自力整体とは、治療家の技法を“自分で”できるようにした、自己治療メソッド。慢性的な不調の改善と予防を目的としている。自力整体には鍼灸、整体、ヨガ、瞑想の要素が含まれており、より自分の体への理解度を深めていくことができるのが特徴だ。
そんな自力整体の効果や方法について、自力整体ナビゲーターの矢上真理恵さんにお話を伺った。
監修:矢上 真理恵 自力整体ナビゲーター
父である矢上裕が開発した自己治療メソッド自力整体®︎と予防医学を普及する矢上予防医学研究所のディレクター。米国、英国の芸術大学で衣装デザインとパフォーマンスデザインの学士、修士課程を終了後にアート、ダンス、ムーブメントセラピーに興味を持ち英国でRYTヨガ認定資格終了。後に自力整体ワークショップをヨーロッパ各地、カナダやイスラエル等で開催。2019年より日本に完全帰国。
「自力整体」とは?
自力整体は人の手を借りず、自分で自らの体を治療するボディワークです。現在、日本人の平均寿命は世界トップ水準にあるにも関わらず、生活習慣病とされるがんや循環器系の疾病は増えており、健康寿命が短いのが現状です。 また、超高齢化に伴う社会的負担も、今後の社会の大きな課題となっています。それに向き合うには、一人一人の意識を変えていかなくてはなりません。
生き方を見直し、自分の体、心に責任を持つ。 可能な限り医療に依存せず、セルフケアを行うことで病気の予防、健康を増進させることが重要になります。その方法を半世紀かけて研究、普及してきたのが矢上予防医学研究所です。より良い社会の未来のために、多くの方々にこのメソッドを伝え、貢献していきたいと願っています。
自力整体の効果
- 自然治癒力を高める
- 自己観察能力を養う
- 歪みを取り、正しい位置へ戻す
- 自律神経を整える
- 痛みを根本から取り除く
自力整体の方法
自力整体には、3つの手技があります。
自分の体重でツボを圧迫する「自己指圧法」
自力整体の基本である、自重と体の部位を使って指圧をする「自己指圧法」。たとえば、左上の写真は手首の内側にある自律神経を整え、体の緊張をとる内関というツボを右のヒザで指圧しています。
関節を揺さぶることで、噛み合わせのズレを元の位置に戻す「揺さぶり矯正法」
「揺さぶり法」は、体を脱力させた状態で微細な振動を与え、関節の歪みを整えます。下の写真は右のヒザを上下に揺すりながら、骨のズレを調整しています。
タオルで動きを制限した状態でそれに反発するように、筋肉に力を入れて血液を集める「抵抗法」
抵抗法は、自力バンドを使った血行促進テクニックです。たとえば右上の写真は、自力バンドの中に両手を入れ、反対方向へ押し合っています。それにより、血液が力を入れている肩周りに集まり、力をゆるめることで循環を促します。
自力整体を行うときのコツ
- “気持ち良い”と感じる程度の力で行いましょう。筋肉を伸ばして痛いのを我慢して行うとかえって筋を痛めます。自分の感覚に耳を傾け、丁寧に体を扱います。
- 深呼吸をしながら体を解放するように行います。治療のステップは、筋肉の緊張を緩めることから始まります。ゆがんだ骨格を結びつけているのが緊張した筋肉だからです。それらを解体し組み直すことで整体となります。筋肉をストレッチするのではなく緩めてその奥の骨にアプローチします。
- 自分を観察しましょう。気持ちよく緊張した筋肉を脱力させて解体するには自分自身の体を内観することが大事です。あなた自身が体の声を聞き、凝りをみつけてほぐす動きや角度を観察していきましょう。目を閉じて自分の感覚に集中していきます。