今日12月8日(日)の夜は、上弦目前のほぼ半月の月と土星が大接近します。
さらに東京や大阪など国内の多くの地域では、18時前後〜19時前後にかけて、地球からみて土星が月の後ろに隠れる「土星食」が起こります。日本の広範囲で夜間に起こるものとしては2002年以来およそ22年半ぶりです。
ウェザーニュースでは、今回の土星食にあわせて国内の最大3地点から月と土星の様子を生中継します。
土星食とは?
今日は日の入り後の南〜西の空で、月と土星がすぐ近くで輝く様子がみられます。土星は太陽系の中では、金星、木星、火星に次いで明るく見える惑星で、都市部でも肉眼で見つけることができます。
今回の大接近では、月と土星がかなり近づく(地球から見てほぼ同じ方向に位置する)ことで、一時的に土星が月の後ろ側に隠れてしまいます。これを「土星食」と呼びます。土星は月と比べてかなり小さく見えるため、土星食の間は土星は全く見えなくなります。
土星食が見られる地域は日本の半分程度
今回の土星食が見られる地域は、日本列島のおよそ半分にあたる南東側の地域です。北西側では土星は月の後ろを通らず、接近した状態から再び離れていきます。
より南東側の地域ほど深く土星が隠され、関東などでは40分程度、土星が全く見えなくなります。一方で境界に近い地域では、土星食の起こる時間は数分以内になります。
さらに、北海道釧路市・秋田市・石川県珠洲市・岡山市・愛媛県宇和島市・鹿児島県垂水市などを結ぶ境界線上の地域では、土星の一部だけが月に隠される「接食」が起こります。望遠鏡などで観察すると、月の地形の起伏の向こう側を土星が平行に進んでいく様子が見えそうです。
土星食はどう見える?
今回の土星食では、土星と月はともに右下に向けて移動しながら、土星が月の上側から月に隠れ、右側から出てくるように見えることになります。
多くの地域では、月の後ろ側に潜入する際には月の光っていない側に入り、出現するときには月の明るい側から出てきます。
肉眼で見た場合には、潜入時は土星が1分程度かけて徐々に暗くなっていく様子がわかります。そこが月の光っていない側のフチだということです。一方、出現時には月の明るさに負けて、肉眼でははっきりとその瞬間は見えない可能性があります。出現をしっかりと観察したい場合には、望遠鏡や双眼鏡を使うのが良さそうです。
なお、土星食などの惑星食では、じわじわと潜入・出現する様子が見られますが、恒星食(スピカ食など)の場合には、潜入時は一瞬で光が消え出現時には一瞬で光りだすため、そういった違いも楽しめます。
■土星食の時刻(潜入開始・出現終了)
仙台 18時28分頃 19時00分頃
東京 18時19分頃 19時02分頃
大阪 18時21分頃 18時47分頃
那覇 17時54分頃 18時29分頃
日本で見られる次回の土星食は来年(2025年)の2月1日(土)ですが、日中の現象ですので肉眼で見ることは出来ません。
惑星食自体は年に何度も起こる現象ですが、日本から観測しやすい夜間の惑星食はこの先しばらくありません。2034年の木星食が次回のチャンスとなりそうです。スピカ食やアンタレス食などの恒星食にも注目してみてください。直近では今月25日の未明にスピカ食が見られます。
気になる今夜の天気は
冬型の気圧配置となるため、北日本〜西日本の日本海側は寒気の影響で雲に覆われる可能性が高くなっています。沖縄や奄美も曇りや雨で、天体観測には不向きな空模様です。
一方、太平洋側の各地は雲の出る時間はあるものの、晴れて月と土星を見られるところが多そうです。非常に寒くなりますので、外で観察する場合は防寒を万全にしてください。
参考
国立天文台「ほしぞら情報2024年12月 土星食(2024年12月)」、アストロアーツ「2024年12月8日 土星食/月と土星が大接近」
参考資料など
国立天文台「ほしぞら情報」https://www.nao.ac.jp/astro/sky/