ダイエットをすると決めたら、やるべきことがたくさんある。ミールプランを考えて、エクササイズの計画を立て、これまでの生活習慣で変えられる部分を変えていかねばならない。それでも、目標の達成に向け、できる限りのことをしたいと思うのは当然のこと。
ダイエット関連の情報を調べていると、ダイエットにマグネシウムを使うという話が出てくる。米国立衛生研究所(NIH)によると、マグネシウムは、骨の発達、筋機能、心拍リズムの調節を含む多数の体内プロセスに関連している。一部の医師は、睡眠や消化に加えて不安にもマグネシウムが効くと主張しているけれど、このミネラルがダイエットの役に立つというのは本当だろうか?
専門家の面々いわく、マグネシウムがダイエットの役に立つ可能性は確かにある。でも、マグネシウムのサプリメントを飲むだけで勝手に体重が減っていくわけじゃない。ダイエットは、このうえなく理想的なコンディションの下でも複雑なプロセスであり、その中でマグネシウムを使うことが万人に合っているとは限らない。つまり、マグネシウムのサプリメントが役に立つケースもあれば、お金の無駄になるケースもあるということ。
でも、マグネシウムで体重が減りやすくなるとしたら、それは一体どういう仕組みで? そして実際に試す価値は本当にあるのだろうか? アメリカ版ウィメンズへルスから詳しくみていこう。
そもそもマグネシウムとは?
NIHによると、マグネシウムは必須微量栄養素の一種で体内に多くある。このミネラルは、いろいろな意味で健康によく、丈夫な骨組織の形成、心拍リズムの調節、エネルギー生産、筋機能や神経機能といった体内の重要なプロセスに関係している。
マグネシウムはサプリメント(錠剤、粉末、グミ)で簡単に補うことができるけれど、ほとんどの人は普段の食事で十分な量を摂取している。公認管理栄養士で著書に『The Small Change Diet』を持つケリ・ガンズ氏によると、マグネシウムは、ナッツやシード、豆類、全粒穀物、バナナ、濃い緑色の葉物野菜、大豆などの日常的な食品に含まれている。
マグネシウムのサプリメントはダイエットの役に立つ?
米ラトガーズ・ロバートウッド・ジョンソン・メディカルセンター内分泌学助教授のクナル・シャー医学博士によれば、マグネシウムのサプリメントがダイエットの役に立つことはあるけれど、その仕組みは非常に複雑。
「マグネシウムのサプリメントがダイエットの役に立つのは、体内のマグネシウムが不足している場合です」とシャー博士。マグネシウム不足はインスリン抵抗性の原因になる。インスリン抵抗性は、筋肉・脂肪・肝臓内の細胞がインスリン(血糖値を調節するホルモン)に上手く反応しなくなり、血中からグルコースを上手く取り込めなくなった状態を指す言葉。
「マグネシウムが不足すると、体内の炎症が悪化しやすくなるとも言われています」とシャー博士。「体内の炎症が悪化しやすい状態でインスリン抵抗性が生じると、体重が増加します。でも、これは体内のマグネシウムが不足している場合の話です」
米オハイオ州立大学ウェクスナー・メディカルセンターの公認管理栄養士アンバー・コア氏によると、マグネシウムが体重に与える影響は直接的というよりも間接的。「マグネシウムは鎮静作用があることで知られています」。そのおかげでぐっすり眠れるようになり、その結果、体内のグレリン(空腹ホルモン)量が減少することはある。
「睡眠時間が足りないと、体は食べものからのエネルギーを求めてグレリンの量を増やし、私たちに『食べろ』と言ってきます」とコア氏。その指示に従わず「日中に食べる量を減らせば、体重は徐々に減るかもしれません」
2021年の研究で、肥満の人はマグネシウムが不足しやすいことが分かった。コア氏によると、マグネシウムのサプリメントが体重の減少を引き起こすという確固たる証拠はない。でも、本当にマグネシウム不足の場合は「サプリメントの服用が役に立つと言えるでしょう」とシャー博士。
※この記事は、アメリカ版ウィメンズヘルスから翻訳されました。