執筆者:株式会社ZUU
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会社員の女性が出産をした場合、産休中の年末調整はどうすればいいのでしょうか。特に住宅ローンを支払っている女性は、産休中でも住宅ローン控除が受けられるのかどうかが気になるところです。今回は、年末調整や住宅ローン控除について詳しく確認して、育休中に住宅ローン控除が受けられるのかどうかを解説していきます。
住宅ローン控除を受けるにはどうすればいい?
まずは、住宅ローン控除を受けるにはどうすればいいのかを確認しておきましょう。
初めての年は確定申告が必要
「住宅借入金等特別控除」(通称:住宅ローン控除)とは、住宅ローンを組んでマイホームを購入したり、増改築したりした人が申請すると、その年の末時点でのローン残高の一定額が所得税から控除される仕組みです。住宅ローン控除は10年間(2019年10月1日~2022年末までに入居した人は13年間)にわたって受けられますが、最初の年に確定申告が必要となります。
確定申告は、住んでいる地域の税務署で行えますが、インターネットや郵送でも手続きが可能です。必要書類を揃えて「確定申告書」を提出すると、約1ヵ月後に税金が還ってきます。
2年目以降は年末調整で申告できる
会社員の場合、2年目からは年末調整で住宅ローン控除の申請を行うことができます。最初の年の確定申告後に税務署から送られてくる「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」と、住宅ローンの借り入れ先が発行する「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」が必要です。
育休中の場合、年末調整は必要?知っておきたい基礎知識
それでは育休で仕事を休んでいる間も、年末調整は必要なのでしょうか。基礎的な知識からおさらいしていきます。
育休中も年末調整が必要かは所得による
年末調整は、概算で徴収されていた所得税と実際に収めるべき所得税の差額を調整することです。育休中でもその年に給与所得があった場合、例年通り年末調整をする必要があります。
その年に給与所得がなかった場合は、年末調整による所得税の調整は不要です。しかし、会社に在籍している限りは年末調整の対象となるので、復職後の計算のためにも必要事項を記入して会社に提出しておきましょう。
年末調整に必要な書類をチェックしておこう
年末調整をするには次の書類を会社に提出する必要があります。
・給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
自分が扶養している家族がいなくても提出が必要です。
・給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書
各種控除を受けるために提出が必要な書類です。
・給与所得者の保険料控除申告書
地震保険や生命保険などの保険料控除を受けるために提出が必要です。
・給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書
住宅ローン控除を受けるために必要な書類です。
育休中でも住宅ローン控除は受けられる?
それでは育休中でも住宅ローン控除は受けられるのでしょうか。知っておきたいポイントを確認していきます。
受けられるかどうかはその年の収入次第
育休中の場合、その年の所得によって住宅ローン控除が受けられるかどうかが決まります。給与収入が103万円以下の場合は所得税がかからないので、住宅ローン控除を受けられません。育休中でも給与収入が103万円を超える場合、住宅ローン控除の対象となります。
育休中の手当は非課税
年間の給与収入の金額によって住宅ローン控除が受けられるかどうかが決まりますが、出産のときにもらえる「出産手当金」や「出産育児一時金」、育休中にもらえる「育児休業給付金」は、すべて非課税で税金の計算上カウントされません。育休中の収入を計算するときは、これらの手当を含めないよう注意が必要です。
所得次第では配偶者控除の検討も
妻が育休中で収入が少なく住宅ローン控除が受けられない場合、ほかの控除が受けられないか検討してみるといいでしょう。
以下の条件がそろっている場合、夫が「配偶者控除」を受けることができます。夫の年末調整で手続きが必要となるので、その時期までに夫婦で話し合ってみてください。
- 納税者本人(この場合、夫)と生計を一にしている
- その年の12月31日時点で婚姻関係がある
- 育休中の妻の給与収入が103万円以下(103万円超201.6万円未満の場合は「配偶者特別控除」となる)
- 納税者本人(この場合、夫)の合計所得が1,000万円以下
住宅ローンは育休中のことも考慮して選ぼう
夫婦で住宅ローンを組むときは、収入がなくなる育休中のことも考慮しておきたいものです。ここからは、住宅ローンの組み方や選び方について見ていきます。
ペアローンのメリット・デメリット
ペアローンとは、1つの物件について夫婦がそれぞれ1本ずつ、合計2本の住宅ローンを組む方法です。ペアローンでは、夫婦2人ともが団体信用生命保険(債務者が死亡、または高度障害状態となったときに保険会社がローンの残りを肩代わりしてくれる保険)に加入することができ、住宅ローン控除もそれぞれが受けられるというメリットがあります。
一方で、ローンが2本となるので、事務手数料や契約にかかる手間も2倍となることは、デメリットと言えるでしょう。
連帯債務のメリット・デメリット
連帯債務は、夫婦の収入を合わせて住宅ローンを1本で組む方法です。夫婦の一方を主債務者、もう一方を連帯債務者と位置付けて契約します。住宅ローン控除は夫婦それぞれ受けることができ、ローンにかかる事務手数料や時間は、ペアローンよりも抑えられるのはメリットと言えるでしょう。
連帯債務の場合、団体信用生命保険には主債務者しか加入できないので、連帯債務者にもしものことがあった場合には、主債務者が連帯債務者の分もひとりでローンの返済を続けていかなければならないのはデメリットです。
出産前後で金利が優遇される住宅ローンがある
出産や育児で一旦休業するという女性に向けた住宅ローンを用意している金融機関もあります。出産前から出産後6ヵ月以内に申し出ると、申し出から1年間、適用金利が優遇されるといったものです。
このような商品を利用すれば、給与がない育休中も安心して過ごすことができます。住宅ローンを契約するときは、自分に合ったプランを見つけ、漏れなく申請できるようにしておきましょう。
家計に合った組み方で無理なくマイホーム購入を
夫婦2人だと住宅ローンとして借り入れられる金額は増えるものの、育休中に住宅ローン控除を受けられない場合もあります。マイホームを購入するときはつい夢がふくらみがちですが、無理は禁物です。
家族計画やキャリアプランなど、将来的なことも考えるようにしてみてください。ライフプランに合った金融商品もあるので、まずは頼れる金融機関に相談してみるといいでしょう。(提供:UpU)