現在放送中のよるドラ「いいね!光源氏くん し~ずん2」(夜10:45-11:15、NHK総合)。同作は、えすとえむによる同名コミックのドラマ化で、「源氏物語」の中で雅の世に生きていた、千葉雄大演じる平安貴族・光源氏が、まったく世界観の違う現代に出現。光源氏とそんな光源氏を家に住まわせる、伊藤沙莉演じる“こじらせOL”の沙織の同居生活を描く。
2020年に放送された前作「いいね!光源氏くん」では、現実離れした平安貴族の“光くん”と仕事に疲れたOLの“沙織殿”のもどかしい距離感の同居生活や恋愛模様が「ほっこりする!」「癒される」など視聴者の間で話題に。待望の“し~ずん2”の放送となった。
WEBザテレビジョンでは、主人公の光源氏を演じる千葉と、沙織を演じる伊藤にインタビューを行い、作品の見どころや、インタビュー中にも垣間見えた2人の“仲良しエピソード”などを聞いた。
千葉雄大&伊藤沙莉インタビュー
――「いいね!光源氏くん し~ずん2」の撮影はいかがでしたか?
千葉:前作から引き続き、同じキャストの方や、同じスタッフの皆さんと再会できて、うれしかったですし、新しく撮影に加わった皆さんにも気兼ねなく入っていただけたらいいなと思いながら撮影していました。とても笑いの絶えない現場だったなと思います。スタッフの皆さんには、ご迷惑もおかけしつつ(笑)、すごく自由にやれました。
伊藤:前作で、みんなで面白いものを作りたいねって話していたので、「し~ずん2」では前作にもまして、みんな協力して何かアイデアを提案し合ったりして、作品に対する思いや責任が強かったのではないかなと感じました。
千葉雄大「成長しているところがこれなんて、バカみたい(笑)」
――前作の放送後、反響などはありましたか?
千葉:そうですね、反響を言っていただくことは多かったですし、前作のときは家で過ごしていた方も多かったので、そういう世の中で癒されたみたいな言葉をたくさんいただきました。こう言ってはなんですが、僕の想像していた以上に大きい反響をいただけたので、本当にうれしかったです。
伊藤:「いいね!光源氏くん」の放送が始まってからは、たくさんの現場で「おもしろいね」とか、「癒された」とか、良い意見や感想をいただけたので、うれしかったですし、作品に携わることができてよかったと思いました。
――前作の撮影から変化したことや、成長したなと感じることはありますか?
千葉:そうですね…。変わっていたいと信じたいのですが、何も出てこないということはそういうことなのだと…(笑)。なにかあるっけ?
(2人で相談…)
千葉:あ、でも、あるまじきだと思うのですが、楽しくなると我々2人だけの空気感になってしまうのですが、「し~ずん2」では視野が広くなったと言いますか、呼ばれたらすぐ行くみたいな…切り替えがうまくなりましたかね?当たり前なのですが(笑)。成長しているところがこれなんて、バカみたい(笑)。
伊藤:恥ずかしいね。27歳と32歳だよ!(笑) そうですね。前作は、仲良くなるところはから始まって、楽しくなっておしゃべりに夢中になることはあったのですが、今回は楽しみつつ、現場にもちゃんと集中している…なんか恥ずかしいな~(笑)。
――今作では、光と沙織の恋模様が描かれますが、お互いのどのようなところに引かれたのだと思いますか?
千葉:光は、源氏物語の世界で接してきた女性たちとは違う、現代の女性ということもありますが…。沙織はやっぱり屈託のない感じとか、一緒にほほえましい日常を共有できるみたいなところに光は引かれたのかな?と思います。
伊藤:光くんの“キュンキュンポイント”は、例えば壁ドンのような分かりやすいものではなくて、現代の人たちが回りくどく考えることをすごくシンプルに答えを言ってくれるところです。もちろん、男性としての魅力もありますが、接していて心が洗われるような存在というのは、沙織にとってすごく魅力的に映ったと思います。沙織が仕事でめちゃくちゃ疲れていたところに光くんが現れるんですよね。そんなとき、光くんは癒しであり、きれいな存在の人が近くにいるって、すごく心地よかったんだと思います。
伊藤沙莉「なんかビブラートがきいていたような…(笑)」
――お互いに、役柄と似ているな…と感じる点はありますか?
