夏休みには家族で手持ち花火を楽しむという方もいると思います。
ところで、最近の線香花火は、火の玉が落ちやすく感じませんか?実は勘違いではないんです。迫力満点の打ち上げ花火とはまた違った魅力を持つ「線香花火」に注目していきます。
より儚い光に
「誰が一番長くもつか」と、線香花火で競争をした方は多いのではないでしょうか?ただ、最近の線香花火はほとんどが海外からの輸入もの。安価な代わりに火の玉が落ちやすく、以前に比べるとより儚い光となっています。
線香花火の製作所は、今では国内に3軒しか残っていないそうです。
東西で異なる線香花火
線香花火には「長手牡丹(ながてぼたん)」と「スボ手牡丹(ぼたん)」の2種類があります。
【関東の長手牡丹】
関東を中心に親しまれてきた花火。
関東地方では米作りより紙すきが盛んだったため、ワラの代用品として紙で火薬を包んで作られました。
火をつけて、斜め下に向けて楽しみます。
【関西のスボ手牡丹】
300年変わらない線香花火の原型で、ワラの先に火薬をつけたのが始まり。
米作りが盛んな関西地方にはワラが豊富にあったため、関西を中心に親しまれてきました。
火をつけて、斜め上に向けて楽しみます。
現在よく見かけるのは長手牡丹となっています。
線香花火の一生
線香花火は、火をつけてから火の玉が落ちるまでの燃え方に違いがあり、それぞれに名前があります。
【蕾】点火から次第に大きくなっていく火の玉。花を咲かせる前に見立てて「蕾」と呼ばれます。
【牡丹】パチパチと力強い火花が、一つずつはじけ始めます。
【松葉】「牡丹」から勢いを増し、次々に火花が散る段階。まるで「松葉」のように沢山の火花が四方八方に広がります。
【散り菊】勢いのあった火花が、一本、まだ一本と落ちていきます。火の玉がだんだんと色を変え、光を失い、線香花火はその一生を終えます。
名前と共に燃え方を改めてみて見ると、どの段階にも味わい深いものがありますね。繊細さや儚さがきわ立つ中、表情豊かなところも線香花火の魅力の一つです。
ちなみに、使い切らずに残った線香花火は、とっておくのがおすすめです。実は、線香花火は湿気を吸ったり吐いたりと“呼吸”しています。その繰り返しにより、比重が違うために本来は混ざりにくい硝石と硫黄、松煙がなじみ、火花がより美しくなるのです。
この夏は線香花火の光で粋な時間を楽しんでみませんか?
参考資料など
・月刊SORA2015年7月号 https://weathernews.jp/soramagazine/201507/10/
・筒井時正玩具花火製造所HP http://tsutsuitokimasa.jp/