吉沢亮が主演を務める大河ドラマ「青天を衝け」(毎週日曜夜8:00-8:45ほか、NHK総合ほか)の第25回「篤太夫、帰国する」が8月22日に放送される。
同作は、新一万円札の顔としても注目され、“日本資本主義の父”と称される渋沢栄一が幕末から明治へ、近代日本のあるべき姿を追い続け、時代の渦に翻弄され挫折を繰り返しながらも高い志を持って未来を切り開いていく姿を描く。
第25回では、フランスから帰国し“浦島太郎状態”の篤太夫は、幕府が薩長に敗れた経緯や、慶喜(草なぎ剛)の動向を知る。そして、新政府軍と戦う誠一郎(高良健吾)、惇忠(田辺誠一)らのその後を聞き、激闘の中、岡田健史演じる平九郎の行方が分からなくなったということを知り、「平九郎はどうした!」と取り乱すという場面が描かれる。
岡田は、今作が大河ドラマ初出演。岡田演じる平九郎は、篤太夫の妻・千代(橋本愛)の弟で、偉大な“あにぃ”たちの背中を追いかけ、文武両道で心優しい美青年に育つ。そして、篤太夫のパリ行きに伴い、篤太夫の養子となるが、そのことがきっかけとなり幕府崩壊の動乱に巻き込まれていくという役どころだ。
これまで“あにぃ”たちの背中を追いかけてきた平九郎。武士となり、その役目を果たそうと励む姿や文学に対し興味を持つ純粋な姿が描かれてきた。また、篤太夫の妹・てい(藤野涼子)へ「俺の嫁になってくれ」と伝える“キュン”とときめくようなシーンもあった。
しかし、そんな平九郎にも“歴史の荒波”が襲い掛かる。そんな平九郎を演じる岡田が第25回を前にコメントを寄せた。
※この先、第25回のネタバレが含まれます。
岡田健史「僕が考えたのは“兄ぃ”たちの事でした」
――これまで約1年間、平九郎を演じてきた中で、演じる上での変化はありましたか?
変化というか、新しく気づかされた事はあります。何かが変わったのではなく、新しく発見したものが追加されていった、という感覚です。実在の人物を演じることは膨大なエネルギーを要すると共に、こんなにも濃厚に生きる事が出来るのかという驚きもありました。
これまでは架空の人物を1から自分で作りあげていく作品に出演してきましたが、過去の実在の人物を演じるのは今回の『青天を衝け』が初めてでした。
先の展開やその最期がどのようになるか分かっているからこそ、簡単には演じることができないことに気づかされました。例えば「渋沢栄一役をやりたいです」とか、口先では簡単には言うことが出来ますが、実際に演じるとなると全然簡単じゃないと思います。
もちろん、架空の人物を作るのも難しいのですが、それとは異なる大変さがあり、命を削るというか、まさに命がけで演じることができたという手応えを感じています。
平九郎の最期のシーンの撮影の時には自然と涙があふれていました。天国で渋沢平九郎さんが「お前に演じてもらって俺はうれしい」とか思ったりしてくれたかな、と言う思考にいたった結果なのですが、実在の人物の最期を演じることで「こういうふうな気持ちになるんだな」と新鮮な思いでした。
――最も印象的だったシーンは、やはり平九郎の最期のシーンでしょうか?
最期のシーンは、変な話、僕でなくても壮絶なシーンになると思います。
そうではなくて、そこに至るまでの“平九郎”という人物をどのように作ってきたのか、という事こそ僕にしかできない平九郎なんだと思います。
それはよしあしで図れるものではなくで、良くも悪くも僕がそれまでに作ってきた“平九郎”がそこに至ったと言うのがその最期のシーンではあります。
そういった意味では一番印象的なのは、第7回のシーンでしょうか。第7回では栄一と惇忠が漢詩を詠みながら藍売りの旅に出るのですが、出発前に剣道場でそれを聞いた平九郎が栄一に「へぇ。詩かぁ。いいなぁ」と平九郎がひと言こぼします。
僕は純粋な憧れの対象である“兄ぃ”たちとの関係性を徐々にズームアップしていく事こそが、平九郎を演じる上での真骨頂であると考えていますし、平九郎の最期を演じるにあたっても、僕が考えたは“兄ぃ”たちの事でした。
“兄ぃ”たちを慕っている平九郎の中身を濃く作っていくために一番考えて、またその後のリズムを掴むことができたこともあって、そこが一番印象に残っています。
また、平九郎の根底には憧れと同時に、「いいなぁ、兄ぃたち」と言う自分にはできない事をやってしまう事へのコンプレックスもどこかあるのだと思います。僕自身も幼少期に上のお兄ちゃんたちに対して感じた事でもあるのですが、大人とは違い、幼少期に感じる歳の差というのは、非常に大きいものがあると思います。自分が持っているものと年上の人たちが持っているものの違いに対するコンプレックスというのはすごく大きいと思います。
岡田健史「僕の事を信じて、平九郎の最期を見届けていただきたい」
――平九郎の最期が描かれる第25回に向けて、視聴者のみなさまへのメッセージをお願いします。
なんと言って良いか非常に難しいのですが、僕もこれまで自分が見て演じてきた平九郎の事を信じながら最期のシーンを迎えました。これまで『青天を衝け』をずっとご覧いただいている視聴者のみなさまにも、僕の事を信じて、平九郎の最期を見届けていただきたいです。
第25回「篤太夫、帰国する」のあらすじ
帰国した篤太夫(吉沢)は、横浜で杉浦(志尊淳)や福地(犬飼貴丈)らと再会。幕府が薩長に敗れた経緯や、慶喜(草なぎ剛)や幕臣の動向を聞かされる。
さらに、恵十郎(波岡一喜)と虎之助(萩原護)から、成一郎(高良)、惇忠(田辺)、平九郎(岡田)のその後を知らされる。成一郎らは彰義隊を結成するもすぐに分裂し、振武軍(しんぶぐん)として新政府軍と戦うが敗戦。激闘の中、平九郎の行方は分からなくなり、成一郎は箱館へ向かったという。
頭の中が整理できない中、篤太夫は故郷・血洗島へ戻る。