40年以上の長い歴史をもつスーパー戦隊シリーズの最新作「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」(毎週日曜午前9:30~/テレビ朝日系)。その劇場版作品『暴太郎戦隊ドンブラザーズ THE MOVIE 新・初恋ヒーロー』が2022年7月22日(金)より公開となる。
テレビシリーズと同様、主演を務めるのは樋口幸平。昔話の「桃太郎」をモチーフにした本作で、人間の“欲望”から生まれるモンスター“ヒトツ鬼(き)”や謎の組織“脳人(ノート)”と戦うドンブラザーズのリーダー・ドンモモタロウ(桃井タロウ)を演じている。そんな樋口に、俳優としての自身や「ドンブラザーズ」での成長、劇場版にまつわるエピソードなどを聞いた。
サッカーも俳優も気持ちの強さや負けず嫌いなメンタルは大事
――スカウトから芸能界に入ったそうですが、いろいろなジャンルがある中で、なぜ俳優に?
【樋口幸平】スカウトされた時は右も左もわからなかったんですが、自分の憧れだったのが竹内涼真さんなので、俳優を目指したいと思いました。僕もずっとサッカーをやっていたのですが、竹内さんと環境が似ていると勝手に思っていて、そういうところにすごく共感していました。
――そのサッカーの経験が俳優の仕事で生きている、と感じることはありますか?
【樋口幸平】サッカーも俳優も、やり通す気持ちの強さや負けず嫌いなメンタルは大事だと思います。粘り強い気持ちで俳優の仕事に向き合えるのは、サッカーをしていたからこそですね。
それから、高校の頃にサッカーのコーチから「1のプレーを注意されたんだったら、1.5のプレーをするんじゃなく、2のプレーができるように頑張れ」と言われたことがあるんです。だから、監督に注意された時にも「下手くそだとしても、さっきとは違う感覚の芝居をしてみよう」というチャレンジ精神で向き合うことができています。
――そういった経験があるから、へこまずに切り替えて、ベストを考えて動くことができるんですね。
【樋口幸平】そうかもしれないです。それに、ドラマもサッカーもチームでやるものなので、似ていると思っていて。サッカーでフォワードをボランチが支えるように、撮影現場でもこの人がフォワードでこの人がボランチなら、自分はどう動くべきか、と経験にリンクさせて考えていることが多いです。
――今、自分がどこでどうするべきかという判断ができる。
【樋口幸平】撮影中だけでなく、現場での立ち居振る舞いもそうですね。やれているかわからないけど、ここでこうして欲しいんだろうなっていう相手の気持ちは常に考えるようにしています。そこはやっぱり、スポーツをしていて良かったなと思うところです。
ハイテンションな役柄に苦労
――「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」に出演することになって、ぶつかった壁などはありますか?
【樋口幸平】オーディションで主演を勝ち取り、すぐに撮影に入ったんですが、桃井タロウとドンモモタロウは変身前後でテンションが違うので、その差に苦労しました。ドンモモタロウの声を演じているのが僕だって、いまだに信じてもらえないほどなんですよ。
ドンモモタロウは神輿で登場するんですが、アフレコルームに行くまでにハイテンションなキャラクターを作るのが大変で。ちょっとテンションが低くなっていたら「おい幸平、テンション低いぞ」って指摘されることもあります。そこはもう自分の頑張り次第なので、プロとしてちゃんと気持ちを作って現場に行くことを大事にしています。
――アフレコがひとつ、大きな課題だったんですね。
【樋口幸平】そうですね。田﨑竜太監督には、すごく鍛えてもらいました。
――今はもう乗り越えました?
【樋口幸平】今はアフレコが大好きなので、乗り越えられたかなと思います。スピンオフ作品「暴太郎戦隊ドンブラザーズ meets センパイジャー」の時に、アドリブを入れられるようになって楽しくなりました。
――なにかきっかけがあったんですか?
【樋口幸平】現場に慣れてきたことに加えて、監督から「気持ちで芝居しろ」と言ってもらえたのが大きかったです。自分のことでいっぱいいっぱいだったところから、「これはお客さんが見た時におもしろいと思うかな」という視点を持てるようになりました。どう演じたら視聴者のモチベーションが上がるんだろう、というのを考えるようになって、役者として少しは成長できたのかなと思っています。
スーパー戦隊の先輩たちから学んだこと
――事務所の先輩であり、ヒーローとしても先輩の駒木根葵汰(五色田介人/ゼンカイザーブラック役)さんとは本作でも共演されていますが、アドバイスをもらったり、見習ったりしたことはありますか?
【樋口幸平】役が決まった時に「おめでとう。大変だろうけど頑張れよ」と、声をかけてもらいました。ヒーローの先輩として感じるのは、コミュニケーションのとり方ですね。葵汰さんはスーツアクターさんに囲まれた現場で、僕は同世代を中心にしたキャストが周りにいるという違いはありますが、「機界戦隊ゼンカイジャー」で座長を務めていた葵汰さんのように、自分もしっかり現場の皆さんとコミュニケーションを取らないとな、と感じています。
――ヒーローの先輩といえば、「忍風戦隊ハリケンジャー」に出演していた姜暢雄さんが劇場版にゲスト出演されますね。現場での思い出などはありますか?
【樋口幸平】姜さんは現場ですごく話しかけてくださいました。「座長、大変でしょ?」と気遣ってくださったり、ドラマ「花ざかりの君たちへ〜イケメン♂パラダイス〜」の時「(小栗)旬がキャストを集めて、「イケパラ」をいいドラマにしようっていう会を開いて、みんなに火を付けたんだよ」っていう話をしてくださったりしたんです。そういう、ご自身が経験してきたお話をしてくださるのがうれしかったし、僕にとって学びになりました。
将来的には「どんな役もこなせる俳優になりたい」
――ドンブラザーズのメンバーの中では、猿原真一/サルブラザー役の別府由来さんと特に仲がいいそうですね。役が決まった時、ほとんど話したこともないのにハグをした、ということでしたが、なにかシンパシーを感じるものがあったんですか?
【樋口幸平】オーディションがずっと一緒だったんです。だから、顔見知りのような感じで、負けないぞっていう思いと、一緒に頑張ろうって思いがあったんです。今も、芝居のダメ出しをされたり、悔しいなって思ったりした時は由来に話すし、由来も話してくれます。頼りになる、戦友みたいな関係です。
――では、この先どんな俳優になっていきたいかというビジョンを教えてください。
【樋口幸平】どんな役もこなせる俳優になりたいです。『孤狼の血』の松坂桃李さんを見て鳥肌が立って、続編に出演されている鈴木亮平さんも本当にすごかった。特に松坂さんは、僕と同じ年齢の時に「侍戦隊シンケンジャー」のシンケンレッドを演じていますが、家臣を従えている役どころがドンモモタロウと共通しているので、とても憧れている俳優さんです。おふたりのほか、菅田将暉さん、柳楽優弥さんのような、闇も表現できるような俳優になりたいです。でも今の僕では全然届かないので、今後もっと作品を重ねて近付きたいと思っています。
――それこそ、桃井タロウも闇を感じるキャラクターですよね。
【樋口幸平】そういうシーンがあった時は、また改めて気合を入れて頑張らなきゃ、と思います。
――最後に、今回の映画の見どころをお願いします。
【樋口幸平】“脳人”チームも含めてみんな、それぞれが本編ではやらないような新しいことに挑戦しています。みんなが全力を出した楽しい作品になっているので、ぜひ見ていただきたいです!
撮影=八木英里奈
取材・文=大谷和美
劇場版「リバイス・ドンブラザーズ」製作委員会
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