千葉:伊藤さんは前作のインタビューで、自己肯定感がそんなに高くないところが共感できるところっておっしゃっていて…。そういう一面もあるのですが、沙織と一緒で、伊藤さんを肯定してくれる人の前ではちゃんと心を開いているような印象です。そういうのって、芯が強い人しかできないことだと思うので、芯を強く持っているところも共通しているのではないかな?と思います。
伊藤:千葉さんと光くんの共通するところは…。
千葉:色男くらいじゃない?(笑)
伊藤:そうですね! みやびでみやびでしょうがないというところですね(笑)。光くんは、だらだらすることが好きなイメージで、千葉さんは現場で見ててそうではないので…どうなんでしょうかね?親身になって話を聞いてくれるところは似ているかもしれないです。お芝居で悩んでいるところも聞いてくださいますし…でも、基本はふざけていたので、そんなに真剣な話はしなかったです。あとは、一緒に同じテンションでなにかを楽しめるのは、沙織と光くんの世界観に似たものがあるのではないかな?と思います。
――「し~ずん2」では一ノ瀬颯さん演じる一条が新たに加わります。どのようなキャラクターでしょうか。
千葉:一条さんすごく魅力的ですよね。沙織の選択肢として、こういう人と一緒になる人生もあるなって思う、説得力のある人物だなと。
伊藤:うん、そうだと思う。
千葉:僕が2人のシーンですごく好きなところがあって…。第一絵巻の、プレゼンが終って、緊張して手が震えている沙織に、「僕もまだちょっと震えてる」って一条が沙織と手を重ねるシーン。あそこが結構好きです。
伊藤:一条は「いいね!―」の中でなかなか見られない、現代の“キュンキュンパート”を担ってくれているよね。分かりやすい、ぐいぐいくる感じで…。あと、台本で見たときは、英語が混ざった話し方をするから、ふざけた人に見えていたのですが、英語がとても上手で、すごくスマートに見えていたので、一ノ瀬くんがすごいなと思いました。
千葉:一ノ瀬くんも面白い人だったね(笑)。
伊藤:私たちの光源氏の世界観にふさわしい人だったね。
――今作では、光源氏が読む和歌も見どころの一つかと思います。「し~ずん2」でまた演じられてみていかがでしたか?
千葉:和歌に関しては、前作よりはしみついてきたので、そんなに難しくはありませんでした。ですが、周りの方から言われたのは、僕がクランクインの前にミュージカルをやっていまして、声の出し方が前作とは違ったみたいです。
伊藤:なんかビブラートがきいていたような…(笑)。
千葉:語尾がビブラートになっちゃっていたみたいです(笑)。これは、新たな反省ですね…
伊藤:反省なの?成長じゃなくて?(笑)
千葉:だって和歌でビブラートって、もはや和歌じゃないもん!もう少し声の使い方とかは考えないと…と思いました(笑)。
伊藤沙莉「一つ上のステージにきたんだなと感じます」
――「し~ずん2」では、前作とは違い、少し踏み込んだような光と沙織の恋愛模様が描かれますね。
千葉:そうですね。前作のときは、岡崎体育さんの主題歌(「二二二二二」)じゃないですけど、好きというシンプルな気持ちで突き進んでいたと思うのですが、今回は好きだけじゃやっていけない現実的なところも描かれています。ただそういう壁にぶち当たった時に、「なんであの時は出来ていたのに」とか「あの人とならできていたのに…」とか現実の僕たちも考えてしまうと思うのですが、なにが一番大事なのかと考えることが、今回のドラマのポイントだと思うので、そこの紆余曲折みたいなところには注目してほしいですね。
――共感できるところが多くなったということでしょうか?
