「所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ!」(毎週金曜 夜9時~放送)の人気企画「開かずの金庫を開けろ!」では、歴史ある旧家や大豪邸に眠る金庫を開け、衝撃の中身を公開。全国各地に出張し、その開かずの金庫を開けるのは、"ミスター開けゴマ!"こと玉置恭一さん。どんな鍵でも開けてしまう、凄腕の鍵職人です。
逆に考えると、様々な鍵を開けてきたからこそ、開けにくい安全な鍵もわかるはず! そこで玉置さんに、家や車の防犯対策についてうかがいました。今すぐ実践できる情報満載です!
鍵職人が教える「家の防犯対策」
まずは「家」の防犯対策について、鍵、窓、金庫など、どんなものを選べばいいでしょうか。また、それ以外にも気をつけることを教えてください。
【対策1】鍵を新しいものに交換
「ギザギザに形を刻んだキーより、大きさの異なる丸いくぼみがついたディンプルキーの方がピッキングに強いです。外国人窃盗団による犯罪の急増によりピッキング対策の鍵が進歩したので、最近のものなら簡単に開いてしまうような鍵は少ないです。
ただし、鍵を他人に見せないこと。プロが見れば、鍵に記載されたナンバーで鍵の情報がわかってしまいます」
これからはハッキング対策も
「最近は、スマートロックやアプリで開けるタイプなどデジタル化した鍵も増えています。今後はピッキングというよりハッキング対策が必要になってくるでしょう」
【対策2】玄関だけでなく窓にも防犯
「現在は、鍵は安全になってきたので、警察の統計によるとほとんどがガラス破りや無施錠による被害。
窓周りに関しては、クレセント(戸締り用の金具)やガラス下のサッシ部分に鍵をつけたり、切り取りにくい防犯ガラスを設置するのが効果的。ホームセンターなどで購入できる防犯フィルムを窓に貼るだけでもかなり違います。窓全体に貼るのが良いですが、クレセントの周りに貼るだけでも効果あり」
【対策3】防犯意識が高いことをアピール
「"この家は、防犯意識が高い"と思わせることが大事。例えば、同じキーで開けられるもので良いので鍵を複数つける、警備会社のステッカーを貼る、一戸建てなら玄関先に踏むと音がする砂利を敷く、人が通るとセンサーが感知しライトが点くアイテムをつける、など。泥棒も、わざわざ入りにくそうな家は狙いませんから」
【対策4】「無施錠でも大丈夫」いう意識の改善
「ちょっと出掛けるだけだから、田舎だから人が来ないから、ではなく、どんな時も鍵をかける習慣をつけましょう」
◆プラスα◆ 金庫はどんなものを選べばいい?
「最近はダイヤル式ではなくテンキーや指紋認証で開ける金庫が増えてきました。最近のもので、大きめのしっかりと防犯対策されている金庫は安心です。もちろん壊せば開きますが、無傷の状態で開けることはほぼ無理です。
開けることはできなくても持ち逃げされては意味がないので、持ち運び不可能なある程度の大きさのものがいいですね」
鍵職人が教える「車の防犯対策」
車上荒らし対策には、どんな方法があるのでしょう。車種に関しては「やはりある程度値段が高い車は安全性も高い。国産車よりも、ベンツやBMWクラスの外車が鍵を開けるのが難しいです」と玉置さん。では、それを踏まえた上での、今すぐできる対策を教えてください。
【対策1】外から車内が見えない工夫をする
【対策2】安全な駐車場を選ぶ
鍵を開ける側の鍵職人だからこそわかる防犯対策、ぜひ参考にしてください。
もっと鍵職人のことがわかる10の質問!
続いて、鍵職人の仕事について、また依頼する側として知っておきたいことについてうかがいました。
Q1.鍵職人の仕事とは、具体的にはどんなことをするんですか?
「当社、ジャパンベストレスキューシステム株式会社では、鍵のトラブルでお困りのお客様からご連絡を受け、解決するために訪問させていただきます。住宅関連の依頼が全体の約6割で、そのほとんどが鍵の緊急トラブルです。残りの4割が、金庫、車、ロッカー、スーツケースなど、鍵穴が付いているものを開ける作業、また壊れた鍵を修理することもあります」
Q2. 特に依頼が多い時間帯や曜日はありますか?
「曜日は特に関係ないですが、住宅関係のご依頼が多いので、人が動く出勤時間帯に増えます。朝、出掛ける時に鍵をかけようとしたら故障した、帰宅したけど鍵を失くして家に入れないなどでご依頼をいただきます。朝は7時~9、10時頃まで、夕方は16時~19、20時頃までがピークで、深夜帯も稼働が多いです。依頼があれば24時間いつでも対応しています」
Q3.料金はいくらぐらい?
