AFCチャンピオンズリーグ2022 グループF順位表
AFCチャンピオンズリーグ2022 結果&日程
3年ぶりの出場となるAFCチャンピオンズリーグを戦うために4月11日にタイに入った浦和レッズは21日に大邱FC戦を終え、グループステージを折り返した。
現在のチーム成績は、3試合を終えて2勝1敗。大会前に首位を争うと見られていた大邱FCに0-1と敗れてしまったが、大邱FCと勝ち点6で並び、2位につけている。
リカルド ロドリゲス監督はこのグループステージで、勝つこと、次のラウンドへ進出することに加え、「チームが成長していけるように努める」ことも重要視している。
ライオン・シティ・セーラーズとの初戦に4-1で勝利した3日後に迎えた山東泰山戦では、鈴木彩艶、アレクサンダー ショルツを除いて先発メンバーを9人変更した。
試合前日、連戦における選手の起用法を問われたリカルド ロドリゲス監督は、「明日のメンバーに我々の狙いが見えるだろう」と答えたが、メンバーの大幅な入れ替えは、総力戦、チーム全員でグループステージ突破を狙うことを意味していた。
序盤から90%前後という通常では考えられないボール支配率で、初戦以上に山東泰山を圧倒したレッズは26分に明本考浩が今季初ゴールを決めると、その明本が奪ったPKを31分にアレクサンダー ショルツが決めて2点をリードした。
後半には加入してわずか3週間余り、公式戦2試合目となるアレックス シャルクが53分に「ストライカーらしいゴール」で加入後初ゴールをマークすると、76分にも驚異的な直接FKを決め、見る者の度肝を抜いた。
試合後、チームスタッフから「スーパーヒーロー」と賞賛されたシャルクは、「No, no, no」と謙遜し、「勝ち点3を取れたし、チームはいいパフォーマンスだった」と振り返った。ダヴィド モーベルグもセーラーズ戦を含めて公式戦5試合で3ゴールを挙げており、新加入の2人はチーム力を底上げしてくれるに違いない。
さらに山東泰山戦では、リーグ開幕戦の京都サンガF.C.戦で先発し、トレーニングでも攻守にわたって強度とセンスを見せながらも、なかなか出場機会を得られていないルーキーの安居海渡にもゴールが生まれた。
チャンスを生かしたのは安居だけではない。知念哲矢はレッズ加入後初先発を飾理、的確なカバーリングや良質な縦パスを見せた。流通経済大学の同級生である安居のゴールをアシストした宮本優太は、豊富な運動量で何度もボールに絡んだ。
ここまで3試合すべてでゴールを守る鈴木は、モーベルグのミスキックに見えるオウンゴールに対しても「こうやれと言われていることがうまくできなかった。それができれば防げた」と前向きに反省しており、チームとしてグループステージ突破と成長を目指して向上し続けている。
リカルド ロドリゲス監督が求める「チームの成長」はピッチ内に限らない。
日中の散歩やプールで過ごす時間は、暑熱対策やリラクゼーションの効果を生むだけではなく、選手間のコミュニケーションを図る機会でもある。
4月18日は岩尾憲の34歳の誕生日だったが、岩尾がパシージョ(=花道)を通過してプールに飛び込む瞬間、なぜか明本がチームメートに押され、岩尾とともにびしょ濡れになった。チームメートは主役を祝福する前に明本に拍手を送り、和やかな雰囲気になった。
クラブレベルではめったにない中立地での集中開催は、チームの結束力を増すことにもつながっている。まずは残り3試合で勝つことを前提としながら、あと1週間余りの共同生活で『チーム』として成長するはずだ。
集中開催は、周囲のサポートなくして乗り切れない。例えば、アジアの戦いでレッズをサポートしている西芳照シェフは、栄養バランスの取れた美味しい食事を提供するだけではない。
選手の声を聞き、疲れを察知すると、浦和の名産でもあるうなぎを急きょ手配。タンパク質やビタミン、ミネラルを豊富に含むうなぎを食し、選手たちは栄養面だけでなく、心も満たされた。
日本人選手が喜んだのはもちろん、キャスパー ユンカーは「素晴らしい、うなぎは大好きです」と笑顔を見せ、ショルツは何度も「So」と繰り返しながら「とても良い」とうなった。
スタジアムではファン・サポーターの強烈な後押しを受けた。レッズの試合では2020年2月21日の湘南ベルマーレ戦以来、コロナ禍で初めてスタジアムに声援やチャントを響かせるとともに、横断幕などでゴール裏をまるでホームのように彩った。
「うれしかったですし、最高の形で試合ができました」
プロ入り前にレッズの応援に惹かれ、プロ入り後数か月でコロナ禍となったものの、埼玉スタジアムを「アウェイのスタジアムでは一番嫌だった」と感じていた大畑歩夢は、声出し応援が『解禁』されたセーラーズ戦後に興奮を隠せなかった。
試合前にSNSで「ファンのチャント聞けるのが楽しみ」と投稿していたキャスパー ユンカーは、目がハートになっている顔文字を使ってゴール裏の映像を引用し、「声出し応援凄かった」と感謝のメッセージを送った。
チームとして一体となり、あらゆる人たちのサポートを受けながら、レッズはグループステージ突破と成長を目指す。
酒井宏樹は大邱FCとの2連戦を「山場」と表現していた。24日に迎える第2戦に勝利することができれば、首位でグループステージを突破する可能性が極めて高くなる。『大一番』と表現して差し支えないだろう。
大邱FCにリベンジして望んだ成長と結果を手に帰国し、レッズの選手たちは日本で応援してくれたファン・サポーターの前でたくましくなった姿を見せるはずだ。
(取材・文/菊地正典)