12月10日(火)、気象庁は最新のエルニーニョ監視速報を発表しました。エルニーニョ監視海域は平常の状態が続いています。冬の期間はラニーニャ現象の特徴が明瞭になるものの、発生の定義を満たすまでには至らない見通しです。
エルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない
11月のエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値からの差は−0.2℃で、基準値に近い値となりました。また、エルニーニョ/ラニーニャ現象発生の判断に使用している5か月移動平均値の9月の値は-0.3℃で、前月と変わらず基準値に近い値です。
太平洋赤道域の海面水温は西部で平年より高く、中部から東部では平年より低くなりました。
太平洋赤道域の日付変更線付近の対流活動は平年より不活発で、中部太平洋赤道域の大気下層の東風(貿易風)は熱帯季節内振動の影響もあり、平年よりもやや強くなっています。
このような大気と海洋の状態は、エルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常の状態とみられますが、ラニーニャ現象時の特徴が明瞭になりつつあることを示しています。
ラニーニャ現象発生の確率は40%
エルニーニョ/ラニーニャの動向を予測するコンピューターシミュレーションの結果によると、今後は太平洋赤道域の西部から中部で貿易風の強い状態が続くとともに、中部から東部の冷水が強まり東進するため、エルニーニョ監視海域の海面水温が冬は基準値より低い値で推移する可能性が大きくなるとみられます。
その状態は長くは続かず春にかけては海面水温が再び上昇して基準値に近づく予想です。
冬の期間はラニーニャ現象に近い傾向が続くものの、4月には平常の状態となる可能性が70%まで上昇し、ラニーニャ現象発生の定義は満たすまでには至らない見通しです。
▼エルニーニョ/ラニーニャ現象発生の定義
日本海側は大雪のおそれ
ラニーニャ現象の特徴が明瞭になることで、上空の偏西風は中国大陸で北、日本付近で南に蛇行するとみられます。このため、日本列島の上空には寒気が流れ込みやすく、冬型の強まるタイミングがある見込みです。
その一方で、夏から秋の高温傾向の影響で日本海の海面水温は平年よりも高い領域が多くなっています。海面水温が高い所に強い寒気が流れ込むことで雪雲がより発達しやすく、日本海側では雪が強まりやすくなる見通しです。
冬の期間の降雪量は日本海側の全域で平年並みか平年より多い予想となっています。今冬は大雪となりやすいことが考えられますので、雪への備えをしっかりと行ってください。
出典
気象庁