千葉:前作はファンタジー的なところが多かったですし、日常のほんわかした部分が魅力だったかな?と思うのですが、今回はそういう所もありつつ、共感できる部分もあるのではないかと思います。もちろん源氏物語の世界から現代にきたという世界観なので、ファンタジーなところもあるのですが、光や沙織が考えていることを、仮に見てくださっている方々に置き換えても、共感していただけるポイントがあるのではないかな?と思います。
伊藤:沙織は、前作は“好きになっちゃいけない”という初歩的なところで自分の感情をちょっと抑え込まなきゃいけなかったのですが、今回は“期待しちゃいけない”とか、現実的な先を見据えた不安へ変化していきます。前作では、漠然と光くんとの時間が続けばいいのに…と思っていたことが、それがいざ続くとなったときに、一緒にいても好きだけでは難しい部分がどんどん出てくる。そこをどんなふうに捉えて、どういう風に考えて、どこで妥協するかということもあると思うので…。そういうところが、お互いに成長した部分かなと思います。関係性として一歩、成長した分辛いけれど、一つ上のステージにきたんだなと感じます。
――前作から平安貴族を演じてきた千葉さんですが、所作などはもう慣れてきたという感じなのでしょうか?
千葉:そうですね…。所作というよりは、光は烏帽子をかぶっているじゃないですか?前作ではたまに、申し訳ないことにセットにぶつかってしまうこともあったのですが、今回は本当にそれがなかったです。でも、烏帽子をかぶってないときでもくぐるよう動作をとってしまったこともありましたね(笑)。烏帽子込みの高さに慣れてしまって(笑)。
伊藤:「あー!」って、烏帽子をかぶってないのにくぐってしまったことに千葉さんが自分でびっくりしているところを目撃しました(笑)。あと、今思い出したのは、呼ばれて走って現場に向かう時に、千葉さん走れないんですよ、烏帽子が飛んでいってしまうので…。千葉さんは、俊敏な動きができないから、現場でもずっと“みやび”でしたね(笑)。
千葉:そうですね。でも、これは役作りというより、僕の中からにじみ出ていたものだと思いますよ(笑)。
千葉雄大「真剣なシーンなのに烏帽子が揺れてしまって…」
――お二人はとても仲が良い印象ですが、現場ではどのように過ごされていたのでしょうか?
伊藤:基本くだらないことしか…(笑)。
千葉:寸劇みたいなことをよくやるので、シチュエーションで勝手に物語を作って、待ち時間を過ごしていましたね(笑)。例えば…スナックごっこみたいなことはしましたね(笑)。
伊藤:どっちもママになってね(笑)。楽しんでいました。
――コミカルなシーンが多い「いいね!―」ですが、演じていて思わず笑ってしまったシーンはありますか?特に衣装などは印象的だと思うのですが…
千葉:僕は笑うことはないですが…
伊藤:自分自身で?
千葉:自分自身で。
伊藤:第二絵巻の美容室のシーン、変だったじゃん!
千葉:あれね!僕のお気に入りの扮装なのですが…放送を楽しみにしていただいて…(笑)。あとは、今回はロケも多くて、そとで烏帽子をかぶることが多かったのですが、先ほどもありましたが、烏帽子は風に弱いんですよね。それで真剣なシーンなのに烏帽子が揺れてしまって…。
伊藤:その烏帽子が揺れているの、被害者はこっちで…(笑)。私は見えちゃうから、本当におもしろくて笑っちゃいました…結構それで真剣なシーンのときとかは、ちょっとつらいものがありましたね。あとは、今回は光くんもいろいろな衣装を着ていましたね。バイトのシーンとかもあったり…。
千葉:そうだね。
伊藤:私も第一絵巻で十二単を着させていただいたことも印象に残っていますし、他にも特別な衣装もたくさん着させていただいたので、視覚的にも面白い展開になっているのではないかと思います。これも「し~ずん2」の見どころですね!
第二絵巻「平安貴族de初体験」あらすじ
風邪をひいて高熱を出した光(千葉)だったが、沙織(伊藤)の懸命な介抱のおかげで翌日には平熱を取り戻す。すっかり元気になった光は、中将(桐山漣)が紹介してくれたヘアサロンで初めてのシャンプーも経験し上機嫌。沙織の部屋で詩織(入山杏奈)やカイン(神尾楓珠)を招いてピザパーティーで盛り上がる。しかし、そのパーティーのさなかに、バランスボールの上から滑り落ちたカインがこつ然と姿を消してしまう。