CAだけでなく「フーターズ ガール」が乗り込む機内
28か国で430店舗以上を展開するアメリカ生まれの「フーターズ(HOOTERS)」は、2020年現在、日本でも都内に3店舗を構えるレストランチェーンです。チアリーダーをイメージしたという、タンクトップとホットパンツの制服を着た女性スタッフ「フーターズ ガール(HOOTERS GIRL)」がサービスを行うことで知られます。
このフーターズは2003(平成15)年から2006(平成18)の3年間、実は「フーターズ エア」という航空会社を保有していました。これはサウスカロライナ州にある大西洋沿いの観光地、マートルビーチに本拠を構えるLCC(格安航空会社)で、ここを中心に、アメリカ国内15都市以上に定期便を就航していたのです。
そして、その機内はレストラン同様、フーターズ色の強いユニークなものだったそうです。
フーターズ エアのキャンペーンイメージ(画像:Matty McRib[CC BY-SA〈https://bit.ly/3cixhjq〉])。
フーターズ エアの機内には保安要員と機内食やドリンク類を提供するCA(客室乗務員)だけでなく、レストランと同じ制服のフーターズ ガールも常に同乗し、CAの補助だけでなく、乗客との会話や機内の盛り上げ役を担いました。なおフーターズ ガールが直接サービス提供をしなかったのは、通常CAが受ける専用の訓練が行われておらず、当局の認定を受けていなかったためです。
ただ、フーターズ エアの機内にはフーターズ ガール以外の点においても、利用者にとってはうれしい「LCCらしからぬ」ものが詰まっていました。
フーターズ ガールだけじゃない LCCらしくないサービスの数々
フーターズ エアの航空券は開設当時、100ドル(当時のレートで1万1740円)程度からとリーズナブルながら、その座席の前後間隔は、LCCとしては異例となる約86cmを確保していたといいます。
たとえば2020年現在の、日本の国内線はおおむね、LCCが71cmでフルサービスキャリアが80cm弱の前後間隔であり、フーターズ エアのそれはいずれも上回っています。ちなみにANA(全日空)国際線仕様機のエコノミークラスが、この86cmの前後間隔を採用しています。
元フーターズ エアのボーイング737型機。このほかボーイング757型機も運航されていた(画像:James Willamor[CC BY-SA〈https://bit.ly/2yjpLGf〉])。
また、国内線のみのLCCでありながら、無料のコーヒー、ジュース、ソフトドリンク、水がサービスされたほか、多くの路線で機内食が無料提供されていた点もユニークなもので、フーターズ ガールが応対してくれるだけでなく、そうした意味でもコストパフォーマンスの高い航空会社だったといえるでしょう。
ただ先述のとおり、フーターズ エアが実際に路線を運航していたのは3年と、その活躍期間は短いものでした。撤退した理由は、アメリカの航空会社間の競争に勝つことができなかったことと、燃料の高騰などに耐え切れなくなったためとされています。
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