意思と情熱をあらわしているという。使われている赤色はまさに「ホライズンレッド」と呼ばれ、顧客との信頼関係を築く意味も込められている。
地色の青も「コズミックブルー」と呼ばれるブランドカラーで、信頼や誠実さのほか、ワールドスケールであるということも意味に含まれているそうだ。
三菱東京UFJ銀行--円形の重なりはグループ総力の結集
次は三菱東京UFJ銀行。看板のイメージは鮮やかな赤色だろう。円形がいくつか重なったように見えるシンボルマークには、「MUFGグループの総力を結集して生み出す新しい総合金融サービス」を目指すという決意を込めているそうだ。
中央の円が「新しいグループ」を、外側の交差する円が国内外への広がりを意味しているそうで、「世界屈指の総合金融グループを創造していく」という壮大な意志が表現されている。
一方で、この円形の重なりには「顧客と一体感のある親しみやすいサービス」という意味もあるそうだ。世界を見据えつつ、足元もしっかり見る、ということだろうか。コーポレートカラーの赤色は「MUFG Red」といい、これからの金融サービスをダイナミックに変えていく活力と、顧客と向き合う情熱の2つを表しているそうだ。
三井住友銀行--若草色は若々しさ、知性、優しさを意味する
もうひとつのメガバンク、三井住友銀行のロゴは黄緑色の平行四辺形が右上がりに横に3つ連なっているデザインだ。同行は上昇カーブを描く「ライジングマーク」であるこのロゴに、先進的・革新的なサービスを提供することで発展していく顧客、株主と銀行自身という願いを込めている。
黄緑色=若草色はコーポレートカラーでもあり、若々しさや知性、優しさをあらわしているそうだ。マーク背景にも使われる濃い緑色にはそれとは別に伝統や信頼、安定感という意味を込めている。
りそな銀行--カラーに込めた意味は「優しさ」「透明さ」
緑色がシンボルカラーなのはりそな銀行も同じだ。あらわしているのは同じく「優しさ」。そして「透明さ」だ。2つの「R」が重なるロゴデザインで、これには「Resona=りそな」と「Regional=地域」が共鳴している様子があらわされているそうだ。
そこを囲む円には安心感や信頼感といった意味が込められており、地域の顧客と互いに理解し合って生まれる信頼関係を大切にしていくという同行の目標が示されている。
新生銀行--円形は地球、曲線は新生のS「S」
立体感のある水色のロゴが特徴的なのは新生銀行。円形は地球をあらわしており、白い溝のように見える曲線はSHINSEIの「S」をモチーフとしている。「ダイナミックに、グローバルに」発展していくことを表現しているそうだ。この白いラインは、新しいサービスや銀行のありかたを開拓しながら未来へと歩む「道」も表現されている。ブルーのグラデーションには、透明性の高い健全な経営を目指すという意味も込められている。
抽象的でデザイン性の高いロゴが目立つメガバンクや普通銀行に比べて、地方銀行のロゴには親しみやすいものが目立つ。伊予銀行のシンボルマーク「エバーグリーンマーク」は、太陽と瀬戸内海、そして大きく花が描かれている、一見銀行らしくないデザインだ。マークには、堅実で信頼性の高い地域の明日を創る銀行を目指すということのほかに、「人に優しい銀行」「美しい心を持った華のある銀行」という意味も込められているそうだ。
紀陽銀行--「銀行らしくない?」アーティスティックなデザイン
「銀行らしくない」といえば、紀陽銀行のロゴマークだろう。人の顔をモチーフにしたアーティスティックなデザインで、1991年に制定された。「紀陽銀行らしさ」を念頭に置き、マーク自体がキャラクター性を持つことで認知されやすいものを目指したそうだ。
そのため、デザインの意味は固定していない。見る人によって「アンテナを高く」「広く大きな視野で」「いつも笑顔で」とさまざまなとらえ方がされているという。制定当時は「軽い」と批判的な声もあったそうだが、親しみやすく庶民的な感じが奏功して、これまで以上に身近になったという声も多く寄せられているそうだ。(ZUU online 編集部)