いよいよ迫ってきた、4月15日の『新・埼スタ開幕』。2001年の完成以来、初めて芝生の全面張り替えを行い、新しい緑の絨毯がきれいに敷き詰められた。
ようやく、6万人規模の熱狂空間が戻ってくる。待ち遠しかったのはファン・サポーターだけではない。
幼少期から埼玉スタジアムに通っていた伊藤敦樹は、思い入れのある舞台での全面声出し応援の日を心待ちにしている。
「ようやくですね。昨年は声出し応援が一部だったのに、埼スタには十分に迫力がありました。4月15日はどうなるのか。想像すると、わくわくもしてきます。僕の場合、レッズに加入してからずっとコロナ禍だったので、3年目にしてやっとという感じです。楽しみしかないですよ」
今季はトップ下で躍動している大卒2年目の安居海渡も胸躍らせているひとりだ。浦和学院高等学校時代から埼玉スタジアムの盛り上がりは、肌で感じてきた。
加入1年目は思うように試合に絡むことができず、苦しい時期を過ごしたが、今や戦力のひとりとして欠かせない。3月11日には浦和駒場スタジアムでJリーグ初得点をマークするなど、ゴールに対して貪欲になっている。
「早く埼玉スタジアムでもゴールを決めたいです。スタジアム全体から声が聞こえてくるのはまだイメージできないですが、ファン・サポーターの応援は『すごい』ことに変わりはないと思います。ウォーミングアップのときから、それを味わえるのかなと。15日はメンバーに入って、肌で感じたいです。『聖地』駒場も好きなのですが、埼スタは埼スタで好きですから」
今季加入したばかりのマリウス ホイブラーテンは、未知の世界に思いを馳せていた。移籍前から動画でチェックしていたのは、熱いファン・サポーターがつくりだすエンターテイメント空間である。
「映像では何度か見たことがあるので、今から待ち遠しいですね。毎試合、ホームのゴール裏からは驚くくらいのパッションを感じ、プラスαの力をファン・サポーターの方々からもらっています。僕が想像するのは、アメージングで、ファンタスティックなスタジアムかな」
地鳴りがするような会場の雰囲気を知る男は、『埼スタ』と聞くだけで情景が浮かんでくるようだ。響き渡る声援、揺れるスタンド……。
2019年のAFCチャンピオンズリーグ決勝では悔しさを味わったものの、満員に近い雰囲気の中で大きなコールを聞いている。
「埼スタには、埼スタにしかない魅力があります。ACL決勝を控えるなか、『新・埼スタ開幕』を迎えられるのはいいですね。決戦の日まで、ホームで勝ち続けていかないといけないと思っています。大舞台になればなるほど、ファン・サポーターが力を与えてくれるのが埼スタです。僕らが想像している以上の雰囲気をつくってくれるんじゃないのかな、と楽しみにしています」
岩波拓也の言葉にはあふれる思いが詰まっていた。ルヴァンカップの第3節・川崎フロンターレ戦ではセンターバックとして無失点に貢献するなど、あらためて存在感を示したばかり。
ACL決勝の舞台にもなる『新・埼スタ』。燃えないわけがない。選手たちのモチベーションの高まりとともに、さらにチーム力も底上げされていく。
(取材・文/杉園昌之)