3つの解剖学的な断面上(矢状面、前額面/冠状面、水平面/横断面)の動きを理解すると、体の癖やアンバランスな部分に気づきやすくなり、ヨガ練習だけでなく日常においてもより意識的に動けるようになる。今回は、体を左右に分断する「矢状面」の動きと起こりやすいゆがみについて。
体を左右に分断する「矢状面」
矢状面とは体を左右に分断する面のこと。ガラス板で頭頂から中心線に沿って体を左右に分断すると想像してみよう。矢状面運動とは、この想像上のガラスの面上で(あるいは面と平行に)起こる屈曲(前屈など)や伸展(後屈など)の動きである。おそらく誰にとってもいちばんなじみ深く、最もよく使う面だろう。
たとえば、運転するときや、下を向いて携帯電話をいじるとき、リモコンを手にソファに座っているとき、道を歩くときなどは、私たちは矢状面上で動いている。ヨガでは、ウールドゥヴァハスターサナ(手を上にあげるポーズ)やアドームカヴルクシャーサナ(下向きの木のポーズ)などで、両腕を前方や頭上に伸ばすときに矢状面運動をしている。
矢状面上で動く3つのヨガポーズ
1.ウトゥカターサナ(椅子のポーズ)
観察のポイント:足首、膝、股関節、肩が屈曲しているか?
2.アドームカシュヴァーナーサナ(ダウンドッグ)
観察のポイント:肩と股関節が屈曲、手首は伸展、足首は屈曲しているか?
3.バカーサナ(鶴のポーズ)
観察のポイント:手首は深く伸展、肩の一部は屈曲、背骨全体が深く屈曲しているか?
矢状面上で起こる2つのゆがみ
ポーズの効果を十分に味わうためには、断面上のゆがみを把握することが重要。体を観察する練習として、ヴルクシャーサナ(木のポーズ)を例に、矢状面上でゆがみやすいポイントを見ていこう。
骨盤が前傾して、背骨が反りすぎている場合
骨盤と背骨をニュートラルな位置にするために、尾骨を長く伸ばし、胸郭をおへそのほうに引き込む。
骨盤が後方に押し込まれ、背骨が屈曲して(丸くなって)いる場合
立っている脚の太腿の付け根を後方に押し、肩甲骨を胸のほうに押し込む。
教えてくれたのは…アニー・カーペンター
サンフランシスコ在住のヨガティーチャーで、指導者の育成も行っている。また、SmartFLOWメソッドの考案者でもあり、世界中でクラスやワークショップ、200時間、500時間ティーチャートレーニングを実施している。
モデル…シンシア・シング
コロラド州ボールダー在住のヨガティーチャーでロッククライマー。カーペンターの生徒でもある。
story by Annie Carpenter
photos by Rick Cummings
model by Cynthia Sing
styling by Jessica Jeanne Eaton
hair&make-up by Beth Walker
translation by Sachiko Matsunami
yoga Journal日本版Vol.58掲載