執筆者:株式会社ZUU
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私たちの生活に欠かせないお店といえばコンビニです。そんな日頃から利用するコンビニですが、果たしてどの会社が最も1店舗あたりの稼ぐ力を持っているのでしょうか?意外と考えないだろうこの内容。今回の記事では、コンビニ御三家と呼ばれる「セブン-イレブン」「ファミリーマート」「ローソン」の3社について、1日の店舗売上やその他財務指標を比較して、最も「稼ぐ力」を持っているコンビニを考えていこうと思います。
コンビニ御三家の1日の店舗売上
コンビニ御三家の1日あたりの店舗売上高は、どのくらいでしょうか?セブン-イレブン、ファミリーマート、ローソン3社の2020年2月期の決算資料を基に、それぞれの1日あたり店舗売上を算出します。
なお1日あたり店舗売上を算出する際には、「チェーン全店売上高」を「国内の店舗数」で割ることで1店舗あたりの年間売上高を計算し、それを365日で割ることで求めます。
セブン-イレブンの1日の店舗売上
セブン-イレブンの国内店舗数とチェーン全店売上高は以下の通りです。
・店舗数(国内):2万929店舗(2020年3月末現在)
・チェーン全店売上高:約5兆102億円
以上を基に1店舗あたりの年間売上高を計算した結果が以下になります。
・1店舗あたり売上高 = 5兆102億円 ÷ 2万929店舗 ≒ 約2億3,939万円
したがって、1店舗あたりの単日売上高は以下になります。
・1日の1店舗あたり売上高 = 2億3,939万円 ÷ 365日 = 約65万5,863円
参考:2020年2月期 決算補足資料 セブン&アイホールディングス
ファミリーマートの1日の店舗売り上げ
ファミリーマートの国内店舗数とチェーン全店売上高は以下の通りです。
・店舗数(国内):1万6,597店舗(2020年3月末現在)
・チェーン全店売上高:約2兆9,651億円
これをもとに、1店舗あたりの年間売上高を計算した結果が以下になります。
・1店舗あたり売上高 = 2兆9,651億円 ÷ 1万6,597店舗 ≒ 1億7,865万円
したがって、1店舗あたりの単日売上高は以下になります。
・1日の1店舗あたり売上高 = 1億7,865万円 ÷ 365日 = 48万9,452円
参考:2020年2月期 決算参考資料 ファミリーマート
ローソンの1日の店舗売り上げ
ローソンの国内店舗数とチェーン全店売上高は以下の通りです。
・店舗数(国内):1万4,425店舗(2020年3月末現在)
・チェーン全店売上高:約2兆2,961億円
これをもとに、1店舗あたりの年間売上高を計算した結果は以下のとおりです。
・1店舗あたり売上高 = 2兆2,961億円 ÷ 1万4,425店舗 ≒ 1億5,918万円
以上より、1店舗あたりの単日売上高は以下になります。
・1日の1店舗あたり売上高 = 1億5,918万円 ÷ 365日 = 43万6,109円
参考:2020年2月期 決算補足資料 ローソン
どのコンビニチェーンが一番稼ぐ力を持っているのか?
コンビニ御三家の中で、どのチェーンが最も稼ぐ力を持っているのでしょうか?この章では、売り上げと利益双方の観点から各社の稼ぐ力を詳しく分析します。
売り上げを基準にした場合の稼ぐ力
1日あたりの店舗売上高を見ると、セブン-イレブンが65.5万円、ファミリーマートが48.9万円、ローソンが43.6万円となりました。最大手との呼び声が高いセブン-イレブンが、ライバル2社と比べて圧倒的に稼ぐ力が強いといえます。
利益を基準にした場合の稼ぐ力
売上高ではなく利益を基準とした場合は、どの会社が稼ぐ力を持っているのでしょうか?より正確に稼ぐ力を見るために、もう少し詳しく決算資料を分析しましょう。なお、今回は、本業(コンビニの運営)で得られる利益を表す「営業利益(事業利益)」で3社の稼ぐ力を比較したいと思います。
3社の営業利益および売上高営業利益率(営業利益÷チェーン全店売上高)は下記の通りです。なお今回は、1億円未満は省略して計算しています。
・セブン-イレブン
2,539億円(コンビニ単体の営業利益)÷5兆102億円(チェーン全店売上高)=5.07%
・ファミリーマート
550億円(コンビニ単体の営業利益)÷2兆9,650億円(チェーン全店売上高)=1.85%
・ローソン
447億円(コンビニ単体の営業利益)÷2兆2,853億円(チェーン全店売上高)=1.96%
営業利益や利益率を基準にしても、セブン-イレブンが圧倒的に稼ぐ力を持っていることが分かります。
決算資料から分かる各コンビニの強み
最後に、決算資料から分かる各コンビニの強みをお伝えします。
・セブン-イレブン
セブン-イレブンはブランド力の高いPB商品の売れ行きが好調である点や、客単価の高いキャッシュレス決済を積極的に推進していることが、営業利益率の高さにつながっていると考えられます。
参考:2020年2月期 決算説明会資料 セブン&アイホールディングス
・ファミリーマート
ファミリーマートはセルフレジ導入店の拡大や検品レスの推進などにより、店舗運営の効率化に注力したことが、販管費率の低さにつながっていると考えられます。
参考:2019年度決算・2020年度経営計画 ファミリーマート
・ローソン
ローソンは老若男女問わず大人気のデザートをはじめとして、商品の魅力度が高いことが総利益率に表れていると考えられます。
参考:2019年度決算説明会 ローソン
王者セブン-イレブンを追いかける2社
大手コンビニ3社を比較したところ、セブン-イレブンの稼ぐ力が圧倒的であることが分かりました。圧倒的な商品力と客単価の向上に向けてあらゆる施策を講じていることが、稼ぐ力に直結していると言えます。
ただしファミリーマートやローソンも負けておらず、店舗運営の効率化や商品の魅力度など強みを発揮し、セブン-イレブンに次いで大きな売り上げがあります。今回のように同業種の企業を比較分析すると、ビジネスで稼ぐヒントを見出せるかもしれません。普段何気なく使うサービスの収益はどうなっているのか、身近な経済にアンテナを張ってみてはいかがでしょうか。(提供:20代、最高の自己投資メディア UpU)