ACL出場権争い
いま浦和レッズにAFCチャンピオンズリーグ出場権獲得の可能性は、どれほど残されているのか。
2021シーズンも佳境を迎えるなか、あらためて条件を整理してみたい。
日本が持つ来季のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)出場枠は4つ。内訳はリーグ3位以内のクラブ、天皇優勝クラブ。
すでに2チームの出場が内定済み。J1優勝を決めた川崎フロンターレ、勝ち点75で3位以内を確定させた横浜F・マリノス。残る枠は2つである。
リーグ戦は35節まで消化し、最終節まであと3試合。
3位争いは、4チームに絞られている。勝ち点67で3位のヴィッセル神戸、勝ち点62で並ぶ4位の鹿島アントラーズ、5位の名古屋グランパス。そして、勝ち点59で6位につける浦和レッズだ。
レッズが3位に入るための条件は、極めて厳しい。
36節の横浜FM、37節の清水エスパルス、38節の名古屋に3連勝して勝ち点68まで伸ばすことは絶対条件。それでも、まだ他力となる。
勝ち点67の神戸が勝ち点1でも積み上げた時点で、3位浮上は消えると言ってもいい。
勝ち点が並んだときに順位を決定する得失点差の開きがあまりに大きい。現在、浦和の「7」に対し、神戸は「24」。
ただし、ACL出場権を手に入れる可能性が低いわけではない。
現実的にレッズがアジア行きの切符を手にする方法は2つ。
最も分かりやすいのは、天皇杯を制すること。12月12日の準決勝でセレッソ大阪を下し、12月19日の決勝で川崎Fと大分トリニータの勝者を破れば、文句なしで出場権を獲得できる。
あとひとつはリーグ戦4位に入り、天命を待つこと。
すでにACL出場権を持つ川崎Fが天皇杯で優勝した場合、4位にその権利は移譲される。
実際、前年度も4位のセレッソ大阪が同じ規程が採用され、出場権を手にしている。
4位の価値は、リカルド ロドリゲス監督も十分に理解しているはず。11月7日の鹿島との大一番で欠場した酒井宏樹をはじめ、明本考浩らとケガ人は増えているものの、長く戦列から離れていたトーマス デンらが復帰するなど、明るい材料もある。
重圧のかかる試合で頼りになるのが、歴戦の勇士たち。鹿島戦で約3カ月ぶりに先発出場した右サイドバックの西大伍は、チームに落ち着きをもたらしていた。
ACLを含め、国内の全タイトルを獲得した経験を持つ34歳のモチベーションは高い。「まだ終わっていません」と意気込んでいた。
今季は若い戦力の台頭が目立ってきたが、ベテランにはベテランの長年培った経験のなせる技がある。熟練のプレーが、チームを救うかもしれない。
(取材/文・杉園昌之)