人気映画のコスチュームは撮影後どのような運命をたどるのか?一部のコスチュームは所有権のある撮影会社が保管するが、小道具業者や専用のオークションで処分されるケースも多いという。
一例としては、かつてマイケル・ジャクソンがミュージックビデオ「スリラー」(1983年製作)で着用した赤いジャケットは120万ドル、最近ではエイリアンのコスチュームが5万ポンド(約738万円)、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」のスター・ロードのコスチュームが10万ポンド(約1477万円)で競り落とされたという。
ロンドンの映画館で開催される専用オークションが狙い目?
専用のオークションとしては、ロンドンの映画館ODEONで開催されるイベント「BFI IMAXプロップ・ストア・オークション」などが話題だ。今年で3回目を迎えた9月のイベントでは 、600点以上のコスチュームや小道具のオークションが行われた。
「「バットマン」(1989年製作)でジャック・ニコルソンが着用したジョーカーの衣装、「バック・トゥ・ザ・フューチャー3」(1990年製作)でマイケル・J・フォックスが着用したマーティー・マックフライの衣装、「ブレード・ランナー」(1982年製作)で使用されたロサンゼルス・スカイラインの模型など、映画ファンの目を惹くアイテムが多数展示されていた(BBCより )。
イベント当日は「エイリアン2」(1986年製作)でリッコ・ロス演じるリッコ・フロストが着用していたスローガンTシャツが3000ポンド(約44万円)、エイリアン自体のコスチュームが5万ポンドで競り落とされるなど、大盛況のうちに幕を閉じた。
小道具をレンタルする羽目に陥った「パイレーツ・オブ・カリビアン」
映画ファンを魅了するのはコスチュームだけではない。英国のオークション業者、ボナムス・オークション・ハウスのニューヨーク店では、「カサブランカ」(1942年製作)で使われたピアノが340万ドルで売れた。近日中には「禁断の惑星」(1965年)のキャラクター、ロビー・ザ・ロボットのフィギュア7体セットを販売する予定だという。
販売価格が需要やアイテムの価値自体に左右されることはいうまでもない。カサブランカのピアノやマイケル・ジャクソンのジャケットは高額過ぎて手が出しにくいが、プロップ・ストア・オークション責任者、ステファン・レーン氏いわく、「物によっては40〜60ポンド(約5900〜8900円)前後で競りが始まることも多い」そうだ。
ウォルト・ディズニーにとって予想外の大ヒットシリーズとなった「パイレーツ・オブ・カリビアン」で、面白い逸話がある。続編の製作を一切予定していなかったディズニーは第1作の撮影後、一部の舞台セットを含めたすべての大・小道具を業者に売り払ってしまった。そのため第2作では、逆に業者などからレンタルせざるを得ない状況に陥ったという(Quoraより )。
本物を追い求めるほどの財力も気力もないという映画ファンには、仕立てのコスチュームも人気だ。自分の体形に合わせて仕立ててくれるため、「せっかく手に入れたがサイズが合わない」といった心配もない。
例えばCosplaySky ではジョーカーのコスチュームを223ドル、1〜2週間前後(米国外への発送も受け付けているが詳細は要問合せ )で仕上げてくれる。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)