壁井ユカコの同名小説を映画化したホリプロ60周年記念映画「NO CALL NO LIFE」が3月5日(金)より全国で公開。公開前に、W主演を務める優希美青と井上祐貴にインタビューを実施した。
本作は、親からの愛情を知らずに育った女子高校生・有海と、同じ境遇の不良少年・春川が織りなすラブストーリー。携帯電話に残された過去からの留守電メッセージに導かれ、恋に落ちた二人の揺れ動く心の機微を切なく描いている。
思春期の真っすぐで繊細な役柄を体当たりで演じた優希と井上の二人に、作品の魅力などを語ってもらった。
井上祐貴「自信を持ってすてきな作品ど伝えたい」
――ホリプロ60周年記念作品となりますね。
井上祐貴:まずはうれしいです。まだ(作品は)皆さんに届いていないので、楽しみでもありつつドキドキもしています。自信を持ってすてきな作品だということをお伝えしたいです。
優希美青:60周年という節目の作品で主演をやらせていただいたので、最初はうれしさもありつつ、見てもらえるだろうか、コロナ禍で無事撮り切れるだろうかという不安、プレッシャーが大きかったです。でも、現場に入ったら楽しくてあっという間に撮影が終わってしまいました。今は皆さんに早く見ていただきたいなという気持ちでいっぱいです。
――お二人とも“ゆうき”ということで話題になりましたが、どのように呼び合っていましたか?
井上:二人とも苗字でしたね。僕は名前が祐貴なのであまり気にしなかったですけど、困ったこともなかったですよね?
優希:ん~、私はずっと優希美青のイントネーションで祐貴くんを発音してしまいそうで、クランクインの前にずっと練習していました。結局、苗字で呼んでいましたけど(笑)。
優希美青「真っすぐ求め合う純愛は若さゆえというのもあるのでは」
――不思議な世界観の中で物語が進行しますが、台本を読んだ時に作品の印象をどのように感じて、役柄を演じようと思われましたか?
井上:僕は原作を先に読んだのですが、一度では世界観を理解しきれなくて、何度か読み直してから台本を読みました。10年以上前の作品なので現代に合わせて変えているところもあるんですけど、素直に面白いなと。ただ、春川という男に共感できる部分が少なかったので、共感はできないにしても理解するために監督方とディスカッションして、人物像を固めていきました。
優希:私は台本を先に読んでから原作を読んだのですが、ただ、お互いだけを真っすぐ求め合う純愛は若さゆえというのもあるのではと思いましたし、暴力や虐待など今問題になっていることも描かれていて、どの世代の方にも共感していただける、たくさんの方に見ていただきたい作品だと思いました。
でも、最初に台本を読んだ時は、有海という子がどういう子なのか全くつかめなくて、本読みの時に監督と相談したんです。そこで私の中の闇の部分を表に出せたらそれが有海という役として成り立つとお話を頂いて、有海がどういう子か考えるよりも、私がどういう人なのか考えることの方が多くなりました。
自分だったらこう思うからたぶん有海もこう言うとか。撮影中は、監督から「美青ちゃんだったらどうするの?」って聞かれることが何回かありました。
――突如出会って引かれ合う二人ですが、有海と春川は互いのどこに魅力を感じていたと思いますか?
井上:直感的にだったと思います。昼飯を一緒に食べようって言ってみたり有海にちょっかいを出すんですけど、そのうち同じ境遇で育ってきたことが分かって、本気で一緒にいたいと思うようになったんだと思います。
優希:春川の思いに気付いたのは春川の家でのシーン。有海が他の男の子のことを考えていたとしても、自分を遠くに置いているから気にしないと言われて、有海のことを好きだからそういうふうに言うんだと、そこで気付いたイメージでした。
それまでは人の世界に遠慮せずにずけずけと入ってくる男の子だなという印象。でも、一緒にいると安心感があって自分の本音を言えちゃうんですよね。きっと同じ境遇だからこそ感じるものがあったんだと思います。
――先ほどの話で、有海は優希さんをベースに役作りをしているとお話しされていましたが、春川のようなタイプをどのように感じますか?
優希:私は自分からいけないタイプなので、春川みたいにぐいぐい来る人の方が合っていると思います。好きだと言われたら気になってしまうというか。だから、もしも春川みたいな人が身近にいたら、好きになっていくかもしれないです(笑)。
優希美青「いろんな世代の方に見ていただけたら」
――高校生の役でしたが、ご自身の高校生時代の思い出を教えてください。
井上:一番の思い出は文化祭ですかね。お店を出すためにクラスのみんなで前の日から準備するのが楽しかったですね。意外と文化祭当日よりその準備の方が僕は好きです。当日ももちろん楽しいんですけど、学生ならではの思い出かなって思います。
優希:仕事もしていたのであまり高校生らしい青春を送れていなくて。お芝居で制服を着て友達とおしゃべりをしたりすると、なんだか高校生に戻った様で楽しいですね。
高校生活の楽しみと言えば、“購買”のジャージャー麺。すごく人気で、お昼に買いに行くと間に合わないので、業者の人が持ってくる2時限目の終わりが勝負だったことです。少し早めに終わってくれる先生かどうかがすごく大事だったなってことを覚えています(笑)。
――最後に読者へメッセージをお願いします。
井上:10代ならではの悩みや考え、言動に共感できる部分がきっとあると思うんですよね。そこに共感していただきながら春川目線や有海目線で、作品を楽しんでいただけるとうれしいです。また見た方の捉え方でこの作品は全然変わってくるので、それも含めて感じるままに楽しんでいただきたいなと思います。
優希:目の前のことに夢中になって周りが見えなくなるような恋愛は若さならではだと思うんですけど、そういう恋愛って皆さんも一度は経験したことがあるのでは、と思います。だからきっと共感していただける部分もあると思いますし、懐かしいなという気持ちになる方もいると思うので、ぜひいろんな世代の方に見ていただけたらうれしいです。
◆取材・文・撮影=永田正雄