都市高速の「渋滞ランキング」でワースト
東京圏の首都高速など、全国6都市圏にある都市高速道路のうち、最も渋滞する区間が、阪神高速3号神戸線のおもに神戸市内の区間です。
神戸市街地を東西に貫く阪神高速3号神戸線(左の高架道路)。柳原~京橋間(画像:photolibrary)。
3号神戸線は、1号環状線に接続する阿波座JCT(大阪市西区)から、神戸市須磨区の月見山出入口付近に至る約40kmの路線で、その先は第二神明道路(NEXCO西日本が管理)に直結しています。第二神明道路は明石方面に通じているほか、途中で分岐する阪神高速5号湾岸線(名谷JCT~垂水JCT)が神戸淡路鳴門道(本四高速が管理)に接続しており、「阪神高速3号神戸線・第二神明道路・阪神高速5号湾岸線・神戸淡路鳴門道」という経路が、大阪・神戸と淡路島・徳島方面を結ぶメインルートとなっています。
国土交通省が毎年発表している「渋滞ランキング」2016年版によると、都市高速では阪神高速3号神戸線「西宮JCT~第二神明接続部」24.9kmが下り、上りともにワースト1位と2位にランクイン。阪神高速道路によると、2018年ゴールデンウィークも、下り線は第二神明道路の名谷IC付近から最大35km、上り線は深江ランプ(神戸市東灘区)付近から最大25kmの渋滞が予測されています。なぜこれほど混むのか、阪神高速道路に話を聞きました。
――3号神戸線の下りは、どのような原因で渋滞するのでしょうか?
GWなどの多客期においては、第二神明道路や、その先の神戸淡路鳴門道 垂水JCT付近で交通流が悪くなり、その車列が神戸線の西宮JCT付近まで延びてきます。平時においては、特に摩耶ランプ(神戸市灘区)からの流入車両が多く(編集部注:摩耶ランプは並行する5号湾岸線 住吉浜ランプとの乗り継ぎ対象ランプとなっている)、生田川~摩耶間を先頭に渋滞が発生しがちです。
――上りはどのような原因で渋滞するのでしょうか?
深江ランプ付近の「サグ」(下り坂から上り坂に変わる箇所)が原因で、車速が落ちてしまうことです。上り線では、ここを先頭に渋滞が恒常的に発生しているほか、やはりGWなど多客期には、さらに第二神明道路・神戸淡路鳴門道へと車列が伸び、淡路島からずっと混雑することがあります。
神戸市街地の地理的条件も渋滞の一因
――局所的ではなく、これほど広範囲に及ぶ渋滞が生じる背景には、どのようなことがあるのでしょうか?
第二神明道路や神戸淡路鳴門道など、ネットワークを形成しているほかの道路の交通量が多いことも一因ですが、根本的な問題として、神戸市街地を結ぶ東西の幹線交通網が脆弱であることが挙げられます。神戸市街地は南北に狭く、東西に延びる幹線道路は一般道も国道2号と43号くらいしかありません。このため神戸の東西を往来する同じような目的のクルマが、神戸線に集中してしまうのです。
――迂回路はありますでしょうか?
第二神明道路を避け、神戸線から32号新神戸トンネルや31号神戸山手線を経由して、山側を通る7号北神戸線へ迂回することです。ただ、当社の通行料金が均一制から対距離制に変わったこともあり、これら迂回ルートを利用すると料金が高くなってしまうケースがあります。また、新神戸トンネルや神戸山手線も、上り方面へは神戸線との合流部で渋滞しがちなので、時短になるとも言い切れない状況です。
とはいえ、複数の選択肢があることを知っていただき、交通流が分散すれば、渋滞緩和につながります。その判断に役立つ情報を、本線上の情報板などでもご案内しています。
深江サグの渋滞対策。遮音壁に連続して速度回復誘導灯が設置されているほか、坂道であることが視覚的にわかるよう、青い「水平ライン」が引かれている(画像:阪神高速道路)。
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上り線深江ランプ付近のサグ(「深江サグ」)については、遮音壁に連続して「速度回復誘導灯」を設置するなどの渋滞対策が施されています。これは、車速に応じたスピードで順次点灯し、ドライバーの視線を誘導することで速度の回復を促すもの。2015年にこれを設置したところ、深江サグ~魚崎ランプ間の渋滞量は約7割、遅れ時間は約5割削減されたといいます。
それでもなくならない神戸線の渋滞。阪神高速は抜本的な解決策として、神戸線に並行して海側を通る5号湾岸線の未開通区間(六甲アイランド北~名谷JCT)を整備することが必要だといいます。「湾岸線未開通区間の建設事業は、長らくの凍結状態を経て着工しました。開通のめどは立っていませんが、着実に動き出しています」とのことです。
【地図】淡路島から神戸、尼崎まで混雑 GWピーク日の渋滞予測
2018年5月4日の渋滞予測図。阪神高速3号神戸線を含む淡路島から兵庫県東部にかけての区間で渋滞が予測されている(阪神高速道路の画像を加工)。