大阪では8割が「網棚使わない」?
大阪では若者を中心に乗客の8割が「荷物を網棚に載せない」と、2014年10月、「産経WEST」が報道。これを機に、ネットを中心に「網棚は必要か」という議論が交わされました。
網棚を使わない、不要とする理由は「背が低いので網棚に届かない」「忘れ物、置き引きが心配」「カバンの汚れや細かな物を、座っている人に落とす心配がある」「自分の上にドカッと荷物を置かれるのが不快」などが見られます。「Jタウンネット」が2015年8月に掲載した「荷物は網棚に置くか、床に置くか」という全国調査でも、半数以上が「床」という結果となりました。
かといって、座席に荷物を置かないよう車内マナーの向上を促すポスターなども見られますが、網棚を排除すれば、荷物を座席に置かれることにもなりかねません。
「使いづらい」とも思われている網棚。しかし近年は鉄道会社も、その点に配慮した車両を登場させています。
進化する網棚 「デザイン系」も登場
西武鉄道では通勤形電車の30000系について、2013年12月以降の製造車から、網棚の高さを従来より5cm下げ荷物の上げ下ろしをしやすくしました。網棚の位置を下げる傾向は、ほかの鉄道事業者でも同様で、2012年に登場した東京メトロ銀座線用の1000形電車は、従来の車両より10cmも下げています。
網棚の位置を下げると、特に座っている人には圧迫感を与えますが、西武30000系も東京メトロ1000形も、ガラス板を使うことで見通しをよくし、その問題を抑えています。また一般的に、透明なガラス板を用いることで荷物が残っていることが分かりやすくなるため、忘れ物防止や安全面での効果もあります。下に何かが落ちることもありません。
2016年度中の運転開始が予定されている東京メトロ日比谷線の新型車両13000系では、ガラス板の網棚に「江戸切子」の模様をデザイン。棚の奥にあるLED光源によって模様が光り、補助照明の役割もはたすそうです。
今後、網棚は単に荷物を載せるだけではなく、車両デザインなどにも積極的に活かされるものになるかもしれません。