柏との直近10試合の結果
天皇杯準決勝・熊本戦の柏のスタメン
ルヴァン杯準決勝第2戦・横浜FM戦のレッズのスタメン
J1リーグも残すところあと5試合。逆転優勝に望みをかける3位のレッズにとって、10月20日の柏レイソル戦は大一番となる。
29節終了時点で柏は16位に沈んでいるが、8月以降は4勝3分1敗と好調を維持。今年5月にネルシーニョ前監督からバトンを引き継いだ井原正巳監督は、ベースとなる堅固な守備を再整備し、負けないチームをつくり上げている。
4-4-2で高い位置にブロックを組み、素早い攻守の切り替えからゴールを狙うのが特徴。前節の北海道コンサドーレ札幌戦でもショートカウンターからゴールを挙げ、勝ち点3を獲得している。
ただし、今節の柏は見るからに台所事情が厳しそうだ。カウンターの起点となる10番のマテウス サヴィオは累積警告で出場停止、ハイラインをコントロールする犬飼智也(レッズから期限付き移籍中)も契約上、出場できない。
さらに今季、11ゴールをマークする得点源の細谷真大はU-22日本代表のアメリカ遠征帰りでコンディションは万全とは言えない状況である。
飛車角落ちの相手に対し、浦和レッズは容赦なく攻めるのみ。首位を走るヴィッセル神戸との勝ち点差は「8」。司令塔の岩尾 憲ははっきりと言う。
「勝たなければ、違う景色は見えてこない。引き分けはいらない」
1点ビハインドで迎えたYBCルヴァンカップ準決勝の第2戦で逆転勝ちできたことは自信になっている。
「勝たなければいけない試合で勝てたことは大きい。これまでは1-0、0-0が多かったですが、必要とされた複数得点で勝てました」
柏戦で求められるのは何よりもゴール。ボランチのプレー選択も変わってくるという。これまで以上にアグレッシブにゲームを組み立てていくつもりだ。リスクを冒した縦パス、サイドチェンジも果敢に狙うはず。岩尾が想定するイメージは「大振りの殴り合い」である。
ただ、チーム最多の7ゴールをマークするホセ カンテは出場停止で欠場。センターフォワードの起用は、ひとつのカギとなるか。今季、アウェイの柏戦でゴールを挙げている経験豊富な興梠慎三は準備万端。さらにルヴァンカップ準決勝の第2戦で右サイドハーフとして先発出場した髙橋利樹は、点取り屋の矜持を口にする。
「カンテがいないから勝てないとは思われたくない。同じポジションの僕としては、余計にそう思います。FWとしてチャンスが巡ってくれば、ゴールにこだわりたい。『真ん中』でプレーしたい気持ちはあります」
試合前から緊張感が漂い、ひりひりする状況で迎える埼玉スタジアムのフライデーナイト。気持ちを高ぶらせる選手たちが多いなか、百戦錬磨の酒井宏樹は泰然自若としていた。
「硬くなる必要はまったくない。僕らは追っている立場。あくまで自分たちのパフォーマンスを100%に近づけるだけ。(ルヴァンカップ決勝進出を決めて)風は吹いている。それを利用しない手はない。勝手に気は引き締まる。自然体で臨みたい」
キャプテンの言葉一つひとつには、揺るがない自信がにじんでいた。
(取材・文/杉園昌之)