映画『見えない目撃者』完成披露舞台挨拶が22日、都内にて行われ、主演の吉岡里帆、共演の高杉真宙らキャストと森淳一監督が登壇。途中サプライズで、吉岡の相棒役を務めた犬のパルが登場し、吉岡と再会を喜び合っていた。
交通事故により視力を失った元警察官・浜中なつめが車の接触事故に遭遇、その車に誘拐された女性が乗せられていると考え、鋭い聴覚や触覚、嗅覚で得た手がかりから事件の真相に迫る姿を描くサスペンス。
なつめを演じた吉岡は「R15というところで森監督がギリギリのところを攻めていて、この中の誰かが、こんなひどいことがあるだろうかという亡くなりかたをするんですが、怖いんですけどそこを乗り越えて楽しんでいただければ」と、アピール。
なつめとともに事件を追う高校生・春馬を演じた高杉真宙も「吉岡さんと、盲導犬役のパルと3人で事件を追いかけるシーンが多かったのですが、台本にも“パルがバディー”とか“春馬がバディー”と書かれており、吉岡さんのバディーになれるよう頑張りました」と振り返った。
撮影の2カ月前から実際に視覚障がい者や警察学校などへの取材を重ね、撮影の3カ月前から“元警官”の体づくりをしたという吉岡。
「先天性の盲目の方、後天性の盲目の方、盲導犬と暮らしている方の3人に取材をさせていただきまして、みなさんそれぞれの方の大変さや苦悩、そして強さを教わりました。私が今回演じた役も、そのしなやかな強さというのがとても大事で、一見ハンディーを抱えていて弱者のように見えながら誰よりも本質を見抜く力を持ち、信念を持って事件を解決に導いていくんですけど、それもみなさんからお話を頂いて作っていきました」と役作りを振り返った。さらに「身長が低いのがコンプレックスなんですけど」という吉岡。「犯人と対峙するのに弱々しく見えないよう、背筋をめちゃめちゃ鍛えました」と体づくりへのこだわりも明かした。
吉岡との共演シーンが多かった高杉は、何か吉岡の印象的な一面を目撃したかと質問されると「僕はこの話、好きなんですけど前に取材で話したときイマイチ反応がよくなかったんですよね…」と迷いつつ「節分の次の日、現場に行ったら吉岡さんが節分豆を配っていたんですよ」。会場の反応が薄いと感じたのか「行事ごとを大切にしているってステキだなと思ったんですよ。ステキだなって。自分も大切にしなきゃな、って」と繰り返し、会場も笑いながら拍手。吉岡は「お気づかいすみません」と苦笑。
「一番大変な役なのに座長として現場をものすごく気づかってくれる方」という高杉の言葉通り、その後も共演者から次々と座長・吉岡里帆をたたえる声が。森監督は「女子バレー部員みたいな感じで、控え室にいても吉岡さと呼ぶとハイ!って走ってくるようなすがすがしい方なんです。パルとの撮影も動物相手なので大変でした。俳優さんがイライラしているとスタッフにも影響してしまうんですが、吉岡さんは逆にパルを気づかうので、僕らもいい瞬間をとらえようと懸命になりました」とべた褒め。大倉孝二が「撮影が夜遅くなって、集中力が切れてきたと言ったら、吉岡さんがポケットからサッとラムネを出してくれた」と言うと田口トモロヲは「パルになりたいと思いました。本当に人として見事なんです。パルじゃなくて吉岡さんになりたい」と語り、会場の笑いを誘った。
そんな共演者たちに「私の方こそ温かく接していただいて」と感謝した吉岡。とくにバディーを組んだパルについて「劇中で盲導犬の役を演じていますがパル自身は役者犬で、お芝居をするという感覚をしっかり持っているんです。最初、本番前は遊んでいたりして大丈夫かなと思ったんですが、監督の“本番!”という声を聞くと、ものすごい集中力で演技してくれた。この映画の中で自分を強く保っていられのはパルがいてくれたからだと思っています」と相棒への思いを語った。
と、そこへ当のパルがサプライズで登場。事前に知らされていなかった吉岡は「もう会えないのかと思っていたからうれしい!」と大感激。パルも共演者たちに愛想を振りまき喜んでいる様子。田口がおどけてパルにマイクを向けると、パルはマイクとガブリ。田口は「パルもうれしいそうです!」と通訳したが、パルはマイクが気に入ったのか、吉岡そっちのけで今度は高杉が持っていたマイクを狙い、会場を笑わせていた。
『見えない目撃者』は9月20日より全国公開。
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