「同情するならカネをくれ」
【写真を見る】全く違和感がない…! 安達祐実、衝撃のセーラー服姿
この有名ドラマの名ぜりふが新語・流行語大賞に選ばれてからもう24年。当時筆者は小学生で、主人公が同い年くらいだったこともあって、学校でははやりにはやった。
親にまでそんな言葉を吐いてしまって、父にボコボコにされたことを今でも鮮明に覚えている。
この言葉が今でも人々の心の中にしっかり刻まれているのは、その主人公が今でもなお最前線で女優として活躍しているから、ということも大きい。
なぜ、突然そんな懐かしのドラマの話をするのかと言うと、いよいよ始まる内藤剛志主演ドラマに、そのドラマの主人公を演じた女優・安達祐実が出演し、内藤と同作以来の連ドラ共演を果たすから。
各局で放送されているドラマやバラエティー、アニメなどを事前に完成DVDを見て、独断と偏見とジョークに満ちたレビューで番組の魅力を紹介する、WEBサイト・ザテレビジョン流「試写室」。
今回は、4月12日(木)よりスタートする内藤主演「警視庁・捜査一課長」(テレビ朝日系)の初回2時間スペシャルを取り上げる。
同ドラマは、ヒラから這い上がってきた“たたきき上げ”の捜査一課長・大岩純一(内藤)と刑事たちの奮闘を描く人気刑事ドラマシリーズの第3弾。
今シリーズより、洞察力を武器に捜査の新機軸となる女性刑事・谷中萌奈佳(やなか・もなか)役で安達が、大岩捜査一課長の側近中の側近である運転担当刑事・奥野親道(おくの・ちかみち)役でナイツ・塙宣之が加入。
初回2時間スペシャルで大岩らが挑むのは、「20世紀から来た遺体」の謎だ。
[PAGE]あらすじは?
「警視庁・捜査一課長」初回2時間スペシャルあらすじ
2000年ごろに流行した、少々時代遅れなファッションを身に着けた女性の絞殺死体が、東京・台場で発見された。
被害者の女性は前夜、自由の女神像をバックに自分の写真を撮ってほしいと、何度も通行人に頼んでいたという。しかも、撮影者の立ち位置やアングルまで細かく指定していたらしい。
運転担当刑事・奥野(塙)と共に臨場した大岩は、被害者のファッションを見て、今から18年前の2000年、謎の転落死を遂げた刑事・谷中明彦(中村梅雀)のことを思い出す。
谷中と大岩は警察学校時代の同期で、谷中をよく知る大岩は彼の死に疑問を抱き、事件性を訴えたものの、証拠をつかめないうちに事故死として処理されてしまったのだった。
死の直前、谷中に偶然会った大岩は、彼が持っていた写真に今回の被害者と同じ服を着た女性が写っていたことを覚えていた。
あのとき、谷中は写真の女性を“ミズキ”と呼んでおり、その写真は台場にある自由の女神像をバックに撮影されていた。被害者の女性は、18年前の“ミズキ”の写真を再現しようとしていたのだろうか。
その矢先、被害者の身元がファッションブランドの専属モデル・神楽瞳(尾藤亜衣)と判明。ブランドの社長兼デザイナーは河井田瑞希(高島礼子)という女性だった。
18年の時を経て、“ミズキ”という名がつながった。谷中の死と今回の殺人事件の関連を直感した大岩は、ある人物を助っ人として捜査本部に迎えることを決断する。
その人物こそ、“警視庁広報課セルフブランディングルーム室長”という肩書を持つ柔道の元人気選手で、谷中の娘である萌奈佳だった。
そんな中、手掛かりを求めて小山田管理官は20世紀のファッションに詳しいジャーナリスト・バーブ凛子に聞き込みに行くが…というストーリー。
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独断と偏見のレビュー
連ドラシリーズ第3弾にして、シリーズ最大の人事異動があった今作。既に発表されていたが、新キャストとして萌奈佳(安達)と奥野(塙)が入り、前回から平井(斉藤由貴)と刑部(田中圭)が外れた。
それにどう触れるのかと注視していたが、冒頭でしっかり説明してくれる。しかもどうやらどちらも栄転のようだ。そのあたりが、このドラマの温かいところ。
何の説明もなくいなくなっていたらリアリティーもなくなるし、それぞれファンのついていたキャラクターだっただけに、不買運動ならぬ不視聴運動が起こりかねない。
