日本の文化振興に寄与するための事業を手がける公益財団法人角川文化振興財団(理事長:角川歴彦)は14日、「聖火リレーにおける遣唐使船の活用」と「バチカンと日本 100年プロジェクト」の2つの国際文化交流プロジェクトについて、長崎県と共同で取り組むことを発表した。
「遣唐使船」は、悠久の時代から日中交流の懸け橋となり、東アジア圏、シルクロードを通じてヨーロッパにまでつながる、東西の文化交流に多大な貢献を果たした船。平成22年(2010年)5月に開催された上海万博を契機に、角川文化振興財団は遣唐使について学術的に検証し、併せて日中の新たな文化交流のきっかけをつくるため、当時の遣唐使船を再現した。そして今回、スポーツを通じて世界をつなぐ東京2020オリンピックにおいて、東西の文化交流の象徴である「遣唐使船」を活用した“海上聖火リレー”を実施することとなった。
今回の発表に際して長崎県中村法道知事は、「遣唐使船が、オリンピック聖火リレーにおいて復活いたします。時空を超えて現れた遣唐使船が聖火をつなぐことで、県民の皆様に未来へ向けた日中友好の証を感じていただければと思います」とコメント。続けて、バチカンと日本100年プロジェクトについて「『長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産』を有し、バチカンと深い関わりを持つ本県にとって、大変意義あること」と強調した。
「遣唐使船」を復元した角川文化振興財団・角川歴彦理事長は、「日本と中国の文化交流を担った遣唐使船というのは、世界史のなかでも稀に見る平和的な使節団として記録されています」と解説。そして、「ぜひこの遣唐使船がオリンピックのシンボルとなりますように、県民の皆様にも歓迎して頂けることをお願いしたいと思います」と、“平和のシンボル”である遣唐使船の活用について語った。
聖火をつなぐ遣唐使船は全長30メートル、幅9.3メートル。4月29日(木・祝)から5月7日(金)まで長崎県庁横海上に係留展示。また、長崎県庁1階ロビーには遣唐使船解説パネルの展示や、聖火を持って撮影ができる「聖火(トーチ)フォトスポット」も設置される。