悔しそうで、それでいて闘志を燃やしているかのような表情が印象的だった。
0−5で敗戦したJ1第6節の川崎Fフロンターレ戦を終え、オンラインインタビューに登場した小泉佳穂は言った。
「今日は0−5という差がつきましたけど、最後の質の差がもろに出たと思います。失点も防ぎようがあったと思いますけど、トップ下で試合に出ているので、僕自身と相手の脇坂(泰斗)選手や田中碧選手、小林悠選手との差がそのままスコアに出たと思っています」
前半は相手の攻撃を封じながら、意図どおりにビルドアップできており、ゴール前にも迫っていた。ボールを奪われても、すぐに奪い返せていたように、昨季のJ1王者を相手に善戦したと言えるだろう。
ただし、それでも川崎Fは、42分に山根視来のクロスから、一瞬の隙を突いて小林が得点した。まさに好機を見逃さない質の高さを見せつけられたのである。それは49分からの4分間で3ゴールを決められたように、チームを建て直す猶予すら与えてくれなかった。
前半は浦和レッズもチャンスを作り出していただけに、攻撃を担っていた小泉は、そこで仕留める、仕留めないという勝負の肝を痛感したのだろう。
ただし、川崎Fは鬼木達監督が就任して5年目を迎えているチーム。一方の浦和は今季、リカルド ロドリゲス監督が就任し、チームの基盤を構築している段階にある。選手たちが、チームが、今の自分たちに何が必要で、何が足りないかを実感したとしたら、それは今後へのプラスであり、財産にすることもできる。
だからこそ小泉は闘志を燃やすかのような表情を見せてもいたのだろう。
「今日はおそらく日本で一番強いチームと戦いました。それだけに、僕らが優勝する、もしくは僕個人が日本代表に入るためには、一番分かりやすい相手だったと思います。そこにはチームとしても個人としても距離があると感じましたが、それは努力次第で埋められる差だと思います」
この日、感じた差を埋めるべく、1日1日を過ごすことができるか。その先に、チームの成長はある。次に川崎Fと対戦するのはJ1第35節である。シーズン終盤までに、どれだけ自分たちが積み上げることができるか。
「どうやってこの差を埋めていくかというと、個人としては最後のところ、基礎技術のトレーニングしかありません。それと個人としてはチームの結果に責任を持つ、覚悟を持つ、そのためにシュートやパス、決定的なプレーのチャレンジをもっと増やしていくことが、チームを勝たせるために大事だと思います」
決意表明にも近い、小泉の言葉を覚えておきたい。
(取材/文・原田大輔)
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