現在チームは活動休止中のため、自宅にいる選手たちをつないだTV電話企画を実施。荻原拓也が話し相手に指名したのは先輩の長澤和輝だった。二人はこの休止期間にどのような活動をしているのだろうか。
――おふたりはこの中断期間、どんなふうに過ごしていますか?
長澤
トレーニングは継続してやっていますけど、何人かで集まってボールを蹴ることはできないので、走ったり、筋トレしたり、自主練をしています。あと、本を読んだり、TV電話で友人と話をしたり。家でできることを探して、ゆっくりしています。
荻原
僕もひとりで走ったり、体幹トレーニングをしたりしているんですけど、週に1日、2日は何もしない日を作って、のんびりしています。
長澤
何もしない日っていうのは、トレーニングをしないっていうこと?
荻原
そうですね。その日は特に何も考えず、時間にとらわれずに好きなことをやるんです。僕は1日を計画的に進めたくて、けっこう詰め込むタイプなんですよ。何時から何時までは英語の勉強、そのあとは体幹トレーニングっていうふうに計画を立てるんですけど、その日はあえて計画を立てず、思いついたことをやる。シーズン中のオフの日みたいな感じです。
長澤
本を読んだり、映画を見たり?
荻原
そうですね。
長澤
最近はどんな本を読んでいるの?
荻原
今、読み始めた本があって。ちょっと待ってくださいね。これこれ、『シャンタラム』っていう本なんですけど、英会話の先生に紹介してもらって。まだ読み始めたばかりなんですけど、上中下巻あって、かなり長いし、僕にとってはすごく難しい内容というか。
長澤
どういう内容なの?
荻原
うまく要約してしゃべれない(苦笑)。
長澤
頑張って、言ってみて(笑)。
荻原
う〜ん、何て言ったらいいんだろう、難しいな。主人公の実話っていうか、その人の物語なんですけど、とにかく壮絶過ぎて。例えば、刑務所に入って、脱獄して、マフィアの一員になったりして、みたいな。とにかく壮絶な物語です。ちょっとまだ序盤の序盤なので。
長澤
映画はどんなのを見るの?
荻原
何だろうな。日本の映画じゃなくて、海外の映画とかをよく見ますね。
長澤
英語を勉強している、って言っていたけど、僕もドイツにいた頃、映画を見ながら英語を勉強したよ。例えば、ネットテレビとかなら言語を英語に設定して、字幕も英語にしたり、日本語にしたりできるから、好きな映画を日本語の字幕で見ながら、なんて言ったのか分からなかったら英語の字幕に変えて確認したり、分からない単語をメモして、あとで調べたりすると、勉強になるよ。
荻原
ありがとうございます。やってみます。
――荻原選手は今年からひとり暮らしを始めましたが、料理はどうしているんですか?
荻原
自分で3食ちゃんと作っていますよ。
長澤
おお、バランス良く?
荻原
バランスがいいかどうかは分からないですけど、考えながらやってます(苦笑)。
長澤
ハハハ、これからだね、これから。
荻原
それが難しくて。例えば、メインのカレーは作れるけど、それ以外の副菜とか、サブメニューみたいなものは多く作れない。野菜を摂りたいけど、どうしたらいいんだろうと思って、結局、味噌汁にたくさん野菜を詰め込むとか。
長澤
そうなっちゃうよね。分かる、分かる。
荻原
カズキくんは、料理はどうなんですか?
長澤
僕は大学4年間とドイツの2年間、自炊していたから、けっこう得意だよ。スパゲッティとか、美味いかも。ドイツには日本のお米が売ってなかったから、パスタを作ることが多かったかな。指先がニンニク臭くなったりして(笑)。オギはひとり暮らしは順調なの?
荻原
順調です。でも、ひとり暮らしをするようになって、1日が早く終わるなって。ご飯作って、皿洗いして、洗濯して、お風呂に入って、とかしていると1日って意外と早く終わっちゃうんだな、って感じます。今までやってもらっていたことを、自分で全部やらなくちゃいけないんで。その中でも、趣味とか勉強とか、自分に返ってくるようなことをやろうとしたら、あっという間ですね。
長澤
これまでは実家とか寮で暮らしていたから、ひとり暮らしをしてみて、改めて親のありがたみを感じない?
荻原
本当、それしか感じてないですね、今。当たり前にやってもらっていたことを自分でやらなくちゃいけないので。でも、楽しいです。海外のシミュレーションだと思って、やっています。
長澤
いいね、いいね。ちゃんと掃除もしている?
荻原
掃除はもう趣味です、趣味。
長澤
オギはきれい好きだよね、ロッカーも整理されているし。
荻原
いや、そんな、だとは思うんですけど、きれい好きは確かです。A型ってきれい好きって言うじゃないですか。で、自分はずっとA型って言われていたんですけど、実際に検査したことがなくて。プロになるときに初めて調べたら、Oプラスでした(苦笑)。
長澤
ハハハ。そんなことある?
荻原
親は、血液型にとらわれないように、っていう意味も込めて検査しなかったらしいんですけどね。本当はOプラスでびっくりしたんですけど、まあいいやって。
長澤
そこで、まあいいや、と思えるのがO型なんだよ(笑)。
――長澤選手、大学院の卒業式は無事にできました?
長澤
卒業式はできなかったんですけど、教授との写真は撮りました。少人数でひっそりと。だから、卒業の催しはしました。
――では最後に、お互いにメッセージをお願いします。
長澤
オギは内に秘めたものがありますよね。僕が20歳の頃、初めてJリーグの練習に参加したとき、あまりにレベルが高くて、自信を失いかけたことがあったんです。でも、オギは18歳で入ってきて、キャンプで同部屋だったんですけど、そのときから自分に自信を持っていて、「あ、この18歳、凄いな」と思って。
荻原
そんな、そんな。
長澤
浦和レッズは経験豊富で力のある選手が多いので、どうしても若手の出場機会が短くなってしまうけど、その中でも、阿部(勇樹)さんや鈴木大輔の振る舞いを見ながら、しっかり自分をコントロールして来たるべきときに備えてほしいし、オギもそれを後輩たちに伝えられる、そんな先輩になって欲しいな。
荻原
後輩たちに対しては、もっと貫録を出したいな。そういう感じじゃなかったから、ユースのときも。今どう思っているか分からないですけど。僕が育成の頃は、原口元気選手や関根貴大選手が憧れの存在だったので、ああいう存在になりたいと思いますね。
長澤
レッズのユースでやっている子たちにとっては、すでにオギは憧れの存在だと思うよ。アカデミー出身で、トップでプレーしているわけだから、リスペクトは絶対。
荻原
浦和に対する気持ちとかは人一倍持っているとは思うので、それをピッチで表現できるようにとにかく試合に出たいですね。僕からカズキくんへのメッセージは、本当に何回も言っているんですけど、尊敬できる先輩なので、これからもアドバイスをしてほしいし、最近話すようになって、これからももっと話したいです。
長澤
もちろん。これからも一緒に頑張っていこう。
(取材/文・飯尾篤史)