横浜FMとの直近10試合の結果
ルヴァン杯準決勝第1戦の横浜FMのスタメン
ルヴァン杯準決勝第1戦のレッズのスタメン
マチェイ スコルジャ監督をはじめ、浦和レッズの選手、スタッフは負けるのが嫌いだ。
だから0-1の敗戦がいい結果だと言えるはずはない。8月13日に敵地で闘った明治安田生命J1リーグ 第23節 サンフレッチェ広島戦以来、約2ヵ月ぶりの敗戦となればなおさらだ。
しかし、まだ180分の『前半』、しかも第2戦はホームとなれば話は少し変わってくる。
10月15日に行われるYBCルヴァンカップ プライムステージ 準決勝 第2戦、レッズは埼玉スタジアムで横浜F・マリノスを迎え撃つ。
90分以内で1点差の勝利なら30分間の延長戦へ、2点差以上をつけて勝てば決勝進出を決める。ホームアドバンテージを考えれば、第1戦の結果は決して悪くない。
90分で2点差以上をつけることが理想だが、まずは勝利が前提。常日頃からホームでは勝利を至上命題としているのだから、基本的な考えは変わらない。
横浜FMとは、8月6日にホームで対戦したJ1リーグ 第22節でも、先日の第1戦でも互角以上の闘いを演じている。状況は異なるが、基本的な戦い方や考え方を変える必要はないだろう。
一方、リードする立場の横浜FMはどう出てくるか。
一般的に考えれば1点を守ればいい、つまり守りに入るという選択肢もあるが、小泉佳穂は「それはない」と即答。普段は質問に対して熟考しながら答えを導き出すことが多い彼が、質問にかぶせ気味に答えた。
つまり小泉はそう確信しているわけだが、ほとんどの人が小泉と同じことを予想するだろう。
徹底的に攻撃に出る。それが横浜FMのスタイルだ。
ただ攻撃的なだけではなく、球際の強度や切り替えの速さなど、サッカーで基本的かつ必要な要素をベースとして持ち合わせているのも横浜FMの特徴のひとつ。それはレッズの強みでもあり、第1戦も同等以上にわたり合っていた。
横浜FMの戦い方がはっきりしている一方、レッズは「何が何でも点を取りに行くという闘い方もあれば、89分に1点取ればいいという闘い方になる可能性もある」(小泉)が、いずれにせよ第1戦の強度や切り替えの速さをベースとしながら、「チーム一丸となって同じ意志を持って」(小泉)闘うことが重要だ。
また、キャプテンの酒井宏樹が出場停止になることについて小泉は、主に精神面で影響があることを認めながらも、「酒井選手がいない状況で精神的にいかに強く闘えるかが重要。一人ひとりが少しずつ勇気を持って闘うことが大事」と話していた。それもまたチーム一丸となって闘うということでもある。
ただ、忘れてはいけないのは、第1戦は90分では敗れたこと。前述のJ1リーグの試合も含めてゴールを奪えていないこと。そして当たり前のことだが、決勝に勝ち上がるためには最低でも1ゴールは必要だということだ。
第2戦はゲームキャプテンとして臨むことになりそうな岩尾 憲は「少しホセ(カンテ)頼みのところがある。0-0では勝ち上がれない状況で、今こそ自分たちが問われている」と語った。
そして、「誰が点を取るのか。もちろんみんなで取りに行きますが、J1リーグも引き分けでは足りないところまできているので、こういう試合をひとつ乗り越えなければいけません」と加えた。
言い換えれば、ゴールを奪って決勝に勝ち進むことは、J1リーグの最終盤に向けて好影響を与えるはず。
岩尾が「言葉が合っているか分からない」と前置きしながら、「自分たちの力を試すという意味でいいシチュエーション」と言えば、荻原拓也も「ある意味、いい状態で迎えられる、ホームで面白みが増すシチュエーションになった」と語気を強めた。
ポジティブなメンタルでチームは第2戦へと向かう。舞台は過去のカップ戦における第2戦目で何度も逆転勝利を果たしてきたホーム、埼玉スタジアム。
チーム一丸となって全力を尽くせば、マチェイ監督が「マジックスタジアム」と表現する場所はまた『逆転劇場』となる。
(取材・文/菊地正典)