忘れ物は「駅」→「お忘れ物総合取扱所」→「警視庁遺失物センター」と流れていく
「雨の日、手すりに傘をかけたまま電車を降りてしまい、傘を忘れてしまった」
多くの方がこんな忘れ物エピソードを、持っているのではないでしょうか?
その「電車の忘れ物」はどこへ行くのか気になったので、東京メトロに取材をオファー。すると、お忘れ物総合取扱所で忘れ物を扱ってきた佐曽木剛さんが、応えてくれました。
──忘れ物はどこへ行くのでしょうか?
「まずは忘れ物が取得された駅で保管されます。その翌日(発見された時間帯によっては翌々日)、飯田橋駅にあるお忘れ物総合取扱所に集められ3~4日間保管されます。その期間中に持ち主が現れなかった場合、警視庁遺失物センターに移送。3ヶ月経っても取りに来なければ、所有権が東京メトロに移され、東京メトロが中古業者などに競売にかけます」
──持ち主の連絡先が判明した場合、お忘れ物総合取扱所が連絡することはあるのでしょうか?
「東京メトロでは、首都圏の私鉄で購入できるICカード(パスモ)が忘れ物として届け出があった場合、氏名、電話番号が登録されていれば、届け出の駅から登録されている電話番号に連絡をしてお知らせしています。また、お忘れ物総合取扱所では、お忘れ物の中に持ち主の住所が判明する物があれば、通知書を送付してお忘れ物が届いている旨をお知らせしています。例えば、学生かばんの中に学生証があり、自宅もしくは学校の住所が判明した場合、お忘れ物総合取扱所から住所の宛先にお知らせしています。もし、学校に通知書が届いた場合、学校の方がご本人に伝えてくれるとありがたいですがそこは私たちではコントロールできない部分なので、お任せするのみです」
──忘れ物が多い駅は?
「取扱い件数の多い駅は、渋谷駅(銀座線)、新木場駅(有楽町線)、西船橋駅(東西線)、代々木上原駅(千代田線)、中目黒駅(日比谷線)です。やはり終点の駅は多い!」
電化製品は変化が激しい
──持ち主が見つからなかった場合は東京メトロに所有権が移るとのことですが、そちらで処分しなければいけない忘れ物もありますよね。処分に困ったものはありますか?
「注射針ですね。医療用の注射針でしたので、もしかしたら感染物が中に入っている可能性もあります。なので、注意して扱いました。あとは名の知れない薬剤。水道に流していいものなのか不明なため、専門の業者に分析を依頼し、処分方法を聞きました」
──忘れ物って昔と比べて増えていますか?
「増加傾向にあります。昔と比べて身に着けるものが多くなっているので、忘れ物も増えているんだと思います。20年前はスマホなんて誰も持っていなかったのに、今では誰もが持っていますよね。取材を受けている今日なんか、スマホが19台も届きました!」
──忘れ物を見つめてきた中で、変化の激しい物はなんでしょうか?
「電化製品です。ひと昔はカセットテープが届けられたのに、今は見かけません。代わりにAirPodsなどのワイヤレスイヤホンが多くなりました。ライターやたばこの代わりに、IQOSが登場。電化製品は時代の移り変わりが顕著です」
──忘れ物が増えていく中で、佐曽木さんが考える"忘れ物対策"を教えてください。
「私自身は肌身離さず持つようにしています。乗り換えをする中で、電車の乗り降りで頭がいっぱいになって、網棚に置いた荷物のことを忘れてしまうんだと思います。大切な物を忘れてしまうとガッカリしますよね。だからこそ、焦らずゆっくりと行動してください。まずは余裕のある行動を!」
【取材協力】
東京メトロ