「ゆっくり」でも災害の危険性を自分で高めることに
関東・東海地方を襲った大雨のため、東海道新幹線は2021年7月3日(土)の始発から、速度を落としての運転、運転見合わせの状況になりました(10時45分に運転再開)。
また道路でも、新東名や東名高速道路などで通行止めが発生しているほか、静岡エリアの在来線には引き続き運転見合わせが発生しています。
雨中を走行するN700系(画像:写真AC)。
土砂崩れなどが発生していないのなら、「すぐ止まれる速さで気をつけて走れば大丈夫では?」と思えるかもしれませんが、大雨でストップになるのは理由があります。大量の雨が浸透して地盤がゆるんでおり、見た目で問題なくても、路盤の崩壊、土砂の流入といった災害の危険性が高まっているからです。
いくらゆっくり走るといっても、ゆるんだ地盤に衝撃を与えることになるため、自ら危険性を高め、災害を誘発させるようなものです。
雨に「倍」強くなっている東海道新幹線
1964(昭和39)年と開業が古く、短期間で完成した東海道新幹線は土を盛った上に線路を敷いている区間(盛土区間)が約50%と、後年に開業した新幹線より多くなっています(山陽は18%、上越は1%)。
そのため東海道新幹線は他の新幹線に比べ大雨の影響を受けやすく、1965(昭和40)年には「雨に弱い新幹線」とマスコミにいわれてしまいました。
ただ当時、東海道新幹線は1時間あたり30mmの雨量で運転見合わせになっていましたが、現在は60mmに進化しています。盛土区間の排水・崩壊対策などに東海道新幹線が長年尽力し、安全性と安定性を高めてきた結果です。
東海道新幹線の沿線に設置されている雨量計(画像:JR東海)。
ちなみに東北・上越・北陸新幹線では、そうした災害の危険性が低い高架橋やトンネル区間などでは、大雨でも運転規制が行われません。
なお大雨による災害は、路盤の崩壊や土砂の流出などのほか、構造物の異変、河川増水による橋梁への影響なども存在。東海道新幹線では、橋梁に設置した「自動衝撃振動装置」で橋梁の安全性をチェックし、問題なければ早期に運転を再開する仕組みなども導入しています。
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