「鍵の防犯性や難易度により違います。だいたい1件8000円からが目安ですが、ケースバイケースです」
Q4.金庫などの鍵が開けられなかった場合、料金はどうなるんですか?
「当社は、料金は成功報酬ですので、鍵が開かなかった場合は一切いただきません。もちろん、お見積もりや、ご訪問しての具体的なご提案に関しても無料。実際に作業をして、トラブルを解決したら初めて料金が発生するシステムです」
Q5.番組の中でチャレンジした開かずの金庫で、一番苦戦したものは?
「アメリカの金庫です。開ける側に対する優しさがないんですよ(笑)。日本のものは、"逃げ道"があったりしますが、アメリカのものは弱い部分が一切ない。
番組に登場した『キャノンボール』は、ダイナマイト対策をしているとのことで、容赦ない金庫でした。ダイナマイトで破壊する泥棒が出てきたら、ダイナマイトでは破壊できない金庫を作ろうとする、その負けず嫌いな国民性は面白いですよね(笑)」
Q6.開かずの金庫の中から出てきたモノで一番ビックリしたのは?
「石川県に出張した時の小判です。その家の方にとって意味のあるものや大事な資料などは当事者にしか価値が分からないですが、小判や大金が出てきたら第三者の僕でもやっぱり興奮します(笑)」
Q7.番組以外の普段のお仕事の中で、驚いたことは?
「兵庫県の高級住宅地のお宅の金庫を開けた時、大金が出てきました。中身は見ないようにしていますが、チラッと見えた感じでも数億円はあったと思います。僕は当時23歳で、"これが億単位の金なんだ!"とビックリしました(笑)。
さらに、そのお宅の娘さんが『ちょっと1本ちょうだい』と、札束を1つ持っていって。100万円の束を"1本"ということを知り、いつか自分も札束を1本、2本と数えられる男になろうと思いましたね(笑)」
Q8.鍵を開けて、家族の安否確認をお願いされることなどもあるんですか?
「離れて暮らすご家族などから、連絡が取れないから家の鍵を開けてほしいという依頼も多いです。その際は警察の立ち合いの元、行います。鍵を開けて家の中に入ったら、その家の方が亡くなられているケースもあり、逆に間一髪で間に合って助かる時もあります。
安否確認ではないですが、引きこもりのお子さんの部屋の鍵を開けてほしいという依頼もあります」
Q9.今後、鍵職人として開けてみたいもの、挑戦したいものは?
「これまでに、ほとんどのものを開けてきたと思うのですが、やはり開けた時に喜んでいただいたり、感動していただけることがすごくうれしいので、今後も依頼者の方のリクエストに応えていきたいです。
番組でアメリカに行く機会があったので、今度はヨーロッパの金庫がどうなっているのか見てみたいです。世界各国の金庫を開けて回るというのも面白いかもしれませんね」
Q10.鍵職人という職業、業界の今後の展望は?
「これからは育成にも力を入れていきたいです。自分の腕、技術で食べている人たちが多いので、鍵職人の世界ではそのテクニックを誰かに教えるという習慣がほとんどない。当社では技術やデータを共有していますが、他の鍵職人同士となると、まだまだ閉鎖的な感じがありますね。そういうところも、いろいろ考えながら少しずつ変えていけたらと思っています」
取材協力:玉置恭一さん。「ミスター開けゴマ」との異名を持つ、どんな鍵も開ける凄腕鍵職人。自分の腕や技術で食べていきたいとの思いから鍵職人に。新人研修の際すぐに車や金庫などの鍵を開けることができたという天才肌だそう。
玉置さんの所属するジャパンベストレスキューシステム株式会社では、鍵をはじめ、水、ガラス、パソコンなどのトラブル、害虫駆除や庭の手入れ、住宅の関するサービスなどにも対応している。
オフィシャルHP:https://www.jbr.co.jp/
ジャパンベストレスキューシステム株式会社の「生活救急車サイト」では、鍵や防犯ガラスの交換費用相場や、目的別金庫購入法など、より詳しく紹介。こちらもチェック!
生活救急車サイト:https://sq.jbr.co.jp/
4月19日(金)夜9時から放送の「所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ!」では、玉置さんが日本とアメリカで「開かずの金庫」に挑む!
まずは、北前船の寄港地として栄えた町・福井県敦賀市へ。当時、船問屋として莫大な財を成した大和田荘七が設立した元銀行には3つの開かずの金庫が。文化財の金庫を壊さないよう慎重に作業を進めると、中には予想しなかったものが!? そして、西部劇の舞台にもなった街・アメリカ中南部のオクラホマ州タロガシティへ。リフォーム中の歴史的建造物の壁に、開かずの金庫が埋め込まれていた。実はここは元銀行で、当時は"ある特別なこと"をしていた!? さすがの玉置さんも、アメリカの金庫の仕組みがわからず苦戦......番組史上最も難易度が高い金庫を開けることができるのか!?