特に筆者含め“大福ロス”の人たちに向けて、人事異動で今後戻る可能性も含みを持たせるあたりニクい。
それで注目の新キャスト。個人情報を押しつけがましくなく説明するのは“木8”の十八番だが、今回もしっかりせりふで説明し、人となりやこのポジションにくるまで何があったのかを紹介している。
運転担当の奥野に関しては、一見とぼけているようなキャラに見える…のは普段の活動に引っ張られているだけかもしれないが、意外とキレ者でしっかり者というギャップがある。
ただ塙が真面目に演技をすればするほど、どこかでボケるんじゃないか、どこかでヤホー検索をかけるのではないかと、ハラハラ見てしまう。それが狙いか…。
一課長の「ブランク」というあだ名もそうだが、そもそも「おくのちかみち」だったり、「やなかもなか」だったり、あだ名の「ケイブ」や「大福」…、このドラマのネーミングセンスについて、プロデューサー氏に小一時間問い詰めたいところだ。
もう1人、同情するならの安達が演じるのは、警視庁広報課セルフブランディングルーム室長・谷中萌奈佳。
彼女の過去についてはおいおいオンエアで見てもらうとして、回想シーンで披露したコスプレの数々はファン垂ぜんのそれ。
特にセーラー服が、もう違和感なさ過ぎて衝撃のレベル。30代中盤でここまで学生ルックが似合う人は、世界を見渡してもいないだろう。
まさに“現役バリバリ”のビジュアルに、オンエア後は「安達祐実、セーラー服姿披露で大反響」的なネットニュースが乱立しそうだ。
そんな安達と主演の内藤といえば、「家なき子」(1994、95年、日本テレビ系)での強烈な父娘役が思い出される。しかも今回、それ以来の連続ドラマ共演というのも大きな話題になっている。
先日のイベントで、内藤は安達について「仲が悪いと思っていらっしゃる方も多いようなのですが、そんなことないんですよ! この『警視庁・捜査一課長』が僕らにとって新しい代表作になればいいなと思っています」と“不仲説”を一蹴する告白をしていた。
そう前向きに語る2人の関係が垣間見える役の関係性・空気感はすぐに感じ取れそうだ。
そして何よりある場面で映る萌奈佳の仕事部屋のシーン。一瞬なので見落としてしまいそうなのでヒントを出しておくと、写真立ての犬に要注意だ…。スタッフさん、やりおったな。
ちなみに、安達演じる萌奈佳は、あのルックスでズバズバ歯に衣着せず発言するキャラ…まさに「“ドMさん”いらっしゃい!」的な要素もありそうだ。
ドMといえば、これまた新キャラの陽月華演じる捜査一課管理官・板木望子。これまたクセがすごい。だまっていればクールビューティーなのに「命令してください。多少強めでも構いません」って…ボケなのかマジなのか分からない表情でこれを言われたら敵わん。
それ以外では、最近出るドラマ出るドラマやたらと若いころの回想シーンが漏れなく付いてくる中村梅雀。今回もまた絶妙にそれっぽい風貌で若かりしころの回想シーンが飛び出す。
ほか、高島礼子はもちろん田中美奈子や相島一之らのサスペンスドラマには欠かせないバイプレイヤーに加え、“黄色い服の男性”ことダンディ坂野や、いとうあさこの個性派キャスト。
おなじみの「必ずホシを挙げる」に加え、とてつもなく気が遠くなる捜査、実は何でもできる鑑識・武藤(矢野浩二)、笹川刑事部長(本田博太郎)の「大岩純一捜査一課長」フルネーム呼びに、大岩家での癒やしのひととき…と、“捜査一課長あるある”は今回もある。
「大福、大福買ってきたぞ」から始まる一連の“もぐもぐタイム”がないのはちょっと寂しいが、大福ロスなんて感じさせないくらい良い意味でツッコミどころ満載の初回となっている。
タイトルを見ればいわゆるお堅い刑事モノのようなイメージを持たれてしまいそうだが、実は決して堅苦しくなく、小ネタ満載で気楽に見られるギャップが本作の最大の魅力なのかもしれない。
また長々と中身のない話をしてしまったが、会社員の宿命。長々と書いたところで褒められたりけなされたり、怒られたり、同情されたりするだけで、特にボーナスがもらえるわけではない。
だからこそ、あの言葉がズシンと効いてくるし、深い共感を覚える。
「同情するならカネをくれ」(ザテレビジョン・文=人見知りシャイボーイ)